子、孫、甥、姪、友人…。この春、小学校入学を迎える子どもたちへの入学祝いは決まっただろうか? 初めて座った真新しい学習机の本棚にどんな本が並んでいたかで、その後の人生が変わってしまうかもしれない。入学祝いには、本を贈ってみよう。
「そういえば、あの子、今年、小学校入学だったな…。」そんな風にせっかく思い出したのなら、その気持ちを伝えてあげようではないか。「1,000円の予算では、それほど大したものは贈れないよ。」なんて諦めるのは早すぎる。
丸ごと一冊がすごろくゲームの本、と聞いて、興味を持たない子どもはいないだろう。でも、『がくしゅうすごろくゲーム』のスゴいところはそれだけではない。
まずは目次を見てみよう。それぞれのすごろくのタイトルの前に、国・算・理・社・英・音・体…と言った記号が書かれている。そう、これは小学校で習う科目名である。社会であれば、全国を周るグルメ旅、国語であれば、ことわざと言った学習すごろくが、実に20個以上も収録されているのである。
私たち大人は、算数の時間に計算をし、国語の時間に文章を読んだり書いたりする、ということを当然のように理解している。けれど、これから入学を迎える新1年生は違う。算数とは何か、国語とは何かをイメージで伝えることは、非常に難しい。
- 著者
- 出版日
知人や友人の子どもたちに入学祝いを贈るとき、小学生の場合、相場は3,000円程度が多いと言う。この価格帯は、良書が多いだけに目移りするところであるが、次の本のような選択肢はどうだろうか?
- 著者
- 出版日
- 2013-07-18
子どもの頃、偉人の話を読んだという人も多いだろう。何かを成し遂げた人の言葉には、力がある。そして、その人生には、子どもに伝えたい信念がある。
私は、仕事柄、たくさんの受験生と接触してきた。希望する学校に入学できる者とできない者。その差は何かと聞かれたら、私は迷わず「信念」と答える。信念とは、小学生の子どもたちにわかるように説明するならば、夢や希望といったものに近い。けれども信念は、夢のようには儚くなく、希望のように頼りなくはない。これと決めた思いの強さがあれば、人は懸命に努力し、怠け心に打ち克ち、己を高めていく。そして、不思議なことに、信念のある者には、運さえもが味方につくのである。
この本は、毎日一話、世界を変えた人たちの話がまとめられている。そう聞くと、歴史上の有名人の名前が頭に浮かんでくるだろう。もちろん、そういった人々もたくさん収録されているのだが、特に私が気に入っているのが、「東京タワーと東京スカイツリー」「ウォークマンの誕生」と言ったプロジェクトの話である。
たとえ一人一人は名もない開発者や職人であっても、その力と信念が結集すれば、間違いなく世界は変えられるのだ。汚れなき心を持っている新入生にこそ、読んでもらいたい一冊である。
さらにもう一冊、2,000円を少し切るけれど、絶対にオススメのものを紹介しよう。
- 著者
- 出版日
- 2013-12-17
ドラえもんが嫌いな子はいない。そう言い切ったとしても、それほどの問題は生じまい。その大好きなドラえもんが、言葉の世界をナビゲートしてくれる。
辞書の一番の役割は、わからない言葉を調べることである。私は受験指導の際、小学校低学年であれば、3万語程度収録された辞書を買うように勧めている。この辞典には、そのたった6割強の1万9千語しか収録されていない。その意味でこの国語辞典は、確かに物足りない部分はあるだろう。
ただ、それでも私がこの辞典を我が子にも選び、皆にも勧めるのには訳がある。それは実体験として、小さな子どもが辞典にのめり込むことを確信しているからである。
我が家で、この辞典の主たる所有者は上の子どもである。楽しそうに毎日愛読している。これだけでも十分買った価値はあるのであるが、驚くべきは、2歳の下の娘までもが、ブツブツと何か言いながらこの辞典を眺めているのである。試しに他の子にも見せてみた。やはり、食いつきが良く、しばらく辞典に見入っている。他の辞書ではこうはいかない。
辞書は、決して机の上の飾りではない。何度めくったか。勝負のカギはそこにある。やはり、ドラえもんの魅力は偉大である。私たちの子どもの頃から何も変わらない。困ったことは何でも、このネコ型ロボットに相談しよう。
かつては知的な応接間に欠かせないアイテムであった百科事典。インターネットでいつでも必要な知識を瞬時のうちに取り出せるようになった現代には、ほとんどお目にかかることはなくなった。
インターネットは確かに便利だ。重たい百科事典を取り出す必要もなければ、収納の場所もいらない。説明を読んでもわからない言葉があれば、さらにリンクをたどっていけば良い。
けれど、新しく門出の時を迎える子どもたちに必要なのは、便利さだけではない。ただペラペラと当てもなく百科事典をめくり、気になった項目があれば、しっかりと読み込む。そんな体験が、自分自身の未来像を形作っていくのである。
- 著者
- 小学館
- 出版日
- 2011-11-25
小学校低学年の子どもたちにとっては、十分にボリュームのあるこの本だが、もちろん大人から見ると一つ一つの内容は薄い部分もある。しかし、まずは、自分の興味のある分野が何であるのかを知ることが、この時期の子どもたちにとって何をおいても大切なことなのである。子どもたちが、テストの点数だけで得意不得意を決めてしまう前に、一度は手にしてもらいたい良書である。 シリーズの本を組み合わせて贈るのも良い方法だ。
本の冊数を調整することで、自分の予算に合わせることが可能だからだ。
- 著者
- 出版日
- 2012-11-29
なぜだろう、なぜかしら?子どもたちの頭の中はたくさんの疑問であふれている。最初はきちんと答えていたけれど、小学生にもなると質問が高度になり、親もなかなか手こずらせられるものである。
この「なぜだろう、なぜかしら」のシリーズは、そんな子どもたちの素朴な疑問に丁寧に答えてくれる。科学と社会に分かれ、学年ごとにレベルを変えてラインナップされている。大人でも、へえ~、と感心しながら読み切ってしまう内容である。
将来の受験勉強という観点からも、この本は値打ちがある。科学と社会の知識であるが、まるで国語の教科書のようにしっかりと縦書きで説明されている。受験の問題を思い出してみてほしい。理科でも社会でもただ記号を選択するだけではなく、文章で答えさせる問題がよく出題されるだろう。
近年、その傾向はどんどん高まってきている。つまり、いくら記憶力が良くても、文章にする能力がなければ点数には結びつかないのだ。そのためにも、日頃から、図や表だけでなく、科学的な文章などに慣れておかなければならないのだ。
この本なら、毎日10分間、楽しみながら論説文に触れることができるのである。
子どもたちの好奇心はどこまで広がっていくのか。子どもたちが自らの持つ無限の可能性を武器に、あらゆる疑問に挑戦していく姿。それを私たちは“人類の進化”と呼ぶ。
桜舞い散るこの季節に、入学祝いでもらった本は、必ず子どもたちにサクラサク未来をもたらせてくれるはず。そんな思いと共に、新入生には、ぜひとも素敵な一冊を贈りたいものである。