2017年ドラマ化されるグルメ漫画『さぼリーマン飴谷甘太朗』。真面目そうなイケメンサラリーマンがスイーツでカオスな世界にトリップするというやばい勢いがある作品です。今回は実在の名店とともに本作の魅力をご紹介します。
- 著者
- アビディ 井上
- 出版日
- 2015-09-23
とにかくカオスなスイーツ漫画として有名な『さぼリーマン飴谷甘太朗』。シュールレアリスムの世界や哲学者などを美味しさのバロメーターとして引き合いにだすちょっとハイソな雰囲気ですが、不思議とその敷居の高い独特の雰囲気が笑える作品です。
主人公でイケメンリーマンの飴谷甘太朗の趣味は食べ歩き。真面目そうなイメージとは裏腹にスイーツが大好きです。彼は仕事を効率的に終わらせることでサボり時間を捻出し、様々な実在の名店を尋ねます。
甘太朗のスイーツにかける情熱は強く、そのためだけに仕事を終わらせようと全力です。彼が仕事を終わらせた時の爽快な表情を見ていると、明日も仕事頑張ろうと思えるような前向きな気持ちが生まれてきます。
何も考えずに笑えて、いいお店を知れて、とゆるく楽しめることのできる作品です。
本作の最大の見せ場はスイーツを食べた時の幸福感の表現方法。そのシーンは深いような深くないような世界観の広がりを見せ、読むものの脳裏に焼きつきます。
出典:『さぼリーマン飴谷甘太朗』1巻
いい歳した男の潤んだ瞳など見たくもないですが、それよりもツッコミどころが多いコマです。しかしツッコむ暇もないほど完成された世界観に読者はただ息を呑むしかありません。出てくる言葉はこれだけ、「何だこれ」……。
グルメ漫画ブームで様々な美味しさを表現する方法が編み出されてきましたが、ここまで芸術的なものはかつてなかったのではないでしょうか。ザ・カオスです。
出典:『さぼリーマン飴谷甘太朗』1巻
また本作は実在の名店を紹介していることも魅力的。記念すべき第1話で甘太朗が足を運んだのが人形町にある甘味処・初音。おしるこが名物のお店です。
実は上記のシュールレアリスムな世界観で表現されていたのはおしるこの美味しさ。むしろ芸術的なコマでない時の方がおしるこの湯気に漂う甘い香りやとろ甘な食感が想像できるかと思うのですが、甘太朗の世界ではそんな表現方法では俗物的なのでしょう。
- 著者
- アビディ 井上
- 出版日
- 2016-04-22
実在のお店の名物を独特の表現方法で紹介するグルメ漫画『さぼリーマン飴谷甘太朗』。それらのお店は口コミでも評判の名店ばかりなので、彼ほどではないにしても食べると美味しさで脳内トリップできることでしょう。
この本片手に甘味処巡りをすれば、彼の美的な食センスに近づけるかもしれません。ぜひカオスで甘い世界に浸ってみてください!