子どもはなぜか「おしり」や「うんち」などの少し下品な言葉が大好き。「おしりたんてい」は上品な物腰、頭脳明晰な探偵ですがなぜか顔がお尻。子どもたちにウケないはずがありませんよね。今回は大人気のシリーズ5作をご紹介いたします!
まずご紹介するのは1作目の『おしりたんてい』。後に続くシリーズと違いサブタイトルがなく、シンプルなタイトルです。まさかここから何冊も続くとは……。
『おしりたんてい』は初版が2012年。比較的最近の作品ですが、それ以前にはアプリとして人気を博した作品です。低学年の子を中心に、大人気となっているシリーズ。図書館でもいつも貸出中なので、借りるタイミングを測るのも苦労すると言われています。
- 著者
- トロル
- 出版日
- 2012-10-06
表紙を開くといきなり見開きにおしりたんていと子犬のブラウンのプロフィールがこと細かに載っています。
一見かわいいキャラクターに見えますが、なんと顔はお尻の形……。ここから既に読者はわくわくする事は間違いありません。だって読者である子どもは「おしり」が大好きですから。
そして早速事件が発生。お菓子屋さんのお菓子が全部盗まれてしまったので、犯人探しを依頼されたのです。解決に至るまで、絵本そのものに仕掛けが施してあり、何度も見返してしまいます。
おしりたんていといえば、シリーズを通して謎解きのときにつぶやく「フーン、においますね」と、犯人を捕まえる時の「しつれいこかせていただきます」が名セリフですが、すでにこの第1作から飛び出しています。何を「しつれいこく」のかは、ぜひ実物を手に取ってご覧ください。特に本作で登場する初「しつれいこかせて」は衝撃を受けずにはいられません!子どもたちに人気があるのもうなずけます。
裏表紙の見開きには「ニュースしんぶん」が載っています。本文の内容が新聞になっているのです。このニュースしんぶんと本文を見比べながら読み返すと新たな発見があるでしょう!
『おしりたんてい』は、衝撃的なキャラクター設定ではありますが、子どもたちの夢や想像力を刺激するとても楽しい作品なのです。
「おしりたんてい」のもとに誘拐事件の解決依頼が届きます。犯人が人質の娘を返す条件は、依頼主の先祖が屋敷のどこかに隠したといわれる「レインボーダイヤ」を持ってくること。依頼主でさえどこにあるかわからないのです。
おしりたんていはレインボーダイヤを見つけ出すことができるでしょうか。誘拐された令嬢は無事に帰ってくるのでしょうか。そして果たして犯人の正体は……?謎解きがパワーアップして、まるで知能テストのような1作です。
- 著者
- トロル
- 出版日
- 2013-09-10
依頼主「かめのこうじ家」はとても大金持ちのようです。大きなお屋敷、広い庭、そしてたくさんの使用人。子どもたちは一度は憧れたことがありますよね。そこで事件が起こるのはミステリーの王道と言えるでしょう。
この作品では絵の暗号と迷路はさらにパワーアップ。特に絵合わせは探すのが第一作よりも難しくなりました。読者は謎が解けるまで絵本を何度もめくることでしょう。
おしりたんていがなす技は「しつれいこく」だけではありません。意外な特技もありますよ!そして、意外な犯人を知ったときも驚きです。事件は無事解決しましたが、新たな事件が……?ここで説明するのはもったいないので、ぜひ本書をご覧になってくださいね。
裏表紙見返しの「ニュースしんぶん」はこの事件が記事になっていますよ。表紙見返しには載っていなかった犯人の本名も年齢もここで明らかになりますから、見逃さないように。
名推理で事件を解決するおしりたんていですが、たまにはお休みもあります。この日は愛犬ブラウンと一緒に列車の旅を楽しむ事になりました。
しかし、そうは問屋が卸しません。おしりたんていの行く先々で事件あり!密室と言ってもいい列車の中で、どんな事件が待ち受けているのでしょうか……。
- 著者
- トロル
- 出版日
- 2014-10-01
列車の旅にお弁当は欠かせませんよね。何と、そのお弁当が5つも盗まれるという事件が起こりました。おしりたんていは犯人が残した証拠や、盗まれた5つのお弁当に共通する「あるもの」、乗務員の証言を手掛かりに、一つの答えを導きます。犯人はなんと、「あの人物」。
もちろん、おとなしく捕まる犯人ではありませんがおしりたんていの必殺技「しつれいこかせていただきます」であえなくご用となりました。事件は無事解決。おしりたんていは列車の旅を再開します。車窓から見える景色はとても素敵ですよ!
今回の「ニュースしんぶん」は、おしりたんていが着いた終点の駅が話題となっています。こちらもぜひご覧になってくださいね。
さて、次にご紹介するのは「おしりたんていファイル」シリーズ。絵本で人気を博したおしりたんていがついに菊判で登場したのが本シリーズです。菊判とは、一般的な絵本よりは一回り小さいサイズ。小学校低学年向けに読み物としておしりたんていは子どもの心をつかんで離しません。
まずはシリーズの第1作「むらさきふじんのあんごうじけん」をご紹介します。
- 著者
- トロル
- 出版日
- 2015-08-06
「おしりたんていファイル」シリーズは1冊に2つのお話が入っています。本作には、「むらさきふじんのあんごうじけん」「おやつどろぼうはだれだ!?」の2本が収録。一見、厚い本に見えるので最初は抵抗を感じるお子さんもいるかもしれませんが、2つの物語に分かれているので読みやすく、なんだか得した気持ちにもなりそうですよね。
今回は「おしりたんてい」シリーズ初の本格的な暗号もの。絵本シリーズにも絵の暗号がたくさんありましたから、子どもさんにはなじみがあるでしょう。絵本を読んでいた頃より少し大きくなったので、レベルアップした暗号でも読み手は楽しみながら解いていくでしょう。もちろん、保護者の方も一緒に挑戦してみてくださいね。もしかしたら、親より子どものほうがすぐにわかってしまうかもしれません。
読みものタイプではありますが、ページ構成などは絵本と大きくは変わりません。ちょっと文字が増えたくらいと思っていただいていいですよ。お子さんの読書習慣をつけるにも最適な作品です。
本作は2016年に出版されました。この頃、漫画『進撃の巨人』が人気でしたから、その影響でしょうか、『おしりたんてい』にも巨人が登場します。読み手の子どもさんはもちろんのこと、大人でもニヤリとするタイトルですよね。
果たして巨人の正体は?ハラハラドキドキする作品です。
- 著者
- トロル
- 出版日
- 2016-03-10
この巨人は「レディー(おしりたんていは女性を「レディー」と呼びます)」だけ狙い宝石を奪う卑劣漢です。レディーに優しい紳士なおしりたんていは早速事件解決に動きます。
謎の巨人の存在は中盤までなかなか分からず、お話の舞台もほとんど夜なので、読んでいる方もハラハラすることでしょう。しかし、冷静なおしりたんていの推理で徐々に「もしかして……」と気づくはずです。事件は無事に解決し、盗まれた宝石も被害者の手に戻りました。さすがおしりたんてい!
さて、こちらももう一本お話が入っています。「おきゃくさんのわすれもの」です。「やみよにきえるきょじん」でおとりとして活躍したレディーが再登場していますよ。
今回も、謎解き・暗号・パズルと子どもたちが何度でも読み返したくなるネタがたくさん入っています。子どもが本に夢中になるってとても素敵なことですよね。ぜひ2作とも合わせてお楽しみください。
「おしりたんてい」シリーズは、『かいけつゾロリ』と同じポプラ社から発行されています。ゾロリとともに、小学校低学年の子どもたちに「本を読む楽しさ」を伝えてくれる作品です。「おしりたんてい」を入口として子どもさんの読書の世界が広がることを祈っています。