文芸
趣味/実用

映画ノベライズのおすすめ作品5選!もっと深く味わいたい方に

更新:2017.8.10 作成:2017.8.10

映画の感動が甦るだけでなく、作品の新たな魅力にも気づかせてくれるノベライズ。ここでは、人気映画の世界観をより深く知ることができる、おすすめのノベライズをご紹介していきましょう。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena

あの大ヒット映画をノベライズ版でも楽しめる

2016年8月に公開され、大ヒットとなったアニメーション映画『君の名は。』は、ノベライズでも大人気。監督の新海誠自らが執筆した本作は、若い世代を中心に高い評価を受けています。

東京で暮らす男子高校生・立花瀧は、ある朝目覚めると、自分が女の子の体になっていることに気づき困惑します。一方、のどかな田舎町で暮らす女子高生・宮水三葉もまた、見知らぬ部屋で男子高校生の姿になっていることに戸惑うのでした。次の日の朝になると元に戻っているため、リアルな夢だと思っていた2人ですが、この現象がたびたび起こるうち、本当に意識が入れ替わっていることに気づき驚愕します。

原因もわからず混乱する瀧と三葉は、お互いのスマートフォンにメッセージを残すことで交流するようになり、いつ起こるかもわからない入れ替わりにも次第に慣れていきました。ところが、徐々に打ち解け合い、お互いを理解できてきた頃、入れ替わりは突然途絶えてしまいます。三葉のことがどうしても気になる瀧は、スケッチした風景画を頼りに、三葉の住む町、糸守町を探し出そうとするのですが……。

著者
新海 誠
出版日
2016-06-18

入れ替わりが起こらなくなり、瀧が三葉を探すことを決意してから、物語は俄然面白くなり一気に引き込まれてしまいます。予想外の展開に驚かされ、あまりの切なさに、思わず涙腺を刺激される場面もあることでしょう。運命を変えようと、必死にもがく少年少女の姿に深く感情移入してしまい、読む手が止まらなくなってしまいます。

なぜ2人にこんな奇妙な現象が起こったのか?ストーリーに大きな違いはありませんが、映画では知ることのできなかった、主人公2人の心情も丁寧に描かれているので、映像作品とはまた一味違った魅力を堪能することができます。

映画を観ていない方でも、十分に楽しめる1冊ですから、アニメーションは苦手という方も、試しに読んでみてはいかがでしょうか。本作をきっかけに、映画にも興味が湧くかもしれません。

感動的な青春を描いた話題作

未来から届いた手紙をきっかけに、大切な人を救うため奮闘する、高校生たちの姿を描いた青春ファンタジー『orange』。原作は高野苺の人気コミックです。2015年12月に実写映画が公開され、ノベライズは蒔田陽平によって執筆されました。

主人公の高宮菜穂は高校2年生。ある日、差出人が自分の名前になっている手紙が届いていることに気づき、不思議がりながらも封を開けました。手紙は、26歳になった未来の自分からのもので、そこにはこれから成瀬翔という男の子が転校してくること。菜穂が翔を好きになること。そして、10年後の世界に、翔はもういないことが書かれてあったのです。

はじめは信じられなかった菜穂でしたが、手紙に書いてある通りの出来事が次々と起こり、次第に本当に翔に心惹かれるようになっていきます。ですが、手紙の通りであるならば翔は死んでしまうことに。菜穂はなんとかして未来を変えたいと、手紙にあるアドバイスに従い、翔を守ろうと決意するのです。

著者
["高野 苺", "蒔田 陽平"]
出版日
2015-11-12

キラキラと輝く青春物語に、なんとも胸が熱くなる作品です。翔の身に起こった出来事は読んでいてつらくなり、同時にその儚げな姿に、どんどん惹きつけられてしまいます。ストーリーが進むにつれ、菜穂だけでなく、周りの仲間たちも翔を救おうと行動を起こすのですが、その様子がとても素敵に描き出され、友達の大切さも感じることができる1冊です。

それぞれの想いが交差する恋模様も切なく、仲間同士の三角関係には胸がキュンとするばかり。唯々まっすぐで純粋な姿に、心底感動してしまうでしょう。読みやすい文章で綴られたノベライズなので、映画にハマった方はもちろん、気になっているけど観ようか迷っているという方も、ぜひ1度読んでみていただきたい作品です。

映画の世界観が広がる読み応えたっぷりのノベライズ

世界の危機を救うべく、人工知能との戦いを繰り広げる大家族の姿を描いた、細田守監督のアニメーション映画『サマーウォーズ』。公開は2009年8月でした。岩井恭平によるノベライズでは、登場人物たちの想いをより深く理解することができます。

主人公は17歳の少年、小磯健二。とにかく数字に強く、数学の実力は数学オリンピックの日本代表を目指せるほどです。

そんな彼は、ある日密かに憧れている高校の先輩、篠原夏希にアルバイトに誘われました。気軽に引き受けた彼でしたが、その内容は長野にある彼女の本家に同行し、曽祖母の前で婚約者のふりをするというもの。しかもたどり着いた陣内家は、先祖代々続く旧家のお屋敷だったのです。

陣内家に訪れた日の夜、健二の携帯に1通のメールが届きます。数字の羅列がひたすら続く暗号のような内容でしたが、健二は得意の数学を駆使して、その暗号を解いてしまいました。翌朝世界は大混乱。世界中の人々が利用するインターネット上の仮想世界「OZ」が、謎の人工知能「ラブマシーン」に乗っ取られたのです。健二が解いた暗号はOZのセキュリティ暗号だったらしく、なんと健二は指名手配されることに……。

著者
岩井 恭平
出版日
2009-07-25

ときに熱く、ときにコミカルに展開される本作ですが、仮想世界で人工知能が暴走するという設定には妙なリアリティーがあり、夢中になって読み進めてしまいます。OZについても巧みな文章で表現されているので、映画を知らない方でも想像を楽しみながら読めることでしょう。

特徴的なのは、映画のストーリーを忠実に再現しながらも、映画を観るだけでは知ることのできない、様々な細かい設定について綴られているところではないでしょうか。ヒロインである夏希の心情も詳しく知ることができ、より魅力的なキャラクターとなっています。

映画を知っている方なら、その微笑ましいエピソードの数々に頬が緩んでしまうことでしょう。映像作品の世界観をさらに広げてくれる、素晴らしいノベライズになっています。

涙を誘う切ない恋物語

2017年2月に実写映画が公開された『君と100回目の恋』は、公開に先立ち、「君100」プロジェクトとして週刊ヤングジャンプで漫画が連載された他、下川香苗の手がけたノベライズが発行されました。

翻訳家を目指す大学生の日向葵海は、幼馴染みの長谷川陸らと共に、4人でバンド活動をしています。7月31日に行われるフェスに参加するため、毎日準備で大忙し。親友の里奈も、何かとバンドの手伝いをしてくれていました。部室で練習をしていても、陸はいつもなかなか姿を現しません。それでも演奏はいつだって完璧です。幼馴染みの葵海ですら、彼が失敗したところを見たことはないのでした。

ある日葵海は、バンドのメンバー直哉から告白されてしまいます。ずっと想いを寄せていた陸からは、「直哉とうまくやれ」と言われてしまい、直哉のことを好きな里奈とは喧嘩になってしまいました。気まずい雰囲気の中迎えたフェス本番で葵海は大失敗。自己嫌悪でその場から逃げ出し、走っているところをトラックに轢かれそうになってしまいます。ところが次の瞬間、葵海は大学の講義室で目を覚ましたのです。

著者
["下川 香苗", "Chocolate Records"]
出版日
2016-12-16

本作に登場するのは、時間を戻すことができる「レコード」。針を置いたところに時間を戻せるという設定が、なんともレトロで素敵です。

葵海の死を回避するため、陸がこれまでに幾度となく時間を戻していたことが明らかになり、懸命に運命に抗おうとするその一途な姿は、読んでいて胸が苦しくなるほどです。レコードを使わず2人一緒に時間が戻ったことの真相が切なく、思わず目頭が熱くなってしまいます。

愛する人の死を何度も目の前で見てきた陸。その想いに気づき葵海がとった行動。自分だったらどうするのかと、想像せずにはいられません。悲しさの中にも爽やかさを感じるラストは、映画同様とても涙を誘い、絶妙な余韻を漂わせています。映画ではカットされているセリフなども綴られているので、観たことのある方もぜひ読んでみてくださいね。

実話がもとになったキセキの物語

「GReeeeN」の大ヒット曲「キセキ」が誕生するまでを、実話をもとに描いた話題作『キセキ ―あの日のソビト―』。2017年1月に映画が公開され、小林雄次によって執筆されたノベライズも人気を博しています。

「High Speed」というバンドのリーダーとして、音楽活動を続けている長男のジンは、医師として働く厳格な父に音楽を猛反対され、家を飛び出してしまいます。一方弟のヒデは、音楽に興味がありながらも医学部を目指し浪人中。猛勉強するも良い結果が出ることはなく、悩んだ末に、進路を歯学部へ変更することを決意しました。

ジンはメジャーデビューの夢を掴んだものの、思うように上手くはいきません。バンド内の雰囲気も悪く、とうとう解散にまで追い込まれてしまいました。そんな時、無事に歯学部への入学を果たし、仲間たちと音楽活動を開始したヒデが、完成したオリジナル曲を「アレンジして欲しい」と持ってきたのです。その音楽を聴いて才能を感じたジンは、学業と音楽活動の両立ができるある秘策を思いつき……。

著者
小林雄次
出版日
2017-01-06

タイトルにもなっている「ソビト」とは、「GReeeeN」の4人が造った言葉で、「自由に新しいことに挑戦していく人」という意味があるのだとか。

歯科医をしながら、アーティストとして活躍していることで有名な人気グループ「GReeeeN」ですが、2つも夢を叶えてしまったその明るいパワーには、とても励まされ元気がもらえます。お互いを認め合う兄弟の絆や、厳しい父との和解に向けてのやりとりには胸を打たれ、その熱い思いに感動してしまいます。

「GReeeeN」が好きな方はもちろん、それほど詳しくない方でも、微笑ましい青春ストーリーとして楽しめることでしょう。ノベライズでは、ジンやヒデだけでなく、脇を固める登場人物の心情にもスポットが当てられています。読後、何かを頑張りたくなる素敵な作品になっていますから、興味のある方は一度読んでみてはいかがでしょうか。