幼稚園や保育園に通いはじめたばかりの子どもは、新しい生活に不安でいっぱい。今回は、園での生活を描いた物語やこんな園があるといいなとワクワクしそうな作品を選びました。ぜひお子様の園生活の話を聞きながら親子で読んでみてください。
関西弁を用いたテンポの良い展開と元気いっぱいの子どもを個性的な絵で表現する作品が多い絵本作家、長谷川義史。『ようちえんいやや』では、幼稚園に行きたくない子どもたちを描いています。
この物語に登場する子どもたちは、園長先生に挨拶をしたくない、自分のクラスの名前が気に入らない、名前のプレートに描かれているキャラクターが嫌などの理由で幼稚園に行く前から大騒ぎ。大人の方も読んでみると、自分たちにもこういう頃があったなと思い出すような内容でクスッと笑ってしまうかも。
- 著者
- 長谷川 義史
- 出版日
- 2012-02-02
『ようちえんいやや』の中には、たけしくん、こうしろうくん、みなみちゃんといった名前の子どもたちが登場します。もしかしたらお子様と同じ名前の子や、お子様のクラスに同じ名前の子がいるかもしれません。
幼稚園に行く日は朝起きた時から憂鬱で仕方がない子供たち。親もそんな時には気持ちにゆとりがなくなってしまいがちです。しかし、この絵本で最後に出てくる幼稚園に行きたくない理由は、きっとお母さんの心を温かくしてくれるでしょう。
まだ幼稚園に通う頃の年代は自分の気持ちを思うように話せない子もたくさんいます。もし幼稚園に行きたくないお子様がいらっしゃるのであれば、この本をきっかけにお子様の気持ちが少しのぞけるといいですね。
保育園へ送って行ってもなかなかお家の方と離れられず、教室に入った後もずっと玄関のほうをみているというお子様の話を聞いたり、そんな姿を見かけたりすることはありませんか。『こぶたのほいくえん』はそんなお子様が保育園になじんでいく姿を描いた絵本です。
3匹のこぶたは家で過ごしていましたが、牧場を駆けまわったり、いたずらをしたり大騒ぎでお父さんとお母さんは困ってしまいます。そこでこぶた達を保育園に預けることにしますが……。
- 著者
- 中川 李枝子
- 出版日
- 2001-03-15
保育園に預けられたこぶた達は、お母さんの姿が見えなくなるとだんだん心細くなって泣いてしまいます。しかし園にはベテランの保育士さんがいて自然に友達の輪の中へと導いてくれ、友達もこぶた達をさりげなく仲間に入れてくれます。もしかしたら仲間に入れてくれた子たちも同じような経験をしてきたのかもしれませんね。
現実にもあるような保育園での様子が描かれており、保育園にお子様を預けた経験のある方はとても親近感がわくの物語です。『こぶたのほいくえん』では保育園が挨拶や友達との関わりなどを学びながら、元気いっぱい遊べる場所であることを伝えてくれています。
これから保育園に預けるお子様と一緒に読めば、園での様子も想像できて少しほっとされるかもしれませんよ。
小学校へ入学する前にお家の人が働いていなくても多くの子は幼稚園に通い、小学校への準備をはじめます。
『わたし ようちえんに いくの』は幼稚園に通うことになったアンナの物語。お母さんは幼稚園に通う娘のために新しい靴を買いますが、アンナはお母さんと離れて幼稚園で生活がきるのかとても心配です。
お母さんと一緒に初めて幼稚園に登園したアンナにはやさしい先生が待っていました。さらに同じ日から通うことになったトムという男の子もいて……。
- 著者
- ローレンス アンホールト
- 出版日
先生に「何をして遊びましょう?」と聞かれるアンナ。クラスに入ると子どもたちが好きな遊びをしていて楽しそうですが、お母さんが帰ってしまうことにとても心細くなってしまいます。
しかし、トムから「くまたちがないているよ」と声をかけられたアンナはトムと一緒に園の中を探検し始め、次第に心を落ち着かせていくのです。
『わたし ようちえんに いくの』では、園の楽しそうな様子だけではなく、先生が子どもたちと接する場面では家での過ごし方の参考になる場面にあります。例えば、おもちゃが散らかっていた時に「だれか先生のお手伝いをしてくれない?」と自然に片付けるように子どもに声かけしたり、できることをさりげなく「上手ね」と褒めたりする言葉の言い換えは家でも使えそう。
お子様と一緒に読むのはもちろん、子どもと接する大人の方にもおすすめの絵本です。
『ぐるんぱのようちえん』は、幼稚園などの読み聞かせでも人気がある絵本です。初版から半世紀以上経っていますが、子どもの興味を引きつけるカラフルな挿絵は今読んでも古さを感じさせません。
ジャングルに住むぐるんぱは、いつもひとりぼっちなのでとても寂しがり屋な象でした。他の象はぐるんぱを何とかしようと思い、働きに出すことにします。
- 著者
- 西内 ミナミ
- 出版日
- 1966-12-15
働きに出る前に他の象に川で洗ってもらったぐるんぱは見違えるようにきれいになり、にっこり笑って働きにでかけます。しかし、靴やさんで働いてもピアノ工場で働いても大きなものばかり作ってしまう体の大きなぐるんぱ。これでは売れないよ、と自分で作ったものを持たされてすぐに仕事を辞めさせられます。
しょんぼりがっかりしながら少し歩いていると、12人もの子どもがいるお母さんに「あそんでやってほしい」と頼まれます。ぐるんぱは自分で作ったピアノを弾き、大きくて売れないと言われた靴を子どもの遊び場に使い、子どもたちを喜ばせるのです。
前半ではどの仕事をしてもうまくいかないぐるんぱの姿を見るとどうなるのか心配になりますが、子どもたちの世話をする幼稚園をはじめたぐるんぱにほっとする物語です。ぐるんぱが作った幼稚園もとても楽しそうに描かれていて、こんな幼稚園に通いたいと思われるお子様もいらっしゃるかもしれませんね。
やさしいタッチの絵が印象的な『ほいくえんのいちにち』は、保育園で過ごす1日の様子が描かれています。登園したクラスでは先生の机にお便りを出す子、その日に使うタオルを決められた場所に引っかけている子、1日の準備が終わって遊んでいる子が見開き1ページの中に描かれています。
また年齢によってクラスでの過ごし方も様々。お散歩にでかけるクラス、粘土遊びをしているクラスや楽器の練習をしているクラスもあって、どれも楽しそうな雰囲気が伝わってきます。
- 著者
- ["おかしゅうぞう", "かみじょうたきこ"]
- 出版日
- 1995-10-31
お昼には給食、お昼寝、目が覚めるとおやつの時間。帰りの会の後はお家の人が迎えにくるまで園庭で楽しく遊びます。物語とともに展開する絵の中にはやんちゃな子や着替えながら遊んでいる子など、どこの保育園にもいそうな子どもたちの様子も繰り広げられています。
お子様と一緒に読みながら園での様子を聞いたり、「〇〇ちゃんはどれかな?」と語りかけながら読んだりするのもおすすめ。
そして、子どもたちの帰った保育園ではブランコたちが明日を楽しみにおしゃべりをしています。お子様たちも次の日が待ち遠しくなる園生活が送れるといいですね。
幼稚園、保育園に通うお子様におすすめの絵本の特集はいかがでしたか。幼稚園は基本的には4月が入園ですが、保育園と同じように途中から入園してくる子もいます。新しい環境になり不安になるのは大人も同じ。ぜひお子様と一緒に読んでいただき、小さな心に寄り添ってあげられるといいですね。