イケメン優等生と小悪魔系男の娘のチョット不思議な恋愛を描いた『プラナス・ガール』。ときにイチャイチャ、ときにシリアスなラブストーリーを楽しめます。この記事では主人公とヒロイン(?)を軸に、作品の見どころを最終回まで紹介します!スマホのアプリで無料で読むことができるので、試してみてください。
『プラナス・ガール』は、「月刊ガンガンJOKER」で2009年から2013年まで連載された、松本トモキによる作品。成績優秀、スポーツ万能のパーフェクト男子と、女装が似合いすぎる男の娘とのドタバタな恋愛劇が描かれています。
主人公・槙まきとと、美少年・藍川絆(きずな)の、仲良し以上ラブラブ未満な関係が、高校生活をとおして少しずつ進展していくのは読んでいてドキドキします。
今回は、そんな『プラナス・ガール』の見どころについて、やんわりとネタバレをはさみつつ最終回まで紹介していきましょう。
- 著者
- 松本 トモキ
- 出版日
- 2009-08-22
勉強、スポーツ、何をやらせてもトップクラスなのに、超面倒くさがりな主人公の槙。彼の思い描いていた「平凡で平穏な」高校生活は、女装した美少年絆との出会いによって、もろくも崩れ去ります。
海水浴、花火大会、文化祭......あらゆるイベントが絆によって「普通」ではなくなっていくのでした。
ハチャメチャな時間を過ごす槙でしたが、絆との関係が自分にとって特別なものであることに徐々に気がついていきます。
- 著者
- 松本 トモキ
- 出版日
- 2010-03-20
もう女の子でいいんじゃないかな、と誰もが認める一人称ボクな男の娘、絆。
勉強は全然ダメだけど運動は得意で、クラスの中でも目立ち、男女ともに人気があります。そんな絆ですが、男のツボをすべてを知り尽くしているのです。絆がくり出す男子がキュンとなるテクニックには、読者も思わずドキッとなってしまうでしょう。
ボディタッチ、おねだり、スカートで顔面を覆うなど......絆の小悪魔的ないたずらのひとつひとつに、槙もタジタジです。そんな彼の反応を楽しむ絆の表情も、これまた愛らしいと言わざるを得ません。
ルックスだけではなく、仕草や表情までもが女の子よりも女の子らしい。そんな彼の魅力が原因で、友達の恋愛トラブルに巻き込まれたり、校内に秘密裏に結成された「藍川絆ファンクラブ(通称AKFC)」のメンバーに追っかけられたりと、台風の目になってしまいがちです。自然と周囲を惹きつけてしまうあたりも、絆というキャラクターの魅力のひとつといえるでしょう。
ちなみに彼は大の甘党で、ポケットにはいつもソーダ味とピーチ味の2種類のアメ玉がはいっています。
「ボクが女の子になってほしいならピーチ味、男の子になってほしいと思うならソーダ味をたべさせて」(『プラナス・ガール』1巻より引用)
槙の気持ちを探るアイテムとしても使われました。
- 著者
- 松本 トモキ
- 出版日
- 2011-08-22
当初は絆のいたずらっ子で男の娘な言動に戸惑いを隠せなかった槙ですが、2人で過ごす時間が長くなるにつれて、彼とのひと時を特別なものだと感じるようになります。
その一方で、これから親友として付き合っていくべきなのか、それともカップルとして接していくべきなのか、心の中に迷いが生まれていました。
また絆も、槙にとって自分が大切な存在になりたいと思うようになります。
「槙くんに藍川らしいといわれると、実はとってもうれしい」(『プラナス・ガール』6巻より引用)
絆も自分が男性であることに悩んでいます。男の娘であるという自分、女装が似合っている自分を槙に認めてもらえることが嬉しいと、感じるようになるのです。
どんなに仲良しになったとしても、女の子よりも女の子らしく振舞ったとしても、やっぱり男同士です。現実から目を背けて特別な関係になってよいものだろうか......絆も、2人の関係性に思いを募らせていきます。
ああ!もう!ゴールインしちゃえよ!!と、読んでいるこちらがじらされるような感覚に襲われます。同時に、男の子同士であるがゆえの葛藤が槙と絆の両視点で絶妙に描かれており、その心理的な描写も本作をより魅力的にしているといえるでしょう。
周囲からもお似合いだと評価されるほど2人の関係は深まっていくのですが、互いの気持ちを打ち明けることができないまま、時は流れていきます。
男の子同士の恋愛という複雑なテーマを掲げている本作ですが、物語のところどころにクスっと笑える要素が盛り込まれています。槙と絆だけでなく、彼らを取り巻く仲間たちが学校の内外で起こすドタバタ劇は、微笑ましく感じられることでしょう。
第6話「槙くんのお料理教室?」では、調理実習に備えるべく絆が槙の部屋までやってきて料理を教えてほしいとお願いするのですが、ここで絆のメシマズ嫁の属性が発覚します。
「お前妙なところが男らしいよな......」(『プラナス・ガール』1巻より引用)
槙からそう突っ込まれるほど、絆は不器用。スクランブルエッグのようなナニかが、練習の成果となりました。
泊まり込みになったので、宿題を見せてもらおうとやってきた槙の友人・門山(かどやま)にあらぬ誤解をされたり、夜になって突然絆が枕投げを開始したりと、のほほんとしたギャグシーンを楽しむことができます。
また、第19話「緑乃丘高生徒会の実状?」で初登場する、生徒会長のクリスは、典型的な勘違いキャラです。自分が優秀だから会長に当選したと思い込んでいるのですが、実際は運動も勉強も平均。しかし発想や思考回路が誰よりも斜め上をいっており、
「会長から面白さをとったら何も残らない」(『プラナス・ガール』4巻より引用)
と副会長からコメントされるほど、存在そのものがネタになっています。後に数話にわたってくり広げられる文化祭パートでは、クリス会長の本領が発揮されており、緑乃丘高校の全生徒にむけたトンデモイベントが開催されます。
お約束のようにとばっちりを受ける槙と絆......巻き添えを食らってもなおミッションに取り組まんとする2人の姿には、笑いをとおり越して感動すら覚えるでしょう。
同性間の恋愛ドラマにおけるシリアスな要素と、ちょっと変わった登場人物たちによるギャクの要素がうまく溶け合った構成にも注目したいです。
- 著者
- 松本 トモキ
- 出版日
- 2013-08-22
波乱の文化祭を終え、AKFC(藍川絆ファンクラブ)の抗争もどうにか乗り越えた槙と絆。瞬く間に月日は流れ、季節はすっかり冬になりました。
そして迎えたクリスマス。門山の提案によって、男子寮の槙の部屋でクリスマスパーティーが開かれます。図らずもパーティーのホストとなった槙は、手料理で仲間たちをもてなすことになりました。それを絆は自ら進んで手伝います。
「なんつーかもう夫婦じゃね?」(『プラナス・ガール』6巻より引用)
周囲にそう思わせるほど、2人の関係は熟しているように見えます。しかし、槙は自分の気持ちにまだ疑いをもっていました。自分が絆に抱いている不思議な感情の正体を掴めないでいたのです。
その理由はやはり、絆が男の子だから。友情なのか、愛情なのか、その区別がつかないままパーティーはお開きとなりました。
時間も遅いので、槙は絆を家まで送っていくことに。実はこの時、槙はクリスマスプレゼントを用意していたのです。
「なんで俺は藍川にプレゼント用意してんだろ?」(『プラナス・ガール』6巻より引用)
自分の行動に思わずツッコミを入れてしまう槙。そんな彼の葛藤などつゆ知らず、絆はプレゼントを受け取って、それを身に着け無邪気に喜びます。自分が抱いているこの気持ちについての説明は、また今度考えよう、槙がそう思った矢先、絆は何の気なしにこう伝えした。
「槙くん。ありがとう」(『プラナス・ガール』6巻より引用)
ありふれた感謝の言葉を残し、2人はさよならをします。遠のいていく彼の後ろ姿を見守りながら、槙はなぜ男である絆にわざわざプレゼントを贈ったのか、その答えにようやくたどり着きました。
槙の表情から読み取ることができる吹っ切れた感。読者も思わずホッとしてしまいます。まるでパズルの最後のピースが見つかったような爽快感があるでしょう。
時は流れ、再び訪れた桜の季節......あらためて緑乃丘高校の屋上で2人は出会います。槙は自分の思いを打ち明けることができるのか?そして絆の答えは?
感動のフィナーレをぜひご覧になってください!