絵本/児童書

浜田広介が描いたおすすめ作品5選!『泣いた赤鬼』で知られる童話作家

更新:2017.6.21 作成:2017.6.21

浜田広介は坪田譲治、小川未明と共に児童文学界の三種の神器と呼ばれる童話作家です。「ひろすけ童話」とも呼ばれる作品は、教科書や絵本でも多く親しまれています。今回は浜田広介の人となりと共に、絵本などで特に親しまれている5作品をご紹介しましょう。

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優しく素朴な語り口の"ひろすけ童話"を生んだ浜田広介

浜田広介は坪田譲治、小川未明と共に児童文学界の三種の神器と呼ばれる、日本を代表する童話作家です。「人間を本質的に善なるものととらえること、子どもにとって糧になるものが大人にとっても意味のあるものになる」(『むく鳥のゆめ』裏表紙より引用)という信念に基づいた浜田広介の童話は、優しく素朴な語り口が特徴となります。

1893年、山形県の農家に生まれた彼は、早稲田大学英文学科入学と同時に小説で入選を果たすなど作家としての才能を開花させます。そして、大阪朝日新聞の懸賞新作お伽話一等に入選したのを機に童話作家としての道を歩み始めたのです。

浜田広介が描いた数々の良質な童話は「ひろすけ童話」とも呼ばれ、小学校低学年向きに教科書や絵本などでも未だに読み継がれています。

優しい鬼の友情を描いた、浜田廣介の代表作『ないた あかおに』

ある山に心優しい赤鬼が住んでいました。赤鬼の願いは人間たちと仲良く暮らしていくこと。その実現のため、家の前に「どなたでもおいでください」という看板を掲げますが、木こりたちには気味が悪いと逃げられる始末。

悔しくてたまらない赤鬼のもとに、仲良しの青鬼がやってきます。赤鬼の思いを知った優しい青鬼は、自分が悪者になって赤鬼を人間たちのヒーローにする作戦を提案して……。
著者
浜田 廣介
出版日
1965-12-10
見た目によらず心優しい赤鬼と青鬼の友情を描いた童話です。

優しい心の持ち主であるが故に人間とも仲良く暮らしていきたい赤鬼。一方、大切な友達である赤鬼のために自らが悪者になって身を引く覚悟の青鬼。赤鬼は人間との友情を手に入れる代わりに、大切な青鬼のいる暮らしを失います。欲しかったものが手に入った代わりに大切なものを失った赤鬼の心情を思うと、いたたまれない気持ちになるでしょう。

人は見た目で判断してはいけない、とよく言われますが、相手の心を見透かすことはできないため、どうしても見た目で判断してしまうことも事実。もし人間たちが赤鬼の優しさに素直に気づいていたら……と考えさせられるでしょう。

憎まれた竜と不思議な少年の絆を描いた、浜田広介の絵本『りゅうの めの なみだ』

伝説の生き物りゅうと不思議な少年の心の交流を描いた絵本童話です。

ある国に「子どもが悪いことをすると山に隠れている恐ろしいりゅうがやってきて、子供たちを丸呑みする」という言い伝えがありました。しかし、りゅうの話を怖がるどころか聞きたがる不思議な少年が1人。

誕生日が近づいたある日、不思議な少年はお祝いに山のりゅうを呼んでほしいと母親に頼みます。悪ふざけだと怒られた少年は、りゅうに会うために自ら山に向かってしまい……。
著者
浜田 広介
出版日
1965-11-01
この童話に登場する"りゅう"という生き物は人間の空想が生み出した、大きくて強い生き物。この物語に登場する不思議な少年の国では、凶暴で憎むべき相手と捉えられています。

一方で主人公の少年は、りゅうに対して憎むどころか同情の優しい心を寄せます。りゅうはその少年の思いに直に触れて、目から美しい涙を川ができるくらいたくさん流すのです。周りの意見に流されず、自分がりゅうに対して抱いた感情を信じ、りゅうに伝えに行った少年の勇気。そしてその少年の思いを全力で受け止め、少年のために形を変えるりゅうの相手を思いやる優しい心には感動させられるでしょう。

自分が相手を思い、その思いを受けてさらに相手のことを思いやる相互の信頼関係の大切さ、そして絆の強さが学べる1冊です。

母を待つむく鳥の子の心情を描く『むく鳥のゆめ』

とあるむく鳥親子の秋から冬にかけてを描いた童話です。

栗の木のほらに住むむく鳥の父と子。ある日、むく鳥の子は自分に母さん鳥がいないということに気が付きます。遠いところに出かけたと教えられていたのですが、実は母さん鳥はすでにこの世にいなかったのです。

来る日も来る日も母さん鳥を待ち続けるむく鳥の子。冬の朝、むく鳥の子はたった1枚きりの薄い葉を見つけます。その薄い葉が気になってたまらないむく鳥の子は……。
著者
浜田 広介
出版日
むく鳥の子がもっと小さなころ、父さん鳥は母さん鳥に関して嘘をついてしまったようです。亡くなってしまったと言えず、遠くに言っていることにした父さん鳥の気持ちを思うといたたまれなくなるでしょう。

一方、そんな父さん鳥のおかげですくすくと成長したむく鳥の子は、父さん鳥の嘘に関して疑問を抱き始めます。立派な成長の証ですから喜ばしいことではありますが、母さん鳥とはもう会えないことにいつ気づくのだろうかと読んでいて胸が痛くなることでしょう。

そんな時、むく鳥の子は木に残った最後の一枚の葉に何か特別なものを感じ始めます。一枚の葉を通して母さん鳥を感じたむく鳥の子は、きっと立派なむく鳥として旅立って行くことでしょう。

短い物語の中で父と子の絆、子どもの成長、そしてファンタジーが存分に味わえる1冊です。

星になりたい街灯の物語『ひとつのねがい』

町はずれの人の来ない場所に設置された古い街灯。街灯の願いは星のようになること。

「一生に、たった一どだけでいい、星のようなあかりくらいになってみたい」(『ひとつのねがい』本文から引用)

「星みたい」と言われることを願って、コガネムシや蛾にも自分がどんな様子か尋ねますがバカにされ、恥ずかしい思いをしてばかり。

さて、古くやせ細った街灯は倒れるまでに願いを叶えることが出来るのでしょうか。
著者
はまだ ひろすけ
出版日
2013-11-20
街灯の明るさを気にしたことがありますか?この物語の主人公はさびれた街灯です。街灯は星のようになりたい、明るいと言われたいという願いを持っています。

空に光る星を羨ましがり、近寄ってくる虫に自分の明るさを尋ねる街灯の姿は少し滑稽にも思えます。なぜなら、星ほどの明るさはありませんが街灯は自分の任務をしっかり遂行し、長年立派に人々を明るく照らしてきたのですから。全くの"ないものねだり"です。

一方で、古く弱っている街灯の願いは実はとても切ないものでもあります。「明るくなりたい」という願いの根底にあるのは「人々の役に立ちたい」という願いなのでした。

街灯の願いは叶ったのか……ぜひ、読んで確かめてみてくださいね。

内面の光輝く美しさを描く『光の星』

天の川のほとり近くに産まれた三つ子の星のファンタジー童話です。

同じ月、同じ日、同じ時分に産まれた3つの星。1つ目は赤、2つ目は青、3つ目は色もないような小さくて弱い星でした。

3つの星は毎日、夕方になると天の川の水を汲みに出かけます。ある日、いつものように水を汲みに行くと泥にまみれたかささぎが倒れていました。自分の汲んだ水を犠牲にしてかささぎを助ける3つ目の星。その時、3つ目の星に奇跡が起こります。
著者
浜田 広介
出版日
三つ子の星のうち2つの星は美しい見た目を持っています。一方、3つ目の星は小さく弱い光しか持っていません。しかし3つ目の星には他の2つの星にない優しい心を持っています。

可哀想だけど仕方がないから、と明日のための大切な天の川の水を使うことなく立ち去る2つの美しい星の選択は決して間違ってはいません。しかし自分の大切な水を差しだしてでも相手を助ける、という3つ目の星の内面の美しさは、助けたかささぎの力で外見の美しさとして滲み出て来ることとなります。

重要なことは外見でなく内面であるということを、ファンタジーの世界にどっぷりと浸かりながら学べる1冊です。

夜空に天の川を見つけたらぜひ、本作に登場する3つ目のような星を探してみてくださいね。

純朴で優しい浜田広介の童話絵本を5冊ご紹介しました。いかがでしたか?「ひろすけ童話」は鬼や竜など想像上の生き物や街灯や星などの物をファンタジックに利用して、思いやりのある優しい心の大切さを分かりやすく訴えかけています。小学校低学年にも読みやすい優しい文章で構成されていますので、絵を見ながらじっくりとファンタジーの世界に入り込むこともおすすめです。ぜひ気になる1冊から手に取ってみてくださいね。