イラストレーター、鵜飼沙樹がイラストを担当するライトノベルをご紹介します。今回紹介するのは、仄暗く妖しい世界観が好きな人に特におすすめしたい作品です。また、最近人気を集める「異世界小説」が読みたい方も要注目ですよ!
鵜飼沙樹(うかいさき)は日本のイラストレーターです。CDジャケットや本の挿画、ライトノベルのイラストなど幅広く手がけており、その美しい世界観のイラストに魅せられるファンも多いです。
何ともいえない儚げなまなざしのキャラクターと、臨場感のある美しい色づかいが特徴的。また、一枚絵もストーリー性に富んでいて、その世界観が魅力です。
ウイルス性の化物「ガストレア」との戦争に敗北した人類は、彼らが嫌う金属「バラニウム」で天然の結界を作り、その中に立てこもる生活を続けていました。時折外から迷い込んでくるガストレアと戦うのは、現場の警察と「民間警備会社」のイニシエーターたちです。
このお話では、主人公の里見蓮太郎と彼の相棒の藍原延珠を中心に、ガストレアと人類との間で展開される血なまぐさくて重厚なバトルを楽しめます。
- 著者
- 神崎 紫電
- 出版日
- 2011-07-08
ガストレアに体液を送り込まれると、人間はガストレアと同じ異形の姿になってしまいます。強い感染力を持つガストレアの犠牲者を増やさないよう、蓮太郎と延珠は必死で戦い、敵の侵略を食い止めようとします。
イニシエーターというのは、ガストレアウィルスを一定の条件下でコントロールしている少女たちの総称。超人的な能力でガストレアと互角に戦うことができる彼らは、立てこもる人類にとって最後の希望ともいえる存在です。しかし、ある日蓮太郎が対峙した強力な敵が、世界を破滅へと導いていき……。
かわいいビジュアルのキャラクターは皆個性豊かで、何より戦闘シーンのかっこいい技名や臨場感たっぷりの描写に魅せられる人は少なくないはず。かっこいい戦闘が読みたい人、破滅しかけた世界という少々荒んだ空気感が好きな人に、おすすめしたいライトノベルです。
目が覚めたら知らない世界にいた……そんな恐ろしい体験をし、命を失いかけた主人公の相川渦波(あいかわかなみ)は、まるでゲームのような国で生きることになってしまいます。元の世界に戻るためには、「望みが叶う」といわれる迷宮の最深部を目指すしかありません。
各層のボスや、進むたびに強力になっていく敵、パーティの結成や仲間のレベル上げなど、RPGの楽しさが詰め込まれた物語です。しかし、ただ戦うだけでなく、渦波に付与される正体不明のステータスや、世界の謎などミステリアスな要素も盛り込まれ、どんどんと気になる展開を迎えます。
果たして彼はすべての謎を解き明かし、元の世界に帰ることができるのでしょうか?
- 著者
- 割内 タリサ
- 出版日
- 2014-07-24
人気の「異世界もの」のジャンルのなかでも、かなり王道で読み応えがあります。剣と魔法を駆使して強力な敵と戦い、ダンジョンを攻略していく様子は、主人公が高い能力を持っているため、サクサク場面が進んでいくのです。主人公と仲間たちの成長過程に重点を置いて描かれているだけあって、レベルが頻繁に上がり、使える技がどんどん増えていくのが気持ちいいです。
バトルシーンだけではなく、敵にまつわる謎や主人公のステータスなど、成長していくにつれて謎が増えていくのもひとつの醍醐味。ただのゲーム小説ではなく、世界の謎を紐解いていく冒険小説が好きな方はハマるのではないでしょうか。
仲間の美少女、元奴隷の少女など、主人公とキャラクターたちの掛け合いも楽しく、彼らひとりひとりの事情も物語のポイントです。全体的に少女のキャラクターが多いのですが、それぞれ違った個性を持っていて、鵜飼沙樹が描く美麗なイラストを見ているだけでも楽しいですよ。
主人公の山田隆司は、スキー部の合宿で向かった雪山で遭難してしまいます。高校生の彼は、人気のオンラインゲーム「ファンタジー・アドベンチャー・オンライン」にハマっており、上級プレイヤーとしてプレイしていました。
雪山で遭難していた隆司は、雪山ではない場所で目覚めることになり……。
彼は、見覚えのある装備や装飾品をまとっていました。空を見上げれば赤と青、二つの太陽。なんと、遭難していた彼は、ファンタジー・アドベンチャー・オンラインの世界にトリップしていたのです!
- 著者
- 相野 仁
- 出版日
- 2013-05-31
もとは「小説家になろう」で人気を集めていた本作。主人公が異世界で最強を謳歌するという内容で、心地よく読み進めることができます。
賢者という職業を選び、強力な魔法を指先ひとつで操る彼に周囲はどよめき、時には恐怖します。マリウスと名乗る隆司は、その名の通り「ネクストライフ」として異世界生活を謳歌していくのです。
一国の王女や森の中でモンスターと暮らす不思議な女の子、騎士たちなど、ファンタジックなキャラクターは、イラストの衣装にも注目です。敵も味方も手の打ちようがないほど強い主人公が苦戦するシーンは、果たしてやってくるのでしょうか?チートな登場人物が活躍する爽快な展開が好きな方におすすめできる作品です。
アメリカの民間軍事会社「ムーンエッジ」に所属する少女、篠原禊。彼女は非公式ながらSEALsの入隊テストに合格した実績を持つ16歳です。その実績を買われて彼女に任せられた任務は、日本の名門高校に通う男子学生の監視と護衛でした。
ただの男子高校生である十河正臣に、どうして護衛が必要なのかと禊は勘ぐります。しかし実は正臣には、コードネーム「黒猫」と呼ばれる裏の顔があったのです。
- 著者
- 地本 草子
- 出版日
- 2012-11-22
とにかく前編と後編の読み心地がまったく違う本作。護衛対象なのに、普通の少年にしか見えない正臣に混乱する禊の困惑っぷりが楽しい前半部分は、名門校・私立櫻谷学園を舞台とした学園ものです。幼いころから戦いの世界に身を置いていた禊が、突然日常の学園生活に放り込まれて混乱する様子が可愛らしく描かれています。
しかしどれだけ可愛くても、彼女は根っからの軍人。
「……君、マーベルコミックのスーパーヒーローか何か? 超能力とかある系?」(『黒猫の水曜日―Wednesday in Chat Noir 』1巻から引用)
CIAの人間から、このように言われるほどのエリートなのです。
作品後半では派手なガンアクションが目白押し。軍隊もの、現代の武器を駆使したアクションが好きな人はぜひ、読んでみてください。
作品の世界観だけでなく、前半で登場したキャラクターたちのイメージチェンジにも驚かされます。ミステリアスな正臣の正体、そして禊の過去など、重いものを抱える登場人物たちの関係性を楽しめる物語です。
鵜飼沙樹が描く無骨な武器を持つ女子高生のイラストは、表紙買いしてしまいそうな魅力があります。挿し絵でも、喜怒哀楽が激しい禊の姿や、それぞれ謎の多いクラスメイトたちのイラストを楽しむことができますよ。
父親のせいでひどい人生を送った主人公は、「もう生きていたくない」と思うほどの生涯を終えました。しかし、再び目を開けた彼に、ボンテージ風ドレスを着こなした少女が不遜な態度でこう告げるのです。
「残虐に凄惨に殺されし、罪なき魂よ。これより、貴様は従者として余に仕えよ」(『異世界拷問姫』1巻より引用)
女王のような態度の彼女は、「拷問姫」エリザベート・レ・ファニュと名乗り、14段階の悪魔たちを倒さねばならないという目的を話します。彼女によって復活させられた主人公は、いやいやながら彼女の執事として働くことになるのです。
- 著者
- 綾里 けいし
- 出版日
- 2016-04-25
最初は「余に仕えよ」というエリザベートの勧誘を「断る」と一言で切って捨てた主人公ですが、拷問器具で敵を瞬殺した彼女の力を目の前で見せつけられ、それが半ば脅しとなって彼女の身の回りの世話をすることになります。
表紙では、可愛らしさよりもむしろゾッとするような冷たさを醸し出している鵜飼沙樹のイラスト。しかし本編ではそんな彼女がプリンを食べて満足する様子が出てくるなど、可愛らしさを感じることができます。
拷問器具をテーマにしているだけあって残酷な描写が多いので、ダークファンタジーが好きな人に特におすすめです。ただグロテスクなだけでなく、悪魔や地下墓所など舞台設定も世界観にピッタリ。恐ろしくも魅力的なキャラクターと彼女たちのイラストを楽しんでみてください。
いかがでしたか?読みやすく万人受けしそうなライトノベル、というよりは、好きな人は思い切りどっぷりハマれる、クセのあるストーリーが多いです。繊細で妖しい魅力を放つ鵜飼沙樹のイラストと一緒に物語を楽しんでみてくださいね。