BL作品を多数発表している高永ひなこ。大人気の「恋する暴君」シリーズはもちろん、かわいい高永ワールドを味わえる魅力的な5作品をご紹介します!
1995年のデビュー以来、数多くのBL作品を発表してきた高永ひなこ。デビューから20年以上たっても、商業誌だけでなく同人活動もしており、また小説の挿絵も多く描いています。 ソフトタッチの絵とほんわかとしたストーリー構成が特徴で、BL初心者の方にもおすすめです。
初のコミック作品の『合格祈願』はシリーズ化され『チャレンジャーズ』として全4巻発売されました。また同作品の連載中に番外編として発表された『恋する暴君』は、本家を凌ぐ人気となっています。数多くの作品を発表している高永ひなこのおすすめ作品を、大人気の『恋する暴君』を含めて5つご紹介します。
中学3年生の主人公小島裕貴は、同じクラスになった仲原篤志のことが気になります。いつも1人で悲しそうな顔をしている仲原の笑った顔が見たい、という漠然とした思いのみで話しかけ、近づいていくのです。
そんな小島と仲良くなる気のない仲原でしたが、修学旅行で迷子になったことをきっかけに、2人は少しずつ近づいていきます。
- 著者
- 高永 ひなこ
- 出版日
- 2004-01-08
話が進むにつれて徐々に明らかになってくる仲原の家庭環境と、天真爛漫な小島によって仲原の気持ちがほぐれていく様子に引き込まれます。少しずつ変わっていく仲原の表情に注目です。
話の軸だけみると一見暗くなりがちなストーリーのように思えますが、コメディタッチで思わずクスッと笑ってしまうところも満載。中学3年生という微妙な時期に、少しずつ進んでいく2人の関係と、仲原が下す決断に、最後まで一気読みしてしまう作品です。
「恋にも賞味期限ってあると思います?」(『恋する暴君』より引用)
大学修士課程1年生の森永哲博は、同じ大学の博士課程でホモ大嫌いな先輩の巽宗一に、片思いをして5年目になろうとしているところ。そんなある日、森永の友達がくれた媚薬を、手違いで巽が飲んでしまうことで、関係が大きく揺れていきます。
自信のない後輩と乱暴者の先輩の、3歩進んで2歩下がる関係が魅力的な作品です。
- 著者
- 高永 ひなこ
- 出版日
- 0005-02-10
当初は『チャレンジャーズ』の番外編として掲載されましたが、大人気となり連載となった作品です。
男の教授に襲われ、さらに弟に彼氏ができることによりホモ嫌いになった巽に、健気に片思いを続ける森永の姿は、思わず応援したくなってしまいます。普段は自信がなく弱気な後輩森永の、スイッチが入ったときの弱気攻めと、口をつく言葉とは裏腹な先輩巽の強気受けのかわいさがたまりません。
体の関係はあるものの、森永との関係を恋人とは認められない巽の心の動きに引き込まれます。また、森永の家族との確執や、巽家の環境など見どころも満載です。
この作品のパラレル番外編として、『ある日、森の中。』が発表されています。ケモミミワールドの萌え作品ですので、合わせて読んでみてはいかがでしょうか。
感情が全く顔に出ないタイプの高校生、遠野智が、ずっと片思いしていた田宮啓吾から告白されるところから物語がはじまります。
オッケーはしたけれど、顔には出ないし話をするのも得意じゃない遠野と、まっすぐな田宮が、少しすれ違いながらも関係を築いていくストーリーです。2人の甘酸っぱい恋が、遠野の心の声と心の表情とともに、コミカルに描かれています。
- 著者
- 高永 ひなこ
- 出版日
- 2006-08-10
本作の魅力は、とにかくかわいい遠野の心の声と心の表情です。無表情の見た目とは違って、心のなかでは感情があふれてる姿に思わずきゅんとしてしまいます。
2・3話ずつ話が完結していくスタイルなので、途中から読んでも十分楽しめ、遠野の幼馴染のお兄ちゃんのゆうちゃんと生徒会長の話や、予備校の先輩の話など、別カップルの話もあります。癒されたい時に、ぜひ読んでいただきたい作品です。
退職した教師の代わりに、私立高校に赴任した望月春。着任の朝、弓道場できれいな所作で弓を打つ生徒を見つけます。その生徒は、かつて好きだった親友、主藤礼一郎の弟、司だったのです。
弓が打てなくなって弓道をやめた春に対し、ずっと片思いをしていたと告白する司。しかし司は、春が兄の礼一郎のことを好きだったこともわかっていました。コメディ要素は少なく、2人の少し切ないラブストーリーです。
- 著者
- 高永 ひなこ
- 出版日
- 2006-09-29
男に欲情する自分に嫌悪して弓が打てなくなってしまった春に、まっすぐな気持ちでぶつかっていく司に切なくなります。迷いつつも司に惹かれていく春がソフトタッチの絵で表現され、重くなりすぎずに読みやすいです。
春と司の2人の恋を読み終わった後は、優しい気持ちになれること間違いなしの作品です。
また、この主題のコミックは1巻で完結していますが、「君恋」シリーズとして、礼一郎が主人公の『君が恋に溺れる』、礼一郎の会社の営業マン鬼島が主人公の『君が恋に乱れる』と派生しています。
仕事に煮詰まり休暇中だった脚本家の桜木圭吾が、旅の途中で自転車が故障して困っていた大学休暇中の今村敏喜を助け、一夜の体の関係を持ってしまいます。非現実的な一夜を忘れたい桜木は、連絡を取る手段を残さずに宿を去ります。ところが、桜木を好きになってしまった今村は、桜木の所属する劇団の公演に会いにいくのです。
タイトル通り、まさしくターニングポイントになった出会いから、2人の人生が動いていく様子が優しいタッチで描かれていて、読み応えのある作品となっています。
- 著者
- 高永ひなこ
- 出版日
- 2009-04-22
桜木と出会ったことにより、人生の指針が決まった今村の行動力には、目を見張るものがあります。正直にぶつかってくる今村に、大人としての戸惑いやプライドで素直になれない桜木。そんな桜木が少しずつほだされていく経過が、読んでいてたまらなくなります。
また俳優としても成長していく今村の、桜木ひと筋でぶれない姿は、読者に不思議と安心感を与えます。脚本家や俳優の世界も身近に感じることができ、BLというジャンルを忘れて楽しめる作品です。
少女漫画のようなソフトなタッチの絵とストーリーの高永ひなこ作品。BLというジャンルに興味のない方もある方も、ほんわかとした気持ちになって癒されるものばかりです。