文芸

スティーヴンソンのおすすめ作品4選!冒険小説『宝島』の作者

更新:2020.11.24 作成:2017.5.8

読んでいてとてもわくわくする『宝島』、世界中で有名な『ジキル博士とハイド氏』など、大人も子供も楽しめる傑作を書き続けたスティーヴンソン。彼の作品は、多くの芸術家に大きな影響を与えました。スティーヴンソンのおすすめ4作品を紹介します!

子供も大人も楽しめる物語を生み出した作家、スティーヴンソン

ロバート・ルイス・スティーヴンソンは、1850年イギリス生まれの作家です。エディンバラ大学で学び、弁護士資格を得るものの、生まれつき身体が丈夫ではなく、療養で様々な土地に行きながら作品を書いていきました。1894年に彼は生涯を終えます。

スティーヴンソンのデビュー作は、1874年に発表した『南欧に転地を命ぜられて』というエッセイです。日本で最も知られている彼の作品は『宝島』ではないでしょうか。この作品は、古くから翻訳され、児童文学の傑作として多くの人々に受け入れられてきました。子供のころに読んで胸躍らせた経験があるという方もいらっしゃるでしょう。大人になってから読んでも、わくわくする優れた冒険小説です。

1886年に出版された『ジキル博士とハイド氏』もスティーヴンソンの代表作として有名でしょう。その影響力は大きなもので、この作品が元となっている派生作品はたくさんあります。

スティーヴンソンは晩年をサモア諸島の中にあるウポル島というところで過ごしました。彼は現地の人々からストーリーテラーとして受け入れられ、ここでも多くの作品を書いています。

本格ミステリの大御所ジョン・ディクスン・カーや、日本の有名な文豪、夏目漱石なども、スティーヴンソンの作品を愛読していました。多くの研究者が、彼らの作品の中に影響が多々みられると指摘しています。

子供から大人まで、多くの人を魅了してきたスティーヴンソンの作品。彼の作品の中から、おすすめの4冊をご紹介します。

希代のストーリーテラー、スティーヴンソンによる王道の冒険小説

とある宿屋ベンボー提督亭に、ビリー・ボーンズという頬に大きな傷のある謎の水夫が泊まり込んできます。その宿屋の息子であるジム・ホーキンズが本作の主人公ですが、彼はボーンズから「一本脚の船乗り」には気をつけるよう警告されていました。ある夜、ボーンズは酒に溺れ、喧嘩の末に亡くなってしまいます。

彼の死後、ホーキンズ少年は地元の名士トリローニと医師のリヴジーと共に彼の持ち物を調査しました。その際に出てきたのは、宝のありかが示された謎の地図。これをもとに彼らの海への冒険が始まるのです。航海に出るに当たってトリローニは片足の男、ジョン・シルバーに助けを求め、彼も仲間に加わることとなり……。
著者
スティーヴンスン
出版日
2008-02-07
個性豊かな登場人物たち、宝を求めての航海、緊迫した戦い。そう聞いただけで、なんだかわくわくしてきませんか?

それらが希代のストーリーテラーであるスティーヴンソンによって語られるのです。気が付いたら、物語の中の一員になったかのように夢中になってしまっています。

世界中の子供・大人たちを魅了してきたこの作品は、冒険物語に「海賊もの」という一つのジャンルを確立することに貢献したことでしょう。『宝島』がなければ、『パイレーツ・オブ・カリビアン』や『ONE PIECE』などの海賊ものの傑作はここまで受容されなかった、ひょっとしたら生まれてすらいなかったかもしれません。

魅力的な仲間たちと共に、宝探しに海へ出かけてみましょう!

あなたは一体、誰なのですか?

ある町に、醜悪で不気味なことで有名なハイドという男がいました。彼は、道でぶつかって倒れた少女を踏みつけようとするほどの暴悪さなのです。

弁護士であるアターソンは、品行方正な紳士である友人のジキル博士が、この凶悪な男であるハイドと関係があると知り、ハイドがどんな人物であるのか探ろうとしますが......。
著者
ロバート・L. スティーヴンソン
出版日
2015-01-28
この作品はあまりにも有名で高く評価されているために、「ジキルとハイド」といえば何を指すのかを本書を読んだことがなくてもご存知の方はいらっしゃるかもしれません。それは物語の根幹にかかわる重大なネタバレではあるのですが、ご存知だったとしても、十分に楽しめる作品なので、ぜひ手にとってみていただきたいです。

霧に覆われ、ほの暗いロンドンの中で徐々に見えてくるジキル博士とハイドの存在。スティーヴンソンの絶妙な語り口によって、ロンドンの雰囲気と怪しげな2人の関係が見事調和しています。そういった中で調査を進めていくアターソンに、いつの間にか読者は自分を重ねていき、まるで自分が探偵であるかのようなスリルを味わうことができます。

なんといっても真骨頂は、真相が語られるシーン。それまでは探偵役といえるアターソンに自分を重ねていたはずなのに、気が付くとジキル博士かハイド、もしくは両者に自分自身を見出すようになっていると思います。自分は誰なのか?ということを考えさせられる探偵小説であり、冒険小説であり、心理小説のような作品です。

「善悪」だけでは語れない人間の面白さ

1888年~1889年にかけて雑誌に連載された小説です。架空の貴族・スコットランドのバラントレー家の兄弟ジェームスとヘンリーの確執を描いています。スコットランドに舞台を限らず、イングランドやアメリカ、大西洋も巻き込んだ壮大な歴史物語です。
著者
スティーヴンスン
出版日
1996-04-16
スティーヴンソンの特徴は、単純にエンターテイメントとして面白い、子供でも理解し純粋に楽しめる筋の話を書きつつ、そこに人間心理の深い洞察を織り込める点でしょう。本書も兄弟の対立、冒険を楽しめる作品でありながら、人間の善悪について考えさせられる作品です。

この物語は、弟に仕えた忠実な執事が兄弟の争いを回想していく、という形がとられています。はじめは明らかに兄が悪玉で、弟が善玉であるように読者の目には映るのです。ですが、次第に兄の方が弟よりもずっと魅力的な人物に見えてくるのが非常に不思議。読者の立場にあるような執事の兄弟に対する態度も、段々と変化していきます。

ごく単純な「善悪」という価値のみでは語れない人間の魅力を思わされる作品です。あなたは兄弟どちらの肩を持ちますか?そしてどちらが好きですか?どちらの質問の答えも一致するように思えますが、違った答えが出てくるかもしれません。

子どもの世界と大人の世界の融合した、スティーヴンソンの詩

スティーヴンソンは、小説だけではなく詩も発表しています。本作『ある子どもの詩の庭で』は、1885年に子どもに向けた詩集として発表されました。美しい挿絵と美しい詩が楽しめる一冊です。

スティーヴンソンの詩は、あどけない想像力にあふれながらも、鋭くあたたかい洞察でいっぱいです。大人になってから童謡に触れると、子ども心を思い出したり、歌詞にこめられた意味を初めて理解できたりする、ということがありますが、彼の詩は大人にまさにそういう読み心地を与えてくれます。子ども向けに編まれた詩集ではありますが、大人も楽しむことができる作品でしょう。
著者
ロバート・ルイス・スティーブンソン
出版日
2010-09-09
スティーブンソンの詩の世界は、子どもだからこその想像力に満ちた世界でありながら、大人だからこそわかる意味に満ちた世界でもあります。子どもと大人の世界が、自然な形で融合しているのです。つい私たちは子どもと大人、というように分けて考えてしまいがちですが、本作の詩の世界が体現しているのように、本来子どもの世界と大人の世界は地続きのものなのかもしれません。

自分一人ではなく、子どもと読んでも楽しいですし、イーヴ・ガーネットによる挿絵も、スティーヴンソンの言葉と相まって心を癒してくれることでしょう。

子どもも大人も虜にするスティーヴンソンの作品で、ぜひ物語の力、人間の面白さを感じてみてください!