「わかったさん」シリーズは楽しく読める児童書!おすすめ5選

更新:2017.6.11

「わかったさん」シリーズは、クリーニング店の娘・わかったさんが不思議なファンタジー世界に迷いこみ、冒険のなかでお菓子づくりをしていく物語。奇想天外なストーリーにぐいぐい引き込まれ、お菓子の香りに包まれることうけあいです!

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わかったんさんの1作目。ファンタジー世界でお菓子作り!

わかったさんはクリーニング店の娘さんです。両親を手伝って洗濯物を配達するのが彼女の仕事。なにを言われても「わかったわかった」と答えるのが口癖なので「わかったさん」と呼ばれているのです。

いつものように小さなワゴン車で配達にでかけ、お店に戻ると、洗濯物の中からカギが一つ落ちてきます。お客さんのものかしら?と心当たりのマンションに返しに行くところから、不思議な物語が始まります。

著者
寺村 輝夫
出版日
1987-12-01

「わかったさん」シリーズ第1作はクッキーをめぐるお話です。クッキーといえば初めてのお菓子づくりの定番。ところがこのお話で作られるのは、多くの方が思い浮かべる型抜きクッキーではなく、ロッククッキーといって、スプーンで落として焼く初心者にはなかなか難易度の高そうなお菓子……。でもご安心ください!わかったさんと一緒に冒険すれば、お菓子づくりの「カギ」を手に入れていくことができるのです。

マンションには不思議な住人たちが行き交い、エレベーターは300階につながり、無事にクッキーができあがるのかすら心配なところですが、実践しているレシピはリアルかつ正確。わかったさんは歌ったり踊ったりしながら「カギ」をマスターしてゆくのです。甘く香ばしい焼き菓子の香りを想像しながら読み終えると、巻末には詳細なレシピのおまけもついています。

奇想天外な物語とロマンティックな絵のコンビネーションが絶妙な「わかったさん」シリーズ。昭和から平成に変わるころの女の子らしいファッションが楽しめるのも魅力のひとつです。

今度のわかったさんレシピは、爽やかレモン風味のドーナツ

今日はクリーニング店の定休日。両親は出かけ、わかったさんはお留守番です。のんびりしていたところに一人の少女がやってきて、真っ白なブラウスの洗濯を頼んで消えてしまいます。ペットのダックスフント・ポレといっしょに店をとびだし少女を追いかけたら、そこは見知らぬ公園……?!

レモンドーナツ・シンフォニーに招待されたわかったさんが、フルーツの森の迷路をくぐりぬけながら、演奏会へとむかう物語です。

著者
寺村 輝夫
出版日
1988-05-01

今回わかったさんが迷い込んだ世界は、オレンジ色の公園、砂糖の砂場、レモンの扉……と、甘酸っぱい香りが漂ってくるようなものがつぎつぎ描かれて、見ているだけでうっとりしてきます。「不思議の国のアリス」を連想させるようなファッションや景色にも、女の子は心をつかまれることでしょう。おとものダックスフント・ポレも、そのキュートな存在感がアクセントになって、ファンタジー感を高めてくれます。

女の子らしいロマンティックな雰囲気の一方で、わかったさんのマイペースに突き進む性格が前面に出ている物語でもあります。このコントラストの愉快さが本シリーズの大きな魅力のひとつなのです。

それにしても今回挑戦するのはただのドーナツではなく、爽やかに果汁の香るレモンドーナツ、しかも三つ編みにしたツイストドーナツです。無性に食べたくなる人、作りたくなる人続出で、どこの図書館蔵書も巻末レシピページがボロボロなのも納得するでしょう。

アップルパイ作り、リンゴもぎから頑張ります!

いつものようにクリーニング品の配達に出かけたわかったさんですが、ワゴン車が踏切でエンジントラブルを起こして止まってしまいます。どうしたものかと困っている彼女の前に現れたのは、洋服を着たうさぎ?!

うさぎはわかったさんを助けると、リスのナガオさんの結婚式のためにアップルパイを焼くようにと彼女に頼むのです。クマのクマノさんに教わりながら、パイづくりに奮闘します。真っ赤なリンゴ色のワンピースに身を包んだ彼女が、木からリンゴをもぎとる作業から頑張るのです。
 

著者
寺村 輝夫
出版日
1988-11-01

パイづくりは手間が掛かり、初心者には敷居が高いもの。あまり無理はせず冷凍パイシートという便利なものを利用して、焼きたてを身近に楽しむ、というのがバランスのとれた考え方かもしれません。

しかしわかったさんは違います。クマのおくさんの指導のもと、真っ赤に実ったリンゴを木からもぐところから頑張るのです。難関のパイ生地は、なんと雷様がこねています。雷様の「のすのす のばす きゅう きっき」という職人気質な擬音がたまりません。

シリーズの中でも奇想天外さが際立つ作品ですが、物語のオチが秀逸です。表紙でわかったさんがウェディングドレスを着ている理由がわかることでしょう。メルヘンたっぷりの絵と絶妙なストーリー展開をぜひお楽しみください。

わかったさんがギャングに誘拐される!?

ジュースを買おうとしていたわかったさんが、突然背後からピストルを突きつけられるところから物語は始まります。脅してきたのは子どもギャングのババロア。強気に対抗する彼女ですが、コンペイトウの弾で撃たれて誘拐されてしまいます。ババロアは彼女に、深い森の中にある魔女の家へ行ってプリンの作り方を教わってこいと言うのです。

牛乳の川をこえ、お砂糖の滝を通り、やっと見つけた卵からは牝鶏が生まれ……。はたしてわかったさんは、無事にプリンを作ることができるのでしょうか?

著者
寺村 輝夫
出版日
1989-11-01

背後からギャングがあらわれ、発砲された末に誘拐され、手錠までかけられて……、ピンク色のファンシーな表紙とタイトルからはまったく想像もつかない、ハードボイルドな展開で物語が幕開けです。しかしわかったさんワールドをご存知の方なら、待ってました!とにんまり笑顔になってしまう嬉しい展開でしょう。

そして今回彼女が作るのは、シリーズのなかでも最も作りやすいと評判のプリン。材料も行程もシンプルなので、お菓子作り初心者や男の子にも挑戦しやすいレシピでしょう。

「わかったさん」シリーズは一作ごとに完結するのでどの作品から読んでも楽しめますが、読むだけでなくお菓子作りもしたい!という方には、本作から始めるのがおすすめです。ハードボイルド風味なお話と、ソフトでなめらかな甘いプリンを、ぜひお楽しみください。

いろいろな童話をくるくる巻き込んだ一冊

ある雨の日、クリーニング配達に出かけたわかったさんは、ケーキ屋さんがいつのまにかアラビア風の寺院になっていることに気づきます。出てきた男の人から配達を頼まれるのですが、なんとそれは魔法のじゅうたん。空飛ぶじゅうたんに乗って彼女がやってきたのは、いつかどこかで見たような不思議なおとぎの世界でした。

アラビアンナイト、白雪姫、赤ずきん、シンデレラ――だれもが一度は聞いたことのある物語が絶妙に入り混じった世界で、わかったさんが7人のこびとといっしょにクレープを作るお話です。
 

著者
寺村 輝夫
出版日
1991-05-01

毎回不思議な大冒険とお菓子作りをするわかったさんですが、始まりはいつも仕事中です。家業のクリーニング店の配達という、メルヘンとは縁もゆかりもなさそうな時空間から、一瞬にしてファンタジー世界へとトリップするわかったさん。出発点がじつに現実的かつ庶民的だからこそ、物語の面白味が何倍にも膨らむのでしょう。

それにしても本作はじつに豪華。クリーニング店の娘さんが、つぎつぎと童話世界の名だたる主人公になってゆくのです。色鮮やかで可愛らしい絵と合間って、心をつかまれない女の子はいないでしょう。本作は、シリーズのなかでも女心がくすぐられる度合いの高い作品です。

「わかったさん」シリーズは、1作ごとに完結するのでどの作品から読んでも楽しめます。奇想天外な物語と、ビビットで可愛らしい絵と、実践的で丁寧なレシピが三位一体となった、笑顔になれることうけあいのお話ばかりですよ。

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