多感な中学生の時期に何を吸収するかによって、人格形成は大きな影響を受けます。なぜなら、その時受けた強い衝撃、感銘により、その人間の行動が変わるからです。今回はそんな中学生の時期におすすめな、動物の登場する児童書をご紹介していきます。
本の舞台は、恐竜が生息していた時代......というわけではなく、主人公のなかよしきょうだいが読んでいた「本の中」が舞台となっています。
なかよしきょうだいが、不思議な「ツリーハウス」をみつけ、その中で本を読んでいると突然、二人は本の中の世界に入ってしまうことになります。
到着した先は、今は存在しない恐竜たちが主役の世界。いきなり現れた異分子のきょうだいを恐竜は追いかけ回し......。二人は無事に現実世界に帰れるのでしょうか。
- 著者
- メアリー・ポープ オズボーン
- 出版日
- 2002-03-29
幅広い年齢層からの支持を集める恐竜。化石やフィクション世界でしか見ることはできませんが、それゆえに、多くの人がその魅力に取り憑かれているのでしょう。
この作品の魅力は、なんといってもその恐竜との「ふれあい」を擬似体験できる設定です。また、大概の映像作品では、人間と恐竜は相容れない存在として描かれています。凶暴な恐竜から人間はひたすら逃げるだけです。しかしこの作品では、主人公のきょうだいと恐竜は、さまざまな冒険を通じて「なかよく」なります。その新しい設定も面白いはずです。
「ドリトル先生シリーズ」の中で、第一巻として発行された『ドリトル先生アフリカゆき』。作者は20世紀前半にアメリカで活動したイギリス人の小説家、ヒュー・ジョン・ロフティングです。
彼が作り続けた「ドリトル先生」シリーズは、1920年から1952年までのおよそ30年間にわたり生み出されました。その長い長い、「ドリトル先生」シリーズの中で最も古い作品が、今回紹介する『ドリトル先生アフリカゆき』です。
偏屈な性格で、人間の患者はすっかり寄り付かなくなってしまったドリトル先生。そんな彼が、オウムのポリネシアに話しかけられ、更には「動物語」までマスターしてしまう瞬間が本書の中では描かれています。
- 著者
- ロフティング
- 出版日
- 1961-09-18
『ドリトル先生アフリカゆき』の魅力は、上でも紹介した通り、その後、長きに渡って続くシリーズのスタート地点だという部分です。
何がどうなって、動物語をマスターできたのか。また、動物との触れ合いに至る以前のドクター・ドリトルとはどのような人物だったのかを知ることができます。
また、どんなキャラクターにも共通して言えることですが、少し、マイナスな部分がある人のほうが魅力的に見えますよね。
ドクター・ドリトルの場合は、偏屈という性格設定です。偏屈でありながらも、動物には好かれる、動物への思いやりは人一倍。
そのようなところから、人は、今見えている部分だけの判断では、十分ではない事実を学べます。
講談社児童文学新人賞受賞作であり、青少年読書感想文全国コンクール課題図書にもなっている『ルドルフとイッパイアッテナ』。
物語はタイトルの通り、黒猫のルドルフと、ボス猫の「イッパイアンテナ」のコンビで進めれれていきます。
ルドルフに比べて「教養」のあるイッパイアンテナは、いろいろなことをルドルフに教えていきます。
ひょんなことから、地元の岐阜から東京へと着てしまったルドルフに対して、イッパイアンテナは、岐阜への帰り方を指南しますが......。
- 著者
- 斉藤 洋
- 出版日
- 1987-05-20
この作品の魅力的で面白く感じられるところは、同じ猫でありながら、知性と教養に差が設けられている点です。
そして、猫という生き物の常識的な価値基準を覆している点も面白く感じられるはずです。
大概の猫はツンケンしておよそ、誰かに従ったり学びを得るような姿勢は見受けられませんよね。そんな猫でも知恵を得ようとしている。また、東京から岐阜へ帰るという困難な道にも果敢に挑戦している。そして猫同士の熱い友情にも、心が揺さぶられることでしょう。
イギリスのパディントン駅で、ブラウン夫妻は、小さなクマの子を見つけます。それが、『くまのパディントン』の主人公です。
「どうぞ このくまのめんどうを みてやってください。おたのみします」子グマの首には、そう書かれた札がぶら下がっています。
ブラウン夫妻は、その名のない子グマをみつけた駅名「パディントン」と名付けて一家の一員にするところからお話は始まります。
最初は失敗ばっかり。毎日毎日そんな感じ。それでも「最後」は、なんとかなるんです。そんなことをこの愛しいクマの物語から感じ取ることができるでしょう
- 著者
- マイケル ボンド
- 出版日
- 2002-06-20
『くまのパディントン』は、マイケル・ボンド(イギリスの作家)が1958年10月13日に出版した作品です。そしてその後、関連する作品では常にこのパディントンが主人公を務め、クマでありながらそのキャラクターは世界中で愛されています。
その魅力あふれるキャラクターが、この作品の大きな魅力。パディントンは紳士的で、クマとは思えないほど礼儀正しいのですが、どういうわけか、彼の周りではひっきりなしにトラブルが巻き起こっていきます。
そのトラブルを、なんとか丸くおさまるよう努力して、なんとかしていく展開もこの作品を魅力的に見せている大きなポイントです。
『ヒックとドラゴン』は、イギリスの児童作家クレシッダ・コーウェルの作品で、シリーズ化されているタイトルです。今回紹介する「伝説の怪物」は1作目ですが、その後〜10と外伝まで出版されています。
主人公である、英雄ヒック・ホレンダス・ハドック三世が自身の少年時代を回想する形式で物語が進んでいきます。
ドラゴンを捕らえて飼いならさなければ「一族として認められない」そんな試練に対してヒック少年が真っ向勝負をする姿が描かれています。
- 著者
- クレシッダ コーウェル
- 出版日
ヒックは、一族のリーダーの息子です。しかし物語当初、ヒックは何をやってもうまくやることができず「落ちこぼれ」として描かれています。
そのような状況から、知恵と勇気を振り絞って部族を救う「ヒーロー」にまで駆け上がる姿は、多くの少年の心に強い希望を与えるだろうと思います。
人は基本的に弱く、中学生時分であれば、様々な困難に直面することもあるでしょう。そんなときにネガティブな感情を払拭できる作品です。
基本的に子供向けの本ではありますが、挿絵などしっかりと描きこまれており、ユーモアのセンスもばっちりで、中学生でも楽しめる作品となっています。
今回は、中学生におすすめの「動物が出てくる」児童書を紹介しました。ぜひ、参考にしてみてください!