『異世界食堂』の魅力を全巻ネタバレ紹介!2017年アニメ化!

更新:2021.12.21

とある普通の洋食屋の秘密、それは土曜日だけ異世界と繋がること。軽やかに鳴るドアベルに集うは、エルフに小人にドラゴン。争いはご法度、美味しいは幸せ。ダイエット中は閲読厳禁?垂涎必至のグルメ小説『異世界食堂』を、アニメ化に合わせてご紹介します! ちなみにスマホアプリでは漫画作品を無料で読むこともできますので、気になった方はそちらもどうぞ!

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グルメ×ファンタジー=『異世界食堂』が2017年アニメ化?漫画作品が無料で読める!

ああ、またグルメものか……と思ったそこのあなた。それは一部正しく、一部間違いです。なぜならこの小説の舞台は「異世界」の食堂。すなわち、食事をするのは「異世界」の人(や人でないもの)。様々な種族のキャラクター目線で味わえる、一味もふた味も違うライトノベルなのです。

店の名は「洋食のねこや」。雑居ビルの地下一階にある、五十年ほど続く洋食屋です。今の店主は二代目。裸一貫で店を開いたおじいさんのお店を、メニューを改良しつつ一人で切り盛りしています。

そんな、ぱっと見は普通の、近所のサラリーマンにも人気の老舗洋食屋は土曜と日曜が定休日です。いや、定休日、ということになっています。なぜなら「特別営業」をするから。毎週土曜日、異世界と繋がった黒い扉を開けて洋食屋へ訪れるのは、傷ついた冒険者や病を患う帝国の皇女、甘い物好きな小人たちに、果てはドラゴンと、身分も種族も様々なお客様です。

メンチカツのサクッという音、肉汁の溢れるビフテキ、雪雲のように冷たく儚いチョコレートパフェ。五感に訴える描写は、時に異世界人の感覚と混ざり合い、まるで初めて知るメニューのように感じさせるのも魅力の一つ。『異世界食堂』はそんな美味しいメニューと共に「特別」なドラマが短話集として詰まっています。

チリンチリン、という扉の音が始まりの合図。お腹は減るけど心は満たされる、そんな不思議な読後感に病みつきになること請け負いです。

ちなみに漫画作品が無料で読めるので、気になった方はそちらもどうぞ。

著者
["犬塚惇平", "九月タカアキ"]
出版日
2017-06-24
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これは、夢?『異世界食堂』第1巻をネタバレ紹介!

「負けて屍を晒すなら、所詮そこまでだったってことで……」

第一話のお客様はトレジャーハンターのサラ。若くして死地に挑むこともいとわない彼女が廃鉱の最深部で見つけたのは、黒い扉でした。

著者
犬塚 惇平
出版日
2015-02-28

扉を開けた瞬間、チリンチリンと鳴る鈴に、反射的にダガーを抜いたサラを迎えたのは中年の男。

「いらっしゃい」

どんな来客も平等に迎える店主の姿に、サラも警戒しつつ武器をおさめます。彼女が選んだのはメンチカツ定食。サクリ、じゅわり。口に広がる肉汁に絶妙な塩胡椒、言葉を失い黙々と食べ進めたサラはこの日から異世界食堂の常連となります。彼女の好物となったメンチカツ。それは奇しくも、五年前に死んだ伝説のトレジャーハンターの好物でした。

異世界食堂の常連客は多くいますが、彼らが名前で呼び合うことはほぼありません。そのかわり、彼らは好物の名前でお互いを呼び合います。

メンチカツ二世に、テリヤキチキン、カレーライス、オムライス……そんな常連たちに、初めての訪問者。彼らの共通ルールは、この美味しい場所の出入り禁止にならないようにすること。つまり喧嘩はご法度です。暗黙の了解であるそのルールのおかげで、今日も異世界からの来客たちは和やかに食事を進めていきます。

一巻の最後の最後、書籍限定特別編は「豚の角煮」。通常営業でも人気を博すことになるこのメニュー、ネット小説ですでに『異世界食堂』を知っていた方にこそおすすめしたい、第1巻ラストと第2巻への伏線をはらんだお話です。

店主も一人じゃ限界?『異世界食堂』第2巻をネタバレ紹介!

「ウチで働いてみないか?」

店主が告げたその相手は、赤みがかった濃い金髪をもつ顔立ちの整った少女。こめかみに小さく生える山羊のような角を隠しながら生きる少女は、異世界で迫害される魔族でした。

異世界食堂に初の従業員、美少女ウェイトレスが登場です。

著者
犬塚 惇平
出版日
2015-07-29

第2巻の表紙は冒頭の迷える子山羊もとい魔族のアレッタ。多くは語らない店主の代わりに、可愛らしく賑やかに、ときに店主の言葉を代弁して盛り上げます。

第1巻登場のキャラクターが引き続き常連として登場しつつも、新しいキャラクターが現れ、空腹を満たしていきます。しかし、食べれば食べるほど空腹を覚えてしまうのが異世界食堂。今日も「お代わり!」が飛び交います。

誰にも教えたくない、でもこの味を誰にも知らせずにいるのももったいない。そんな常連たちが信頼できる人を連れてきたり、仲間や家族で舌鼓を打ったりと、誰かと一緒に食事をすることって素敵だなあと思わせる話が盛りだくさんです。

特に今回のおすすめは家族で食べる日替わり定食の話とチャーハンの話。もう、とにかく美味しそうなんです。フォークを刺す時の音、香り立つ玉ねぎなどの香草類、そしてしみわたる旨み。言葉一つ、擬音語一つ、どれを取り出しても目の前に料理があるようで、ふと本から視線を上げた時、そこが食堂でないことに驚いてしまうほど。近くに洋食屋さんってあったかなあ、と思わずネット検索してしまいたくなります。

そして、異世界食堂が通常営業を行う「こちら側」の世界で店主を支える店舗の登場。「こちら側」があってこそ異世界食堂が存在することを感じさせるストーリーとなっています。特別営業の常連の関係性の情報も色々出てきました。絶対に読み飛ばせません。

ドラゴンを雇う?『異世界食堂』第3巻をネタバレ紹介!

着々と登場人物の増える『異世界食堂』。そろそろお腹いっぱい……と思いきや。ここにきて、まさかの事実が発覚します。

異世界食堂はなぜ、異世界と繋がることとなったのか。

魔王と人間の恋。

新たに増えた、気配のないウェイトレス。

一つ謎が解ければ、また一つ謎が生まれる。加速度的に深まる世界観に魅了されるのが『異世界食堂』第3巻です。

著者
犬塚 惇平
出版日
2016-09-30

まず、第3巻の見どころはなんといってもこの新しいウェイトレス。エルフの姿をした彼女の正体は実はドラゴン。黒と呼ばれる彼女は悠久の時を経て生きる神とも呼ばれる存在です。そして彼女は第1巻に登場するドラゴン、赤の女王の旧知の友でもあります。

ただの店主が異世界の、しかも架空の存在であるはずのドラゴンを雇用する。ファンタジーな世界観と現実を行き来するこの『異世界食堂』だからこそ感じる違和感はこの小説の重要なキーポイントとなります。

また、ネット小説版では赤の女王が黒の食事代を全額負担するという設定でしたが、書籍版ではチキンカレーの虜となった黒が自分で食事代を稼ぐためにウェイトレスをするという設定となっています。これによりネット小説版と話の動きが変わります。黒がアニメ化にあたって大きく活躍することになるのはほぼ自明と言っていいでしょう。

そんな黒はただのウェイトレスではなく、ウェイトレス兼用心棒として雇われていることから、今後ねこやに事件が起こることを予感させます。加えて、黒の隠密能力を駆使した配膳にもご注目。

さて、そんな第3巻、これまでと異なり、店主の人となりや先代の店主の情報も明かされてきました。魔王の血を引く者の意味とは。中年男性である店主はなぜ独身なのか。店主が大学を出てすぐから先代の切り盛りするねこやを手伝っていたのはなぜなのか。なぜ、店主の父親ではなく店主が店を継ぐこととなったのか。次巻が気になる一冊となっています。
 

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著者
["犬塚惇平", "九月タカアキ"]
出版日
2017-06-24
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