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小説『デュラララ!!』の魅力を全巻ネタバレ紹介!

更新:2020.11.27 作成:2017.9.4

2004年に1巻が発売されて以降、高い人気を誇るライトノベル『デュラララ!!』。多くの個性的なキャラクターが目まぐるしく登場する群像劇を得意とする、成田良悟の代表作です。2014年に最終巻である13巻が刊行されましたが、その人気は続編である『デュラララ!! SH』へと引き継がれています。ここでは、完結した全13巻をご紹介します。

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『デュラララ!!』とは

小説『バッカーノ!』などで知られる作家、成田良悟によるライトノベルシリーズで、2004年に第1巻が刊行され、約10年の期間をかけて2014年に最終巻が刊行されました。2009年にはコミカライズやテレビアニメ化もされています。

基本的な舞台は東京の池袋であり、そこに集う多くの登場人物の視点で描いた群像劇です。しかしそこに集うのは人間だけではなく、首のない妖精の一種「デュラハン」や、妖刀の宿った少女などオカルト的な存在も多数登場します。

シリーズを通しての主人公はいるものの、その視点だけを追うわけではなく、さまざまな視点とさまざまな事象が絡み合いやがて収束していく展開が特徴で、ジャンルも、オカルト、ホラー、ミステリー、ファンタジー、青春、ギャングなど登場人物同様に入り混じっている物語です。

次々に登場するキャラクターに目が回る!?『デュラララ!!』1巻

いま池袋では「ダラーズ」っていうチームがすごいらしい……そんな話で盛りあがるチャットルームで、ある噂話が広まります。それは、黒いバイクについて。

あれは人間じゃない、死神だ、という噂で盛りあがっているころ、ある地下駐車場で「仕事」をしていたチンピラたちが、全身黒ずくめのライダーに襲われて……!?

著者
成田良悟
出版日
2004-04-10

本作の主人公は、池袋の都市伝説になっている「首なしライダー」ことセルティ・ストゥルルソンという女性。彼女は、物語の冒頭に出てくるチャットルームで、人間ではない、死神だと噂されている黒ずくめのライダーと同一人物です。

彼女が人間ではないというのは実は噂通りで、「デュラハン」と呼ばれる首と胴体が別れたアイルランドに伝わる妖精の一種。本来は小脇に自分の首を抱え、死期の近づいた人間のもとを訪れる存在なのですが、何者かに首を奪われ、自らの首を追って池袋にやって来ました。

一見すると恐ろしそうな存在の彼女ですが、本作に描かれているセルティはとても可愛らしく、裏稼業をこなし、普通に恋をし、恋人の喜ぶ姿を想像して幸せを感じるようなキャラクターです。うっかりすると頭のない姿を忘れてしまいそうな雰囲気もあり、時折彼女の異形な姿の描写を見ると、思わずドキッとしてしまうこともあるでしょう。

シリーズを通しての主人公であるセルティですが、第1巻ではあまり登場回数は多くありません。どちらかというと竜ヶ峰帝人(りゅうがみねみかど)という男子高校生の登場が多く、彼を主人公と思う読者も多いはずです。

ごくありふれた平凡な少年で、非日常に憧れるといった側面を持った彼は、幼馴染で親友の紀田正臣(きだまさおみ)と共に池袋にある来良学園(らいらがくえん)に進学。ひとり暮らしをしながら通っています。最初は普通だった彼が、物語の進行と共に変わって行く様子は必見です。

次々に登場人物が登場するので、まだ始まりである本巻では少し混乱する方もいらっしゃるかもしれません。ただ、キャラクター1人1人の個性はとても強烈で、名前と姿が一致しなくても、各エピソードの印象は確かに頭に残ります。話のスピードやキャラクターの多さ、群像劇ならではのさまざまな視点とエピソードの絡み合いに、不思議な中毒性を感じてしまう第1巻です。

妖刀「罪歌」を身に宿した少女・杏里!!『デュラララ!!』2巻

池袋にある来良学園。そこに通う園原杏里(そのはらあんり)は、学級委員も務める優等生ですが、大人しくてあまり自己主張をしないタイプの女の子でした。

そんな彼女は、来良学園に入ってからクラスメイトの竜ヶ峰帝人とその幼馴染の紀田正臣と親しくなっています。しかし、自分の存在、そして自分の「立ち位置」に葛藤を覚えている杏里は、帝人からの好意に気が付いているものの、どうしたらいいかわからずにいて……。

著者
成田 良悟
出版日
2005-03-10

冒頭で登場する女子高生の園原杏里は、学級員も務める優等生で、中学生の頃は友人の張間美香(はりまみか)の引き立て役をさせられていたような大人しいタイプです。高校に入ってからは、美香に彼氏が出来たことからその引き立て役すらなくなり、自分はどういう存在なのだろうと悩んでいました。

そんな、一見すると思春期らしい普通の少女なのですが、実は彼女、その身に妖刀「罪歌(さいか)」を宿した人間です。この妖刀はもともと杏里の母親の持ち物でしたが、ある事件をきっかけに彼女に宿ることになりました。

「罪歌」は「全ての人間を愛する」という人格を持っており、この刀に斬られた者のことを「罪歌の子」とし、その意識を杏里の支配下に置くことができるようになります。「罪歌の子」はさらに他の人間を「子」にすることができますが、このあたりの事象はシリーズが進むにつれて物語に深く関わっていくことになるので、チェックしてみてください。

杏里の友人には帝人と正臣がいます。正臣は帝人を来良学園に誘った張本人で、中学時代にカラーギャング「黄巾賊(こうきんぞく)」というチームのリーダーを務めていました。ある事件をきっかけに離脱しているのですが、この辺りもまたシリーズが進むにつれて変化していくことになります。

本巻で登場するキャラクターのほとんどは前巻で登場したキャラクターなので、まだ始まったばかりで顔見せ程度だったキャラクターにもどんどん肉付けがされ、深みを増していくような印象を受けるでしょう。とはいえ、シリーズを通して物語はやっと序盤に入った程度。ここからますます物語が加速していくので、既に散りばめられている伏線にも注目して、ぜひ続刊と合わせて手に取ってみてください。

首なしライダーの天敵登場!?『デュラララ!!』3巻

セルティ・ストゥルルソン――真っ黒なライダースーツを着込んだ姿は周りから男と思われがちですが、実際は女性です。そして、人間でもありません。彼女の正体は、「デュラハン」と呼ばれる首のない姿をした妖精でした。巷で「首なしライダー」と呼ばれている正体こそ、彼女だったのです。

その日、セルティは自分を追いかけてきた白バイを撒くため、自ら首のない頭と死神のような大鎌を振り回しますが、そんな異形の姿に恐れることもなく、交通機動隊員は彼女に向かってきて……!?

著者
成田 良悟
出版日
2006-08-10

池袋の生きる都市伝説とも言える「首なしライダー」ことセルティは、人間ではありません。タロットカードに描かれた死神の持つ鎌のような大鎌を振りかざし、馬のいななきをする黒いバイクにまたがる彼女は、普通の警察程度に捕まるような存在ではありませんでした。しかし、そんな彼女にトラウマレベルの恐怖を与える警察が現れるのです。

それは、葛原金之助(くずはらきんのすけ)という白バイ隊員。交通違反者を追跡しすぎて事故を起こさせてしまうような問題の多い警察官ではありましたが、その卓越したバイクの運転技術と、人智を超えた人間外の存在に対してもまったく動じない精神ゆえに、セルティの天敵のような存在となっていきます。

ちなみに葛原一族には警察官が多く、シリーズ上では彼の他にも東京で婦警をやっている葛原真珠が登場するので、チェックしてみてください。

そんな天敵が現れ、いよいよ身辺が賑やかになってきたセルティですが、彼女にはとても大切な存在がいます。それが、岸谷新羅(きしたにしんら)という男で、セルティの恋人であり同棲相手です。彼は幼い頃からセルティと関わりがあった闇医者で、解剖好きな変人ではありますが、首を持たないセルティの理解者として、物語に深く関わっていくことになります。

セルティにとって新羅の存在は非常に大きな部分を占めており、セルティの行動を決定付けることもある重要なキャラクターです。

そんな2人の恋の行方も気になるところではありますが、本巻でぜひ注目してもらいたいのは、紀田正臣の過去の話です。正臣は、前巻でスポットを当てられていた杏里の友人であり、カラーギャング「黄巾賊」のリーダー。彼が「黄巾賊」を作ったのは中学時代ですが、ある事件が起きて「黄巾賊」を抜けていました。

その事件に関わっていたのが、折原臨也(おりはらいざや)という人物。あらゆる事件にその影をちらつかせている臨也に対しての正臣の感情や、杏里や帝人との関係性を覗き見られる巻なので、3人のファンの方は要チェックです。

双子の妹・クルリとマイル登場!!『デュラララ!!』4巻

「首なしライダー」――その存在はもはや、「現代の謎」を代表するものとして池袋に根付いていました。しかし、そんな謎の張本人であるセルティはというと、世界的外資系企業「ネブラ」の製薬部門に勤めているエミリアのもとで、人体実験のアルバイトをしていました。

1週間100万円の手当てを手にし、婚約者の新羅に新しい眼鏡でも買ってあげようかと考え、幸せな気分になっていたセルティでしたが、そこに「首なしライダー」の正体を暴こうと取材をしていたテレビ局員が声をかけてきて……。

著者
成田 良悟
出版日
2008-03-10

本巻から新しい物語が始まる雰囲気で、それに伴い新しいキャラクターも続々登場します。そのなかに、折原臨也の双子の妹、折原九瑠璃(おりはらくるり)と折原舞流(おりはらまいる)というキャラクターがいます。

臨也は新宿を拠点に活動している情報屋です。さまざまな事件の裏に存在している節があり、新羅の友人でもあります。すべての人類を愛していると公言しており、ある思惑からセルティの首を狙っていました。

そんな彼が苦手にしている人物が、九瑠璃と舞流の妹たちです。彼女らは双子ではありますが、正反対の容姿や性格をしています。 双子の姉である九瑠璃がショートカットのグラマラスな体格をしているのに対し、妹の舞流は三つ編みで細身の体格。

しかし、性格は2人とも容姿のイメージとは反対で、九瑠璃は物静かなタイプで、舞流は明るいさっぱりとしたタイプです。ただし、チャットルームでは2人とも性格が入れ替わるというややこしいところもあります。

他にも新たな登場人物がたくさん登場するうえ、時間軸もあちこち飛ぶ構成になっているのも本巻の特徴。そのため、1巻の時のようにちょっと混乱をしてしまう方もいるかもしれませんが、そういった時はぜひ何度か読み直してみてください。一読するだけではわからなかった伏線やキャラクターの行動の意味が見えてくることがあるはずです。

埼玉の暴走族「To羅丸」が動き出す『デュラララ!!』5巻

ゴールデンウィークの池袋。長期休暇真っ最中のサンシャイン60通りは、多くの人で賑わっていました。その一画、若者の集うゲームセンターに、ひとりの大男の荒っぽい声が響きます。

彼の後ろを怪我をした女性が追いかけてきており、大男はどうやら万引きか強盗らしいとわかりますが、通行人たちは大男の迫力に手を出すことができません。すると、それまでゲームセンターで女の子に囲まれていたひとりの青年が、大男の前に立ちふさがります。

頭には包帯を巻き、目には眼帯、絆創膏まで付けている青年は一見すると大人しそうな印象を受けますが、その体からくり出された蹴りは容赦なく大男の鼻を粉砕して……!?

著者
成田 良悟
出版日
2009-03-10

物語の冒頭から大暴れしている怪我人の男――彼の名前は六条千景(ろくじょうちかげ)と言い、埼玉を拠点とする暴走族「To羅丸(とらまる)」の総長です。極度のフェミニストでスケコマシな彼は、女性に対しては徹底的に庇護しようとし、同時に女性に手をあげる男に対しては一切の容赦をしません。

そんな千景は、「To羅丸」のメンバーが「ダラーズ」を名乗る人物に襲われた仇討ちとして「ダラーズ」を襲撃しますが、 後に和解して意気投合することになる人物こそ、門田京平(かどたきょうへい)という男でした。

京平はとある事件をきっかけに元々所属していたチームを脱退し「ダラーズ」に加入した男なのですが、喧嘩が強く、優れた洞察力や判断力を持っているため、本人に自覚はないものの「ダラーズ」の顔のような立場になっています。

前巻までは、時系列がバラバラで読む際にやや混乱してしまうこともありましたが、本巻では時系列は順序立てられており混乱することはありません。臨也の登場も多くなっているので、彼のファンの方も必見です。

また本巻は後の6巻と前後編になっているので、一気読みしたい方はぜひ後編となる次巻も合わせて用意してから読んでみてください。

黒幕感あふれる臨也の存在『デュラララ!!』6巻

ゴールデンウィークの熱気もピークを迎える5月4日。「To羅丸」は、「ダラーズ」に所属するチーマーを脅しつけ、「ダラーズ」に登録しているチームメイトを呼び出すよう命令していました。

しかし、「ダラーズ」はメールアドレスを登録すれば誰でも所属できるチームです。携帯を手にやってくる女子高生やサラリーマン、果ては小学生までもが集まってきてしまいます。誰がチーム員なのか分からないなか、To羅丸は……。

一方、池袋を縄張りとする極道、粟楠会(あわくすかい)の事務所では、30分前に発生した不祥事に、若頭である粟楠幹彌(あわくすみきや)をはじめとした構成員たちが話し合っていました。

30分前、なんと粟楠会の構成員3人が殺されたのです。その犯人は、池袋最強の男と呼ばれている平和島静雄(へいわじましずお)。粟楠会は平和島静雄の行方を追うことにしますが……!?

著者
成田 良悟
出版日
2009-07-10

前巻に登場した六条千景率いる「To羅丸」は、自分たちのメンバーや一般人まで傷つけた「ダラーズ」に対し、仇討ちとばかりに襲撃を開始します。しかし実は「To羅丸」を襲撃したのは「ダラーズ」に扮した「ブルースクウェア」というカラーギャングだったことが判明し、千景は京平を始めとする「ダラーズ」と和解することになりました。

また、池袋を縄張りとする極道、粟楠会では、構成員3人を殺した犯人として平和島静雄の行方を追っています。粟楠会は、池袋界隈を取り仕切っている極道組織のため、裏社会で生きる闇医者の新羅や、情報屋の臨也たちと繋がりのある組織です。

そんな組織を襲撃した平和島静雄は、「池袋最強の男」などと呼ばれるほどの人物で、あらゆる組織から危険視されていました。常にバーテンダーの服を着ているのが特徴で、自動販売機や外灯を放り投げてきたなどという伝説は数知れず。常人であればリミッターがかかるはずの筋力を、リミッターなしで使えるという特異体質の男です。

彼は、高校の同級生でもある臨也と何かと衝突ばかりており、2人は犬猿の仲です。そんな静雄と因縁のある臨也は、本巻に入って黒幕的な印象をさらに濃くしていきます。因果応報とも自業自得とも取れる展開は、ついつい物語に引き込まれてしまいまうでしょう。

前巻と合わせて、起承転結でいえば「転結」の部分に当たるためか、疾走するように進んでいく物語は途中で止め時を見失ってしまうほど。まとまった時間のある時に一気読みをして頂きたい一冊です。

あのキャラにスポットが当たる短編集『デュラララ!!』7巻

新宿を拠点に活動している情報屋の折原臨也が刺された――そんなニュースを聞いたのは、彼の仕事の助手として働く矢霧波江(やぎりなみえ)です。

彼女は自分の雇い主が命の危機にさらされていることに気が付き、そして、しばらく自分は休日になるのだということを確認しました。彼女にとって大切なことは、臨也の安否ではなく、もっと他のことだったのです。

その後、波江は臨也の双子の妹である九瑠璃と舞流と落ち合います。波江は2人に、ある仕事を持ちかけていて……!?

著者
成田 良悟
出版日
2010-01-10

前巻までに黒幕的な印象が濃くなっていた臨也が刺されたことをニュースで知ったのは、臨也の助手として働いていた矢霧波江でした。彼女は矢霧製薬という会社の重役であり、セルティの「首」の行方と深く関わっている人物でもあります。

波江は弟である矢霧誠二のことを、家族愛を通り越して異性としての愛を感じており、自分の命よりも誠二の命という常軌を逸した愛情を抱いています。

そのため、誠二の恋人である張間美香に対して殺意すらも覚えており、2人の行動を双子の九瑠璃と舞流に監視させていました。ちなみにこの美香という女子高生は、杏里と同じ高校に通う友人で、中学時代に杏里を引き立て役にしていた女子高生です。

これまで、誠二と美香はシリーズ始めの頃から登場はしていたものの、他のキャラクターに比べるとなかなか登場シーンが少ないキャラクターでした。本巻ではそんな2人にも焦点が当てられています。

同じように、登場はしているもののなかなかスポットの当たらなかったキャラクター、粟楠会の幹部である赤林海月(あかばやしみづき)の話だったり、セルティと新羅の日帰り旅行のエピソードだったりを描いた短編が収録されています。

5巻6巻が前後編となる長編だったこともあり、本巻はちょっと閑話休題という印象です。とはいえ、まったく本編と関わり合いがないのかといえばそうでもなく、どことなく繋がっていることがわかるので、それを見つけるのもまた面白いかもしれません。

シリーズ中盤!!聖辺ルリとストーカー『デュラララ!!』8巻

ある夜――「首なしライダー」のセルティは、黒塗りの車やヘリコプターを相手にハリウッド映画並みのカーチェイスをくり広げていました。

手榴弾まで投げつけられ、1度は海に投げ出されてしまうセルティですが、黒い影を操り、見事にヘリコプターを手玉に取って、目的である「はくじょうし」という名前の白蛇を取り戻しました。ある資産家の夫婦から、娘のペットである白蛇が誘拐されたから助けて欲しいと依頼されていたのです。

目的も果たし、意気揚々と帰宅するセルティですが、そんな彼女の前に現れたのは彼女のトラウマ的存在の白バイ隊員、葛原金之助で……!?

著者
成田 良悟
出版日
2010-06-10

セルティのハリウッド映画並みのカーチェイスから始まる本巻ですが、この巻のメインストーリーは、後に「殺人鬼ハリウッド」と呼ばれるようになる聖辺ルリ(ひじりべるり)がストーカーに合っているという話です。

聖辺ルリは、高い人気を誇るアイドルで、セルティや新羅も彼女のファン。美しい容姿を持つ彼女ですが、実は先祖にセルティのような人間ではない者がおり、その血を受け継いだ彼女もまた人間離れをした力を持っていました。そのことからある事件に巻き込まれ、精神が崩壊したルリはやがて殺人鬼へと変貌していってしまうことになります。

本作でもうひとつ注目してもらいたいのは、やはり帝人、正臣、杏里の3人の変化です。特に、1巻ではごく平凡な少年として描かれていた帝人の変貌っぷりはぜひチェックしてもらいたいポイント。3人の関係性の変化に切なさを覚える方も少なくないのではないでしょうか。

前巻が骨休めのような雰囲気のある短編集だったぶん、疾走するようなスピード感を改めて楽しむこともできるでしょう。長いシリーズもこの辺りでいよいよ中盤に差し掛かっています。さらに加速する物語をぜひ楽しんでみてください。

折原家が勢ぞろい!?『デュラララ!!』9巻

8月上旬。情報屋の折原臨也は、車の中で粟楠会の幹部と会っています。彼の名前は四木春也(しきはるや)というインテリヤクザで、臨也にある依頼を持ちかけていました。

それは、粟楠会の縄張りで密かに行われているという会員制闇カジノの裏を探ること。実際の店舗は持たずに会場を転々としているというその闇カジノは、正面から潰すこともなかなかできず、せめてそのバックにある組織について探るように、というのが四木の依頼でした。

同じ頃、「首なしライダー」のセルティは、またも白バイ隊員の葛原金之助に追われていて……!?

著者
成田 良悟
出版日
2011-02-10

物語の冒頭から登場する情報屋の折原臨也。前巻での出番は少なめでしたが、本巻は彼の独壇場と言ってもいいほどスポットが当たっているので、臨也が好きな読者にとっては必見の一冊です。

冒頭で臨也と密会しているのは、粟楠会の幹部である四木春也という男。若くして幹部まで上り詰めたキレ者であり、冷酷非道な性格である一方、聖辺ルリのファンという一面も持っています。

これまでは群像劇として1冊に様々なキャラクターが登場していましたが、本巻では主に臨也にスポットが当てられており、臨也とその周囲の人物の話が深く掘りさげられています。もちろん双子の妹、九瑠璃と舞流も登場するので、折原一家が勢ぞろいといった印象もあるかもしれません。

また、高校の同級生でもある臨也と新羅の関係性でも新たなエピソードがあり、臨也の意外な面をたくさん発見できる巻だともいえるでしょう。黒幕や悪役のイメージが強い臨也なので、これまで読み進めていた方の中にはあまり好きではない方もいるかもしれませんが、そんな臨也がちょっと好きになってしまう一冊です。

怒涛の展開と裏切りの連続『デュラララ!!』10巻

8月のある日。「ダラーズ」の一員である門田京平は、カラーギャング「黄巾賊」のリーダーである正臣と寿司屋で会っていました。寿司を食べ終わった正臣は、京平に対して単刀直入に話を切り出します。それは、ダラーズを辞めて自分達の黄巾賊に入ってくれないかという話だったのですが……!? 

一方、数日後の東京では、婦警の葛原真珠が、雑誌記者である贄川周二(にえかわしゅうじ)にしつこく話を聞かれていました。

違法駐車の取り締まりをしている婦警にアポなしの突撃取材をするのは、いくらなんでも礼儀がなっていないと憤る真珠でしたが、贄川は、これは雑誌のための取材ではなく、家出した娘を探すための活動だと言います。娘はどうやら「ダラーズ」に関わり合いがあるらしいのですが……。

著者
成田 良悟
出版日
2011-08-10

東京の婦警、葛原真珠が違法駐車の取り締まりをしているところに話しかけてくる、贄川周二という男。彼は、「東京ウォリアー」という雑誌の記者なのですが、アポもなく突撃したのにはある理由がありました。それは、家出した娘を探すこと。

贄川周二の娘である春奈は、杏里や帝人たちと同じ来良学園の生徒でした。しかし彼女は学園の教師である那須島に異常なまでの好意を寄せており、それが原因で「罪歌の子」へと変貌していきます。

彼女の那須島に対する愛はまさに歪んだもので、それは彼女に手を出して金儲けまで企んでいた那須島でさえも恐怖を覚えるほどです。春奈の愛情が那須島にどういった結末を与えるのか、ぜひ注目してみてください。

前巻では主に臨也1人に焦点が絞られていましたが、今回は再び群像劇の様相が濃くなってきます。あらゆる登場人物の視点が絡み合いエピソードが編みあげられていく展開は、本シリーズの醍醐味と言っても過言ではありません。

他の巻と同様、様々な情報が一気に提示されるので混乱してしまうこともあるかもしれませんが、そのぶん何度読んでも新しい発見があるとも言えるので、一読ではわかり難かったら2度、3度と読み直しても面白いでしょう。怒涛の展開と良い意味での裏切りをぜひ楽しんでみてください。

クライマックス間近!!セルティの首の行方は? 『デュラララ!!』11巻

自身の叔父である矢霧清太郎(やぎりせいたろう)に拉致されそうになった矢霧波江を助けたのは、外資系企業「ネブラ」の研究員である岸谷森厳(きしたにしんげん)でした。

ネブラは矢霧製薬を買収した相手でもあり、森厳は波江にとって敵でもある男。そんな男が波江を助けに来たのは、森厳の息子、新羅を怪我させた清太郎を殴りにきたからです。

波江を助け出し、清太郎たちも殴り飛ばした森厳は、意気揚々と新羅とセルティのいるマンションに逃げ込みますが、彼らの派手な行動はしっかりとニュースにされていて……!?

著者
成田 良悟
出版日
2012-05-10

冒頭で波江を拉致しようとしている矢霧清太郎は、波江と弟の誠二から見たら叔父にあたる人物であり、矢霧製薬の社長でもあります。彼は人間ではない異形のものを収集するという趣味を持っており、そのためにセルティや杏里、聖辺ルリなどにも興味を持って、コレクションに加えようとしていました。

そんな清太郎に拉致されそうになっていた波江を助けたのが、岸谷森厳と、彼に雇われた写楽影次郎(しゃらくえいじろう)。森厳は新羅の父親であり、かつてセルティの「首」を奪った張本人です。さらに、杏里の持つ妖刀「罪歌」をかつて所有していた人物でもあり、あらゆる所に因縁を持っている謎多きキャラクターです。

セルティの「首」にまつわる人物もだんだんと増えてきた本巻は、いよいよシリーズのクライマックスを予感させてくれます。

それに比例するように物語のスピードもアップしていくので、途切れ途切れに読むよりも一気に読んだほうが面白いかもしれません。ぜひまとまった時間のある時に読んでみてください。

形を失ったセルティの行方は?『デュラララ!!』12巻

鯨木かさねによって「罪歌の子」にされたうえ、連れさられてしまった新羅。それを目の当たりにしたセルティは理性を失い、そして人の姿も失ってしまいました。

影の塊のような姿になったセルティは、新羅を連れて逃げるかさねの後を追います。しかし、普段のセルティならいざ知らず、理性を失ってしまったセルティはかさねの罠によって工事現場に誘導されてしまっており……!?

著者
成田良悟
出版日
2013-06-07

新羅を「罪歌の子」にしたうえに連れ去った人物、鯨木かさね。見た目は美しい女性の姿をしていますが、その正体は聖辺ルリと血の繋がりを持つ異形のものです。

そして、彼女が秘書として働いている澱切陣内(よどぎりじんない)という男もまた、表向きは芸能プロダクションを経営しているものの、裏では異形の存在を売買している闇ブローカーでした。

澱切は、セルティの「首」を奪うための妖刀「罪歌」を森厳に渡した張本人でもあり、全ての因縁の元凶とも言える存在です。

シリーズの始めからの謎であり、何よりセルティが池袋に来ることになったきっかけでもある「首」がいよいよ本格的に動き出し、彼女自身もこれから一体どうなるのかとハラハラさせられる巻です。セルティに限らず、さまざまなキャラクターの行動が絡みあうのはもちろん、あらゆるエピソードが疾走して駆け抜けていくような勢いを持っているため、最初から最後まで盛りあがり続けている一冊となっています。

シリーズとしても次巻が最終巻であるため、本巻はまるまる全編クライマックスと言ってもいいのかもしれません。いよいよ混沌さを増していく池袋がどうなっていくのか、次巻への期待が膨らみます。

登場人物の多さと展開のスピーディさが醍醐味です。ぜひ次巻も合わせて用意しておいてください。

遂に完結!!キャラクターたちの結末は?『デュラララ!!』13巻

池袋のとある建設途中のビル――そこでくり広げられているのは、折原臨也と平和島静雄の殺し合い。犬猿の仲である2人のやりとりはすさまじく、臨也は静雄を殺すためにさまざまなトラップをしかけ、それらをくぐり抜けた静雄はフォークリフトを弾き飛ばし、鉄骨を殴り飛ばし、臨也を追いつめていきます。

一方、強い不安に駆られた園原杏里は、自分のなかで「罪歌」のざわめきが大きくなっていることに気が付き……。

著者
成田良悟
出版日
2014-01-10

前巻から引き続き、混沌さの増す池袋。そんな池袋の建設途中のビルでは、折原臨也と平和島静雄の因縁の対決が勃発しています。もともと犬猿の仲だった2人の対決は、喧嘩などという言葉では到底表せない殺し合いです。

一方で、「ダラーズ」と「ブルースクエア」の混合チームと正臣の対決や、新羅と「罪歌」の対決など、この1冊にあらゆる対決を詰め込んだような内容は、まさに最終巻に相応しいといっていいでしょう。

盛りたくさんでありながら、すべての伏線やエピソードが終結へ向かっていく流れには、本シリーズの醍醐味を存分に感じることができます。

しかし、終わり方は予想よりあっさりだと感じる方もいるかもしれません。だからこそこれですべてが終わるわけではなく、数多く登場した人物たちの物語がまだ続くような余韻を感じることができます。

また、本巻には挿絵がないのも特徴です。挿絵が一切ないライトノベルも珍しいですが、そのぶん文章の勢いが削がれることなく連なっています。 約10年にかけて刊行されてきた本シリーズもこの巻で完結ですが、続編として『デュラララ!! SH』が刊行されています。本シリーズを読み終えた方は、ぜひそちらも手にしてみてください。

いかがでしたか?たくさんの個性的なキャラクターが登場することで、他の作品とはひと味違う楽しみ方ができる本シリーズ。様々なエピソードが絡み合うぶん混乱をしてしまう時もあるかもしれませんが、最後にすべてが収束していく展開を読むととてもスッキリします。その爽快感をぜひ1度感じてみてくださいね。