ジョン・グリシャムのおすすめ小説5選!法廷サスペンスを描く作家

更新:2017.8.11

一度ページを開いてしまったら最後、意外性にみちたスリリングな展開で読者をつかんで離さないジョン・グリシャム。あなたの睡眠の敵になるかもしれない、ある意味危険な彼の作品のなかから、特に「閲覧注意」なおすすめ5作を紹介します。

ブックカルテ リンク
  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena

「グリシャム・タッチ」で絶大な人気を誇るジョン・グリシャム

寝食を忘れるほど読者を夢中にさせる巧みなストーリーテリングは「グリシャム・マジック」と呼ばれ、アメリカで絶大な人気を誇るジョン・グリシャム。まずは彼の半生を簡単に紹介します。

ジョン・グリシャムは1951年アメリカ・アーカンソー州に生まれました。本格的に小説の執筆をはじめたのは、ロースクール卒業後に法律事務所を開業し、刑事事件専門の弁護士になってから。当時彼は、弁護士と同時にミシシッピ州の下院議員も務めていました。

デビュー作となった『評決のとき』では、売れ行き、評判ともに恵まれなかったものの、2作目となる『法律事務所』が全米で50週にわたるベストセラー、さらにハリウッドで映画化され、一躍人気作家の仲間入りを果たします。

その後も、『ペリカン文書』『依頼人』『処刑室』と、年一作のペースでコンスタントに作品を発表。法廷サスペンスの巨匠としてゆるぎない地位を築いています。

人種差別を背景に、個人VS法の闘いを描いたジョン・グリシャムのデビュー作

いまなお人種差別が根強く残るアメリカ南部の田舎町・クライトン。この町で、10歳の黒人少女が2人の白人青年に強姦されるという痛ましい事件が起きます。まもなく犯人は逮捕されたものの、事件はそれだけでは終わりませんでした。

強姦された少女の父親カール・リーが、娘の復讐のために、裁判所で犯人たちを射殺してしまったのです。

逮捕されたリーの弁護を任されたのが、主人公の弁護士ジェイク・プリガンスでした。幼い娘をもつ彼は、リーに同情を寄せ、無罪を勝ちとることを誓いますが……。

著者
ジョン グリシャム
出版日

冒頭に付された「著者おぼえがき」で、グリシャムは本書を執筆するきっかけとなった、弁護士時代に傍聴したある強姦事件の裁判について語っています。そこで彼は、ひとりの若い娘が自分を強姦した男の前で証言する姿を見て、悲痛な感情を味わったのでした。

「陪審員の前で苦しんでいる娘を見ているうちに、わたしは自分でこの強姦犯人を射殺したい気分にかられた。(中略)復讐する父親というテーマが、頭から離れなくなった」(『評決のとき』より引用)

本書で犯人2人を射殺したカール・リーは、その時のグリシャムの心情をダイレクトに投影した人物と言えるでしょう。そのカールの私的な復讐を、公的な法のなかで正当性をあたえようと奮闘するジェイク。しかし彼には、人種差別というもうひとつの大きな敵が存在しました。

裁判所の周りを「カール・リーに死を!」というプラカードをもった白人たちが取り囲み、ジェイク個人も、家にダイナマイトを仕掛けられるなどの脅迫や嫌がらせを受けるのです。はたしてジェイクは、どのようにしてカールの無罪を勝ち取るのでしょうか。手に汗握る法廷シーンは必読です。

謎に包まれた法律事務所の正体とは?ジョン・グリシャムの大ヒット作

テネシー州メンフィスにひっそりとたたずむ「ベンディニ、ランバート&ロック法律事務所」。アメリカ法曹界の中心・ウォール街から遠く離れた小さな事務所にもかかわらず、その給与は国内最高水準、さらに入社時にはBMWの新車つき一軒家がプレゼントされるなど、破格の待遇を誇っていました。

とはいえ、その存在を知る者はほとんどいません。新人採用はスカウトのみ。おまけに待遇に惹かれて入社した弁護士たちは誰一人退職しないため、情報が広まらないのです。

しかしそれらはすべて、事務所幹部たちによる策略でした。なぜならこの事務所には、決して外部に知られてはならない、ある恐ろしい秘密があったのです。

著者
ジョン グリシャム
出版日

本書は、ロースクールの卒業を控えた前途有望で優秀な主人公、ミッチ・マクディーアが、この法律事務所にスカウトされる場面から始まります。他の弁護士らと同様、待遇の良さに惹かれて入社を決めたミッチ。しかし彼は、この事務所の異常さ、そして裏で事務所をあやつる巨大な悪の存在に気づきはじめるのです。

事務所の謎を追うFBI捜査官がミッチに接触を図ってきたことから、物語は急展開を迎えます。内部情報の横流しを恐れ、ミッチの口封じを画策する事務所幹部と、多額の報奨金をちらつかせ、情報公開を迫るFBI。二つの存在に板挟みにされたミッチでしたが、彼は双方の裏をかく、とんでもない策略を練りはじめたのでした。

発表されるやいなや、全米でベストセラーに輝いた本書。その魅力はなんといっても、持ち前の頭脳を活かして困難な状況を打開するミッチの姿、そしてそれを描いたスピーディーな展開にあると言えるでしょう。

これほどページをめくるのが楽しみな小説は、なかなか出会えるものではありません。一読後、すぐに感想を誰かに伝えたくなるような作品です。

一通のレポートが暴き出した国家の闇

「ペリカン文書」といっても、ペリカンについて書かれた何かのことではありません。本書の風変わりなタイトルは、本作の主人公、チューレーン大学ロースクールに通う女子学生ダービー・ショウがまとめた、ある事件についての調査レポートの名前に由来します。

その内容は、ひと晩のうちに2人の最高裁判所の裁判官が殺されるというショッキングな事件についてでした。FBIですら捜査に難航していたこの難事件に惹かれたダービーは、図書館や裁判所で過去の新聞や裁判資料を調べ上げ、たったひとりで事件の真相をつきとめてしまったのです。

しかしその時はまだ、そのレポートの存在が、自分や周りの人間たちに恐ろしい災厄を及ぼすとは考えてもいませんでした。

著者
ジョン グリシャム
出版日

一通のレポートが引き起こした国家規模の追跡劇。本書の内容を端的にまとめるとするならば、そのように言えるでしょう。

ダービーによって「ペリカン文書」と名付けられたそのレポートは、まるで電子メールが転送されるように人から人へと手渡されていきます。ダービーから恋人のロースクール教師。彼からFBI。FBIからホワイトハウス、そして……。やがて、ダービーの悪夢のような日々が始まりました。どうしてもレポートの内容を秘密にしておきたい組織が、彼女の命を狙って動きはじめたのです。

ニューオーリンズからニューヨーク、そしてワシントンDCへと、追っ手を逃れてアメリカ中を移動し続けるダービー。彼女の命は助かるのか、事件の真相は明るみにされるのか、ぜひ本書で確かめてみてください。

マフィアとFBIを敵に回して戦う少年の物語

団地の裏の森で弟のリッキーにせがまれ、煙草の吸い方を教えていた11歳の少年・マーク。すると彼らの近くに、一台の車が止まりました。乗っているのはひとりの中年男性。なんとその男は、草陰からこっそり見守る兄弟の前で、ガス自殺の準備をはじめたのです。

弟の引き留めもむなしく、ほふく前進で車に近づいたマークは、案の定男につかまり車内に連れ込まれてしまいます。男は弁護士でした。上院議員殺害事件で起訴中のマフィアの弁護を担当していましたが、ある重要な秘密を握ってしまい、命を狙われる羽目になってしまったのです。

しかも彼は死の直前に、そのマフィアの秘密、殺した上院議員の死体の隠し場所をマークに明かしてしまいます。こうして今度はマークが、その男にかわってマフィアに追われる身になってしまったのでした。

著者
ジョン グリシャム
出版日

はた迷惑な男のせいで、恐ろしい事件に巻き込まれてしまったマークですが、彼を追うのはマフィアだけではありません。死体の隠し場所は、マフィアの壊滅を狙うFBIにとっても、裁判の証拠として喉から手が出るほど欲しい情報です。しかし、マフィアから「バラすと殺す」と脅迫されたマークは、自分と家族の命を守るため、どんなに尋問を受けても決して口を割ろうとしません。

やがてマークは、なけなしの全財産1ドルを握りしめて、ある女性弁護士のもとを訪れます。それが、ある時は彼のパートナー、またある時は母親のような存在で彼を守ってくれる、レジー・ラブとの出会いでした。

「制限速度をはるかに超えるサスペンス!」というアメリカでの宣伝文句の通り、マークとレジーには次々とピンチが訪れます。しかしマークは、大人でも慄く「マフィア」と「FBI」を相手に一歩も引きません。おっちょこちょいなのがたまにきずですが、彼の勇敢な姿には「がんばれ!」と声援を送ってしまうでしょう。

裁判大好き少年セオが大活躍!ジョン・グリシャムの子ども向け小説

ちょっぴり変わっている13歳の主人公・セオ。彼は、友達の誰もが欲しがる大リーグのチケットよりも、話題の公判の傍聴人席に座ることが大切ほど、裁判が大好きな男の子なのです。

両親ともに弁護士で、本人の夢も弁護士、または誰もが一目置く立派な裁判官。家が差し押さえにあったクラスメイトがいれば自己破産をすすめたり、兄がドラッグで逮捕された友人がいれば刑が軽くなるようにアドバイスしたりと、すでにちびっこ弁護士としての活動もはじめています。

そんなセオには今、目の離せない裁判がありました。

著者
ジョン グリシャム
出版日
2011-09-16

それは彼の住む町で起きた、あるお金持ちの奥さんが殺された殺人事件を扱う裁判でした。傍聴を続けながら、セオは容疑者である旦那の犯行に違いないと思いますが、決定的な証拠が存在しないことと、それを利用した弁護士の巧みな話術によって、裁判は遅々として進展しません。このままでは殺人を犯した残忍な人間が無罪になってしまします。

しかしある日、セオは思わぬところから、事件の真相を暴きだす情報を手に入れるのことになるです。

子ども向けの作品でありながら、そこはストーリーテリングの名手ジョン・グリシャム。本書でも、その意外性あふれる展開で読者を虜にします。セオの活躍に導かれるようにして、いつの間にか裁判や法律が身近に感じられるようになるのも魅力のひとつ。子どもはもちろん、大人でも楽しめる一冊です。

いかがでしたか?ジョン・グリシャムの作品は法廷サスペンスとしてもエンタメ小説としても超一流。ぜひ一度、そのジェットコースターのようなスリルを味わってみてください!

もっと見る もっと見る