韓国で映画化もされた本格ハードボイルド漫画『オールドボーイ』。理由も分からずに突然軟禁された普通の男が、10年後にようやく解放され、そこからこの悲劇の謎を追い始めるというストーリーです。今回は本作の魅力をご紹介!ネタバレありなのでご注意を。
- 著者
- 土屋 ガロン
- 出版日
一見何の変哲も無い、ごく普通のビルが物語の始まりの場所です。そのビルの地下駐車場には社長専用のエレベーターがあり、7階と8階のボタンを同時に押すと、秘密の7.5階へと動き出します。
そこに軟禁されている男のひとりが主人公の五島です。彼はトイレとシャワー、テレビはあるものの、狭くて気が狂いそうな部屋に10年間閉じ込められていました。
しかしある日ついにその私設刑務所を出られる日が来ます。スーツに着替えた後に気を失わされた五島は、ポケットに1000円をねじ込まれて公園に捨てられます。
気がついてすぐさま周囲を警戒する五島ですが、周りに誰もいないと分かると10年ぶりの自由を実感します。彼はポケットの中の金に気づくとふらりと回転寿司に入り、久しぶりの外食を楽しみました。
会計後の残り20円を握りしめて知り合いに電話することも考えましたが、おそらく誰も信じてはくれまいと諦めます。そこでその金を近くのホームレスのポケットに入れ、夜の街へと繰り出していくのです。
身寄りもなく、手持ちの金もない五島ですが、その表情は決意に満ちています。ひとりで歩きながら五島はこう心の中で呟くのです。
「すでに戦い方は決めてある」
10年間軟禁されて何もなくなった男の行き着く先はどんなものなのでしょうか?
- 著者
- 土屋 ガロン
- 出版日
何も持たずに夜の街へ繰り出した五島。テレクラに露天商、妖しい夜の街の雰囲気の中で自由を満喫する彼は、夜遊びする若者たちに目をつけ、「試してみよう……」となにやら企んでいる様子です。
たむろする若者たちの前を千鳥足の演技で通り過ぎようとする五島。それを見た若者たちはにやにやと目を合わせて頷き、五島のスーツを掴んで彼を地面に叩きつけます。「酒はホドホドに」とにやつきながら五島にたかろうとする若者たちですが、逆に彼にやられてしましました。
軟禁されている10年間テレビで情報収集をして過ごしていた五島。そのニュースによって彼は出所した当時流行っていた「オヤジ狩り」の存在を知っていました。そして室内でのトレーニングで鍛え上げた肉体が若者にも通用するのか試してみたかったのです。
テレビでの情報収集や絶え間なく続けて来たトレーニング。軟禁から自由になった時に軟禁の目的と黒幕を探るために五島は着々と事前準備を行っていたのです。果たして彼はその謎の真相にたどり着けるのでしょうか?
若者たちから逆に金をまきあげた後、行きずりの女性の部屋に泊まることになった五島。ひと時の安心を味わいますが、彼のあとをつける怪しい影が。その男は五島の様子や付いていった女の部屋の住所を電話で報告しています。
その電話を受けるのは、東京が一望できる高層ビルの一室にいる30代くらいの謎の男。彼はその報告を聞いて拳を握りしめ、10年前の事を思い返します。
ある雨の降りしきる夜に1軒のバーに入る10年前のその謎の男。彼はバーで待ち合わせをしているようで、目的の男がくると店主に金を渡して席を外させます。そして後からきた男がこう話しかけます。
「堂島さんかね」
この謎の男の名は堂島。10年前の彼は緊張した面持ちで後から来た男にこう話しかけます。
「ある筋から情報を得まして……
軟禁施設の話は本当ですか…!?」
そう、五島の軟禁生活の計画は10年前のこの日から動いていたのです。
質問を受けた男は私設刑務所について説明し始めます。対象相手のバックグラウンドはお構い無しで、どんな人物であろうと1泊30万で泊まることのできるその施設。特別料金を払うならクロロホルムで眠らせて拉致することもでき、1ヶ月から半年単位の長期滞在なら
割安料金で引き受けることもできると言います。
それを聞いた堂島は固い表情を崩さず、その男にこう聞くのです。
「10年ならば………!?」
桁外れに長い期間を堂島に言われ、驚きを隠せない男。上層部に連絡をした彼は戻ってきて堂島にこう伝えます。
「さ…3億円だ
前金で”3億”払うなら拉致料金はサービスする…………と幹部が」
それを聞いて満足げに「わかった」と即決する堂島。
いきなり3億円もの金を出せる堂島の正体は何者なのでしょうか?
- 著者
- 土屋 ガロン
- 出版日
このあと更にスピード感を増していく展開の『オールドボーイ』。五島は全く手がかりの無い状況から少しずつ堂島に近づいていきます。
その謎にたどり着いた時、五島は何を知るのでしょうか?スリル満点の本格ハードボイルド漫画の世界をぜひ作品で楽しんでみてくださいスマホでは、アプリ「マンガトリガー」で無料で試し読みもできますよ。