「ジャンプスクエア」にて連載されている『青の祓魔師』。ダークな雰囲気で読者を世界に引き込みます。2011年のテレビアニメ化にともない爆発的な人気を得て、2012年には劇場アニメも公開されました。漫画、アニメ、お好きなほうから入ってみましょう。
悪魔を退治するエクソシストを題材とした『青の祓魔師』。ダーク・ファンタジーの世界観で、祓魔師(エクソシスト)を目指す少年少女や現役の祓魔師たちの戦いが描かれます。
作者は加藤和恵。『ロボとうさ吉』、『僕と兎』といった兎にまつわる作品を多く描く、女性の漫画家です。
本作の魅力のひとつは、祓魔師と悪魔の派手な戦いです。強大な敵はもちろん、頼りになる味方などが戦闘シーンを盛りあげます。主人公やその仲間たちが手を取り合って悪魔と戦うシーンは必見です。
そして最大の魅力は、なんといっても個性豊かなキャラクターたち。特に、主人公の奥村燐(おくむらりん)とその仲間の間に起こる友情や亀裂は、思春期ともいえる彼らの心情がうまく描かれています。仲間とともに成長していく燐の姿は応援したくなることでしょう。
今回はそんな燐と、彼に関わる人物について、エピソードを交えて紹介していきます。
- 著者
- 加藤 和恵
- 出版日
- 2009-08-04
悪魔と人間の間に生まれ落ちた少年、奥村燐の前に、ある日突然父親を名乗るサタンが現れます。
サタンは自分の力を継ぐ燐を、悪魔が住む虚無界(ゲヘナ)へ連れ去ろうとしました。
その時燐は、養父から預かった降魔剣を抜いたことで悪魔に覚醒。サタンの脅威を退けましたが、彼を守った養父が死んでしまいます。
己の無力さを悔やむ燐は祓魔師となり、養父の仇を打つことを誓うのでした。
本作の主人公、奥村燐は、悪魔と人間のハーフとして産まれます。父母はおらず、修道院に引き取られて暮らしていました。料理の腕がプロ級で、お金を取れるレベルです。
自身を守るためにサタンと戦って死んだ、養父・藤本獅郎の仇を取るべく、名門私立「正十字学園」に入学。学内にある祓魔師養成機関「祓魔塾」で、祓魔師になるための修練を積みます。
しかし彼は、サタンの子どもで強大な力を宿すため、危険因子とみなされてしまいました。自身の力をまだ制御することができず、たびたび暴走してしまい、何度も処刑が決定されてしまうのです。
サタンの血をひいていることが祓魔塾の学友たちにもバレてしまい、一時は避けられてしまいますが、数々の試練をともに乗り越えることで絆を結び、仲間から信頼を得ていきます。
- 著者
- 加藤 和恵
- 出版日
- 2012-04-04
「俺はもう人間でも悪魔でもない……だったら、祓魔師になってやる!!」(『青の祓魔師』1巻より引用)
獅郎の葬儀に、友人を自称するメフィスト・フェレスという男が現れます。燐は祓魔師であるメフィストから、人間の脅威となる前に処刑をすると言われてしまいました。しかし彼はそれを無視して、仲間にしろと要求するのです。さらに、自分の父はサタンではなく獅郎だと力強く言い切ります。
そして彼は、獅郎の仇をとるため「サタンをぶん殴る」という目標を掲げ、人間と悪魔のどちらにも属せないのならば祓魔師になる、と決意を秘めた瞳で宣言するのでした。
燐はいい意味でも悪い意味でも真っすぐな少年です。養父の仇をとるという目的のため、ひたすら突き進みます。それゆえ、自分の前に立ちはだかる者とは真っ向から衝突してしまうのです。
しかし自分の仲間だと判断した者や助けられる者への助力は惜しみません。その思いやりのある姿に、友人は厚い信頼をおきます。
燐が祓魔師としても人間としても成長していく姿から、今後も目が離せません。
本作の準主人公で、燐の双子の弟です。燐にサタンの力がすべて宿されたため、サタンの力は継いでいません。燐と同じく修道院で暮らしていましたが、何も知らずに育った彼とは違い、幼少期から悪魔の存在を知っており、獅郎の勧めで13歳にして史上最年少で祓魔師の称号を獲得しています。
正十字学園に主席で入学し、祓魔塾では講師を務めます。
性格は燐とは真逆で、まじめかつ冷静沈着ですが、激昂すると口調や態度が荒くなることも。また、意外と負けず嫌いで、ストレスや不満をため込むタイプであるゆえ、「悪魔落ち」をする可能性があるといわれています。
- 著者
- 加藤 和恵
- 出版日
- 2009-11-04
「僕が本当に大嫌いなのは僕自身だ!!」(『青の祓魔師』8巻より引用)
悪魔落ちをした藤堂三郎太から、「本当は兄が嫌いなんだろう?」と問いかけられた雪男。彼の心は大きく揺さぶられます。
しかし雪男が本当に嫌いなのは、弱い自分自身でした。
そのことをはっきりと認めた雪男は、藤堂三郎太の甘言を跳ね除けるのです。
現状、祓魔師の称号を持つ雪男は、その点においては燐より優れているといえます。また、勉学についても燐よりはるかに優秀です。しかし幼いころから自分を守り、自分ができないことをできる兄に対して、彼は劣等感を抱いていました。
しかしある時雪男は、そんなことに囚われていた自分から解放されます。兄弟といえども、2人は違う人間です。これに気付いた彼は、優秀であるという呪縛から解かれ、これからさらに成長していくでしょう。
「南十字男子修道院」の院長を務める神父で、燐と雪男の育ての親です。「正十字騎士團」という祓魔師で形成された組織に属した上一級祓魔師で、最強の「聖騎士」の称号を持ちます。
さらに、対悪魔薬学に精通していたり、医師免許も所持していたりと多才な人物。燐同様、口よりも先に手が出るタイプですが、自分では頭で常に考えるタイプだと思っています。
世界中で唯一サタンの憑依に耐えうる肉体と精神を持つ可能性があったため、常にサタンに身体を狙われていましたが、それを強靭な精神で防いできました。
しかし、サタンの力に覚醒してしまった燐をゲヘナの追手から守ろうとし、その際の燐との言い争いから心を乱し、サタンに憑依されてしまったのです。燐がゲヘナへ連れ去られるのを防ぐために、最期は自ら命を絶ちました。
- 著者
- 加藤 和恵
- 出版日
- 2009-08-04
「こいつは俺の息子だ……!返してもらおうか……!!!!」(『青の祓魔師』1巻より引用)
サタンが燐へと近づいてくると、獅郎は燐を守るために修道院から出ていくよう言いつけます。しかしそれは、燐からしてみると自分を放り投げられたように映ってしまいました。
「2度と父親ぶんな!!」こう言い返された獅郎は、その言葉で大きく精神を揺らがせ、サタンに体を乗っ取られてしまうのです。
サタンは獅郎の体を使って、燐を無理やりゲヘナへ連れて行こうとしました。それを阻止するため、獅郎は自らの命と引き換えにサタンを追い返したのです。
獅郎が燐をどう思っていたかは、サタンに憑依されたことからわかるでしょう。燐の言葉は獅郎に多大なショックを与えてしまいます。しかし燐に何を言われたところで、彼の思いは変わりません。父であることを最期の時まで貫きました。
血がつながっていなくとも、人は家族になれます。獅郎と燐の関係は普通の父子よりも強い繋がりであることが伺えるエピソードでした。
本作のヒロインの少女で、奥村兄弟のどちらからも好意を寄せられています。人見知りが激しく、また天然かつ世間知らずですが、同じく聖十字学園に通う神木出雲からは、図太い性格をしていると評されています。
燐と同じく祓魔塾に生徒として通っており、植物や薬草の知識に関しては豊富。しかし、独自につけた名前で覚えているために正式名称を知らず、筆記試験の点数は低いですが、もう1度正式名称で覚え直してからは満点を取ることからも物覚えはよいはずです。
料理の腕は壊滅的なものの、例外的にハーブティーだけは一級品となっています。
- 著者
- 加藤 和恵
- 出版日
- 2010-03-04
「私も雑草さんたちみたいに頑張るね……!」(『青の祓魔師』5巻より引用)
他の塾生たちが自身の仕事をこなすなか、しえみは持ち前のどんくささで脚を引っ張てしまいます。さらに、燐がサタンの血を引く子であることや、雪男も裏では必死に動いていることを知り、弱いままでは自分が何の力にもなれないことを痛感しました。
そのことを泣きながら出雲に伝えると、友達や助けになりたいなどサムイことを言うしえみのことを、彼女は図太くてふてぶてしい雑草のようだと言い放ちます。しかし嫌味にも聞こえるその言葉をしえみは好意的に解釈して、大好きな雑草のように根強く頑張ることを決意したのです。
泣き虫ながらも、雑草という言葉を好意的に捉えられるほどのポジティブさと、自分のやるべきことを懸命におこなうひたむきさを持ちます。しえみは力になれないと嘆いていますが、彼女のひたむきな姿勢と明るい笑顔には、燐や雪男のみならず、多くの塾生が救われているのです。
そんな彼女も、燐や仲間とともに、人間としてさらなる成長を遂げていきます。
祓魔塾生の少年。京都の由緒ある寺の跡継ぎで、京都弁を話します。同郷の志摩廉造と三輪子猫丸には「坊(ぼん)」と呼ばれており、実家は寺とは別に大きな旅館も経営している、本物の坊ちゃんです。
大柄な体と、金髪メッシュやピアスといった不良を彷彿とさせる恰好をしていますが、その見た目とは裏腹に、真面目で努力家な性格で、成績優秀です。
一方で直情家でもあり、燐とはしょっちゅう衝突します。しかし、幼馴染の志摩と子猫丸はもちろん、燐を含めた塾の生徒と数々の試練を乗り越えて、絆を繋いでおきます。
- 著者
- 加藤 和恵
- 出版日
- 2010-12-03
「味方や思とったんは俺だけか!!」(『青の祓魔師』7巻より引用)
塾生にサタンの子だと知られた燐は、「不浄王」という強大な悪魔にひとりで挑もうとします。しかし、サタンの子であろうと、燐は燐。竜士は、自分たちは味方だと伝えました。
不良の見た目に反して、情に厚い男で、仲間たちからは強い信頼を得ています。さらに彼自身も、その信頼に応えるための努力は欠かしません。
竜士の祓魔師になるのは、「サタンを倒すため」という目標があるから。燐とはよきライバルのような関係を保ち、普段は衝突ばかりしますが、戦いになると彼の力を信頼して肝心な場面を任せることもあります。
サタンの力を持つ燐とともに切磋琢磨する竜士の姿は、努力家のひと言では済ませられない才能あふれる人物といえるでしょう。
竜士と子猫丸の幼馴染で、祓魔塾生の少年です。面倒なことは極力避けようとする性格ですが、燐の出自が明らかになったときも普段どおりに接するといった一面もあります。
軽そうに見える外見どおり女好きで、女子の友達が多くいます。
そんな彼ですが、幼馴染からは「志摩」と名字で呼ばれ、塾生たちを1歩引いたところから見ている節がある、少し不審な行動をとる人物です。
- 著者
- 加藤 和恵
- 出版日
- 2011-04-04
「力の差が神とウンコくらいひらいとるんですよ……?」(『青の祓魔師』11巻より引用)
塾生のなかでもムードメーカーである志摩は、不浄王の一件の後、勝手に突っ走ろうとした燐を責める竜士を見て場を和ます言葉を発します。彼の言葉には、塾生一同を思わず脱力してしまうのです。
飄々とした性格でありながら、場を明るくすることもできる、かと思えば達観しているような態度をとったりと多様な面を持った、掴みどころのない人物です。本当の志摩はいったいどれなのか、それは本人にもわかっていません。
時折みられる仲間を思う発言は、彼の本心であることを信じたいものです。
竜士と志摩の幼馴染で、祓魔塾生の少年です。気弱でビビりな性格をしていますが、窮地での冷静な状況把握能力に秀でています。そのため竜士からは参謀に向いていると言われ、塾生のまとめ役と作戦指揮を担います。
その性格と小柄な外見からおとなしい性格に見られがちですが、ここぞというときの行動力と決断力もある人物です。
- 著者
- 加藤 和恵
- 出版日
- 2011-09-02
「僕自身の目を信じる」(『青の祓魔師』12巻より引用)
志摩が「イルミナティ」という、人間の住む物質界の崩壊を目論む組織のスパイだと発覚した時でも、子猫丸は志摩を信じた自分の目を信じると断言するのです。
同郷で幼馴染として育った彼に対して、他の塾生以上の強い信頼を寄せていることがうかがえます。
当初はひ弱な面が目立っていた子猫丸ですが、仲間と試練を乗り越えていくことで、強くたくましく成長していきます。そんな彼の成長からは、燐や雪男と同じく目が離せません。
平安時代の貴族のような眉が特徴の女の子。気が強くて自信家なうえに辛辣な言動が目立ちますが、根は律義で、仲間思いの面もあります。本人は隠そうとしているのですが、大のかわいいもの好き。少女漫画などにも好んで目を通しています。
悪魔との混血の血筋を持つ島根「稲生大社」の神職の家系の出身で、母と妹の3人で暮らしていました。しかし妾腹という立場ゆえ、父を含む本家からは冷遇されていた過去を持つのです。
また母が頼りない女性だったために、幼いころから人一倍の独立心を持ち、それが転じて強気な性格が構築されました。
- 著者
- 加藤 和恵
- 出版日
- 2013-12-27
「みんなみんな大好きだった」(『青の祓魔師』14巻より引用)
九尾に憑りつかれてしまった母が、危ない研究の実験体となり、その代替のために彼女はイルミナティの捕虜となりました。
幼いころから大人の汚さなど辛い現実を見せられてきた出雲は、人に頼ることを極端に恐れていましたが、塾生たち仲間との生活でその恐れが徐々に緩和されていきます。そして、自分がみんなのことが大好きだったということに気付いたのでした。
気の強い性格と辛辣な発言でまさにツンデレキャラな彼女は、しっかりとデレもみせてくれます。気を許した仲間に見せる笑顔や泣き顔には、ハートを鷲掴みにされてしまうことでしょう。
正十字騎士團ヴァチカン本部の上級監察官である、上一級祓魔師の女性です。獅郎の弟子であり、雪男とはその頃から付き合いがあります。獅郎から燐の教育を託されており、彼に戦闘技術とサタンの力の制御を教えます。
Fカップの巨乳で、それを惜しげもなく晒すようなビキニにジャケットといった格好をしているお色気担当です。服が破れても、動揺するそぶりすら見せません。
物心ついた時にはすでに母はなく、幼少期は山に籠って修行に明け暮れる毎日を送っていました。人里に下りて悪さをしていた時に獅郎に出会い、彼の強さを見て惚れ込んだ彼女は、山から出ていくことを決意します。
- 著者
- 加藤 和恵
- 出版日
- 2012-09-04
「アタシもただ生きていいのかにゃあ……」(『青の祓魔師』17巻より引用)
霧隠流忍術の伝承者である忍者で、代々龍神「八郎太郎大神」と契約して力を得る家系の末裔である彼女は、その代償として寿命が30年ほどしかありません。八郎太郎大神との契約を切れば、普通の人生を送ることができます。
しかし道しるべであった獅郎が亡くなったことから、シュラはこれから先どのような人生を送ればいいかわかりません。そんな時彼女の心に、獅郎から言われた「ただ生きろ」という言葉がよぎったのでした。
30までしか生きられないという彼女ですが、これまでもそんなことはおくびにも出さずに明るく生きていました。おそらくすでに、獅郎に言われた「ただ生きる」ということを実行していたのです。
獅郎の言葉を自覚した彼女は、30を超えても全力で生きていくことでしょう。
本作の狂言回しで、獅郎亡き後に燐と雪男の後見人を引き受けます。正十字騎士團日本支部長で、「名誉騎士」の称号を持つ凄腕の祓魔師です。正十字学園の理事長と祓魔塾の塾長を務めており、表向きには「ヨハン・ファウスト5世」と名乗っています。
燐を処刑すると言ったかと思えば、祓魔師になると宣言した燐を受け入れて正十字学園に入学させるなど不穏な行動が目立ちます。彼の目的は謎に包まれており、何を考えているのか誰にもわかりません。
- 著者
- 加藤 和恵
- 出版日
- 2010-07-02
「虫けら同然のあなた達は偉大な者の脅威に翻弄されるくらいで丁度いい」(『青の祓魔師』15巻より引用)
イルミナティの出現について塾生たちから詰め寄られた際に、メフィストは自身の目的をついに話します。彼の真の目的はイルミナティを率いる兄である「ルシフェル」に勝つことであり、物質界を守るために聖十字騎士團を設立させのです。その目的のためには、自分の持ち駒である塾生や聖十字騎士團犠牲にすることも厭いません。
狂言回しとして物語を進めていきますが、彼の登場で物語がややこしくなることが多々あります。それは彼が本心を誰にも打ち明けないからでしょう。謎に包まれた彼の目的は本当にルシフェルに勝つことなのかも怪しいものです。しかし、そのミステリアスで怪しげな雰囲気こそが彼の魅力なのでしょう。
燐の実の父親で、ゲヘナに住む悪魔の創造主。物質界を手に入れることを目的とし、憑依できる人間を探していますが、物質界にはサタンの憑依に耐えうる物質が存在しないのです。
その唯一の例外が藤本獅郎だったのですが、彼亡きいまは完全に無くなりました。
元々は「ゲヘナそのもの」という概念的な存在でしかありませんでしたが、15年前に突如自我を持ちはじめ、ルシフェルのものになるはずだった創られた生命に憑依します。そして、物語の根幹である「青い夜」を引き起こしたのでした。
時を経て、燐の力が覚醒しかけていることを知ると、悪魔でありながらに物質界に存在できる燐を求め、獅郎に憑依してゲヘナに連れ去ろうとしました。しかし、意識を取り戻した獅郎が自害したことで憑依状態を保てなくなり撤退したのでした。
1巻で登場して以降はその姿を現しませんが、物語の核であるのは確かです。次なる登場の機会を楽しみに待ちましょう。
京都での「不浄王」との激闘や、敵対組織「イルミナティ」の出現、九尾との死闘など、塾生は皆で力を合わせて困難を乗り越えてきました。
そんななかで、正十字騎士團の上一級祓魔師「ルーイン・ライト」に弟子入りした竜士は、彼のもとでいまだ信用できないメフィストの目的を調べています。
そして、不老不死(エリクサー)の研究の副産物としてサタンが生まれ、「青い夜」を引き起こしたことを知るのです。
- 著者
- 加藤 和恵
- 出版日
- 2017-04-04
一方で、塾生たちには祓魔師認定試験が目前に迫っていました。なりゆきで祓魔塾に通っていたしえみは皆との生活を経て、自身で祓魔師になることを決意します。そのことを母に伝えると、引き留めると思っていた母がある話を始めました……。
そして、その話を聞いたしえみは、必死に考えたすえに「祓魔師にはならない」ということを決意したのです。
しえみと母の間の話は、今巻では語られません。彼女の意思を一発でひっくり返すような話とはなんだったのでしょうか。しえみの決断に塾生が驚く裏で、サタンの誕生秘話も語られます。徐々に物語の核心に迫りつつあり、次巻が待ち遠しいですね。
時期はクリスマス、祓魔塾の一行はみなでクリスマスパーティーを開き、楽しいひと時を過ごします。そして、クリスマスが誕生日である燐と雪男はシュラから誕生日プレゼントとして、自分たちの母である「ユリ・エギン」という人物についての話を聞かされました。
サタンの子を宿したとされるユリ・エギンは正十字騎士團内でも極秘の情報として扱われており、燐にいたっては自分の母親の存在など知らなかったのです。シュラの話を聞いた雪男は自身の出生というものに異常に執着するようになります。
養父のことを裏で嗅ぎまわっているライトニングと竜士を脅したり、自分を心配してくれるしえみを跳ね除けたりと雪男らしくない行動をおこします。
自分の内なる葛藤と衝動に疲れた雪男は自分の頭に銃を押し付けて……。
- 著者
- 加藤 和恵
- 出版日
- 2017-10-04
ここまでに幾度となく衝突してきた燐と雪男ですが、自身の出生にそこまでこだわりのない燐と異常に執着する雪男というように、決裂をしてしまいます。自分の過去を探る雪男は何か狂気に囚われたような面持ちであり、行動までもがその狂気を孕んでいるのです。
出生にたいした関心を持たない燐がおかしいのか、それとも執着する雪男がおかしいのか、この答えはおいそれと導くことはできないでしょう。
また、イルミナティの情報を集め続けるライトニングの動向にも注目です。廉造を利用して何かを画策しています。
雪男のために、燐はどのように動くのか。そして、裏で暗躍するライトニングの目的は何なのか。次巻を楽しみに待ちましょう。
「出生の秘密を知りたい」、そう語る雪男の目にはサタンの炎が宿っていました。そして、ついに彼は大胆な行動に出てしまいます。
公の場でメフィストに銃口を向け、出生の秘密を吐けと脅すのでした。しかし、雪男の力など歯牙にもかけないメフィストはその脅しを突っぱねます。
すると、すでに自身の内の欲求とサタンの力に抗えない雪男はそのメフィストに弾を撃ち……!?
また、このままでは何も変わらないと考えた雪男は、騎士団を抜けてイルミナティへと渡ろうとします。そこに現れたのは、弟を助けに来た燐。雪男の危機を知り、ふたりでどこかに逃げようと飛んできたのです。
しかし、雪男の決意は固く、燐が何を語ろうとも聞く耳を持ちません。それどころか、燐にまで銃口を向けて……。
- 著者
- 加藤 和恵
- 出版日
- 2018-03-02
雪男の限界がついに訪れました。サタンの炎が自身に宿ったことで、余計に出生の秘密を知りたいという思いに拍車がかかります。
しかし、雪男の根底にあるのは知りたいという欲求ではなく、強くなりたいという思いなのです。そこを誤魔化し続けたことで今回のようなすれ違いがおきたのかもしれません。
イルミナティへ渡る雪男ははたしてどうなるのか。そして、雪男を失った燐は何を思うのか。さらには、燐の中に眠るサタンの力が覚醒!?
物語が大きく動いた21巻。ぜひ詳しい内容をご自身でご覧ください。
本当の『青の祓魔師』の面白さは読まなければ伝わりません。興味を持った方はぜひ読んでみてください。