ゆーげんがイラストを描くおすすめラノベ5選!世界観をよく捉えた作風

更新:2021.11.10

イラストレーターのゆーげんは透明感のある色づかいが特徴的で、主にライトノベルの挿絵で活躍しています。中でも儚げかつ強さも秘める女性画は人気です。今回はゆーげんがイラストを手掛けたおすすめのライトノベルを5作品ご紹介しましょう。

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淡色系のイラストを得意とするゆーげん

主にライトノベルの絵師として有名なゆーげんは、千葉県出身東京都在住のイラストレーターです。緩急のあるイラストとその透明感あふれる色づかいで小説の挿絵を中心に活動しており、ストーリーを汲んだ世界観を広げるような心地の良い挿絵には定評があります。そして仕事以外では空を題材にした画を書くことが好きで、よく描いているために青を基調としたカラーイラストが得意です。

また近年ではゲームのキャラクターデザインやアニメイラストなどマルチに活動中です。サークル「キャッスルトン」の主宰者でもあります。

腐女子で人気を博したブロガー・ぺんたぶが描く青春ラブストーリー

オタク女子と普通の大学生の恋愛模様を綴ったブログを書籍化して大人気となった『腐女子彼女。』の作者ぺんたぶが執筆した初小説に、ゆーげんがイラストを描いた作品です。

主人公の男子高生・八坂は、同じ美術部の先輩でありWeb小説の人気小説家でもある九条春華に淡い恋心を抱いています。ある日、八坂は春華に人が恋に落ちるのはどのような瞬間かと相談されます。今、春華が執筆している小説の主人公が恋に落ちる瞬間を描きたいのに良いシーンが思いつかないと言うのです。上手い回答が見つからない八坂。そのうち、春華は小説のため、八坂を恋に落すと言い出して……。

著者
ぺんたぶ
出版日
2013-07-31

本作品は学生時代の淡い恋心を描いた青春ラブストーリーです。しかし可愛い恋心だけでは終わりません。八坂と春華の2人が直面するのは「お金」という現実の問題です。作者であるぺんたぶはあとがきにて「現実の問題に「戦う」という困難な選択肢を選ばざるを得なくなった場合にはこの作品のように「ネットを使う」という選択肢があることを知ってもらえたら」と言っています。当人たちの感情のみではどうにもならない恋愛というものの現実がわかりやすく伝わる中高生にぜひ読んでいただきたい作品です。

ゆーげんのカラーイラストはまさに青春をイメージさせるような明るく透明感のあるものです。表紙はちょっと上から目線な大人っぽい春華を描いた人目を引くものとなっています。また裏表紙には画を描いている八坂の優し気なイラストが描かれています。表と裏のキャラクターのコントラストがまさに小説内の立場やイメージそのままであり、ゆーげんが作者の思いを十二分に受け取った上で作画したものであると感心させられるでしょう。

小説内に描かれている白黒の挿絵も無駄のない美しい線のものであり、どことなく少女漫画の世界のような愛らしく美しい世界観が堪能できますよ。

青春を過ぎた方も、今まさに青春の方も様々な世代に共感いただける1冊です。

普通のサラリーマンが突然召喚される?異世界ファンタジー

Webサイト「小説家になろう」で疎陀陽が掲載していた小説にゆーげんがイラストを描き、書籍化された作品です。

フレイム王国第52代国王であるリズは、ままごと程度の気持ちで異世界から勇者を召喚する魔法を実行しました。すると驚くほど簡単に魔法陣から青年が現れます。それは片手にスーツの上着、片手に有名コーヒショップのカップを持った銀行に勤めるごく普通のサラリーマン松代浩太でした。

著者
疎陀 陽
出版日
2014-04-24

主人公浩太の売り文句は「普通の青年」であることです。ただし実は、浩太は常に人の2倍は努力する大変な努力家であり、その努力によってエリート街道をまっしぐらに歩んできた全く普通でないエリートサラリーマンなのです。

フレイム王国というまったくの異世界に飛ばされた浩太は自らが持ち合わせている知識や常識を元に困難をクリアしていきます。その浩太の姿から、自らのためにコツコツと努力を続けていたら何が起きても切り抜けられるような強い精神力や知識を持てるのではないかと、努力の大切さを感じるでしょう。
 

ゆーげんの描くカラーイラストはとても色づかいが巧妙かつ繊細なものです。寒色系を上手に用いて王国の城や背景が描かれており、王国の先行き不安さがとても良く表現された人目を惹く画となっています。また入浴シーンのサービスカットもカラーで堪能可能です。

一方、白黒イラストとなる挿絵には主人公やリズ、万能メイドのエミリの心の葛藤や描写がとても丁寧に描かれています。特に浩太は話が進むにつれてどんどん凛々しく頼りがいのある顔へと変化していきますよ。

黄昏の切なさや果てしない孤独を描いた人間ドラマ

小学館ライトノベル大賞の優秀賞を受賞した本岡冬成の小説にゆーげんがイラストを描いた作品です。

人々の心を蝕んで支配し死へと導く「黄昏」に覆われて人々が生きる気力を失った世界が本作品の舞台となります。盗み、殺し、誘拐など悪いことでも躊躇なく依頼を受ける何でも屋のカラスは、依頼主となるカヤハラから超長距離列車に潜入し、そこに乗車している「黄昏の君」を奪取してくることを依頼されます。「黄昏の君」とは黄昏を浄化して青い空を生み出す少女・メアリのことでした。

著者
本岡 冬成
出版日
2010-05-18

本作品は黄昏の君・メアリとその奪還を依頼された何でも屋のカラスの旅を描くファンタジー小説です。
 

主人公2人の少しやさぐれた感情、そして生きていく世界の現状を総合するとライトノベルの中でも骨太で暗めなストーリーと言えるでしょう。読みやすく落ち着いた文章をお探しの方にはおすすめです。

本作品において、色づかいに定評のあるゆーげんのイラストは表紙から遺憾なくその実力が発揮されています。空を描くことの多いゆーげんが描く青い空とそして世界を侵食するように輝く黄昏の濃赤のコントラストは表紙買いをしたくなるほどの美しいです。また各章の扉絵にはその章のキーとなるイラストが丁寧に描かれています。愛らしい少女メアリとカッコ良い青年カラスというビジュアルの良い男女の旅を描く作品でありながらも、挿絵も落ち着いた雰囲気のものが多く掲載されていますので、普段ライトノベルを手に取らない方でも読みやすい作品と言えるでしょう。

ゆーげんの得意とする空を描いた画が堪能できる1冊です。

特殊能力で一気にモテ男に!?能力バトル×ハーレムファンタジー

ライトノベル作家である雪野静の2作目となる小説にゆーげんがイラストを描いたファンタジー作品です。

主人公のアキトは文武両道で何でもこなす人気者の兄に嫉妬して生きていましたが、幼馴染の瑞穂の友人である萌恵に告げられた言葉によって改心し、兄を尊敬して生きています。そしてそれ以来アキトは萌恵に片思い中。

瑞穂にきつい言葉で背中を押され、萌恵に思いを告げるべきか悩むアキト。ふと見ると、神様や悪魔などの超常的な力を宿しその力を行使する「選定者」たちがグランドに集まっているのが見えました。その後、頭の中に「おめでとう」という言葉が響いて……。

著者
雪野 静
出版日
2011-02-25

選定者として悪魔ゼファの魅惑の能力を得たアキトが、英雄の力を有する金髪碧眼の美少女・ルヴィや叡智の力を有し大和撫子のような容姿を持つ彩姫から好かれるハーレムストーリーです。様々なタイプの女の子から好かれるとは男性には羨ましい話ですね。ただしアキトは真面目な少年なので、急に好意を持たれたことに対して戸惑いを感じています。手放しで喜び、ご都合主義にいちゃつかないので男性だけでなく女性読者にも好感が持てる作品ですよ。

本作品におけるゆーげんのカラーイラストは暖色系、特に深い赤を用いたシックで深みのあるものです。金髪のルヴィ、着物を着こなす彩姫、カッコかわいい系の瑞穂などタイプの違う様々な女の子たちが楽しめます。特にヒロインであるルヴィの挿絵は普段のしっかりした姿だけでなく、デート中のはにかんだ可愛い姿やちょっとセクシーなショットまで色々な表情を楽しむことが出来ますよ。

一方、可愛い女の子だけでなく、カッコいい男の子のイラストが堪能できることも本作品の人気の秘密でしょう。主人公のアキトは見事にごく普通の少年として可もなく不可もないどこにでもいそうな馴染みやすい容姿で描かれていますし、謎だらけの組織「黒き混沌」のボスであり魔王と呼ばれるイフは闇を纏うカッコ良い姿で描かれています。

男性も女性も楽しめる気軽に読める1冊です。

ゆーげんが描く!萌える対虚神兵器と共に闘う革命ファンタジー

テレビアニメ化もされた 『銃皇無尽のファフニール』を代表作に持つライトノベル作家のツカサが小説を手掛け、ゆーげんが挿絵を手掛けたファンタジー小説です。

かつて存在していたとされる「巨人」の神骸を用いて開発された巨大兵器「虚神」によって、剣や魔法を用いた戦いが終息を告げつつある世界が舞台となります。魔法大国フレアリアの魔導学園に通うエルクは隣の軍事大国エルファレスの第三皇帝ですが、両国間の人質を兼ねて身分を隠して学生として生活を送っています。そして自国の状況を耳にしながらも何もできない為、エルクは焦りを募らせていました。そんなある日、エルクはクラスメイトであり、戦略級魔導士でもあるミラの戦闘シーンに遭遇します。その相手はエルクの幼馴染で自国に居るはずのイスカでした。

著者
ツカサ
出版日
2014-06-20

故郷を失った主人公が、スピネルと名乗る戦場に不似合いな少女の姿をした対虚神用秘密兵器の「虚人」を手に入れて自らの居場所、そして世界を取り戻すファンタジー小説です。

「世界を殺すお手伝いをいたします」という秘密兵器スピネルの言葉、そしてとても成熟した少女の肉体を持つスピネルが魔力を充填する方法がマスターである主人公と直接肌を触れ合わせることであるという点から、15歳以上の方向けの作品と言えるでしょう。

本作品は男性主人公に対し、女性が多数登場するハーレム作品となります。ゆーげんが描くイラストはその女性達すべてに透明感があり、それでいてどの人物もかぶることなくしっかりと個性的に描かれています。戦闘シーンは躍動感溢れるカッコ良い画、そして魔力の充填シーンはちょっとエッチな画が楽しめるでしょう。

1冊で緩急の付いた2種類の画が楽しめるお得な作品となりますよ。

ファンタジーのイラストを多く手掛けるゆーげんの作品が堪能できるライトノベルを5作品ご紹介しました。透明感のある繊細な色使いと世界観を良く捉えたストーリーに深みを与える画が特徴的です。ぜひカラー画と白黒画の両方を見比べて、それぞれの良さを堪能してみて下さいね。

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