高校を舞台に描かれる青春ラブコメ漫画、『ぼくたちは勉強ができない』。自らの夢の達成のために努力を続ける登場人物たちの明るい高校生活を、ネタバレを交えつつご紹介します。
みなさんは高校生の進路選択時、自らの進みたい道は決まっていたでしょうか。すでに決まっており、その道に行くために努力をしていた人もいれば、まだ漠然としていた人もいたことでしょう。
今回紹介する漫画『ぼくたちは勉強ができない』の登場人物たちは高校3年生。ちょうど進路の選択時期が迫り、悩みながらも一生懸命になっています。彼らはそれぞれが目標を持っており、そこに向かって努力を重ねているのです。
この漫画を読めば、進路を選択したあの頃の気持ちに戻り、自身の目標を思い出して現在の生活に活力を与えてくれることでしょう。
この記事では、登場人物をそれぞれの得意科目・苦手科目と共に紹介しつつ、最新2巻の内容もネタバレしていきます。
- 著者
- 筒井 大志
- 出版日
- 2017-06-02
出典:『ぼくたちは勉強ができない』第1巻
今作の主人公である唯我成幸は、高校3年生の男の子。とびぬけた得意科目はありませんが、全科目8割以上の成績を収めている優秀な生徒です。
しかし実は彼、昔は勉強ができなかったのです。物覚えが悪い、要領も悪い、人の何倍もの努力をしなければ身につかない……。悔し涙を流し、努力に努力を重ねてきたからこそ、勉強ができるようになったのでした。
そんな「できなかった」過去を持ち、努力を重ねてきたからこそ、彼は「できない」人の気持ちをよく理解することができるのです。
また彼は、自身の通う一ノ瀬学園の推薦システム、「特別VIP推薦」を勝ち取ることに燃えています。
「歴代の生徒の中でも特に優秀と見なされた者にかぎり、その後の大学進学にかかる全ての学費を免除という夢のシステム!!」(『ぼくたちは勉強ができない』第1巻から引用)
夢のシステムを勝ち取り、大学に進学して家族に楽な生活をさせてあげることが目標、という家族思いな一面も見られます。
そして、この「特別VIP推薦」獲得の条件として出されたある試練が、この物語の核となっています。
出典:『ぼくたちは勉強ができない』第1巻
緒方理珠は、数学や物理などの理系科目が得意な女の子。身長は143cmと小柄です。「機械仕掛けの親指姫」という呼び名も、この身長が影響しているのでしょう。
彼女の理系科目の才能はさっそく第1話で、センター試験の数学の問題を「暗算」で「素早く」答える様子として披露されています。これには成幸も軽くショックを受けました。
しかし、彼女の文系科目の成績は壊滅的なのです。現代文の問題に対して、問題が間違っている!と怒るほど。
そんな彼女の趣味はボードゲームで、よく遊んでいるのですが、腕前は「とっても弱い」。彼女いわく
「どうやら私は確率や計算では答えの導き出せないもの……とくに「人の感情」が関与するものが苦手なようで人とゲームで対戦するとどうしても勝てません」(『ぼくたちは勉強ができない』第1巻から引用)
とのことで、「人の感情をもっと理解すればゲームに勝てるのではないか」という思いを抱きました。そして「心理学」を学ぶために文系の大学に進むことを決意し、苦手な文系科目の克服を目指しています。
出典:『ぼくたちは勉強ができない』第1巻
現代文、古文、漢文……と文系科目が得意な女の子で、彼女も理珠と同じく第1話で文系科目の才能を披露しています。
文乃は小論文の授業中、大半の時間をあだ名の「眠り姫」のとおり、寝て過ごしてしまいました。提出の時間まで残り10分、そこからようやく書いたものが、教師から大絶賛される完成度だったのです。
しかし彼女もまた得意科目の裏返し、つまり「理系科目」が大の苦手。そんな彼女の目標は「星と関わって生きること」で、大学で「天文学」を本格的に学ぶため、苦手な理系科目の克服を目指しています。
出典:『ぼくたちは勉強ができない』第1巻
武本うるかは、理珠や文乃とは少しタイプが違います。運動神経がとても優れており、スポーツ特待生で高校に入学してきました。「人魚姫」というあだ名のとおり水泳が得意で、あらゆる大会で優勝を勝ち取るほどの実力の持ち主です。
しかしながら彼女は、「勉強」が大の苦手。大学はスポーツ推薦で受験しようと思っていましたが、残念ながら彼女が受験する年から、大会の実績に加えて英語も試験に加えられることになってしまったのです。
成幸とは同じ中学校を卒業しており、その頃から彼に好意を抱いています。
学園長からの依頼で成幸がうるかの教育係をすることになった時、おもわず逃げ出した彼女でしたが、成幸が理珠と文乃の勉強も見ていると分かった途端、「1番一生懸命に見てもらう」ために教育係をお願いしました。
彼女の恋がどのように進展していくのか、注目です。
出典:『ぼくたちは勉強ができない』第1巻
「特別VIP推薦」の面談のために学園長室にやってきた成幸。学園長から推薦を認める旨を告げられ、喜びに満ち溢れます。しかし学園長の話は終わっていませんでした。
「ただし……!1つだけ条件がある」(『ぼくたちは勉強ができない』第1巻から引用)
学園長は指を鳴らし、外にいる「2人」を学園長室に呼びます。
やってきたのは、理系の天才・緒方理珠と、文系の天才・古橋文乃。彼女たちが部屋に入ってきたのを確認し、学園長が成幸に言います。
「唯我君 君にはVIP推薦の条件として……彼女らの志望大学合格を目的とした教育係を命じる」
「この天才どもに?」
「誰が?」
「……俺が?」
「何を!!?」(『ぼくたちは勉強ができない』第1巻から引用)
こうして彼らの物語が始まることになりました。
- 著者
- 筒井 大志
- 出版日
- 2017-08-04
出典:『ぼくたちは勉強ができない』第2巻
中間テストが間近に迫り、成幸は理珠から家に呼ばれます。
彼女の実家で親父さんに絡まれながらも、成幸は現代文の出題範囲の文章を徹底的に読み込み、登場人物の心情をひとつひとつ丁寧に解説し、理珠に伝えていきました。
それに加えて、もうひとつアドバイスをします。理珠本人も、納得のいく準備ができた、と思えるほどじっくりと勉強をし、成幸は帰路につきました。
そして中間テスト当日。残念なことに、きちんと準備してきた文章は問題の半分だけで、残りは抜き打ちの文章問題でした。理珠は動揺してしまいますが、成幸から教えてもらった「削読法」を実践。あきらめずに最後まで問題に向き合います。
その結果、自己採点は71点。過去最高の点数をたたき出すことに成功したのです。
彼女の諦めない気持ちが高得点に結びついたのでした。