お互いが少しずつ心を寄り添わせていく様子を見事に描き切っている濃密なストーリーが楽しめるBL作品に、あなたは出会ったことがありますか?今回おすすめするのは、読後の満足度が高いスカーレット・ベリ子の作品です。
数々の人気作を生み出しているスカーレット・ベリ子は『マンガ家と作るBLポーズ集』を手がけるなど、BL界ではとても有名な作家です。 そんな彼女が描く作品には、脚フェチや優男攻め、おっさん・ヤクザ受けなどの要素があり、それらが好きな人には堪らないものばかり。今回はそんなスカーレット・ベリ子の世界観をご紹介いたします。
稔は知る人ぞ知る人気の整体師。目立たない場所に店を構えているにも関わらず、客は後を絶ちません。そんな彼の施術は独特で、仕事内容は心身を癒すだけではなく、それ以上のことも行っています。初めは客も戸惑いますが、稔のテクニックに満足して、皆軽い足取りで帰っていくのでした。
上記の通り腕は確かで客前では常に笑顔を絶やさない稔ですが、たまにその表情が曇ることがあります。それには、過去の出来事が起因していました。
- 著者
- スカーレット・ベリ子
- 出版日
- 2015-07-30
そんなある日、稔が忘れられずにいた相手・壮太と再会を果たします。2人は学生時代にサッカー部に所属していて、稔がマネージャー、壮太が部員という関係性でした。
前半は稔の整体師としての仕事ぶりを堪能でき、後半は壮太と稔中心の、シリアスだけれど引き込まれるお話になっています。
本編の他にも描き下ろしと短編が載っている、とても満足度が高くて素敵な作品です。Renta!の2014年BLコミック部門年間ベストセラーランキングでは第1位を獲得した人気作『みのりの手』、是非多くの人に読んでもらいたいです。
ヤクザ組織・大和会の四代目と呼ばれている大和辰之。初恋に破れ気落ちしている彼は付き人から、修行の為に九州ブロックの長を務めるよう言われ福岡に飛びます。 四代目を継ぐ気のない辰之は、仕事そっちのけで、好きな人を忘れるために夜の街に繰り出し、ヤケ酒ののち酔いつぶれてしまいます。そしてその時彼に声をかけてきた人物が自分の想い人に見え、気を許してしまうのでした。
- 著者
- スカーレット・ベリ子
- 出版日
- 2015-07-30
翌日目を覚ますと、相手の家のベッドの上に裸で横になっていて、辰之は驚きます。次いで辰之は、自分の姿を見て嬉しそうに目を輝かせる彼・小鹿望にも動揺します。
深い傷となり自身を苦しめ続けている望の過去、幼い日の出来事がきっかけで自分には四代目が継げないと言う辰之。そんな2人がお互いどう生きて来たのかを知り、受け入れ、共に歩んでいこうとする物語です。
今作は『みのりの手』のスピンオフ作品なので、そちらを読んでからのほうがより楽しめます。また、『四代目・大和辰之』に登場する櫓木卯一の過去が『ジェラシー』で語られているので、気になる人は要チェックです!
その店が仕立てる服を着た人間は成功する、と評判の仕立て屋・SHIDA。噂を聞いて、そんなことが本当にあるのか、と信じられない気持ちで足を運んだ大海は、そこで顔に傷がある無表情な男・志田と出会います。彼が店の主だと判明し、大海はスーツをオーダーし、店に足を運ぶようになります。 そうして見えてきたのは、彼の仕事に対する情熱と、真摯な姿勢でした。
- 著者
- スカーレット・ベリ子
- 出版日
- 2016-01-30
そんな志田に惹かれた大海は、彼にアタックしつつ、行き詰まっていた仕事にもそれまで以上に精いっぱい取り組むようになります。はじめは傍若無人な振る舞いも見られた大海が、志田と出会い、様々な壁を乗り越えて人間的に成長していくお話です。
大海の頑張る姿も素敵ですが、大人の余裕がありつつも可愛い面もある志田もとても魅力的です!2人のキャラクター性に、読んでいて胸キュンすること間違いなしです。
怖い顔つきをして誤解を生んでしまうことが多いけど、実のところはとても優しくて真面目な男子高校生の啓介。そんな啓介は幼馴染の克己や親友の正行と、楽しくて、高校生らしい毎日を送っていました。 しかし、ちょっとしたことが原因で不可抗力的に啓介がパンストを学校に履いてきてしまい、それが正行にバレてしまいます。笑われると思いヤケになる啓介の予想とは裏腹に、なんと、正行はパンストを履いた啓介の脚に興味津々で……!?
- 著者
- スカーレット・ベリ子
- 出版日
- 2016-07-30
驚くべきことに正行はパンストを履いた脚が好きで、啓介のそれがまさに自分の理想ピッタリなんだと告げます。それから啓介はたびたび正行のためにパンストを身につけますが、自分の中に今まで無かった感情が芽生えているのに気付き、どうすればいいのか分からず悩むようになります。
メインCPの他にも交錯する2つの恋物語。よく啓介の相談に乗っている克己もその中の1人ですが、相手が保険医という立場なので悩みも多く、ジレンマを抱えたり、すれ違いが起きてしまったりするシーンはとても切ないです。
自分の気持ちが分からなかったり、分かってもそこからどうしたらいいのかと足踏みしてしまう……同性との恋愛は、異性との恋愛よりも悩みや迷いが多いものです。この作品ではそんな時に必ず誰かが気付いて、その人の背中を押し、後悔しないように言葉をかけています。それはどれも相手のことを想って言っているからこそ、読者の胸にも深く刻まれるのでしょう。
以上がスカーレット・ベリ子のおすすめ作品です。全て良い作品ばかりなので、ぜひぜひ手に取ってみてくださいね。