幽霊と変態しか出てこない!?『絶対☆霊域』は今までに無い個性豊かなキャラクターがおりなす、日常系ギャグ漫画です。今回はそんな個性的なキャラクターの魅力もお伝えしながら、全9巻のネタバレを含めてご紹介していきます。スマホの漫画アプリ「マンガUP!」で無料で読むことができるので、そちらもチェックしてみてくださいね。
『絶対☆霊域』は、「月刊ガンガンJOKER」の「戦国GAG合戦」という企画で3ヶ月連続勝ち抜きを達成した実績から、読み切りを経て連載が決まった作品。お墨付きの面白さとなっています。
本作の魅力は、さまざまなタイプの可愛い幽霊少女が出てくることと、一方の人間サイドがほぼ全員変態で構成されているというところです。
基本的にはギャグストーリーなのですが、たまに突入するシリアスモードが絶妙なスパイスになっていて、1度読みはじめるといろんな意味で止まらない作品となっています。
この記事では物語の内容やキャラクターの魅力など、ネタバレを含みながらご紹介していきます。
- 著者
- 吉辺 あくろ
- 出版日
- 2011-01-22
主人公の後藤聖一(ごとうせいいち)は、ひとり暮らしのために部屋を探していたところ、家賃が1万円の格安物件を発見します。なんでもここは、少女の幽霊が出る噂があるそう。
少女、というキーワードに反応した後藤は、下心からそこに引っ越すことを決めました。そして噂どおり、幽霊の上原ひな子が姿を現すのですが、彼は驚くどころか、あまりの可愛さにひと目惚れをしてしまうのです。
後藤の気持ちを受け入れられないひな子でしたが、生きているかもしれない兄を探す手伝いをしてもらうという理由から、2人の奇妙な同居生活が始まりました。
聖一を家から追い出すために怖がらせる作戦だったのですが、なぜか半裸の聖一にひな子の方が驚いてしまいます。そもそも驚かされなくとも幽霊という存在だけでも十分怖いはずなのですが、聖一にはひな子のことが可愛い女の子としか見えていないため、まったく怖がる様子はありません。
他にもさまざまな方法で驚かせようとするひな子は、むしろその可愛さから癒しさえも感じてしまいます。また、彼女のことが大好きで少しいきすぎた言動をとってしまう聖一ですが、まさにその言動こそが彼の魅力なのです。
ひな子は幽霊としても少女しても、どこか幼い性格。聖一の言動に恥ずかしがる場面が多々あり、面白さと可愛さの絶妙なバランスを保ちながらストーリーが展開されています。
また、隣の家に住む地縛霊のひよ子は、必ずといっていいほど壁からすり抜けてやってきます。地縛霊になってからすでに何十年も経っている幽霊ベテランで、お茶目でいたずらっこな一面もありますが、どこか大人びた雰囲気も持っている少女です。
ひよ子は聖一の弟である聖二というロリコンの変態に好かれており、彼らの絡みも目が離せません!
幽霊と変態がおりなすギャグが中心ですが、意外とストーリー性も魅力ある深い内容になっているため、思わず引き込まれてしまいます。
例えば1巻のラストで、聖一が風邪をひいたことがきっかけで幽体離脱をしてしまった時のこと。聖一自身は驚く様子もなく、むしろ楽観的なボケをくり返していて、逆に幽霊のひな子の方が慌てています。
魂を肉体に戻すために、ひよ子が顔に梅干しを乗せたりご飯を乗せたりしますが、もちろん何の役にもたちません。
そんなギャグストーリーも束の間、体が戻った聖一は、肉体から魂が離れている時間が長かったために幽霊が見えなくなってしまったのです。
このように、ただただ面白おかしい日常が描かれるだけではなく、ところどころに妙に緊迫感がある描写が含まれていることで、ギャグパートがさらに際立っています。
特にひな子に関しては、幽霊になった理由が兄とともに交通事故にあったことであり、生きているかもしれない兄を探すという目的をもっています。そのため彼女の兄に関する話が出てくるときは、他とはまた違った神妙な雰囲気があります。
そこへ聖一が急にボケをぶっこみ、ひな子がツッコむので、読者はページをめくる手が止められなくなってしまうのです。
それはなんの前触れもなく訪れました。いつもと同じ日常を送っていた聖一たちでしたが、ひな子のことを知っているという男が現れたのです。その男は、ひな子の体は生きていて、今は別の霊が入っていると話しはじめました。
交通事故で死んでしまい幽霊になったと思い込んでいたひな子にとって、それは衝撃的な現実であり、すぐに受け止めることはできません。自分はこれから生き返ることができるのだろうか、でも生き返ったら聖一との同居生活が終わってしまう……いつしか彼女の心の大部分を聖一が占めていたことにも気が付きます。
ひな子は生き返ることを選ぶのか、そして聖一との同居生活はどうなるのでしょうか。
現在のひな子について知っていると現れた男は、2巻からたびたび登場している謎のキャラクターです。読者のなかには彼がひな子の兄なのではないかという推測もありましたが、そのあたりについても最終巻ですべて明らかになっています。
1番の見どころはやはり、聖一とひな子の今後についてでしょう。あまりにも突然の出来事に理解が追い付いていないひな子ですが、生き返らなければ本当の意味で兄と会うことや聖一の隣にいることができないと考えました。
しかし生き返ってしまうと、ひよ子のことが見えなくなってしまうかもしれないという葛藤が彼女を悩ませます。ひな子とひよ子の行く末も目が離せません。
ただ最終巻ではありますが、シリアスな場面だけではなく、驚きの要素を含んだギャグセンスを感じる場面も盛りだくさん。いろんな意味で見逃せない内容になっています。
- 著者
- 吉辺 あくろ
- 出版日
- 2014-10-22
『絶対☆霊域』の魅力をお伝えしました。登場人物の半分以上が変態というだけでも驚きなのに、それ以外は幽霊少女という今までには無いキャラクター構成が面白さを引き立てています。今回ご紹介した以外にも、脇役でありながら個性が強すぎるキャラクターが多数存在しますので、ぜひチェックしてみてください。