漫画には様々な競技を扱ったものがありますが、中でも弓道はその凛とした雰囲気もあり、キャラクターの良さをさらに引き立ててくれる時があります。弓道競技そのものにより焦点のあった作品も含め、ここでは弓道が登場する恋愛漫画を4作品ご紹介します。
高校生の島田響は、同じ弓道部員の千草恵からラブレターを下駄箱に入れてくるように頼まれます。頼み通り手紙を下駄箱に入れた響でしたが、何と入れる場所を間違えてしまったことが発覚し、大慌てで手紙を取り戻しに行くことになりました。
間違えて入れた先は伊藤貢作という世界史の教師で、そのことをきっかけに響は何となく伊藤先生を意識するようになります。しかし、ひょんなことから伊藤先生から、女は裏切るからキライだと考えていることを知り……。
- 著者
- 河原和音
- 出版日
- 2006-08-10
少女向け漫画雑誌「別冊マーガレット」で1996年から2003年にかけて連載されていた作品で、コミックスは全20巻で完結しています。タイトルからも察せられるように、高校教師である伊藤貢作と、その教え子である女子高生の島田響との恋愛を描いた恋愛漫画です。
弓道部に所属している響は、友人の恋愛話を聞いてもいまいちその気持ちがピンとこないような女の子です。男性を見てかっこいいと思うことはありますが、だからといってその人のことを好きなのかどうかはよくわかりません。友人達が誰かを好きという話をするのを聞きながら、「自分がその人を好きだって、わかるんだろう」と思っているのです。
一方、伊藤貢作は元カノとの別れをきっかけに女性不振になっています。
基本的には奥手で地味な印象のある響ですが、伊藤先生を意識し始めてからは割と積極的な面も見せます。しかし、やはり教師と生徒という点で悩むことも多くあるのですが、そんな葛藤や悩みは、教師と生徒の恋愛を描いた作品にとっては醍醐味の1つでもあり、作品の面白さを際立たせてくれるものと言えるでしょう。響と同じように、もちろん伊藤先生も様々な葛藤を抱くことになります。女性不信になっているとはいえ、生徒に対しては大らかに接してくれる良い先生です。
派手な展開はあまりありませんが、そのぶん、響や伊藤先生、その他脇役までその心理が丁寧に描かれているので、キャラクターの揺れる気持ちをストレートに読み取ることができるでしょう。高校生は高校生の、教師は教師の等身大な恋愛物語を楽しみたい方はぜひ一度手に取ってみてください。
紅葉高校に入学した前田霞(まえだかすみ)は、中学校にはなかった念願の弓道部に入部するため部室を訪れます。すると、そこには大勢の女子生徒が集まっていました。その多さに、高校弓道はとても人気なのだと思いますが、女子生徒達の目的は、弓道部に所属しているイケメン3人組・華澤大成(はなざわたいせい)、清水静風(きよみずしずか)、烏山剛(からすやまつよし)の先輩達でした。
弓道部に仮入部した生徒達は、さっそく面接やトレーニングなどを受けるのですが、先輩狙いの女子生徒達はいずれも華澤や清水の冷酷な態度や烏山の過酷な筋トレに音をあげ、逃げていきました。そんな中、霞だけは最後まで残り入部を希望するのですが、花澤達はただ自分達が自由に使える場所が得るためだけに弓道部にいることを知り……。
- 著者
- 北川 夕夏
- 出版日
- 2010-09-13
霞は弓道が大好きな女の子です。中学時代は学校に弓道部がなく、週末に道場へ通い練習をしていましたが、高校に入ってからは弓道部で毎日弓道ができると楽しみにしていました。メガネで真面目な霞は弓道に対して常に真摯に向き合いますが、仮入部員をわざと振り落とそうとする先輩達の行為をちっとも怪しく思わないなど、どこか天然なところもあります。
霞のことを主に意識するのはプレイボーイの花澤先輩ですが、天然っぽい霞の言動に振り回されてしまう姿はどこかかわいらしく、応援したくなる方も多いでしょう。霞からすると、その言動に全く裏はないのですが、天然がゆえに結果として振り回していることになるのは、王道的とはいえ思わず笑ってしまいます。
弓道好きの霞が、説明的になり過ぎずさりげなく解説役になってくれるので、弓道が何もわからない方でも自然と入り込むことができるでしょう。1巻で完結しているので少し物足りなさもありますが、反対に言えば物足りなさを感じるくらい面白さがあるということでもあります。また、1巻だからこそ一気に読むこともできるので、まずはぜひ気軽に手を取ってみてください。
弓道部の副部長である笹原健一は、風しんにかかってしばらく学校を休んでいましたが、久しぶりに復帰すると、見たことのない女子生徒が入部していました。永仮あやの(ながかりあやの)という名前のその少女のことが少し気になる健一でしたが、その後、現れた永仮はズボンを履いた男子生徒になっていました。
驚く健一でしたが、その少年は永仮周(ながかりしゅう)という名前で、あやのの双子の兄だとわかりさらに驚いてしまうのでした。それからしばらく、健一は双子の後輩に振り回されながら過ごしますが……。
- 著者
- 西 炯子
- 出版日
- 2007-08-01
2006年から2010年にかけ、少女向け漫画雑誌「Wings」に連載されていた作品です。「弓道部青春群像」と銘打たれているように、高校の弓道部を舞台に、主人公をはじめとしたキャラクター達の青春が群像劇的に描かれています。
主人公の笹原健一は、弓道部の副部長を務める真面目な性格の男子生徒です。幼馴染の長尾智和に無理やり珍味を食べさせられたり、男女の双子である永仮周とあやのの両方が気になってしまったりと、何かと周りに振り回されがちなところがありますが、穏やかに人と接することができます。
序盤では、健一をはじめとした弓道部員達が、それぞれちょっと特殊な自分の癖や気持ちのせいで、恋愛に対して戸惑ったり葛藤したりする様子が、ゆるい雰囲気で描かれています。健一があやのと一緒に双子の周まで気になり始めてしまうなど、ボーイズラブ的要素が描かれることもありますが、それほど激しいものでもないので、普段BLに馴染みのない方でもそれほど抵抗なく受け入れられるでしょう。
物語が進むと、次第にゆるい感じから弓道に力を注ぐ姿も描かれるようになっていきます。弓道ならではのピシリとした雰囲気は、弓道漫画としての魅力をたっぷり感じることができます。もちろん恋愛要素もあるので、弓道に恋愛に一生懸命な高校生の姿を見たい方は、ぜひチェックしてみてください。
かつてバレエに全てをかけていた葛木安奈(かつらぎあんな)は、天才プリマと呼ばれた期待のバレエ少女でしたが、膝のケガをきっかけにバレエを辞めてしまいました。
その後、女子高生として青春を満喫するつもりの安奈でしたが、元天才プリマの美少女を連れてこいと部長に命じられたという友達に連れられ、弓道部の部室を訪れます。そこにいた部長とは、青鬼と呼ばれ恐れられている陣内健(じんないたける)、安奈の幼馴染でした。
幼い頃から凶暴な喧嘩を繰り返してきた2人は、他の弓道部員も引いている中で喧嘩を繰り広げます。最初はもちろん弓道なんかやるつもりのなかったのですが、健の言動に挑発された安奈は、売り言葉に買い言葉で弓道なんか楽勝だと言ってしまい……。
- 著者
- 最富 キョウスケ
- 出版日
- 2005-09-26
少女向け雑誌「ベツコミ」に連載されていた作品で、全5話、コミックスは1巻で完結しているラブコメディです。
主人公の安奈は、子供の頃からバレエに打ち込み天才プリマと呼ばれていましたが、怪我をしてしまいバレエを断念せざるを得ませんでした。自信過剰なところもありますが、地道な練習を重ねることができる努力家な女の子です。
そんな安奈が弓道を始めるきっかけとなったのが、幼馴染の健でした。健は弓道部員から「青鬼」とあだ名を付けられるほど乱暴な言動をしますが、バレエができなくなり目標を失ってしまった安奈を放っておけないなど優しい一面もあります。
健の思惑で始めた弓道を始めた安奈ですが、弓道に関してはもちろん初心者です。高飛車でチャラい印象を受ける安奈ではありますが、元々全力でバレエに打ち込んできた根性や努力家な性格は健在で、「青鬼」のあだ名らしくスパルタな健に立ち向かっていきます。
スポ根的な要素も含まれており、恋愛と共に弓道競技そのものを楽しむこともできるでしょう。笑いもスポ根も恋愛も含んだ弓道漫画は、1巻で終わってしまうのはもったいないほどですが、だからこそ気軽に読むこともできるので、ぜひ一度手に取ってみてください。
いかがでしたか? 弓道を扱っている作品でも、弓道競技そのものがクローズアップされているものや、舞台は弓道部でメインは恋愛などいろいろなものがあります。ぜひご自分の好みの作品を探してみてください。