王道ラブストーリーからファンタジーものまで、幅広い世界観を描く作者。キャラクターが魅力的なのはもちろんカラー絵や背景にも定評があり、そのかわいくキラキラした世界は見ているだけで満足感を与えてくれます。
東京都出身の少女漫画家。人気少女漫画雑誌である「りぼん」を中心に活動しています。
『こどものおもちゃ』などで有名な小花美穂のアシスタントに入り実力と経験を重ね、2000年に18歳という若さでデビューを果たしました。デビュー作の『プライマル・オレンジ』は第76回SB賞の佳作を受賞。その後は着実に人気をのばし、多くのファンを惹き付けています。
漫画の多くは学園ラブストーリーですが、まれにファンタジーものも描き、少年漫画雑誌「ジャンプスクエア」などにも作品を掲載。少年漫画、少女漫画問わず描ける幅の広い漫画家です。
王道モノから少し変わった設定まで、とにかく舞台設定をつくることがうまく、ストーリー自体が面白い。今までに見たことのない展開のお話を見せてくれます。
さらに人気なのが、その絵柄。ぱっちりとした目にくるくると変わる女の子の表情が可愛らしい!カラー絵がうまく、CG技術も取り入れた鮮やかなイラストには、ついつい目を奪われてしまいます。背景にも力を入れていて、ふわふわキラキラした世界を紙面いっぱい楽しめるのが特徴です。
かっこよくてモテモテの兄を2人持ち、さらにその2人から大切に守られて育ってきた星崎すばる。鉄壁の守りによって恋なんてしたことがなく、もちろん彼氏なんていたこともありません。
イケメンで、すばるにとことん優しい兄が身近にいるせいで、彼女の理想は高くなってしまっています。友人からもブラコンと言われてしまい、ついに彼女は「高校に入学したら彼氏を作る!」と決意したのでした。
- 著者
- 酒井 まゆ
- 出版日
- 2016-03-25
門限も厳しいすばるは、夜に開催されるクラスの親睦会にも参加してはいけないと兄に言われ落ち込みます。そこに現れたのが、親睦会幹事の吉田新。それがなんと金髪でヤンチャな男の子!初めて関わるタイプの新に、すばるは仲良くなれそうにないと思います。
しかし、新は強引にすばるを親睦会に連れて行ってくれたのでした。仲良くなれそうにないと思ったものの、新の奔放で自由な明るさに惹かれていきます。しかし実は、新は女性関係には軽く、告白されたら誰とでも付き合ってしまうチャラ男でした。
新の恋愛観に理解が持てず距離を置こうとするすばるですが、新はお構いなしに近寄ってきます。頬にキスをされたり、それを目撃した兄に新に近寄るなと注意されたり、すばるを助けた新が怪我をしてしまったりと次々に事件が……。正反対の考え方を持った2人の、息つく間もないストーリー展開が魅力です。
この作品のオススメポイントは、何といってもすばるの可愛さ!見た目や表情が可愛いのはもちろんですが、お礼やお詫びをきちんといえるところや、間違っていることは間違っていると正直に伝えられるところが主人公らしく魅力的です。
すばるの恋愛相手である新も、明るく人懐っこい笑顔が可愛い!しかし、ふと見せる陰のある表情にはなにやら隠された過去がありそうな雰囲気。なぜ新が「誰とでも付き合う」という考えになってしまったのか、その理由も知りたくなってしまいますね。
正反対の価値観を持つ2人ですが、それぞれのいいところに触れて少しずつ変化していくのも素敵なところ。2人の成長と恋愛模様が楽しみになる作品です。
主人公・一ノ瀬妃芽は、少しマヌケなところもあるけれど、強気な性格でかわいい女の子です。しかしそんな妃芽の高校生活では、周りに秘密にしていることがあって……。
実は妃芽は、総理大臣の娘。中学時代にそれが理由でからかわれるなどいい思い出がなかった妃芽は、高校ではそれを内緒にして普通の女の子として過ごそうと決意していました。
- 著者
- 酒井まゆ
- 出版日
- 2003-07-15
そんな決意を胸に高校に入学し、妃芽は桐原夏野という男の子と出会います。夏野は見た目がとにかくかっこよく、さらに成績もよくてスポーツ万能。当然周りの女の子にもモテモテです。
しかし彼にも、とある秘め事が……。モテることを利用して、女の子たちとデートやキスをする代わりにお金を受け取るという、まるでホストのようなアルバイトをしていたのです。もちろんこれには理由があったのですが、妃芽がこれを止めました。
そんなある日、ついに秘密が周りにバレてしまい、また避けられるようになってしまった妃芽。転校も考えましたが、夏野の言葉で思いとどまります。この時点では恋愛感情はなくとも、互いが互いを戒め、支える関係が素敵です。
その後も妃芽の肩書きを目的に近づいてくる男の子や妃芽をよく思わない女の子など、さまざまなハプニングが彼女に降りかかります。しかしそこは強気な妃芽。色んな手でこれを乗り越え、さらにその都度助けてくれた夏野との距離も縮んでいきます。
他ではあまり見たことのない「総理大臣の娘」という設定。これだけ見ても斬新で面白そうだと思いませんか?そして、そんなすごい肩書きを持つ妃芽と一般人である夏野の恋……。実は2人には、昔からのつながりがあって…!?
とにかく読み進めれば進めるほど面白くなっていく作品です。恋愛、友情、家庭環境など、本当にさまざまなドラマが盛り込まれていて、ハラハラしながらも楽しくてページをめくる手が止まりません!
地位や肩書きがあれば幸せというわけではない、お金がなければ不幸せというわけでもない。どんな状況でも頑張っていれば幸せになれる!と妃芽が教えてくれるような、そんな彼女のパワフルさにも元気をもらえます。
不幸続きの薄幸少女・小田切夢。高校1年生です。ついてないことばかりの日々のとどめに、借金を残して父親が蒸発してしましました。イヤなことばかりの人生に「世界が滅びればいいのに」なんて考えています。
そんなある日、とある小さな女の子が「私ならその願いを叶えてあげる」と夢の前に現れました。名前はモモ、宇宙の大魔王だと名乗るその女の子は、実際に夢を宇宙に連れていき、目の前で1つの星を破壊してしまいました。
- 著者
- 酒井 まゆ
- 出版日
- 2009-02-13
複雑な理由から、宇宙の邪魔な星を消して回っているというモモ。次は地球を滅亡させる予定だけれど、とある条件を満たせば地球を救えると告げます。その条件とは、2年以内にモモを7回喜ばせること。地球の代表としてその役目を負うことになった夢の戦いが始まります。
学校はもちろん、自分の生活のためのアルバイトでただでさえ大変な夢ですが、地球を救うために奔走します。見た目は小さな女の子のモモは、大魔王だけあってちょっとしたことでは満足せず、喜びポイントはなかなかたまりません。
しかし、一緒にいる時間が長い2人。モモは夢に懐いていき、夢もモモを可愛がるようになっていきます。これがまるで姉妹のようで本当に可愛い!とにかく2人の可愛さに癒されます。
もちろん恋愛要素もあり!夢の幼馴染で昔から夢を想っている叶歌、モモの付き人である沙成とナナギ、モモをライバル視するもう1人の星の破壊者・ピコなど、可愛かったりかっこよかったりする男性キャラクターが続々と登場します。
個性的で魅力的なキャラクターばかりで、誰が出てくるシーンでも楽しめる作品。ファンタジーといっても難しかったり複雑なものではなく、とても読みやすいものになっています。
キャラクターの可愛さ&かっこよさ+面白い舞台設定とストーリー展開、という酒井まゆの魅力がふんだんに詰め込まれたおすすめの作品です!
中学1年生の少女・蓮見琥珀が主人公。ぱっと見は少し幼い外見の普通の女の子ですが、実はとある超能力を持っています。それはサイコキネシスという物体を浮かせる力でした。
夜の間や雨の日などの太陽が見えないとき限定ですが、物を浮かせたりそれを応用して自分を浮かせたり、空を飛んだりすることができます。しかし、その能力のせいで転々と引越しをする日々でした……。
- 著者
- 酒井 まゆ
- 出版日
- 2005-08-12
そんな琥珀が今回やってきた街は、彼女も来たかった街。幼いころに行方不明になった母親がこの街にいると聞いていたのです。母親に会いたい琥珀は、引越し初日から空を飛びます。
飛んでいる最中に高層マンションに携帯電話を落としてしまった彼女。その日は諦めて家路に着き、翌日から登校することになりました。しかし、そこでも事件が。窓から落ちた橘夕露を空を飛び助け、クラスメイトたちにもその場を見られてしまったのです!
気味が悪いと逃げ出したクラスメイトたち。しかし、夕露だけは怖がらず、昨夜拾ったんだと琥珀に携帯電話を渡しました。そして琥珀の能力を受け入れてくれたのです。
成績もよく人望もあり、見た目もかっこいい夕露。琥珀の能力のことを言いふらすクラスメイトたちのせいで一騒動になりそうなときも、夕露の言葉でおさまりました。さらに母親探しも手伝ってくれる、どこまでもステキな男の子です。
そんな夕露も家の事情で将来に希望が持てなかったのですが、天然で前向きな琥珀といることで、また夢を持つことができました。支えあう2人が可愛く、思わずキュンとしてしまうストーリーです!
明るく前向きな琥珀と、ぱっと見はクールで無気力だけれど優しい夕露。2人が織り成す空気感は優しくあたたかいもので、そこにファンタジーのドキドキ感も加わり満足感いっぱいの作品です。
主人公は如月麻琴。美人で読者モデルまでやっている姉・莉華と比較されて生きてきたせいで、少しネガティブな性格です。高校に入学するのをきっかけに、そんな自分を変えようとオシャレに気合を入れていました。
しかし入学式の日、気合十分で登校したものの入谷瞬という男の子とぶつかって制服が台無しになってしまいます。テンションが下がる麻琴ですが、この彼との出会いが麻琴を変えていくのでした。
- 著者
- 酒井 まゆ
- 出版日
- 2012-02-15
周りは皆モデルである姉・莉華の妹、というレッテルを貼り、よくも悪くも目立ってしまいます。しかし入谷だけは姉の存在を知らなかったため、麻琴を1人の女の子として接してくれるのでした。
さらに麻琴のコンプレックスのことを知ってからは、なにかとそれを気にかけてくれる優しさ。当然のように真琴は入谷に惹かれていきます。しかし入谷は誰にでも優しく、なかなか恋愛には進展せず……。
実は入谷にも壮絶な過去が。入谷は親に捨てられ、叔母夫婦に引き取られて育ってきたのです。そのせいか、人から嫌われたり離れられたりすることに恐怖心があったのです。そんなトラウマから「皆に好かれる王子様」というポジションを演じ続けているのでした。
コンプレックスを抱える麻琴とトラウマを抱える入谷。しかし麻琴は入谷の優しさに、入谷は麻琴の一生懸命さに触れて徐々に変わっていき……。不器用な2人の成長&ラブストーリーが胸に刺さります。
その他にも麻琴の親友・雨季、麻琴の友達でもあり雨季に想いを抱くななみ、入谷の親友である一誓、そしてもちろん姉の莉華も登場し、多くの登場人物の想いが絡み合う壮大なドラマになっています。
全10巻で完結していますが、あたたかい気持ちになったり、ハラハラしたり、切なくて胸が苦しくなったり、キュンとしたり……くるくると変わっていく展開で読みごたえが抜群。思わず引き込まれてしまう作品です。
表紙絵の華やかさに惹かれて思わず手にとってしまいそうになる、酒井まゆ作品。しかしそれでいいのです。1度手に取り読んでみれば、内容も期待を裏切らないこと間違いなし!どれをとってもオススメ作品ばかりです。