小説「ガンゲイル・オンライン」の魅力を全巻ネタバレ紹介!

更新:2021.11.11

人気ライトノベル「ソードアート・オンライン」シリーズのスピンオフ作品として誕生した「ガンゲイル・オンライン」。原作と同様に人気シリーズとなった本作は、作者の豊富な銃機器の知識が詰め込まれています。ガンアクションファン必見の本作を全巻ご紹介していきます。

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「ガンゲイル・オンライン」とは

人気ライトノベル「ソードアート・オンライン」シリーズのスピンオフ作品ですが、1番の特徴は、「ソードアート・オンライン」とは違う作者が書いているというところです。

作者の時雨沢恵一が、「ソードアート・オンライン」シリーズに登場する「ガンゲイル・オンライン」の設定を気に入り、原作者の川原礫から許可を貰って二次創作をはじめたのが本シリーズ誕生のきっかけでした。

もちろん各所に許可を得たうえではありますが、二次創作を出版するというのは滅多にないので、そういう意味で珍しい作品です。

時雨沢は、「キノの旅」シリーズなどで知られる作者で、銃機器についての知識が豊富であり、本作でもそれがいかんなく発揮されています。「です・ます調」であるのも特徴で、ガンアクションというハードな内容でありながらとても読みやすく、銃機器に詳しくない方も十分に楽しむことができるでしょう。

内気な女子大生が憧れの姿で銃をぶっ放す‼ 「ガンゲイル・オンライン」1巻

183センチという身長にコンプレックスを抱く小比類巻香蓮(こひるいまきかれん)は、その高身長ゆえに人目が気になり、女子大生になる頃にはすっかり内向的で人付き合いの苦手な女の子になっていました。

ある日、香蓮はVR(バーチャル・リアリティ)オンラインゲームについて書かれたニュースを目にします。

VRの世界では別の人間になれる……彼女は興味を持ちました。VR世界で別の人間になり、積極的になれたら、現実世界での人付き合いも少しは上手にできるようになるのではないかと思ったのです。

香蓮は、数少ない友達のひとりで、実際にゲームで遊んでいるという美優に会いに行きますが……!?

著者
時雨沢 恵一
出版日
2014-12-10

本作のメイン舞台となるのは、VR(バーチャル・リアリティ)の世界のゲーム「ガンゲイル・オンライン」です。その名のとおり、荒廃した世界の中で銃機器を操り、戦いをくり広げるというガンアクション的なゲームなのですが、主人公の香蓮は最初からこのゲームをしたくて始めたわけではありません。

高身長コンプレックスを抱える彼女は、そもそもVRゲームそのものにも興味がありませんでした。しかし、内向的な性格で人付き合いが苦手な性格にいささか自分でも危機感を覚えていたところ、別の人間になれるというVRゲームの存在を知って、興味を持ったのです。

数あるVRゲームの中から「ガンゲイル・オンライン」を選んだ理由は単純で、ランダムで生成されるアバターが、身長150センチ未満の可愛い女の子という理想の姿をしていたからでした。

子供時代は活発だったという香蓮は、プレイヤー名を「レン」として「ガンゲイル・オンライン」の世界を縦横無尽に駆け回ることになります。

そこで出会ったのが、プレイヤー名「ピトフーイ」という女性です。レンとはゲーム内でフレンドとなり一緒に戦うことになるのですが、実は、現実世界では神崎エルザという、香蓮や美優もファンである人気のシンガーソングライターでした。サディスティックな性格で、命がけのゲームを好むタイプです。

本巻では、彼女がレンに持ちかけるゲーム内のイベント「スクワッド・ジャム」での戦いがメインになります。ただし、ピトフーイは参加しません。代わりに、ピトフーイの知人であるエム(M)という男とレンが組んで参加することになります。

スクワッド・ジャムはチーム対抗のサバイバルゲーム。1チームは6人までなので、2人組のレンとエムは不利のように見えますが、そんな2人がさまざまなチームと戦っていく様子はとても面白く読むことができるでしょう。

レンはもともとVRゲーム初心者なので、そんな彼女が勝ち進んでいくとなると主人公特有の無敵要素があるように思えますが、本作は彼女がそこまでチートな強さを誇ることはありません。

また、作者が銃機器の監修をできるほどガンマニアであるためか、作中のガン描写はとても細やか。銃機器好きにはたまらないですね。

本作は「ソードアート・オンライン」のスピンオフ作品ということで、舞台となる世界を共有していますが、作品としての世界観はかなり異なっています。時雨沢や「キノの旅」シリーズが好きという方にはピタリとくるものがあるはずですので、ぜひ手に取ってみてください。

新たな相棒とともに第2回スクワッド・ジャム開催!!「ガンゲイル・オンライン」2巻

レンとエムの優勝で幕を閉じた第1回スクワッド・ジャム。香蓮は、対戦をとおして知り合ったプレイヤーのエヴァとその仲間たちと、現実世界でも交流を持つようになっていました。

エヴァの正体は、新渡戸咲(にとべさき)という高校2年生の女の子。ひょんなことから香蓮は咲たちを自分の部屋へ招きます。いつの間にこんなに積極的になれたのだろうと思いつつ、彼女らと楽しい時間を過ごすのでした。

そんなある日、いきなり「ガンゲイル・オンライン」の全プレイヤーに対して、第2回スクワッド・ジャムが開催されるという知らせがあり……!?

著者
時雨沢恵一
出版日
2015-03-10

前巻でレンとエムのコンビが優勝したスクワッド・ジャム。本巻では第2回が開催されます。物語上では前回の開催から2ヶ月程度しか経っていないので、もう2回目!?と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

実は、レンは前回の大会から「ガンゲイル・オンライン」をプレイしておらず、今回のスクワッド・ジャムの参加も乗り気ではありませんでした。そんなレンを参加させるに至ったのは、前回共闘したエムからのとある依頼。それは、ピトフーイを倒してほしいというものでした。

このピトフーイ、かつて「ソードアート・オンライン」でプレイヤーがゲーム世界に閉じ込められた事件の日、偶然にも用事があってログインしておらず、からくも逃れた人物でした。しかしサディスティックな彼女は、そのことを喜ぶのではなく、むしろデスゲームに参加できなかったことを悔しく思っていたのです。

そうして死への興味が積もりに積もっていったピトフーイは、とうとう今回のゲームでエムに対してある提案をしてきます。そしてその提案を受けたエムが、レンに依頼をしてきたのでした。いったい彼女がどんな提案をしたのか……それは実際に手に取って確認してみてください。

今回エムはピトフーイと組むことになったので、レンは新しい相棒と組むことになります。それは、前巻でレンにVRゲームの手ほどきをしてくれた美優。彼女が「ガンゲイル・オンライン」に新たに参加し、プレイヤー名「フカ次郎」としてレンの相棒になりました。

急造コンビではありましたが、もともと友達であるだけに息がピッタリの彼女らはものすごい無双を見せてくれるので、楽しみにしてみてくださいね。

レンの強さが前巻より増強されたり、さらにその上をいくピトフーイの大暴れも見ることができるので、ガンアクション好きにとっては前巻よりも満足度が高くなっているかもしれません。ラストは完結せず次巻へ続く形になっているので、一気に読みたい!という方は次巻も用意して読み始めてください。

レンVSピトフーイ‼対決の行方「ガンゲイル・オンライン」3巻

第2回スクワッド・ジャム。エムからピトフーイを倒してほしいと頼まれたレンは、その約束を果たすためピトフーイのもとへと急いでいました。しかし近道をしようとするレンとフカ次郎の前には、すでに3つものチームが待ち受けています。

一方、同じようにスクワッド・ジャムに参加していたエヴァたちも、待ち受ける敵にどう対処するべきか悩んでいました……。

著者
時雨沢恵一
出版日
2015-06-10

前巻から引き続き、第2回スクワッド・ジャムの大会中です。前巻、エムからピトフーイを倒してほしいと頼まれたレンでしたが、その依頼の裏には、彼女の現実の死が関わっていました。ピトフーイの現実の死を回避する手段が、レンがピトフーイを倒すことだったのです。

これはレンとピトフーイのある約束のためで、本巻のラストではそれが果たされる場面も描かれています。いったいどんな約束を2人が交わしていたのでしょうか……。

本巻は、冒頭からアクション満載で始まります。レンの無双っぷりをはじめ、相棒のフカ次郎やエヴァたちもそれぞれ活躍するので、きっとお気に入りのキャラクターの戦闘シーンを満喫できるでしょう。

その他にも、新しく北海道で狩猟をしている人たちの集まった「KKHC(北の国ハンターズクラブ)」など個性的なキャラクターも登場します。キャラクターによって戦い方はさまざまなので、いろいろなアクションシーンを楽しむことができますよ。

なかでもやはり注目して頂きたいのは、レンとピトフーイの対決です。クライマックスでおこなわれるこの対決では、ガンアクションはもちろん、肉弾戦も迫力を増してきます。友人のレンのために頑張るフカ次郎や、彼女らの目的を知ったエヴァとの共闘など見どころがたくさんあるので、ぜひ注目してみてください。

脇役キャラも大活躍!!次に開催されるのは……「ガンゲイル・オンライン」4巻

第2回スクワッド・ジャムも終わり、現実の世界で真面目に大学の授業を受けている香蓮は、久しぶりの休日を部屋でゴロゴロして過ごしていました。あれから彼女は、ガンゲイル・オンラインに3回しか入っていません。

その理由は大学の授業でそこそこ忙しくしていることと、ゲーム内で1番の遊び仲間であるピトフーイが、現実世界でライブツアーを控えていて、遊べなくなっていたからでした。

しかし突然、咲から連絡が入ります。彼女が香蓮に告げた知らせとは……!?

著者
時雨沢恵一
出版日
2016-03-10

前巻で第2回スクワッド・ジャムが終わり、ピトフーイとレンの約束も果たされたことで、物語もひと区切りつきました。しかし本巻では再びスクワッド・ジャムが開催されます。第2回終了時点から、約3ヶ月が経っていました。

これまでもアクション満載でテンポ良くどんどん物語が進んできた本シリーズですが、本巻ではそこに輪をかけて、最初からバトルに継ぐバトル、アクション満載で進んでいきます。前巻では現実世界でのピトフーイの死を回避するという目的がレンにはありましたが、今回は純粋にゲーム上でのバトルを楽しめるようになっています。

そして何より注目なのは、レンのチームです。これまで2人組のチームを組んできた彼女ですが、今回は4人組。メンバーはもちろん、エム、ピトフーイ、フカ次郎です。ある時は対戦相手でもあった人物と、今度は仲間として最強タッグを組むというのは、王道ではありますが心躍る熱い展開ですね。

このメンバーは前回、前々回で優勝準優勝のプレイヤーを有する最強チームなので、それに対抗するべく周りのプレイヤーたちも対抗手段を講じてきたり、再戦を熱望したりしています。

3巻で「KKHC(北の国ハンターズクラブ)」のメンバーだったシャーリーも、そのひとり。現実世界では北海道でハンター兼観光ガイドとして働く彼女も、ピトフーイを倒すために第3回スクワッド・ジャムに参加していました。

この他にも、彼女のように再登場してくるキャラクターがいるので、ぜひチェックしてみてください。

本巻は次巻と合わせて上下巻になっています。続きがとても気になる終わり方なので、合わせて用意して一気読みするのもオススメです。

ゲームのような爽快感を味わえる「ガンゲイル・オンライン」5巻

突然提示された特別ルール――それは、生き残った各チームからひとりが選抜され、「ビトレイヤー(裏切り者)チーム」が結成されるというものでした。

レンたちのチームから選ばれたのは、ピトフーイ。もっとも戦いたくない相手だったのですが、結局2人はまた対戦しなければならないことになってしまいます。そして戦闘のフィールドは、侵食され続ける海から豪華客船内へと移動していき……!?

著者
時雨沢恵一
出版日
2016-07-09

前巻のラストで提示された特別ルールによって、レンとピトフーイは再び対戦することになってしまいました。レンにとっては望まない展開ですが、読者はワクワクするかもしれませんね。

前巻で彼女らが戦っていたのは、時間とともにフィールドが海に侵食されていくという場所でした。今回はそこから豪華客船内へと場所を移していきます。これまで野外戦だったものが室内戦になるというだけでも雰囲気や戦い方がガラリと変わるので、それだけでもドキドキ感が増すのですが、その他にも予想を超える展開が何度も巻き起こり、ページをめくる手を止められなくなってしまうでしょう。

もちろん新たなフィールドとなる船は、ただの豪華客船ではありません。どんな仕掛けがレンたちを待ち構えているのか、それはぜひ実際に手に取って確認してみてください。

本巻の見どころは、やはり特別ルールで作られた「ビトレイヤー(裏切り者)チーム」の活躍です。急造チームではありますが、ここまで生き残った猛者揃いだからこそチーム力も抜群で、レンたちを苦しめていきます。また「ビトレイヤー(裏切り者)」といっても、今回は純粋にゲーム内での出来事なので、シリアスな雰囲気もあまりありません。純粋にアクションを楽しむことができますよ。

敵味方入り乱れて戦う様子や刻一刻と変化するフィールド、そしてもちろん派手なガンアクションなど、まさにゲーム世界の魅力をそのまま詰め込んだような本巻。ストーリーを楽しめるのはもちろんですが、ゲームをするような感覚で楽しめる一冊です。

テストプレイに隠された真実とは?「ガンゲイル・オンライン」6巻

第3回スクワッド・ジャムが幕を閉じてから約1ヶ月。ある日、参加者たちが現実世界でそれぞれの日常を送っているところへ、1通のメールが届きます。

それは、これまで3回にわたっておこなわれたスクワッド・ジャムの上位入賞者プレイヤーだけが参加できるという「20260816テストプレイ」への招待状でした。

新たなシステムのもと、強者揃いのプレイヤーたちが挑む敵とは……!?

著者
時雨沢 恵一
出版日
2017-03-10

前巻までほとんどをスクワッド・ジャムの開催でしめてきた本シリーズですが、本巻では少し毛色の違う戦いがくり広げられていきます。チーム戦というのはこれまでと同じですが、今回のルールは、最新AIを搭載した敵NPCが守る城を制圧するというもの。1番最初に制圧できたチームが優勝です。

しかしこの敵NPCがかなりの強敵。ゲームの参加者は全員スクワッド・ジャムの上位入賞という強豪プレイヤーばかりのはずですが、それでもなかなか歯が立ちません。死亡しても2回までは生き返ることができるというルールが設けられているほど、難易度が高いのです。

ゲームで優勝するためには他のチームより先に敵を倒す必要がありますが、なかなか自分のチームだけで敵を倒すことができません。そこで、それぞれのチームは互いに協力して戦うことにします。これまで戦ってきた者同士が共闘するという展開はここまでもありましたが、少年漫画のような王道の熱い展開は何度読んでも面白く感じるはずです。

また物語が進むにつれて、今回のゲームについて、そして敵NPCについての意外な事実が判明していきます。レンたちの戦いの行方、そしてテストプレイの裏に隠された事実がどんなものなのか、ぜひ読んでみてください。

いかがでしたか?もとの作品である「ソードアート・オンライン」と同じ世界という共通項を持ちながら、その雰囲気はガラリと変わっている本シリーズ。物語自体も独立しているので、前シリーズを知らない方でも十分に楽しむことができます。でももし「ガンゲイル・オンライン」を読んで面白いと思ったら、ぜひ「ソードアート・オンライン」も読んでみてくださいね。ああ、そういうことだったんだ!と納得できるエピソードもきっとありますよ。

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