男性を客層としてターゲットに置いている恋愛漫画は、もちろん男性向けの漫画雑誌に掲載されます。今回は、女性向け漫画雑誌に載っているものとは一味違う、少年誌掲載のおすすめ恋愛漫画をご紹介いたします。
人間の少女と獣の骨のような頭部を持つ魔法使いの、異類婚姻譚となる予定の恋愛物語です。「予定」となっているのは、主人公のチセが将来的に嫁となるために魔法使いに買われた存在であるため。突然別の環境に飛び込むこととなったチセは弟子兼嫁として、世界の理を知っていくことになります。
- 著者
- ヤマザキコレ
- 出版日
- 2014-04-10
羽鳥チセは、物心つく前より人には見えない不思議なものを見ることができました。そのせいで人からは忌み嫌われ、孤独な少女時代を過ごします。偶然出会った男のすすめで、とあるオークションに自身を出品したチセを高額で落札したエリアス・エインズワースは、人ならざる姿の魔法使いでした。
チセは魔法使いならだれでも欲しがる体質の持ち主「夜の愛し仔(スレイ・ベガ)」。落札したエリアスの嫁兼弟子として生活することになりますが、秘密の多いエリアスや、彼を取り巻く環境に振り回されることもしばしば。しかし、愛を知らずに育ったチセが、戸惑いながらも人の好意に触れていく姿にエリアスならずともほっこり。大切にしてあげたくなる気持ちが溢れてきます。
恋愛漫画ですが、情熱的な物語は展開されません。妖精伝説が数多く残る美しい英国で、魔法絡みの事件が次々と発生し、そちらに気を取られてしまいがち。そんな中、少しずつ好意を向けていく様子が感じとれるでしょう互いを気遣いながら、ゆっくりと変化していく気持ちに寄り添う楽しみがある恋愛漫画です。
音楽を媒体に繋がり合う少年少女たちの恋愛漫画。11歳の時、喧嘩をしたまま母と死別してしまった有馬公生は、自分の演奏するピアノの音を聞くことができなくなってしまいました。14歳になり、幼馴染の澤部つばきを通じ、宮園かをりと出会います。彼女は、自分と同い歳のヴァイオリニストでした。
- 著者
- 新川 直司
- 出版日
- 2011-09-16
コンクールで聞いたかをりの演奏に、モノトーンだった世界に色が付き始めるのを感じる公生。友人の渡亮太との仲を取り持て、と言いながらも、かをりは公生を再び音楽の道へ戻るように働きかけていきます。
音楽を失った少年が、桜の季節に少女と出会い、世界に色と音楽を取り戻していく中で生まれる葛藤や、恋を描いた本作。音楽が聞こえてきそうなほど熱と力に満ちた演奏描写と、緻密な構成が魅力です。特に物語の流れは、最終回へ向けて淀みなく流れるように作られており、読者は息を詰めながらその物語の終わりを見守ることになるのです。
タイトルの「嘘」とは何なのか。全ては最終回に明かされますが、すべてを知ったときの胸の痛みは、公生やかをりの感じた痛みでもあるのでしょう。美しい世界の中で、ひときわ淡く輝く恋愛漫画、ぜひ読んでみてください。
3期に渡ってアニメ化されている週刊少年サンデーの人気作です。作者である若木民喜いわく、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』に影響を受けてこの作品が生まれたとのことです。
ギャルゲーが大好きで、非常に得意な男子高校生の桂木桂馬。彼はそのギャルゲ―の腕前からネット上で「落とし神」と呼ばれていました。そんな「落とし神」桂馬の元に、「落として欲しい女がいる」というメールが送られてきます。その挑発的な文面に、怒りを覚えながら返信をしてしまった桂馬の前に、悪魔を名乗るエルシィという少女が舞い降りてきました。
彼女は、地獄から抜け出した悪魔の魂である「駆け魂」を回収してほしいこと、それには憑かれてしまった少女たちに恋をさせる、すなわち桂馬が彼女たちを”落とす”必要があること、また先のメールに対する返信で契約が成立しているので拒否権はないことを桂馬に伝えてきます。
こうして、リアルの女性が大嫌いな桂馬の、リアルの女性を落とすために奮闘する日々が始まってしまうのです。
- 著者
- 若木 民喜
- 出版日
- 2008-07-11
「ヒロイン(攻略対象)を次々と主人公が落としていく」という内容はまさにギャルゲーそのもの。
しかしそのようなコンセプトながら、現実のみならず地獄や天界までもを巻き込んだ、壮大なスケールの作品となっているこの作品は、3度のアニメ化に加え総発行部数が700万部を超えるなど、超人気作となりました。
ギャルゲーが好きな人はもちろん、純粋にラブコメが好きな人や壮大なお話が好きな人にもおすすめしたい名作です。
山本崇一朗による、2013年から「ゲッサンmini」、その後「ゲッサン」本誌で連載されている、既刊5巻(2017年5月時点)の作品です。
中学1年生の西片くんは、同じクラスの高木さんにいつもからかわれています。
可愛くて頭も良い高木さん、どうにか彼女に勝とう、いたずらをやり返そうと策を練るも、いつも西片くんが悔しい思いをする結果になってしまうのです。
高木さんに腹立ちながらも、どこか嬉し恥ずかしい気持ちを覚え、高木さんのことが気になってしまう西片くん。一方、高木さんの気持ちは……。
- 著者
- 山本 崇一朗
- 出版日
- 2014-06-12
本作の登場人物はほとんど西片くんと高木さんに限られます。この2人やりとりが本当に微笑ましく、心を奪われてしまうのです。
例えば下校のとき、自転車を持つ西片くんと高木さんが何かと一緒に帰っているシーンを見ていると、甘酸っぱい青春時代が呼び起されます。2人乗りするシーンを今か今かと期待しながら、あっという間に読み進めてしまいます。
そして、本作の魅力といえば、なんといっても高木さんと西片くんの攻防戦です。ここでこう行動したら高木さんに笑われてしまう、今度こそギャフンと言わせてやる!といつも西片くんは思うのです。
そのためには授業中に寝ているフリをしたり、高木さんが仕掛けてきたいたずらを真似して高木さんに仕掛けかえしたり、西片くんの頑張りようが可愛くて仕方がありません。
これだけ西片くんは高木さんに神経を張っているのにもかかわらず、高木さんの意味深な発言にはとても鈍感です。恋愛漫画の男の子はあざといほど鈍感であることが多いですよね。ですが、西片くんの鈍感ぶりは中学生ならではのちょっと考えが足りない感じがして、読んでいてもどかしくなり、次の展開を期待してやはりハイペースで読み進めてしまいます。
西片くんが可愛いと思うのはきっと女性読者でしょう。もちろん、いたずら好きの美人な高木さんの存在は、自分にもこんなクラスメイトがいたらな~と男性読者を虜にするキャラクターです。女性にも男性にもオススメできる作品となっています。
河下水希による、2007年から2008年にかけて「週刊少年ジャンプ」で連載されていた、全4巻の作品です。2009年にはテレビアニメ化もされました。
本作は女子中学生やその周辺の人々の恋愛模様を描いた、オムニバス形式の作品です。著者である河下水希は、本作と同じく「週刊少年ジャンプ」で、『いちご100%』を連載していた人物ですので、『いちご100%』が好きだった方には特に読んでいただきたい作品です。
- 著者
- 河下 水希
- 出版日
- 2008-02-04
自分の兄しか眼中にない子、彼氏はいるけど恋愛が不慣れな子、部活のOBを好きになってしまった子など、思春期真っただなかの中学生たちの恋愛は複雑です。
1話目に出てくる女子中学生あゆみは、クラスメイトに好きな男の子・衛がいます。しかし、ある日、大きな図体で強面の高校生・操にラブレターを渡されます。操は登下校中ずっとついてくるのですが、その正体はなんと衛のお兄さんでした。
年上との恋愛に憧れるも、怖くてイケメンじゃない男は嫌だと、中学生ならでは正直なえぐさもリアルです。自分を拉致した、操と敵対する高校生を見て、操よりかっこいいとノンキなことを言ったり、でも、危機一髪なあゆみを助けにきてくれた操に目を輝かせたりと、1話の中でもメリハリがあります。
また、おませな女子中学生が男は顔か性格かと議論している場面も面白いですが、口で言ったことと実際の気持ちが異なっているところも、まだ子供らしさが残っていて、その可愛らしさについ口元が緩んでしまいます。
そして、本作は登場人物が結構多いです。しかし、キャラの描き分けがとても丁寧で読みやすいのです。性格に合わせた表情や目元、髪型のおかげですんなり読むことができます。何より女の子も男の子も可愛らしいので見ていて飽きません。
可愛い女子中学生の恋愛事情が覗ける、ちょっと背伸びした恋愛漫画です。
原作を坂本次郎、漫画をミウラタダヒロによって制作され、2012年に「週刊少年ジャンプ」で連載されていた、全4巻の作品です。
気になる人の前で赤面してしまい、これまで恋を成就させたことがない葛城翔太は神奈川県鎌倉市で暮らす高校生です。ある日、江の島をバックに記念写真を撮ってほしい、と通学路でお願いしてきた少女に一目ぼれしてしまいます。
もう一度会えないかと悶々としていたところ、近所の清廉女学院という名門女子高の制服を着ているその少女に再会したのです。彼女の名前は紫之宮紗奈、実は女優であり、撮影環境に慣れるために一時的に鎌倉で生活することになっていたのでした。
- 著者
- ["坂本 次郎", "ミウラ タダヒロ"]
- 出版日
- 2012-10-04
冒頭での記念写真を撮影するシーンが、早速男性読者を惹きつけにかかっています。夕日に照らされた江の島と海を背景に写る紗奈……その美しさはページをめくる手が止まってしまうほどです。
芸能人とただの男子高校生。2人の関係を阻むものは少なくありません。由比と同じドラマに出演するグラドルが色仕掛けを仕掛けてきたり、紗奈のマネージャーが2人が会うことを禁じたり、まさしくロマンチックと情熱を高める秘密の恋といった感じです。
また、主人公たち以外の、翔太の友人や他の芸能人の様子も、高校生視点でリアルに描かれています。人の恋を応援したり見守ったりする人もいれば、恋が成就しない人もいるので、自分の体験と重ね合わせて読みたくなります。そういった物語に深みを増させる人間関係も見どころです。
男性が一度は憧れる、美人女優との恋愛に胸がときめくこと間違いありません。翔太の一目ぼれで始まった恋は成就するのか、恋する気持ちを知らなかった紗奈には変化が生まれるのか、4巻という短さでありながら、読み応えがある、濃密な作品です。
金田陽介による、2015年から「別冊少年マガジン」で連載されている、既刊4巻(2017年5月時点)の作品です。
舞台は敵対している東和国とウェスト公国の、両国民が在籍しているダリア学園という名門寄宿学校です。東和国は黒犬の寮、ウェスト公国は白猫の寮、というふうに別れており、国と同様に寮生も敵対しています。
そんな学校出たらにおいて、黒犬の寮に所属する高等部1年のリーダー・犬塚露壬雄(いぬづか ろみお)はある秘密を抱えていました。それは、白猫の寮のリーダーであるジュリエット・ペルシアに惚れていること。バレてしまったら、下手すれば学園を追い出されてしまう禁断の恋。露壬雄とジュリエットの行く末は……!?
- 著者
- 金田 陽介
- 出版日
- 2015-11-09
あるきっかけで告白をし、なんと第1話目で2人はめでたく恋人になります。片思いのドキドキシーンがないじゃん!と思う方もいるかもしれません。ですが、別の形でドキドキシーンを味わうことができます。
それはもちろんバレないように付き合うこと。周りの目をごまかすため、露壬雄とデートするときは、ジュリエットはわざわざ東和国の人間のフリをして男装します。いつもは負けん気が強い美少女がショートヘアの男子っぽく振る舞う姿は、可愛さのあまり思わず見とれてしまいます。ロングヘア派とショートヘア派のどちらでも、男性読者には嬉しい限りです。
敵国の人間と付き合っているとなると、自分の国の人間にバレたとき、裏切りと見なされてしまいます。加えて、物語が進むうちに、恋敵が現れ……。自国の友人と愛する人、どちらを取るべきなのか。国によって翻弄される若者2人の動向に目が離せません。
ねこぐちによる、2015年から「週刊少年サンデーS」、その後「週刊少年サンデー」で連載している、既刊6巻(2017年5月時点)の作品です。
高校一年生の進藤学は東大合格を目指し、勉強に邁進する日々を送っています。しかし、そんな彼を邪魔する人物がいました。その人物は天野めぐみ、スポーツ推薦で学と同じ高校に進学した、剣道部の女の子です。
同じ学校に学がいると分かるや否や、めぐみはしつこく学に接近します。幼馴染で居心地のいいことと、自分が苦手な勉強を教えてもらえるからです。しかし、学にとってめぐみの接近は苦行です。なぜなら、彼女はむっちり系美少女なのですから……。
- 著者
- ねこぐち
- 出版日
- 2016-03-18
勉強の集中をかき乱されるとはいえ、学は付きまとってくるめぐみを冷たく突き放すことはできません。ちゃんと勉強をしてくれるなら……と思うのですが、めぐみの行動は少年誌ならではのもの!
パンチラは当たり前、汗拭きシートで際どい部位を拭いていたり、胸が大きいため何かと学は目にしたり触れてしまったりというハプニングがたくさん起こってしまいます。世の少年読者たちを興奮させていること間違いありません。
めぐみが何故ここまでスキだらけかというと、それは幼少期に学と過ごしていたころと全く変わらない態度で振る舞っているからです。少年のような元気っこであっためぐみは、自分の体の成長にあたかも気付かないかのように、平気で大胆な恰好や動きをしてしまうのです。
剣道ではスキのないめぐみ、しかし日常ではスキだらけなめぐみ。でも彼女の存在が、勉強ばかりの学の生活及び彼自身を変えてくれるかもしれません。部活も勉強も頑張る主人公たちによる、ちょっとエッチな青春ストーリーです。
以上、少年誌で掲載されているオススメ恋愛漫画でした。少年誌ならではのラブコメは、男性だけではなく女性にも人気がでます。笑いありドキドキあり、時々お色気ありなラブコメ漫画を、ぜひ一度手に取ってみて下さいね。