5分でわかる日本書紀!古事記と異なる点など、わかりやすく解説!

更新:2021.11.10

『日本書紀』は、日本という国がどうやってできたのかを知ることができる歴史書です。日本史の授業で習った記憶はあっても、実際に読んだことがある人はあまりいないのではないでしょうか。ここでは、読んでみると意外に面白い『日本書紀』について紹介していきます。

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日本書紀について

『日本書紀』は、日本で初めて国家が編纂した正式な歴史書です。天武天皇の命で681年から川島皇子らによって編纂され、720年に天武天皇の息子・舎人親王らが完成させました。

全30巻、すべて漢文で書かれているのが特徴です。ほぼ同時期に編纂された『古事記』と比較されることが多く、あわせて「記紀」と称されている2大歴史書のうちのひとつとなっています。

完成当初から宮中で講義が開かれており、講師が漢文で書かれた内容を日本語にして、貴族たちがその内容を学ぶということが200年以上続けられていました。

江戸時代に入ると『日本書紀』の研究が本格的に進み、国学者の谷川士清が多大な功績を残しています。さらに、明治時代には飯田武郷が『日本書紀通釈』を作り、研究の発展につながりました。

日本書紀の内容

天地の始まりなどについて書かれている神話「神代」から第41代持統天皇まで、それぞれの天皇がおこなった事績が年代順に記載されています。

現存していない『帝紀』と『旧辞』を基本資料に、個人の手記、朝廷の記録、中国や朝鮮の歴史書などさまざまな資料を参考にして作成されました。『漢書』『後漢書』『百済本記』『魏志倭人伝』などが、引用された外国の歴史書だといわれています。

1巻に記載されているイザナギとイザナミが天の沼矛を海に突き刺してかき混ぜ、日本という国を生み出したという「国産み」の話は、『日本書紀』を読んだことがない人でもきっとどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。

古事記と異なる点

『日本書紀』と同時期に天武天皇の命によって編纂された『古事記』。なぜ、同じような時期に2つの歴史書が作られたのでしょうか?

『日本書紀』と『古事記』の最大の違いは、作られた目的です。『古事記』は国内に向けて作られたもので、全体の3分の1を神代の話が占めています。天皇という存在を神格化して、彼らが日本を支配する存在であることを人々にアピールするために作られました。

一方の『日本書紀』は、中国や朝鮮などの国外に向けて天皇支配の正当性をアピールするために作られた歴史書です。そのため、すべて漢文で書かれています。

『古事記』が全3巻のうち1巻まるまる使って神代の記述をしているのに対して、『日本書紀』は全30巻のうち神代の記述がたった2巻しかありません。

全現代語訳!これなら読める『日本書紀』

そのまま読むとかなり難解な歴史書を、わかりやすく現代語訳しているのがこの本です。

上下巻に分かれていて、上巻は神代から18巻の安閑・宣化天皇まで、下巻は19巻の欽明天皇から最後の持統天皇までが収められています。

著者
出版日
1988-06-06

全30巻の『日本書紀』を現代語訳で、そして文庫本2冊にまとめてあるので非常に助かります。

日本の歴史書……なんて固く考えないで、まずは読んでみてください。「ヤマタノヲロチとの戦い」や「ヤマトタケル」の物語など、どこかで聞いたことがある有名な話もたくさん出てきますよ。

本格的に読みたい人へおすすめ!

日本文学を研究する人なら必ずと言っていいほど手にとっている「日本古典文学大系」を文庫化したものです。

全5冊で、1巻は「巻第一新代 上」から「巻第五 崇神天皇」までを収録しています。ぜひ、全巻読破に挑戦してみてください。
 

著者
["坂本 太郎", "井上 光貞", "家永 三郎", "大野 晋"]
出版日
1994-09-16

原文、底本奥書、校異、異体字表など、現代語訳されたものでなく本物の『日本書紀』をしっかりと読みたい人におすすめです。

はじめは注訳だらけで慣れないかもしれませんが、読んでいるうちにそれも慣れるでしょう。ページをめくるスピードも速くなっていきますよ!

『日本書紀』に隠されたミステリー

『日本書紀』は天皇の命によって編纂された、日本で最初の正史です。しかし、日本語学者である筆者の森博達は、実は中国人が書いたものを日本人が書き継いだ合作である……述べています。

著者
森 博達
出版日
1999-10-01

はるか昔に作られた『日本書紀』。どのような目的で、誰が作ったのか、ある程度の説は確立されていますが、本当にそれらが真実なのでしょうか?

近年、歴史の教科書の内容がいくつも修正されています。もしかしたら『日本書紀』の成立も、筆者が本書で述べているように新たな真相があるのかもしれません。

日本の正史の流れがよくわかる!

日本古代史を研究する遠藤慶太が写真や図解を用いながら、『六国史』についてわかりやすく解説していて、読めば日本の正史の流れや魅力がよくわかります。

本書を読んで、古代に想いをはせてみませんか?

著者
遠藤 慶太
出版日
2016-02-24

『六国史』とは、『日本書紀』に続いて飛鳥時代から平安時代までに編纂された『続日本紀』、『日本後紀』、『続日本後紀』、『日本文徳天皇実録』、『日本三代実録』の6つの正史のことを指します。

この6つの歴史書は、紛失、改ざんなさまざまなトラブルがあったそうです。そんな『六国史』の読み継がれ方、それぞれの正史が編纂された時代背景、特徴などがわかり、歴史に興味がある人ならきっと楽しめるはずです。

写真とイラストたっぷりでわかりやすい『日本書紀』

難解な『日本書紀』の厳選された場面を、絵画、CG、写真を使って解説しています。巻末には年表も載っているので、時代の流れを把握しやすくて便利ですよ。

 

 

 

 

 

著者
加唐亜紀
出版日
2015-03-04

『日本書紀』に興味はあるけど難しそう、まずはどんな内容なのか雰囲気を知りたい、そんな人にぴったりなのがこの本です。

イラストや写真をたっぷりと使いながら解説しているので、歴史に興味を持ち始めた小・中学生にもおすすめです。大人の方は、学生時代に授業で使っていた歴史の資料集を眺める感覚で楽しむことができますよ。

いかがでしたか?日本の成り立ちから古代の歴史を綴った『日本書紀』。私たちの国がどのように生まれ、古代にはどんな出来事があったのか、日本人として1度は読んでおきたいものです。いきなり本文を読み進めるのではなく、まずは簡単なビジュアル図解などで楽しんでみてください。そのドラマチックな内容に、きっときちんと読んでみたいと思うはずですよ。

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