スペース・オペラで有名な高千穂遙のおすすめ作品5選です。宇宙を舞台にした壮大な作品から自転車にまつわる物語まで、幅広いジャンルです。
高千穂遙は1977年に『クラッシャージョウ 連帯惑星ピザンの危機』で作家デビューしました。スペースオペラ作品としては当時の日本初です。
広大な宇宙を舞台に、少年漫画的な冒険色の強いストーリーが特徴です。はっきりとした展開は子供でも読みやすく、読書初心者でも楽しめるように考えられています。
高千穂遙は多趣味でも知られており、SF以外にもいろんな題材の作品を発表しています。各作品に趣味の「熱」を感じる情熱的な小説家です。
2161年。恒星間飛行を可能にした人類は、数多くの星に植民して「銀河連合」を形成していました。そんな時代に「宇宙の何でも屋」として活躍するクラッシャーは、金次第でどんな仕事も引き受けると言われています。
中でもトップクラスの実力者であるジョウは王女アルフィンから依頼され、反乱の起こった連帯惑星ピザンの鎮圧へと向かうことになりました。
個性的なチームを連れた凄腕ジョウの活躍が楽しめる、シリーズ第1作です。
- 著者
- 高千穂 遙
- 出版日
第1巻である本作が発表されたのが1977年、最新作である『ガブリエルの猟犬』が発表されたのが2016年と、非常に息の長いシリーズです。本作はアニメ化され、映画にもなっています。
ストーリー自体はいたってシンプルです。偶然出会った王女様のために立ち上がるヒーロー、不時着してサバイバルをする展開、どれも今となっては新しいものではありません。
しかし、これをスペースオペラとして当時の日本で最初に作ったというところに凄さがあります。懐かしさを感じる名作です。
銀河連合が設置した専門機関・WWWAに所属する犯罪トラブルコンサルタントであるケイとユリは、惑星ダングルに派遣されます。任務はグラバース重工業で発生した原因不明の爆発を調査すること。
本来、ボーイッシュでさっぱりした性格のケイと女らしい美人のユリのコンビのコードネームは「ラブリーエンゼル」ですが、人々からは「ダーティペア」と呼ばれています。
原因はその仕事ぶりにあるのです。時には解決に大損害を伴う彼女達の冒険が始まります。
- 著者
- 高千穂 遙
- 出版日
- 1980-05-31
『クラッシャージョウ』と同一の世界で描かれる本シリーズは、派手なアクション性が魅力。小難しいテーマではなく、単純に「おもしろさ」を全面的に押し出した構成になっており、読みやすい作品です。登場キャラクターの性格が分かりやすく行動も大規模なので、爽快感を感じられます。
ちなみに、高千穂遙はプロレス好きであり、ダーティペアの元ネタは女子プロレスのビューティペアから、専門機関WWWAというのも世界女子レスリング協会から取っているようです。
身分制度と厳密な管理が徹底された管理社会ポリスで市民の羨望の眼差しを集めるのが最も強い「黄金のアポロ」です。自身の心身を極限まで鍛え上げ、究極の勝者として勝ち残った者のみに与えられます。
第21代の「黄金のアポロ」へと勝ち抜いたレオンは勝利の余韻に浸る間もなく、自分が敵国バルバロイの王であることを知ります。
ポリスとバルバロイの戦いがどんどんと激化していく中、レオンはいったいどんな選択をするのか……格闘技SFアクションです。
- 著者
- 高千穂 遥
- 出版日
自国と敵国の両方に縁があり板挟みになるような構図、明かされない出自との葛藤などは、エジプトとエチオピアの攻防と男女の愛憎劇を描いた歌劇『アイーダ』を彷彿とさせるようなストーリーです。
この作品のメインでもある格闘戦は細かく丁寧に描かれていて、熱い展開には圧倒されます。高千穂遙テイストであるSF要素も近未来的な「管理社会ポリス」という形でふんだんに盛り込まれており、総合的に楽しめる一冊です。
19歳の松尾礼二が持っているロードバイクは、骨肉腫で亡くなった友人の遺品を譲り受けたものでした。自転車競技のことは何も知らない、あんなものはスポーツではない、そんな松尾が亡くなった友人の自転車仲間と出会い、チームの練習会に参加することになります。
駅伝という集団競技の連帯性に嫌気がさし競技から引退したとはいえ、松尾は体力に自信があるスポーツマンです。おじさんや女には負けるはずがない、そう考えていましたが……結果は無残でした。
しかしそれが、松尾が自転車にハマるきっかけです。ここから彼の自転車人生が始まりました。
- 著者
- 高千穂 遙
- 出版日
- 2011-06-07
高千穂遙自身が自転車をこよなく愛していることもあり、作者の趣味が全面的に表れている力作です。
自転車は通勤通学に使っている人も多いので、どうしても実用的なイメージが付きまといます。しかし自転車競技はペダルを漕ぐだけの単純な競技ではなく、正しい知識と体力の両立が必要になる立派なスポーツです。そのあたりの誤解を吹き飛ばす、念入りな描写には「そうだったのか」と驚かされます。
馴染みがない人でも爽やかなスポーツ小説として楽しめる、たしかな一冊です。
主人公の「ゆらち」は人気絶頂のアイドルグループを脱退し、夢だったケイリン選手に転身しました。アイドルのトップからケイリンのトップへ、努力の日々を過ごしています。
ある日、大人気の漫画家が自宅で殺されました。そこで容疑者になったのは、当日に漫画家と会うことになっていたゆらちの叔父でした。
アリバイ、目撃証言……どれも叔父にとって不利な証言ばかりです。アイドルとしての人気、ケイリン選手の運動量、持てるすべてを使ってゆらちが事件に挑みます。
- 著者
- 高千穂 遙
- 出版日
- 2014-04-08
自転車に傾倒した高千穂遙が、自転車をよりポップに描いた作品です。本格自転車小説というよりは、探偵モノに自転車属性が与えられたような構成になっています。SF作品のイメージが強い高千穂には珍しい、殺人事件を正面から扱ったミステリーです。
何よりキャラクターの可愛さが魅力で、ミステリーとしても単純明快で楽しく読めます。難しいことを考えず、純粋なエンターテイメントとして味わえる作品です。
古い作品から最近の作品まで爽快な作品が多いので、楽しい気分になりたい時におすすめです。シリーズを追っても楽しめます。