「ダイの大冒険」の原作・作画コンビによる、王道バトルファンタジー『冒険王ビィト』。大人気漫画が10年の時を経て復活。面白さは今も健在、むしろパワーアップして帰ってきました。
少年少女たちが集い、武器を握って敵を打ち倒すという王道の物語。王道ゆえに、作品の面白さがストレートに伝わり、みるみる世界観に引き込まれていきます。
どの年代でも読める点や、正義の名の元に悪を倒すという「勧善懲悪」的な要素が人気の秘訣です。
- 著者
- ["三条 陸", "稲田 浩司"]
- 出版日
- 2006-09-04
もともと『月刊少年ジャンプ』にて2002年から連載しており、アニメ化をはじめに様々なメディアに展開をしていましたが、 2006年にイラスト担当の稲田浩司が病気療養のために、やむなく長期休載となります。以来、連載再開を待ち望んでいたファンは多くいました。
それが、2016年4月に発売の『ジャンプSQ.CROWN 2016 SPRING』にて、10年という時を経てついに復活!それに伴い、続巻である13巻も20016年11月に発売し、12巻の続きである、あの強敵との戦いがついに幕を下ろしました。
休載から10年経っても忘れられずに、話題に上がる『冒険王ビィト』。 その魅力を名シーンを抜擢しながら紹介していきましょう。
舞台は、突然地上に現れた魔人(ヴァンデル)と魔物(モンスター)が人々を襲い苦しめる「暗黒の世紀」と呼ばれる時代。
とある辺境にある村で「ビィト」という少年が暮らしていました。彼は「バスター」と呼ばれる魔人狩りの職業、中でも最強と謳われる「ゼノン戦士団」に入ることを夢見ており、 大人たちの反対を振り切って勝手にバスターとなってしまいます。
- 著者
- ["三条 陸", "稲田 浩司"]
- 出版日
- 2002-10-04
それからほどなくして、ビィトは憧れのゼノン戦士団と、強い力を持つ魔人「ベルトーゼ」との戦いを目撃しました。
ゼノン戦士団の者たちへと声援を送ったビィトは、そのせいで存在に気づかれ、ベルトーゼに捕まってしまい致命傷を負います。
瀕死のビィトを救うため、ゼノン戦士団は陣形を崩してしまい、ベルトーゼの攻撃に耐え切れずに壊滅。 それでも、戦士団の5人は彼を救おうと、バスターの力の源であり、命そのものでもある「才牙」を彼に託すことでその命を救います。
さらには、武器を持たない状態でベルトーゼに挑みつづけ……。
その戦いの果てに、ゼノン戦士団は行方不明、ビィトに残ったのは己への無力さだけ。この経験から、彼は「暗黒の世紀」を終わらせるために旅へとでました。
これはビィトが暗黒の世紀を終わらせるまでの冒険を描いた物語です。
冒険中のビィトは港町「レドウ」にて、因縁の魔人・ベルトーゼと再会します。
片時もベルトーゼを忘れたことはなかったビィトに対し、彼のことを覚えてすらいなかったベルトーゼ。 しかしどちらにせよ、2人はバスターと魔人、出会えば戦うのは必然です。
- 著者
- ["三条 陸", "稲田 浩司"]
- 出版日
- 2003-01-06
ビィトは、かつてゼノン戦士団から託された、火属性の才牙「バーニングランス」と、水属性の才牙「クラウンシールド」の2つを同時に展開するという離れ業で、ベルトーゼに一泡吹かせることの成功します。
さらに、憧れのゼノンから託された光属性の才牙「エクセリオンブレード」を繰り出し、ゼノンとそっくりの構えをとったことで、 ベルトーゼはビィトがかつて自分が襲った子供であることと、自分を苦しめたゼノンの姿を思い出すのでした。
そして、エクセリオンブレードの渾身の一撃「ゼノンウィンザード」が、ベルトーゼに直撃したのです。
ゼノン戦士団の仇との再開。 かつての無力だったビィトの姿はそこにはなく、一人前のバスターとして成長した彼の姿がありました。
彼の勇姿からは、血のにじむような修行をしてきたことがわかります。ビィトが積んできた、ゼノンたちに近づくための弛まぬ努力が実を結んだ結果なのです。ゼノンたちがこの姿を見たら、きっと感動することでしょう。
- 著者
- ["三条 陸", "稲田 浩司"]
- 出版日
- 2003-11-04
ビィトは修行時代の友である「キッス」と再会します。
その再開は喜ばしいものに見えましたが、実は仕組まれたものでした。かつて人間に裏切られたキッスは、人間でありながら魔人の味方についていたのです。
キッスの誘導により、魔人と魔物との戦いを強いられ、ピンチに陥るビィト。さらに、魔人はキッスが人間を裏切っている事実を明かし、キッスも涙ながらにそのことを認めます。
それでも、「道を外れたなら俺が正してやる」と、キッスを見捨てないビィト。その言葉に心をうたれたキッスは、再び魔人に立ち向かう勇気をもらい、昔に目指していた「世界一の天撃使いに、この瞬間だけなってみせる」と誓うのでした。
なにがあっても友を見捨てないビィトと、それに応えようとするキッス。このシーンは、友情とは何かを読者に教えてくれます。
幼馴染であり一緒に旅をしている女の子・ポアラと、友であるキッスとパーティーを組み、「深緑の智将」と呼ばれる高位魔人「グリニデ」に挑むビィト。
しかし、あのベルトーゼにも引けをとらないグリニデの強さを前に、3人は窮地に追い込まれます。
- 著者
- ["三条 陸", "稲田 浩司"]
- 出版日
- 2004-07-02
手も足も出ない状況を前に、キッスは諦めようとしますが、ビィトとポアラが諦めるはずもなく、むしろとんでもない賭けに出ようとしました。
ポアラの作戦を聞いたキッスは顔を青ざめさせながら抗議します。しかしポアラは笑いながら「これを決めたら……私たちミラクルチームよ!!」と言い、キッスの反対を押し切って最後の賭けに出るのでした。
いつもはビィトの力に頼りがちな2人ですが、それぞれが役割を持ち、それをこなすことで、初めてチームとして機能します。無茶しがちなビィト、それを宥めながらも、時々とんでもないことを考えるポアラ、そして文句を言いながら、最後まで付き合うキッス。
なんだかんだで似た者同士、そして見事この戦いに勝利してみせた3人は、まさにミラクルチームです。
- 著者
- 稲田 浩司
- 出版日
- 2016-11-04
かつてキッスを苦しめた気高き魔人「天空王・バロン」が、再びキッスの前に立ちはだかります。
強者との戦いを好むバロンはキッスの成長に大満足。さらには負傷していたビィトも戦線に復帰し、3人の戦いはさらに熾烈を極めました。
そんな中、光・火・水・風・雷からなる5つの才牙を磨いてきたビィトに、新たな才牙が覚醒します。しかし、バロンの様子が徐々におかしくなっていき……!?
待望の13巻はバロンとの決着まで描かれております。
見どころはなんといってもビィト自身の才牙が覚醒するシーンです。 しかも、その才牙の形が「あの形」にそっくりで……。
と、ネタバレはここまでにして、気になる方はぜひ自分の目で確認してみてください。これを機に、全巻読み直すのもおもしろいかもしれません。
今読んでも間違いなくおもしろいと断言できる『冒険王ビィト』。10年経って再開してもそのおもしろさはなお色褪せません。読んだことのない方は一度読んでみて、一度読んだ方には再読を勧めます。