安野モヨコが青年誌で掲載していた作品『花とみつばち』。こじらせ童貞男子が少しずつモテを理解していくリアルなストーリーが魅力の作品です。今回はそんな本作のテクニックをご紹介!ネタバレを含みますのでご注意ください。 スマホで無料で読むこともできます!
- 著者
- 安野 モヨコ
- 出版日
- 2000-04-04
本作の最大の魅力であり読者の心を締め付けるのが主人公・小松の姿です。
ダサい、自信ない、童貞と冴えない要件が揃ってしまっている彼が努力する姿は見ていて痛々しいもの。応援しつつも読者も自分のダメな過去を思い出すことも多いかと思います。
空回りをしまくった、酸っぱさしかない青春時代……。それを目の前で再生されるのです。
そんな彼はメンズエステで学ぶモテ技を学び、少しずつ前進。果たして頭の中で何度も思い描いた童貞喪失の日はやってくるのでしょうか?この記事ではそんな小松の成長が感じられる習得してきた?モテテクニックをご紹介します!
ちなみにスマホアプリで無料で読める作品なので、まずは自分の目でその様子をお確かめいただくのもいいかもしれません。
自らを「男子地味派」だと自覚している冴えない童貞・小松。
女子のこともおしゃれのことも何もわからないけれどとにかくモテたい!可愛い女の子に声をかけられない人生はいやだ!もう言葉も存在も強すぎるギラギラ女子に虐げられたたくない!
そんな悲哀溢れる気持ちでいっぱいになった小松はある日メンズエステへ足を踏み入れます。そこは眉毛を整えるだけで8千円、髪を切るだけで1万円というところ。
ぼったくりだと思いながらもなんやかんやでそこに通うことになり、小松はオカマと超肉食系美人姉妹によって改造されていくのですが……。
- 著者
- 安野 モヨコ
- 出版日
- 2000-09-04
メンズエステで眉毛をいじってもらった小松は、クラスメイトのイケてる女子・サクラにそれを褒められ「これで髪型さえかっこよけりゃーなー」と言われました。
それを聞いた彼は貯金を全部おろして再び店へ行き、「ガンガンいっちゃってください」とオカマたちに頼み込みます。行動が早い。さすが青春男子のモテたい欲はすさまじいです。
それを聞いた彼らは小松を見て「まずそのへんな髪型からなんとかしましょう」「まるでかぶりものみたーい」と好き放題言ったあとに髪を切るのですが、それがかなり変。
完成した髪型に絶望し、恨みのこもった目で睨みつけてくる小松に対し、オカマはこう言います。
「どんな姿でも気合いで『俺カッコいい』と思えば
女性には『カッコイイ』と思われるのです」
翌日、半信半疑のまま2時間かけてスタイリングした髪型で学校に行く小松。そこにサクラが「いいじゃんそれ!!」と声をかけてきてくれます。そして町でも初めての逆ナンにあうなど、確実に彼は進化しているのです!
男性向け恋愛漫画では弱気な主人公というのは珍しくありませんが、女性向けの恋愛漫画の相手役で自信のない人はほとんどいません。
そんな行動が許されるのは、ただしイケメンに限る、なんだろと思うことなかれ。男女問わず、ずっと自信満々な人を見ていると最初は半信半疑でも、本当にその自信に足りうる人だと思うようになってくるものではないでしょうか。
モテの第一歩はまず自信を持つことからなのです。
- 著者
- 安野 モヨコ
- 出版日
- 2001-04-27
ある日、なんと小松は噂になっているおしゃれな美容室に足を踏み入れます。眉毛は今まで通りエステでやってもらっているとはいえ、また一歩成長したと感慨に吹ける彼ですが、学校では女子達に笑われ、ひそひそ話をされてしまうのです。
訳が分からず、屋上でひとりたそがれにふける彼のもとへやってきたのはまたまたサクラ。彼女は小松に「あんたさ まゆ毛細すぎんだよね」とだけ言って去っていきます。
学校から帰ったそのままの足でメンズエステへ向かい、文句をつける小松にオカマはこう言います。
「やっと気付きましたか…
カッコよく美しい男になるためには流行にもビンカンでなければ ダメ
いいですか小松くんまわりを見るんです キミにはそれが足りない」
確かに街を歩いているとそんな人がいないことに気付く小松。そこから街で、クラスで、イケてる男子の様子を観察し、生の情報を手に入れていきます。
モテたいと言いつつ、自分の頭の中だけの論理や雑誌などの知識だけになってしまうというのはよくあることなのではないでしょうか。そこが間違った道へと暴走してしまうきっかけになってしまうのです。
まずは周りのカッコイイ男子を研究する。これがさらなるモテへの歩みとなるのです。
小松は、「買い物の仕方を教えてあげましょう」と言うオカマに、クールなセレクトショップに連れていかれます。
オカマがチョイスしたのは5万円のパンツ。5万ちょっとしか持ち合わせがない小松は「ズボンいっこしか買えないじゃないスか」と言いますが、オカマは「ズボンいっこありゃ上等でしょ」と言います。
次にオカマに連れて行かれたのは量販店。そこでは、1枚500円のTシャツを買うよう言われます。オカマは言います。
「Tシャツはなんでもいいの!!
なぜならパンツが超上等だから」
(『花とみつばち』1巻より引用)
そこそこのもので全身揃えるより、どれかワンアイテムでも高いものを買うのがおしゃれ。大切なのは上等なものを選んだという自分の心。それが自信につながるのです。
借金を返すために肉体労働をすることになった小松は、現場で地味なおじさん小橋と出会います。
40代で一見冴えないおじさんにしか見えない小橋ですが、なぜか若い女性にモテるのです。
「モテ学を伝授してください」と頭を下げる小松に、小橋は語ります。
「用事をやってあげたりとかですね……
逆に何かを頼んだりして関係を作って
生活の中に自然に存在していくんです
そして…何かあったら助けてあげて大切にしてあげる」
(『花とみつばち』4巻より引用)
そうやって女性にとってなくてはならない存在になるのがモテる秘訣だと、モテ神様小橋は語るのです。
- 著者
- 安野 モヨコ
- 出版日
- 2002-04-03
工事現場で出会ったモテ男の教えにより、自分の素直な気持ちを口に出すようになった小松。そこから彼を見直す人物が増え、何とサクラをデートに誘うことができます。
よくやったぞ小松!しかしそこはやっぱりどうしようもない童貞思考の彼。メンズエステの美人姉妹を訪ね、いきなりこう言います。
「すいません!! クリトリスの場所を教えてください
デートなんです」(『花とみつばち』5巻より引用)
展開はぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!
いい雰囲気になったのにも気づいていないのに、デートに誘えただけでなぜ初日でヤレると思ったのでしょうか。やべぇよ小松、素直になるとこ間違えてるよ。
しかしまぐれか才能か、小松は様々な誠意溢れる行動でサクラの心をときめかせていきます。しかしその誠意がまさかの方向にいってしまうのです……。
素直も良いところと悪いところがある。しかしとりあえず素直であればそれで結構女子はきゅんとさせられる、そんなことがわかるエピソードです。
しかしここから小松はさらに恋愛の深みにハマっていき……。
- 著者
- 安野 モヨコ
- 出版日
- 2003-03-04
結局付き合うことになったものの、ふたりでいても辛いことばかりで空回りしてしまう小松とサクラ。それぞれ小松は美貴をついつい世話を焼いてしまい、サクラは遠藤とよりを戻そうとします。
嫌いで別れた訳ではないからこそ辛いのに、小松はさらにあっさりとそれを承諾したサクラにも傷ついていました。しかしそれはサクラも同じことで、自分の決意を彼に変えて欲しかったのです。
それぞれがお互い別の場所で別の人と過ごしますが、そこでやっと何か違う、ということに気づきます。そして小松はサクラに電話をかけるのですが、サクラは出ません。
そしてその運命の日から、半年経ちました。
何もないままその月日が流れてしまったのですが……。
最終回の結末はぜひご自身の目でお確かめください。それぞれ別の人と過ごす日々の様子は胸が痛みますが、たまたま出くわした美人姉妹に言われたことがすべてを物語っているでしょう。
「いんやスゴイ
同時に2人の女と『ふった』『ふられた』とまで言えるカンケーを
お前が築けるとは!!
成長したじゃん」(『花とみつばち』7巻より引用)
ちょっとジーンとしますね。そもそも恋愛といっても相手ありきのことで、普通の人間関係とは変わらずに相手にぶつかり、自分の気持ちを正直に伝えることが重要なのでしょう。ありきたりで基本的なことかも知れませんが、なかなか難しいことでもあるのではないでしょうか。
まぁもちろんこのあと姉妹は「ここが人生のピークかもね」という余計な一言も付け加えるのですが。
果たして小松はサクラとどう向き合ったのでしょうか?
- 著者
- 安野 モヨコ
- 出版日
- 2003-11-05
このあと小松はいまいち外れた歩みを見せることもあるものの、確実にモテ街道を進んでいきます。女子とイイ雰囲気になったり、更にはホテルに行ったりと初期では考えられなかった展開に。
リアルに役立つ知識がいっぱいの本作であなたもモテてみませんか?小松ができたのだから自分にもできるはずと勇気付けられる作品です!