お酒をメインに据えたラブラブ夫婦のコメディ漫画『お酒は夫婦になってから』。アルコールだけでもない、ラブだけでもない、どちらも混ざったカクテルのような作品です。2017年10月よりアニメ化が予定される本作最新刊6巻までご紹介!ネタバレを含むのでご注意ください。
- 著者
- クリスタルな 洋介
- 出版日
- 2015-10-09
お酒。それは人類の至宝。
お酒。それは楽園の一滴。
お酒。それは大人だけの特権。
お酒。未成年の飲酒は禁止されています……。
お酒は二十歳になってから、というコピーは耳慣れた言葉ですが、この作品に限っては『お酒は夫婦になってから』。それはどういう意味なのでしょうか?
本作は、本音を出すのが苦手な主人公のちーちゃんこと千里と、彼女の夫ソラの甘々な日常の記録です。本作で紹介されるのはお酒のなかでも特にカクテル。レシピをラブラブな夫婦の生活と混えて紹介する、グルメ漫画ならぬカクテル漫画なのです。
カクテルを供するのは優しい夫のソラ。美味しくいただいて頬を緩ませるのはちーちゃん。外用のクールな仮面を外したちーちゃんの無防備な笑顔は、ソラだけでなく読者のハートも一撃必殺間違いなしです。
もしかすると本作は、心を丸裸にしてしまう特別な飲み物だからこそ、「お酒は夫婦になってから」飲むのが一番楽しくて安心できる、ということを表現しているのかもしれません。
2017年10月からテレビアニメも放送される本作。ここではそんな人気作『お酒は夫婦になってから』の魅力をお伝えしたいと思います。
- 著者
- クリスタルな 洋介
- 出版日
- 2016-01-12
主人公の水沢千里は頭の切れるキャリアウーマン。怜悧な眼鏡をバッチリ決めて、一分の隙もなく仕事をこなすところから、同僚にはクールな女性だと思われています。
そんな彼女には、裏の顔がありました……。
実は千里はただ感情表現が苦手で、本音を見せることに苦労しているだけ。本当は甘えん坊のとても可愛らしい女性なのです!
彼女が唯一本音を出せるのが、夫である水沢壮良(そら)。ただ、その夫に対しても普段は遠慮しがちです。
夫になった人にさえちょっぴりガードの固い千里の本当の姿は、夫の前でお酒を飲んだ時だけに見られます。そんな安らぎの時間には、夫婦ならではのほのぼのとした雰囲気が漂っています。
家事万能の壮良が、その時々の千里にぴったりのお酒を出すたび、会社とはまったく違った千里の可愛らしい一面が顔を覗かせる、カクテル×日常イチャイチャ漫画です。
- 著者
- クリスタルな 洋介
- 出版日
- 2016-05-12
水沢千里はとあるPR会社の28歳美人主任。社員の誰もが認める優秀な人材ですが、無口無表情で、あまり人付き合いはよくありません。しかも千里は日本人の父と、日仏ハーフの母と持っており、スタイルも抜群。それによってより孤高の存在になっているところもあるのでしょう。
しかし愛する夫、ソラの前でだけは幾分か表情が和らぐ彼女。さらにアルコールの力を借りることによって、ようやく心に秘めたさまざまな感情を外に出せるようになるのです。
酔った彼女は夫ラブな気持ちをまったく隠さず、デレデレ!お酒を飲んで「しふくぅぅぅ」と言うのが決め台詞です。
現代風ツンデレと言いますか、クーデレと言った方が適切かもしれないですね。千里は控えめな性格で、常に言葉使いに注意しているので無口気味となり、結果的にクールな女性に見られてしまうのです。
ちなみにクーデレは「クール+デレデレ」の造語で、「ツンツン+デレデレ」のツンデレから派生した概念。ツンツンとクールでは少しニュアンスが違いますが、広義のツンデレということで問題はないでしょう。
普段は表に出さないものの、夫大好きな奥様、千里。相思相愛の恋愛結婚なのに、未だに素面で本心を見せるのが恥ずかしいというウブっぷり。
ウィンドウショッピングでは自分の新しい洋服より、ソラに似合う(と彼女が思ってる)服を優先するという一途さがあります。ソラが実際に来た時の彼女の蕩けようは一見の価値ありです。
本当にどれだけ彼のことを思っているのか、あきれることもあるほど、ソラのことが大好き。そんな一途さもまた彼女の魅力なのです。
そんな千里をアニメで演じる声優は喜多村英梨。クール役、ツンデレ役に定評のある喜多村演じるちーちゃんが今から楽しみですね!
- 著者
- クリスタルな 洋介
- 出版日
- 2016-08-12
ちーちゃんの愛しの旦那様、水沢壮良。愛称ソラは、在宅の家具デザイナー兼不定期バーテンダー兼主夫。非常に優しく穏やかで、でも決める時は決める理想の男性像です。
ほとんど全ての回で、外出から戻ってくるちーちゃんを迎え入れる、包容力の塊と言えるキャラクター。言うなれば存在自体が「家」の象徴。何があってもちーちゃんを優しく包み込みます。
その包容力から外ではクールに見られるちーちゃんの数少ない理解者であるソラ。しかしそれだけでなく、彼がすごいのは自分(ソラ)にも言えないちーちゃんの複雑な心中を察して、先んじて何か行動に移して彼女の気持ちを促すことまでも出来るということ。
それもまたちーちゃんへの愛の成せる技です。本当に相思相愛の夫婦。ごちそうさまです。
ちーちゃんの本音を引き出すきっかけはやはりカクテルなのですが、ソラはちょっとした完璧主義者で、カクテルも、ほとんどは自分で作り上げてしまいます。過去にバーに勤めていた経験からアルコールに詳しく、ちーちゃんの様子を見て最適な1品を最高のタイミングで出す姿には天才めいたものを感じます。
気分が晴れない時にはスカッとするソーダ系のカクテル、まったりしたい時にはコーヒーリキュールなど、多彩なバリエーションを誇るのにも驚かされます。さらに本格的なレシピや豆知識だけではなく、簡単バージョンのレシピまで添えられているので、自作カクテル初心者が挑戦する場合でも役立つ情報が乗っています。
レッドアイやシャンディガフなどはビールを割るだけなので簡単ですが、カクテルはものによって材料を揃えないといけないので、本格的にやろうと思うと少し大変。ちょっとした一手間で再現出来るレシピが掲載されているというのはありがたいですね。
最高のおもてなしをちーちゃんにふるまい、それでいて主夫の仕事は全てこなし、運動も得意なソラ。しかもちーちゃんだけでなく読者への心遣いもにくいという、完璧という言葉がふさわしいほどの高スペック男性です。
アニメで彼の声を担当するのは、ゲーマーとして知られる市来光弘。安定した評価のある市来のソラは、どのようにカクテルを紹介してくれるのでしょうか。
- 著者
- クリスタルな 洋介
- 出版日
- 2016-12-12
お待たせしました。本作最大の見所、いちゃいちゃです。「夫婦喧嘩は犬も食わない」ということわざがありますが、水沢夫婦にかかっては「ラブラブ夫婦は犬も寄せ付けない」と言ったところでしょうか。ふたりの愛の空間には誰も入る隙がありません。
ちーちゃん、ソラがお互いに想い合っているのはここまででご紹介済みですが、ふたり一緒になるとその甘々っぷりは加速度的に増大し、さながら水沢家は砂糖菓子の城と化します。
ちーちゃんの素直じゃないツンデレっぷりはふたりきりでも発揮され、読者の心を少し不安にさせます。このまま険悪な雰囲気になってしまうのではないか、ちーちゃんが誤解されることもあるのではないか……。
しかしそこは優しいパーフェクトガイ、ソラ。ちーちゃんの不安定な様子を察して、彼が特製カクテルを差し入れると、ちーちゃんの強ばった表情が氷のように溶けるのと同時に、読者の心も一気安堵。まさしくカタルシスの解放となって、ただただ甘々な海に放り出されることになります。
「す――きっ」
「今日も酔ったちーちゃんはカワイイ」(『お酒は夫婦になってから』1巻より引用)
素直なふたりの相思相愛っぷりが発揮されたこのワンシーン。第1話のものなのですが、最初っから飛ばしています。
梅スプレッドで氷解したちーちゃんの、幼児退行にも似た甘えっぷり。蕩ける表情が何よりも雄弁に気持ちを伝えてきます。そしてそんなゆるゆるになってしまった彼女に、困惑するどころかむしろウェルカム状態のソラ。
もう好きにしてくれ、と読者を心の底からイチャイチャでお腹いっぱいにさせるラブラブ夫婦。これこそが最大の魅力なのです。
今回もさまざまなカクテルとともにラブラブっぷりを発揮してくれたちーちゃんたち。6巻では全体的にそのラブラブっぷりにさらに拍車がかかっているように感じられます。
しかし今回は甘々!というよりはほっこりするエピソードをご紹介。ふたりはほとんど登場しませんが、心にじんわりと沁みるお話です。
- 著者
- クリスタルな 洋介
- 出版日
- 2017-05-12
今日はクリスマス。街ではサンタの格好をした販売員たちがケーキを売っていました。そのなかのひとりの少女は恥ずかしくてうまく売り出しができず、挙げ句の果てに足を滑らせて道ゆく人にぶつかってしまいました。
ぶつかられた相手はちーちゃん。必死に謝る彼女とその上司に対して、仮面モードな彼女は無愛想に(見えるだけですが)大丈夫です、と返事をします。
そしてすべてがうまくいかず、泣きそうになっている少女に、ちーちゃんは少し微笑んで「それ、取っておいてください」とケーキを見るのです。
そのあと、何となく彼女の優しそうな雰囲気に励まされた少女は精一杯売り子に励みます。
そして夜になり、ついに残りのケーキは最後の1個。取っておかなきゃ、とおそるおそる言う少女でしたが、予約した訳でもないし、店の上司は売ってしまおうとします。
そこにひとりの男性がやってきて、シャンパンと一緒にそのケーキを購入。少女は昼間見た、ぶっきらぼうだけど優しそうな外モードのちーちゃんの顔を思い浮かべ、少し暗い顔でお礼を言います。
そのあと制服に着替え、帰り道を歩く少女。「あの人。来なかった…な…」とつぶやいているところに、前からちーちゃんが走ってくるのです。
青ざめてマフラーで顔を隠す少女。店のシャッターの前で立ち尽くす彼女に、少女は勇気を出して声をかけようとしますが、その横から先ほどケーキを買った男性が彼女に近づいていくのです。
そう、実はケーキを買ったのはソラだったのです!
このあとのふたりの最後の会話は、家の外ということ、ちーちゃんが酔っていないことによっていつものような甘々なものではありませんが、読んでいてほっこりさせられるもの。
そのふたりが去っていく背中を見て、少女は「メリークリスマス」と声をかけました……。
ふたりのいつもとは違うスローで優しい甘さの会話を、ぜひ作品でお確かめください。作中ではホワイトクリスマスとなり、冬ならではの寒さを感じる描写がいくつかありますが、心があたたまるエピソードです。
いかがでしたか? ふたりの愛の詰まったこの1作。気の置けないパートナーをすぐに用意することは難しいですが、心をほぐす1杯ならすぐに作れることでしょう。本作のレシピを参考に是非一度カクテル作りに挑戦してみてください。