小説『ストライク・ザ・ブラッド』の魅力を全巻ネタバレ紹介!

更新:2017.8.27 作成:2017.8.27

太平洋上の人工島に現れた、伝説上の存在「世界最強の吸血鬼」。その正体は普通の男子高校生でした。能力を発動するためには性的興奮を掻き立て、美少女から吸血しなくてはいけない主人公。バトル溢れる青春ヴァンパイアファンタジー『ストライク・ザ・ブラッド』が幕を開けます。

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最強の吸血鬼による青春バトル小説『ストライク・ザ・ブラッド』の魅力をネタバレ紹介!

舞台は魔族の住まう特区が指定された架空の日本。そこに伝説の中にしか存在しないはずの世界最強の吸血鬼「第四真祖」が出現してしまいます。

最強の吸血鬼を監視・抹殺するために政府から派遣されたのは、魔族対策のエキスパートたる攻魔師の見習いである少女、雪菜でした。最強の武器を携えて魔族特区へ向かった雪菜は、そこで「第四真祖」である主人公の古城と出会うのです。

吸血鬼を題材にした小説がダークなイメージのものが多い中、太平洋に浮かぶ島を舞台とし、鮮やかな色彩の中で少年少女の青春と戦いがくり広げられます。ライトノベルらしい爽やかさにより、漫画化のみならず、2013年にテレビアニメ化もされた人気作です。

1巻:最強の吸血鬼、爆誕

「――ふうん、それで?

 絃神島・魔族特区。この街では、化け物など珍しくもない。たとえそれが世界最強の吸血鬼だとしても。」

(『ストライク・ザ・ブラッド』1巻より引用)

吸血鬼のイメージと言えば、ヨーロッパや、雷の鳴る夜の城といったイメージがあるのではないでしょうか。『ストライク・ザ・ブラッド』は、まずその吸血鬼に付きまとう暗闇のイメージを払拭するところから始まります。

著者
三雲 岳斗
出版日
2011-05-10

舞台となるのは「真夏の街」と呼ばれる、太平洋上に浮かぶ小さな島、絃神島。その島はカーボンファイバーと樹脂と金属、そして魔術によって作られた人工島なのです。青い空とファミレスにカラオケ、コンビニ繁華街……そんな普通の都市に、「最強の吸血鬼」が現れるところがポイントです。

この世界では、吸血鬼の多くは人間社会に溶け込み、人類を敵に回さないように生きてきました。加えて、各国政府と、「真祖」と呼ばれる吸血鬼の中で強く古株である者たちの間には、無差別の吸血行為を禁止する条約が結ばれるなど、人間と吸血鬼は積極的に共存状態を作り出してきたのです。

しかしそれは針の上に立つような危ういバランスのもと成り立っているものでした。なぜなら、その共存と平和は、第一から第三しか存在しないはずの真祖たちは三すくみ状態であるがゆえに成立しているだけだったのです。

もしそこに第四真祖が現れれば、たちまち均衡が崩れ、世界は虐殺と大破壊の波に巻き込まれてしまう――それを、人間たちはおそれていました。そこへ第四真祖の「最強の吸血鬼」が現れたという情報を受け、政府組織「獅子王機関」の下部組織から、一人の少女が選ばれます。

その少女が姫柊雪菜、15歳になる中学生の少女でした。魔族を倒す「攻魔師」の修行をしていた雪菜は、霊視と剣術の才能を見込まれ、「剣巫」(けんなぎ)として「最強の吸血鬼」の監視と、状況によっては抹殺の任務を負うことになるのです。

「七式突撃降魔機槍」という、世界に三本しかないと言われる、魔族対抗のために政府が開発した武器を渡された雪菜は、絃神島へと向かいます。しかし、そこで雪菜が出会った「最強の吸血鬼」である暁古城は特に変わったところのない、普通の男子高校生だったのです。

女性の綺麗な首筋を見ると鼻血を出してしまう古城。そんな彼はホムンクルスを扱う吸血鬼狩りに狙われ、古城の友人である天才ツンデレ女子高生の藍羽浅葱もまた古城の弱みを握るために襲われてしまいます。

もっとも、数か月前に「最強の吸血鬼」の力を受け継いだばかりの古城はまだまだ力を扱えず、「眷獣」という吸血鬼にとっての仲間であり道具である獣を呼び出すことすらできません。そんな彼がいよいよ追いつめられた際におこなう、眷獣を制御するためにおこなう吸血行為はかなり刺激的です。

2巻:襲いくるは先史時代の神々の武器

「無防備な下着姿で立っていた少女が、ぎこちない仕草で振り返る。思わず息を呑むような、清冽な美貌の少女だった。」
(『ストライク・ザ・ブラッド』2巻より引用)

1巻で12いるうちの眷獣の一体を呼び出すことに成功して敵を退けた古城は、なんとか日常を取り戻していました。しかしそんなある朝のこと、朝食のために妹を呼びに行った古城の前に現れたのは、肌を露わにした雪菜だったのです。

著者
三雲 岳斗
出版日
2011-09-10

今作の魅力は、海外から様々な敵や、中立の存在が現れるところにあります。まず序盤において、絃神島に欧州からの外交特使であり真祖「忘却の戦王」の使者ディミトリエ・ヴァトラーと、その監視役であり雪菜の姉的存在である紗矢華が豪華客船に乗って現れます。

ヴァトラーは先代の第四真祖の血に惚れ込み、それゆえに、第四真祖を継いだ古城に執着するのです。それだけではありません。「黒死皇派」の残党であるテロリストが、浅葱を狙います。

彼の狙いは遺跡から発掘された神々の兵器「ナラクヴェーラ」を用いて絃神島を破壊することでした。天才プログラマーである浅葱は、ナラクヴェーラの起動コマンドを解き、ナラクヴェーラを起動可能にしてしまったがためにテロリストから狙われることになったのです。

テロリストにより、浅葱だけでなく、雪菜や、古城の妹である凪沙までもが拉致されてしまった古城はテロリストを倒すことが出来るのでしょうか。担任の那月が「空隙の魔女」と呼ばれる凄腕の攻魔師であることが判明するなど、どんどん世界観が広がっていく今作。

古城の性的衝動と吸血、呼び出される眷獣による異能バトルの行方はいかに。

3巻:人ならざる者への進化を阻止できるか

「――そういうことだから。

 柔らかな唇の感触と、悪戯っぽい声が脳裏に生々しく甦り、古城はハッと顔を上げた。」

(『ストライク・ザ・ブラッド』3巻より引用)

古城の幼馴染である浅葱は、これまでずっとサバサバした態度をとっており、古城にとっては付き合いの長い男友達のような存在でした。しかし浅葱のキスにより、古城の心はかき乱されることになるのです。

著者
三雲 岳斗
出版日
2012-02-10

今作の魅力は、古城が絃神島の上空に突如現れた怪物「仮面憑き」の捕獲に協力し、その中でワールドワイドな戦いに巻き込まれるところにあります。まず「仮面憑き」の捕獲について、それは担任である那月の助手としての仕事でしたが、古城はそこで思わぬ壁にぶち当たることになるのです。

それは、「仮面憑き」が古城の眷獣によっても倒せない強敵であるということでした。苦戦を強いられる古城。そこに現れたのが、妹の凪沙の友人を名乗る夏音でした。彼女は「仮面憑き」を倒し古城を窮地から救います。

しかし、その夏音は事件の詳細を語らぬまま失踪してしまいます。夏音を追った古城と雪菜でしたが、二人は巨大企業の策略により無人島に置き去りになってしまうのです。けれど、古城たちはそこで夏音にそっくりなアルディギア王国の王女ラ・フォリアと出会います。

そこで古城は、人間から霊的進化を遂げることで、あまたの能力や攻撃を透過したり無効化する特殊な存在「模造天使」について知ることになるのです。「模造天使」は起動時に大量の瘴気を生じるなど、「模造天使」になる人間はもはや人間ではなくなってしまいます。

しかしそのような高次元の存在となることこそが夏音にとっての幸せだと考える人間がいたのです。それが夏音の養父である賢生でした。果たして古城は夏音の模造天使化を止めることが出来るのでしょうか。

ラ・フォリアを模造天使にしようと襲撃を仕掛けてくる第三真祖「混沌の皇女」の末裔であるベアトリスに、明らかになる模造天使の兵器化計画。アルディギア王国の命運をかけた戦いが始まります。

4巻:ハロウィンの来訪者

「なんでメイドが先生やってんの?」
(『ストライク・ザ・ブラッド』4巻より引用)

仮面憑き騒ぎもひと段落した古城たち。そんなある日、教壇に立っていたのは、露出度高めのエプロンドレスに身を包んだ、人工的美貌を持つホムンクルスでした。

時は10月、魔族特区の祭典「波朧院フェスタ」(ハロウインフェスタ)が間近に迫ります。

著者
三雲 岳斗
出版日
2012-06-08

10月末は絃神島にとって、お祭りの時期という意味をもつだけではありません。その時期は、時空連続体が不安定になりやすく、異なる時間軸からの「来訪者」や異界からの「招かれざる魔物」が現れるというのです。

今作では、古城の小学生時代の親友、優麻が絃神島を訪れます。古城は楽しいお祭り期間になりそうだと期待に胸を膨らませるのですが、ただ楽しいお祭りで済むと思ったら大間違いでした。

凄腕の攻魔師でもある担任の那月が失踪し、さらに謎の時空の歪みが生じたことで、魔族特区が脱出不可能の迷宮へと変わってしまうのです。観光客に紛れて侵入したという危険な「魔女」に絃神島は翻弄されることになります。

今作の魅力は、初登場の優麻の秘密めいた魅力でしょう。優麻は古城の幼馴染なだけでなく、妹の凪沙にも慕われる存在です。しかし、その優麻と古城が接触することによって、古城の体が優麻と入れ替わってしまいます。

明かされつつある那月の秘密に、凪沙の過去。次巻が気になる終わり方となっているため、5巻を手に入れた状態で読むのがおすすめです。

5巻:友のために狂ったのは誰か

「その娘は、我が単為生殖によって産み出したただの複製。監獄結界の封印を破るためだけに造られた、我の影に過ぎない」
(『ストライク・ザ・ブラッド』5巻より引用)

消えた那月を助けにやってきた古城と雪菜、そして優麻。彼らの前に現れたのは、優麻の母親である仙都木阿夜でした。仙都木阿夜は、優麻の力の源ともいえる「守護者」を奪い取るべく優麻を苦しめます。

それだけではありません。仙都木阿夜を含め7人の魔導犯罪者たちは、監獄結界からの脱出を果たしただけでなく、監獄結界を維持している那月を抹殺しようと力を放ちます。

著者
三雲 岳斗
出版日
2012-10-10

今作の山場は、仙都木阿夜を中心とする魔導犯罪者たちにより、古城の担任教師である那月が魔力と記憶を奪われ幼児化してしまうところにあります。那月は普段は自由人で、しかし凄腕の攻魔師として政府機関のなかでも重要な役割を担っている存在です。

そんな彼女が幼女として浅葱に保護される場面はまさにギャップ萌えといえるでしょう。普段はクールでありながら、意外と面倒見のよい浅葱でしたが、やはり今回も襲撃を受けてしまいます。犯人は脱獄した魔導犯罪者たちというかなりの強敵です。

一方、母親の手により重傷を負った優麻を救うために巨大企業MARの研究所を訪れた古城と雪菜は、そこで古城の母親に出会います。なんと、古城の母親は有名な魔導医師だったのです。

優麻を救うためには力を持った魔女の力が必要だということが判明し、那月の力を借りることになります。しかしその那月は幼児化した上に脱獄犯たちの襲撃を受けているという状況。ここから、魔導犯罪者たちとのバトルが始まるのです。

今回のもう一つの魅力は、古城の母親にあります。古城は母親に自分が吸血鬼となったことを話していないのですが、母親の方はどうやらいろいろと勘付いている様子です。また、妹の凪沙についても、その身体に第四真祖先の12番目の眷獣が宿っていることも知っている様子を示します。

普段仕事が忙しくてあまり家に帰らない古城の母親ですが、この世界の秘密の中枢に食い込んでいる雰囲気を前面に出しており、今後も目が離せない人物の一人だといえるでしょう。また、重傷を負い、吸血鬼としての治癒力を失った古城に男嫌いの紗矢華が吸血を迫るシーンは必見です。

6巻:雪菜の嫉妬と監視の強化

「わたしがいなくなるのを先輩がそんな楽しみにしているとは知りませんでした。そうですか。ちょっとショックです」
(『ストライク・ザ・ブラッド』6巻より引用)

雪菜の通う中学校の四日にわたる宿泊研修。その間監視の任務を解かれることになった雪菜がそれを古城に伝えると、古城は素直に喜びを表したのです。

古城は単純に凶器所有者からの監視から逃れられることを喜んでいるだけなのですが、雪菜は古城に拒絶されたように感じてしまいます。雪菜の古城への思いが通じる日は果たしてくるのでしょうか。

著者
三雲 岳斗
出版日
2013-02-09

今作の魅力は、古城たちの前に現れる錬金術師、天塚汞の存在にあります。天塚は封印された錬金術の至宝である液体金属の生命体「賢者の霊血」を復活させようと目論み、絃神島各地で襲撃を繰り返すのです。

そして復活した「賢者の霊血」は暴走し、その暴走に浅葱が巻き込まれ死にかけてしまいます。なんとかそれを撃退したかと思いきや、今回、敵の真の狙いが夏音だったことが判明するのです。

さて、今回は浅葱の過去の黒歴史が一つ明らかになりました。それが、浅葱の小学五年生のときの事件です。なんと彼女は当時、手作りのクッキーをクラスの男の子に配ったところ、クラスの男子14人を病院送りにしたのでした。

浅葱の作る料理が大量殺戮兵器と化すのはよくあることだったらしく、浅葱を古くから知る古城のクラスメートである矢瀬は、自分はそれを予想して非難していたと楽しげに話すのです。

現在は人並みの料理が作れるようになったという浅葱は、自他ともに認める料理上手な古城の胃袋を掴むことが出来るのでしょうか。今後の展開に期待大です。

7巻:明かされる過去、強すぎる父親

「そう慌てなさんな、ミス・カルアナ。あの手の化け物に力押しで勝てるのは、吸血鬼の真祖くらいのもんだ。冷静にならなきゃ、被害が増えるだけだぜ」
(『ストライク・ザ・ブラッド』7巻より引用)

遺跡の地下にある自動防衛装置である遺跡守護像。大学の調査団による勝手な調査によって暴走を始めた遺跡守護像に、暁牙城は「特別」な対物ライフルの弾丸を撃ち込むことでそれらを撃退します。

人呼んで「博士」、数々の危険な遺跡から単独で生還する生命力と戦闘能力を有する彼は、考古学者であり、古城の父親だったのです。

著者
三雲 岳斗
出版日
2013-04-10

今作は、過去と現在の話が入り交り、複雑に絡み合う構成となっています。そのなかでも、特に過去の話は、古城と凪沙に起こった事件と第四真祖にまつわる秘密が明かされるため、これまでのどの巻よりもエキサイティングだといえるでしょう。

今作では、古城の妹の凪沙が、父方の祖母の巫女の能力と、母親の特殊能力を受け継いだ貴重な力を有している存在であることが明らかになります。凪沙は過去において、考古学者である父親に、「12番目の第四真祖」が眠るという遺跡の道を開くために呼び出されたのです。

ところがその遺跡で、凪沙と古城はテロリストの襲撃にあってしまいます。銃弾から妹を守るためにその身を投げ出す古城は身体中を吹き飛ばされてしまい……それによって、眠っていた「12番目の第四真祖」と肉体の一部を交換するという、「血の従者」の儀式が成立してしまったのです。

もっとも古城にはそういった記憶がまったくなく、おまけに遺跡での記憶も周囲により別の事故の記憶とすり替えられているなど、古城は自分の身に起こったことをまるで知りませんでした。そんな状態だからこそ、古城の弱すぎる「最強の吸血鬼」生活が成立していたともいえるでしょう。

しかし、その生活も終わりを迎えます。第三真祖が「12番目の第四真祖」アヴローラの姿を擬態し、古城の母親の勤めるMARを襲撃することで、古城は強制的に記憶を呼び覚まされることになるのです。

そして今作では、7巻にしてやっと浅葱が、古城が吸血鬼となっていることを知ることになります。これまで浅葱は何度も襲撃され命の危険にさらされてきました。

その彼女が、古城が吸血鬼であると知ってからも古城への思いをそのままに抱き続けることが出来るのでしょうか。今後の展開が楽しみになる終わり方となっています。

8巻:最強の吸血鬼の誕生戦

「無断で研究所に侵入してきた部外者が、勝手に“柩”の蓋を開けちゃったとしたら、私たちにはどうしょうもないわねえ」
(『ストライク・ザ・ブラッド』8巻より引用)

それは今から数年前、まだ古城が中学生だったときのこと。吸血鬼であり魔族の名門貴族であるヴェルディアナは、MARの研究者である古城の母親に出会います。

ヴェルディアナが持っていたのは、「天部」と呼ばれる亜神種族が生み出したと言われる神器。その神器は、魔力を無効化し、ありとあらゆる結界を切り裂く「真祖殺し」の聖槍であると言われています。

ヴェルディアナはその神器を使って、MARの研究所の「妖精の柩」と呼ばれる氷塊に封印された「12番目の第四真祖」を目覚めさせようとしていたのです。

著者
三雲 岳斗
出版日
2013-07-10

今作の魅力は、第四真祖が何者であるのか、さらにどのようにして古城が第四真祖となったのかが明らかになるところにあります。まず、これまで吸血鬼の真祖は第一から第三までが存在し、第四は伝説の存在とされていた理由が明らかになるのです。

それは、第四真祖とは、「天部」と第一から第三の真祖が生み出した人工の真祖であり、その力があまりに強大で危険だったために封印された存在であるというのが理由でした。さらに、第四真祖には、「原初のアヴローラ」と呼ばれる魂だけの本体と、その眷獣12体それぞれの化身であるアヴローラが存在していたのです。

古城の妹の凪沙は牙城に連れて行かれた遺跡で、「原初のアヴローラ」の依代になってしまったことも明らかになります。もちろん普通の人間にそんな強大な存在を納めておけるわけがありません。それが凪沙の衰弱と入院の原因となっていたのです。

それでも、凪沙は兄が好きであり、銃弾で自分をかばって死にそうになっている兄をどうしても救いたかったのでしょう。本来従者をもたない第四真祖ですが、12番目のアヴローラが古城を「血の従者」としたのは、依代となった凪沙の意思によるものだったというのです。

そんな中、原初のアヴローラが第四真祖として復活するために、12体のアヴローラすべてを取り込もうとして戦いが始まります。しかし、12番目は古城の側につくことを決め、原初を宿した凪沙を見守っていた他のアヴローラが凪沙を救うために古城の味方につくなどし、敵も味方もアヴローラまみれという現象に陥ります。

果たして古城たちは原初のアヴローラを倒し、凪沙を救うことが出来るのでしょうか。12番目のアヴローラがお菓子好きで臆病なところなど、可愛らしく、しかし強い意思を感じさせる姿は読者を虜にすること間違いありません。

9巻:最強の吸血鬼を殺すことのできる存在

「心配しないで。あなたを必ずここから逃がしてあげる。それが私の任務だから」
(『ストライク・ザ・ブラッド』9巻より引用)

水着姿の小学生の少女の手を引き、警備員たちから逃げる紗矢華。紗矢華は獅子王機関の「舞威媛」(まいひめ)という、大規模な魔導災害や魔導テロを阻止するための特務機関のエージェントでもあります。

絃神島に新たに建設された最新リゾート施設「ブルーエリジアム」から、彼女たちは無事に逃げることが出来るのでしょうか。

著者
三雲 岳斗
出版日
2013-10-10

今回初登場となるのが、ブルーエリジアムの研究施設に囚われていた小学生の少女、江口結瞳です。彼女をとらえていたのは島を管理する企業でしたが、実はその裏には獅子王機関と同じく内務省傘下の特務機関「太史局」の存在がありました。

太史局にも攻魔師は所属しており、雪菜と同じ剣巫の技を使う六刃神官が紗矢華の前に立ち塞がります。まるで犯罪行為に手を貸すような太史局の行為でしたが、真の目的は、世界最強の魔獣レヴィアタンを利用しようとしていたテロリストをとめることだったのです。

しかし、太史局の目的はテロの防止だけにとまりませんでした。太史局は、結瞳の力によってレヴィアタンを使い、それによって浅葱を殺そうとしていたのです。なんと、浅葱は「カインの巫女」と呼ばれる、新たな「聖殲」という大災害の引き金になるような存在だったのでした。

浅葱の天才プログラマーの能力をフルに生かした電脳戦の中、絃神島がカインの祭壇と呼ばれ、浅葱はそこにいる限りありとあらゆる偶然や幸運に味方され、絶対に死ぬことはないということも判明します。これまで幾度となく襲撃されてきた浅葱がなぜ無事だったのかが明らかになる巻だといえるでしょう。

雪菜や浅葱に凪沙など、それぞれの古城への好意が熱を帯び高まっていく今作。これから彼女たちがどう動くのか、そして古城が誰を選ぶことになるのかが気になる一冊です。

10巻:服を脱いで密着、それが私たちの戦い方

「約束してくれましたよね。私のことを一生幸せにしてくれるって。結婚できる歳になるまで、あと五年もかかっちゃいますけど……」
(『ストライク・ザ・ブラッド』10巻より引用)

ある放課後、高校の門の前で古城を待っていたのは、制服姿の小学生、結瞳でした。彼女は世界最強の夢魔(サキュバス)という能力を買われ、魔族総合研究院の特待生として絃神島に住むことになったのです。

もっとも、彼女は古城のお嫁さんになるという夢があるようで……。波乱を呼ぶ10巻、開幕です。

著者
三雲 岳斗
出版日
2014-03-08

今回、古城たちのもとに冷凍された美少女が荷物として送られてきます。なんとこの美少女セレスタは、第三真祖が統治する中米の帝国が内乱に陥ったことで、来訪していたヴァトラーの手配により祖国を逃れてきたというのです。

いきなり異国にやってきた少女をむげにもできず、古城たちはセレスタの面倒をみることになるのですが、いかんせんセレスタの毒舌がひどいのなんの。おまけに記憶喪失である彼女はヴァトラーのことしか覚えておらず、ひたすらにヴァトラーへの愛を語るのです。

そんな中、古城たちは謎の組織の襲撃を受けます。実はセレスタは邪神「冥き神王」の花嫁だというのです。邪神の生贄にされる運命だったセレスタをめぐり、国家レベルの魔道戦争に巻き込まれることになった古城たちは、無事にセレスタを守りきることが出来るのでしょうか。

今回の魅力は、セレスタが生贄という立場に立っていたことで、雪菜が古城に自身の過去を打ち明けることにあります。なんと雪菜もまた、その能力もあり、子どもの頃に生贄に使われそうになったことがあったのです。

雪菜がセレスタに非常に協力的であるだけでなく、古城がセレスタを助けようか悩んだときにはショックを受け、古城がセレスタを助けることを決めた時は他人事とは思えないほど喜ぶ雪菜の姿は、雪菜の過去を知った上で読むと胸に刺さること間違いありません。

11巻:一流の魔道師と若き最強の戦い

「たしかに先輩は危なっかしいままですし、だらしないし、真祖の自覚も足りないし、わたしが少し目を離すとすぐにほかの女の子とベタベタして、どうしようもなくいやらしいのはよくないと思いますけど、だけどちゃんといいところもあるっていうか……」
(『ストライク・ザ・ブラッド』11巻より引用)

帰りのモノレールの中、雪菜は古城に、出会ったばかりの頃は先輩は信用できないと思ったが今は違う、となけなしの勇気を振り絞るように言います。緊張した声で何とか思いを言いきった雪菜でしたが、なんと古城は上の空。

祖母のもとへ帰省するために父親と本土へ行った凪沙と連絡が取れない、と妹を心配する古城に、雪菜の思いが届く日は来るのでしょうか。

著者
三雲 岳斗
出版日
2014-09-10

凪沙と連絡が取れなくなってまもなく、古城は凪沙が魔導災害に巻き込まれたことを知ります。さらに雪菜も獅子王機関と連絡が取れなくなってしまい、2人は凪沙を救出するため、絃神島を出ることを決意するのです。

しかし、古城は一応最強の吸血鬼である第四真祖。さらにその能力の覚醒が不完全で、高校生という人生経験も少ないという危うい存在でもあります。そんな危険な存在を獅子王機関が島から出すはずがありません。

今回、古城たちの前に立ち塞がったのは驚きの人物でした。その人物とは、獅子王機関所属の凄腕攻魔師であり現役の犯罪捜査官、さらには監獄結界の維持者でもある、古城の担任教師の那月です。

古城にとって信用していた存在である那月が敵に回ることは古城にとってショッキングな出来事であり、雪菜もまた動揺します。しかし、そんな中で古城たちに救いの手を差し伸べたのが、太史局所属の六刃神官、霧葉でした。

今作の魅力は、那月から逃亡しながら島から出ようとする古城たちを、夏音や、那月のメイドであるホムンクルスのアスタルテなど、様々な人々が協力してくれるところにあります。初めのうちは敵も味方も少なかった古城が、11巻にしてたくさんの仲間ができていたことを感じさせる場面だといえるでしょう。

しかし、那月がいかんせん強すぎます。そもそも那月は監獄結界の維持をする魔女として、悪魔と契約しているため、本体は夢の中で眠っているのです。そのため現実世界で存在している彼女は質量をもった幻にすぎず、現実世界にいる那月は不死身と同然の存在だと言えます。

幻を倒してもすぐに再構成されてしまい、絶対に倒せない魔女……そんな那月は「最強の吸血鬼」を超える強さを持っており、古城は監獄結界に閉じ込められてしまうのです。しかし古城は雪菜がなんとかして結界を破ってくれるはずだと信じます。

果たして雪菜は囚われのお姫様となった古城を脱出させることが出来るのでしょうか。新たな力に目覚める雪菜の姿は必見です。

12巻:姿を現すは咎神の正体

「あの男の筋肉に触った上に、肌と肌をくっつけてしまうのか。これが大人への階段を上るということなのか。男の人の相手は初めてなのだが、痛くされたりしないだろうか」
(『ストライク・ザ・ブラッド』12巻より引用)

獅子王機関の攻魔師である唯里は、上半身裸の牙城に誘われ、うろたえながら思考を巡らせます。全寮制女子校で育ったせいか、中年男性に朝のストレッチに誘われただけでこの斜め上の思考になる唯里にも問題はあります。

しかし、「おじさんと一緒に気持ちいいことしよう」と誘う牙城もなかなかの策士だといえるでしょう。そんな行く先々で女性を惚れさせる天才である牙城がなぜ獅子王機関のもとにいるのかというと、それには深い理由があったのです……。

著者
三雲岳斗
出版日
2015-02-10

古城の父親である牙城が不意打ちで気絶させられた上、座敷牢に放り込まれるところから今作は始まります。牙城の監視にあたるのは獅子王機関の攻魔師である少女、唯里と志緒です。

彼女たちは牙城を監禁する指示を出したのは牙城の母であり古城の祖母である緋沙乃だとだけ告げます。しかし、牙城は出された食事などから、獅子王機関が自衛隊と連携していることや、「聖殲」の遺産である「黒殻」に関する作戦が始動したことを悟るのです。

そんな、わずかな情報からでも真実にたどり着くほど洞察力に優れた牙城でしたが、牙城は実は古城と凪沙の記憶がほとんどないということが明らかになります。なんと牙城は第四真祖の復活の後遺症により記憶が喰われていたのです。

それでも牙城は自分の子どもたちを悲しませないため、事前に周到な準備を施し、必死の演技を続けることによって、子どもたちの記憶がないことを古城たちに悟らせないようにしていたのでした。そんな中始まる作戦は、第四真祖に関わるものでした。

緋沙乃は、凪沙をつかって、作戦の中でアヴローラを完全に殺そうと計画していたのです。しかし、アヴローラの魔力の暴走によって作戦は失敗し、湖底に眠っていた災厄が覚醒してしまいます。

それが「咎神の情報の器」と呼ばれる龍族の少女グレンダでした。咎神とは、カインを意味しており、グレンダはカインに関わる情報を持つかなり重要な存在だとされます。そのグレンダを「聖殱派」と呼ばれる、魔族や魔術などがない世界を取り戻そうとする団体が狙うのです。

一方古城と雪菜は、獅子王機関の長老の「静寂破り」により意識を失ったはずでしたが、目覚めたら本土の温泉旅館にいるなど、あっけなく本土入りします。この世界の理が絡み合う今作。果たして凪沙は無事に助かるのでしょうか。

存在の半分が「あちら」の世界にあるという牙城のゲームも真っ青の異能力の発動もお見逃しなく。

13巻:味方は敵なのか? それぞれの思惑に迫る

「今日も雪菜ちゃんと……一緒なの?」
(『ストライク・ザ・ブラッド』13巻より引用)

雪菜と買い出しをしてから帰る、と言った古城に、凪沙はぽつりとつぶやきます。自分でも無意識に出た言葉は、まるで雪菜への嫉妬から出た言葉そのものでした。

とまどう凪沙が自分の違和感に気づくまで、あとわずか――。

著者
三雲岳斗
出版日
2015-06-10

今作で、古城たちは島暮らし特有の危機に瀕します。それが、兵糧攻めです。絃神島は太平洋に浮かぶ島であり、本土と橋でつながっているわけではありません。そのため、船舶と航空機のみが本土からの輸送経路なのです。

しかし、船舶は故障や座礁、航空機は乱気流の影響で絃神島に辿りつけない状態になってしまいます。絃神島が孤立する中、人工島管理公社の要人が次々に暗殺されていく事件が起こるのです。

輸送経路の断絶と人工島管理公社の要人の暗殺、それらはすべて仕組まれたものでした。首謀者は「魔族特区」破壊集団である「タルタロス・ラプス」。絃神島を破壊しようとする彼らの手から古城たちは島を守れるのか……というのがメインテーマとなっています。

しかし、事件はそれだけではありません。凪沙がアヴローラの魂による精神の侵蝕に悩まされることになるのです。凪沙はやけに古城を意識してしまうことに苦しみ、感情を抑えられずに学校を抜け出してしまいます。そこで出会ったのが、少女ディセンバーでした。

なんと、そのディセンバーこそが「タルタロス・ラプス」のリーダーであり、10番目のアヴローラだったのです。このアヴローラは12番目が古城を従者にし、その後第四真祖としての力を譲って消滅したこともあって、実は古城に好意的であるというのが今作の重要な点となっています。

そのためテロ組織「タルタロス・ラプス」も単なるテロ組織ではないのです。特に、「タルタロス・ラプス」からのサイバー攻撃に対処する浅葱が、その作業中、人工島管理公社のもつ裏の顔と、自身にまつわる世界の秘密を知ってしまう部分は見所の一つでしょう。

今回の魅力は、テロ組織の構成員がそれぞれ個性的に、一個一個の人格として描かれているところにあります。さらに、クラスメートの矢瀬の父親が登場したり、ヴァトラーが不穏な動きを始めたりと、脇役たちが今後の展開を左右する様子を見せるのです。

さらに那月を魔女に導いた「先生」の登場と彼の消失は涙なしでは読めません。

14巻:その指輪は、彼の身体の一部

「赤く透きとおった液体を数滴、小さな器の上に垂らす。周囲にふわりと広がったのは、甘く刺激的な芳香だった。」
(『ストライク・ザ・ブラッド』14巻より引用)

とうとう古城が人前で血液を楽しげに飲み干すように……と思いきや。実際は自分で作ったトマトスープの味見をしていただけという冒頭から14巻は始まります。

古城の作るスープは島のみんなへの配給のためのものです。これは「タルタロス・ラプス」によるテロ事件を防げなかったことにより島の食糧庫が燃えてしまったことに対する、古城の罪滅ぼしでした。

著者
三雲岳斗
出版日
2015-11-10

13巻での島へのサイバー攻撃事件は「タルタロスの薔薇」と呼ばれ、サイバー攻撃を自身の技術で防いだ浅葱は、絃神島を救ったアイドルとして祭り上げられます。人工島管理公社は島の復興のために浅葱に仕事を依頼したり、アイドルとして歌を歌う浅葱のプロモーションビデオを放映したりするのです。

しかしそれらは全て、人工島管理公社による、浅葱を幽閉した事実を隠ぺいするための策略だったことが明らかになります。浅葱を救うために動き出す古城と雪菜でしたが、雪菜の身体に異変が起こり始めるのでした。

今作の魅力は、絃神島に秘められた「聖殲」の真実と、雪菜が獅子王機関から与えられた「七式突撃降魔機槍」である「雪霞狼」に隠された秘密が明らかになるところにあります。なんと「七式突撃降魔機槍」には、魔族に対抗するための神格振動波により、使用者を天使化させてしまうという副作用があったのです。

天使化するということは、消滅してしまうことを意味します。これまでにも、剣巫だった少女が天使化により消滅した事件が起きており、それがゆえに獅子王機関を憎んでいる敵も現れるのです。

そんな今巻では、雪菜と古城の関係性が見所です。まず、雪菜が天使化検査キットの結果を見て挙動不審になる姿はまるで妊娠検査キットを見ておののいているようにも見えます。さらに、古城が雪菜に天使化を抑える指輪をはめるシーンはまるで、妊娠が発覚した雪菜に古城がプロポーズしているようにも見えるのです。

全てが終わり、日常に帰ってきた浅葱が、検査キットの話を又聞きし、さらに雪菜の指にはまる指輪に目を留めたシーンをお見逃しなく。

15巻:第一部完結!古城よ、覇者となれ

「“魔族特区”で売られている菓子の中には、特定魔術食品と呼ばれる、魅了や媚薬効果などの効能をうたった製品がある。」
(『ストライク・ザ・ブラッド』15巻より引用)

バレンタインも間近に迫ったある日のこと、凪沙に連れられて商業施設「テティスモール」にやってきた古城は、バレンタイン特設スペースに連れ込まれていました。誰が誰にチョコを贈るか……といった会話がされる中、外に出た古城は浅葱の姿を目にします。

なんと浅葱は、美少年と待ち合わせた上に、2人で高級スポーツカーに乗って去っていったのです。その美少年はヴァトラーの腹心ともいわれる「旧き時代」の吸血鬼でした。

著者
三雲岳斗
出版日
2016-05-10

今巻で『ストライク・ザ・ブラッド』は第一部が完結します。そのため、かなりボリュームのある構成です。

古城が龍族の娘グレンダを賭けて吸血鬼ヴェレシュ・アラダールと決闘する羽目になったり、三人の真祖たちを擁する超国家組織「聖域条約機構」が禁呪「聖殲」の祭壇である絃神島の破壊を決定したりと、古城の周りにきな臭さが漂います。

それだけではありません。「聖殲」の叡智を手に入れたヴァトラーがグレンダを利用して咎神カインの「遺産」を召喚して真祖たちとの全面戦争を引き起こそうと画策するのです。

世界から魔族や魔術といった魔法の力を失わせようとするヴァトラーと、世界から魔法を失わせる可能性を全て排除しようとする「聖域条約機構」。世界を二分する戦いを、「最強の吸血鬼」である第四真祖の古城は止めることができるのでしょうか。

今作の魅力は、浅葱と雪菜の戦いにあります。2人とも古城を思い、古城にとって一番いいと思える未来を作り出すために動くのですが、その考え方の違いにより対立することになるのです。

古城が第四真祖として絃神島の支配者となるラストシーンまで、息もつかせぬ速度で駆け抜けます。

16巻:新章の始まりは最弱スタート?

「古城が、右腕を高く頭上へと掲げた。彼の全身から噴き出したのは、暴風にも似た濃密な魔力の奔流だ。その凄まじい圧力に待機が震え、雫梨の頬が青ざめる。」
(『ストライク・ザ・ブラッド』16巻より引用)

新章の始まった『ストライク・ザ・ブラッド』。新たに登場した少女たちに囲まれた古城は恰好をつけて眷獣を呼び出そうとし……見事に失敗します。古城に一体何が起きてしまったのでしょうか――。

著者
["三雲 岳斗", "マニャ子"]
出版日

今作では、部隊が極東の「魔族特区」恩莱島に移ります。なんと、古城は記憶喪失かつ瀕死の状態でこの恩莱島に流れ着いていたというのです。

修女騎士の少女、雫梨は、古城に対し、古城が世界最強の吸血鬼「第四真祖」であり、自分はその監視者だと告げます。しかし古城は吸血鬼の能力をほとんど使えない状態に立ってしまっていたのです。

古城は恩莱島内の攻魔師養成機関「攻魔高専」に編入することになるのですが、攻魔師としての過酷な修行を行いつつも、美少女だらけのチームの仲間たちとともに平穏な日々を送り始めます。

そんな今作の魅力は、とにかく新しく登場する少女たちにあります。話が進むまで雪菜や浅葱が登場しないのはさみしい部分もあるのですが、その分、年下の雫梨が時に厳しく、時に優しく、かなり親身に古城の世話を焼くのです。

そんなこともあり、雪菜と雫梨の監視者対決が勃発します。これまで、ずっと古城を監視し、恋に落ち、消滅の危機を救われる関係にある雪菜は、ぽっと出の少女に負ける気はさらさらありません。

しかし一方、雫梨も弱い状態の古城を支え、全寮制の学校でともに戦ったり、レポートを書いたりと濃密な日々を過ごしており、一歩も引く気配を見せないのです。

そんな火花散る2人でしたが、実は恩莱島は空間どころか時間の流れさえもゆがめられた監獄結界の中の世界でした。しかし、ここでの経験が古城をまたパワーアップさせたことは間違いないでしょう。

終章において登場する吸血王(ザ・ブラッド)が今後の鍵を握ることを予想させる今作。『ストライク・ザ・ブラッド』の勢いはとどまるところを知りません。

17巻:愛は未来に助けられる

「馬乗りの姿勢で見下ろしてくる少女を、古城は見上げて呆然とうめいた。はらり、と方から毛布が滑り落ち、彼女の未成熟な裸身があらわになっている。」
(『ストライク・ザ・ブラッド』17巻より引用)

目を覚ました古城の隣にいたのは、裸の雪菜でした。わたしの身体をこんなふうにした責任を取ってください、と雪菜は巨大化した犬歯を古城に向けます。

著者
["三雲 岳斗", "マニャ子"]
出版日

まさか古城のせいで雪菜が吸血鬼になってしまったのか、と思わせる17巻の冒頭でしたが、実はこれはただの古城の夢でした。現実には雪菜は犬歯が大きくなることもなく、通常通りの日常がやってきます。

もっとも、通常通りというには少し違いました。雪菜たちが高校に進学したことで、古城の後輩として同じ高校に通うことになったのです。そんな新生活は、古城と雪菜の娘である零菜がやってくることで一変します。

零菜は未来からこちらに現れたかと思えば、雪菜を殴って一発ノックアウトさせ、その制服を奪ってこの世界を動き始めるのです。さすが雪菜の娘だけあって腕っ節の強さは素晴らしいものだといえるでしょう。

面白いのはそれだけではありません。絃神島に突如未確認魔獣が現れます。その魔獣との戦闘には、16巻で古城とチームメイトであった琉威や優乃が登場するのです。そして、魔獣退治の専門家である「太史局」の霧葉も久々に登場します。

しかしそんな中、雪菜の武器である「雪霞狼」が魔獣を食い止めた衝撃で折れてしまうのです。武器のない雪菜では古城の監視役は出来ないとして、雪菜は監視役から外されてしまいます。

さらに、日本政府から獅子王機関に対し、雪菜では監視役に不十分だとして監視役の変更要望が出されてしまうのです。このまま雪菜は古城の前から姿を消してしまうのか……とやきもきさせられる展開に。

しかし、今作の魅力ははここからです。なんと、獅子王機関により輸送される折れた聖槍「雪霞狼」を強奪する人物が現れます。その人物こそ、古城との愛の結晶である零菜でした。

超巨大化した魔獣を前にし、古城と零菜、そして零菜の未来技術により直された「雪霞狼」を得た雪菜が力を合わせて立ち向かうシーンは圧巻です。

18巻:アルディギアを舞台に事件発生!?

奴を敵に回すのではない。殺すのだ。
頭蓋をかち割り、四肢を引き裂き、
二度と復活できないように聖光で焼き尽くして灰にしてくれる!(中略)
血に飢えた凶悪な成り上がりの王——
”第四真祖″暁古城をな!
(『ストライク・ザ・ブレッド』18巻より引用)

雪菜たちも古城と同じ高校へ通うようになって少し経ち、古城はゴールデンウィークを楽しみにしていました。そんな彼の前に、獅子王機関の舞威姫・紗矢華が現れて……。

著者
["三雲 岳斗", "マニャ子"]
出版日

古城の前に現れた紗矢華は、アルディギアの第一王女ラ・フォリアからの手紙と、平和記念式典の招待状をもってきていました。そんなものをもらっても最初は行く気のなかった古城でしたが、前アルディギア国王の隠し子であり、彩海学園の仲間でもある叶瀬夏音が式典に参加することを知り、彼女の護衛も兼ねて参加することにするのです。

しかし、そこで空間転移術によって送り込まれた、魔獣の襲撃から始まるテロに巻き込まれてしまいます。そのなかで第一王女ラ・フォリアと、彼女を守ろうとした雪菜もさらわれてしまうのです。

2人の行方を追い、古城たちは動き出します。テロ事件が起きてからは、事件解決までの流れももちろん見所の1つなのですが、見逃せないのはやはり古城と雪菜が仲良くしていたり、古城とラ・フォリアの軽妙なやり取りなどの部分でしょうか。

本巻のエピソードはOVA作品をノベライズしたものだそうで、OVAを見たことがあれば、すでに内容はご存知でしょう。文字になったことで、新しく発見のできる部分を探してみるのもおもしろいかもしれませんね。

「最強」とうたわれる吸血鬼が実は弱く、徐々に強くなってゆく姿を楽しめる『ストライク・ザ・ブラッド』。眷獣を呼び出すために少女たちが主人公の性欲をかきたてようとする姿は刺激的な魅力があります。まだまだ広がる世界観に、今後も目が離せません。