ドレスローザ編、あるいはもっと前に「ワンピース」を読むのをやめてしまった方、もったいないです。2017年現在展開されているホールケーキアイランド編は近年まれに見る激アツ展開。今回は、主に2017年の「ワンピース」の魅力をネタバレ紹介いたします。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2017-08-04
最新86巻現在、四皇ビッグ・マムのホールケーキアイランド編は佳境を迎えています。ついに地獄の結婚式の幕が上がり、ルフィたちが大暴れ。ビッグ・マムがブチ切れて、物語は一気にクライマックスへ、といった状況です。
サンジファンには特にたまらないエピソードであるホールケーキアイランド編の魅力をネタバレ徹底考察したいと思います。
ドレスローザ編ちょっと長いな、と脱落していた方もいるかもしれませんが、ホールケーキアイランド編はサンジに結婚式の招待状が届くところから始まります。しかも新婦の母親は四皇ビッグ・マム。もうここだけで一気に引き込まれます。
断るつもりで、ビッグ・マムおよび自身の家族のもとに向かうサンジですが、断った場合、恩人ゼフの海上レストラン「バラティエ」を襲うと脅され……。
ルフィはサンジを連れ戻しに向かいますが、ただ単に連れ戻すだけではダメで、四皇ビッグ・マムと話をつける必要があるのです。この設定がエピソードに緊張感を与えています。
サンジが、戦争を請け負うことで知られる「ヴィンスモーク家」の一員であることが明らかになりました。
サンジたち兄弟は、父ジャッジが科学の力で「血統因子」を操作したことにより超人的な能力を持って生まれるはずでしたが、兄弟の中で唯一サンジだけは普通の人間として生まれ、父や兄弟に虐げられる幼少期を過ごします。
サンジが超人的な能力を授からなかった理由は、母のソラが「血統因子」の操作に抵抗するために劇薬を飲んだから。それが原因となって、ソラは若くして亡くなってしまいます。
6ヶ月以上監禁されるなどひどい扱いを受け、唯一の味方と言えるソラを失ったサンジは、ヴィンスモーク家を離れる決意をしますが、脱走時に父ジャッジに見つかってしまいます。
捕えられるかと思いきや、ジャッジはサンジを解放。その際にサンジのことを「誰にも知られたくない汚点」と言います。
ひどいエピソードなのですが、ヴィンスモーク家の中でソラを除く唯一の良心、姉レイジュのセリフに泣かされて……。
どんなにひどい環境にも一筋の救いはある、そんな「ワンピース」らしいエピソードにきっと涙腺が崩壊するでしょう。
もはや悪役と言っていいヴィンスモーク家が誇る科学戦闘部隊「ジェルマ66」。元々サンジの結婚式は政略結婚であったはずでしたが、ヴィンスモーク家は式中に皆殺しにされる予定であったことが後にわかります。
殺されそうになったところをサンジに救われたヴィンスモーク家は、レイドスーツを着て戦闘モードになり、ビッグ・マム海賊団の幹部と渡り合っていきます。もしかしたらこのままの流れでカイドウ戦までルフィたちと行動をともにするかもしれません。
ここで簡単にヴィンスモーク家メンバーを紹介しようと思います。
ヴィンスモーク・ジャッジ
サンジの父にしてジェルマ66総帥。異名は怪鳥(ガルーダ)。槍で戦います。
ヴィンスモーク・レイジュ(ポイズンピンク)
サンジの姉。24歳。毒を吸収したり、毒で攻撃したりすることができます。
ヴィンスモーク・イチジ(スパーキングレッド)
サンジの兄。21歳。86巻現在、目立った描写はありませんが、なんらかの特殊能力を持っているだろうことが予想されます。
ヴィンスモーク・ニジ(デンゲキブルー)
サンジの兄。21歳。電撃を放って攻撃でき、姿を隠す能力も持っています。
ヴィンスモーク・ヨンジ(ウインチグリーン)
サンジの弟。21歳。ウインチという名前、またダイフクを押さえつけている際の効果音「ドスン」から、重さを変化させるなどの能力を持っているだろうことが予想されます。
ワンピースファンの間に衝撃が走ったホールケーキアイランド編での伏線回収に、19巻に登場していた巨大船のマークがジェルマのマークと同じ形をしているというものがあります。
巨大船は武器商船で、反乱軍はそこから武器を取り、総攻撃を仕掛けることになります。
上記のマークと、アラバスタ編でNo.6ペアが登場していないことから、No.6ペアはジェルマ66で、内戦に火をつける役割を果たしていたのではないかと考えられるのです。19巻が発売されたのは2001年、およそ15年かけての伏線回収。凄すぎます。
アニメでは1時間スペシャルとして放送され話題になった「ルフィVSサンジ」。VSと言いながら、ルフィは戦う意思を見せず、サンジの蹴りに耐えるだけでした。
バトル自体が熱いというより、バトル後のルフィのセリフが激アツです。4ページにわたってサンジに思いを叫び、「お前がいねェと…!! おれは海賊王になれねェ!!!!」という名言も飛び出しました。涙腺崩壊です。ありがとうございます。
まだ読んでいない方、多くは書きません。読んでください。
一緒に帰ろうと言うルフィに対し、サンジは帰れない理由が3つあると言います。
理由を語ってサンジをぶん殴ってルフィが一言「本心を言えよ!!!」。何度涙腺を崩壊させれば気が済むんだホールケーキアイランド編……。まだ読んでいない方は85巻まで買って一気読みしましょう。
前々から仲間になるのではと言われていたジンベエですが、86巻にて、ビッグ・マムに親子分の盃を返したことで、ほぼ仲間になるのは確定と言える状態になりました。
ジンベエが船長を務めるタイヨウの海賊団のほかのメンバーにもルフィの仲間になる意思は伝えられており、反対する者もいません。しかも、ジンベエが担うであろう操舵手のポジションは現在空席です。ここまで条件が揃っていて加入しないわけがありません。
サンジを奪還するだけでなく、ジンベエ親分まで仲間入りするホールケーキアイランド編。アツ過ぎです。
ビッグ・マム傘下でありながら、ビッグ・マム暗殺を目論むカポネ・ベッジと共闘することになったルフィたち。もちろん、共闘展開自体もアツいのですが、個人的にはホールケーキアイランド編以降の展開への期待が高まっています。
ここまでの流れで思うのは、ドレスローザ編で「麦わら大船団」が組織されて以降、さらに戦力が増強されていること。
現在のルフィたちの戦力は麦わら大船団、ロー率いるハートの海賊団、ミンク族、ワノ国の侍、あとは不死鳥マルコ率いる白ひげ海賊団残党が加わるだろうと思われます。
上記にくわえて、今回のホールケーキアイランド編で、ジェルマ66とカポネ・ベッジ率いるファイアタンク海賊団を加えて、四皇カイドウに挑む、この展開があったとしたらかなりアツいのではないでしょうか。頂上戦争レベルの大規模バトルになるかもしれません。
ホールケーキアイランド編を一言で表すとしたら、ルフィが四皇と初めて衝突するエピソード、と言うことができるでしょう。ルフィが海賊王になるにあたって、四皇は超えていかなければならない壁ですが、これまでのエピソードでは規格外すぎる強さからか、ルフィの前に姿を見せることはあまりありませんでした。
それが今回のホールケーキアイランド編になって初めて、敵としてルフィの前に登場するのです。
ルフィVSビッグ・マムが実現するかはわかりませんが、四皇の海賊団は幹部からしてこれまでのボスより強いです。ルフィがナミとともになんとか倒したスイート三将星のひとりクラッカーは懸賞金8億6000万ベリー。そのほかの船員も懸賞金1億ベリーを超えているキャラクターがほとんどですし、カタクリに至っては10億ベリーを超えます。
正直、今のルフィたちよりも数段レベルが上の相手と言わざるをえませんが、格上の相手を倒し、名をあげてきたことを考えると、今回の四皇ビッグ・マムとの戦いをへて一段上のステージに上がってくれることは間違いないでしょう。四皇と同じレベルとは言わないまでも、手の届くところまでは来ました。
これまで見てきたようにホールケーキアイランド編は激アツ要素が満載なのですが、島の外でもそれぞれストーリーが展開しています。
島に来ているのはルフィ、ナミ、チョッパー、ブルック、サンジだけで、ほかのメンバーはワノ国に向かっています。
半分のメンバーでここまでアツい展開がなされるのもすごいですが、それだけではありません。4年に一度の世界会議(レヴェリー)が開催され、アラバスタのビビ、コブラ、サクラ王国のドルトン、Dr.くれは、リュウグウ王国のネプチューン、ドレスローザのリク王、ヴィオラなどこれまでルフィたちが通ってきた島の人々が一堂に会するのです。
レヴェリーを経ての四皇カイドウとの対決。ホールケーキアイランド編以後も激アツの展開が期待されます。
ホールケーキアイランド編は終始サンジにスポットが当たるエピソードですが、クライマックス最大の難所であるビッグ・マム対応もサンジの仕事になります。サンジファンにはたまりません!
ウェディングケーキが食べられず暴れだしたビッグ・マムを抑えられるのはサンジのケーキしかありません。うまくいけば、サンジのケーキを食べたいがためにビッグ・マムがルフィに同盟を申し入れるなんていう展開もありえるかも……。
2017年10月現在、週刊少年ジャンプの連載では、ルフィVSカタクリという激アツなバトルが繰り広げられています。カタクリの懸賞金は10億5700万ベリー。ドレスローザ編のラスボス、ドフラミンゴの元懸賞金が3億4000万ベリーだったことを考えると、大幅にランクアップした敵ということができるでしょう。
四皇カイドウの百獣海賊団大幹部ジャックの懸賞金も10億ベリーだったことから、四皇の幹部クラスはおおよそ懸賞金10億ベリーレベルであることが予想されます。となると、四皇であるビッグ・マムやカイドウの懸賞金は15億~20億ベリークラスであってもおかしくありません。
懸賞金インフレを続ける「ワンピース」ですが、これまでの展開では、階段を一段ずつのぼるように、自分より懸賞金の高い敵をルフィは倒してきました。そこから考えるに、ホールケーキアイランド編で、ルフィがカタクリとビッグ・マムの両方を倒すというのは考えづらいです。カタクリを倒すというワンクッションを挟んで、満を持しての四皇カイドウ戦という展開が自然でしょう。
また、2016年12月に、尾田栄一郎が2017年にホールケーキアイランド、レヴェリー、ワノ国と怒涛の展開を見せる、と発言していたことから、2017年内にホールケーキアイランド編は終了し、次の展開に進むだろうと予想されます。(1年前の想定よりも長くなっちゃった、という可能性もありますが)
そもそも、ホールケーキアイランド編でのルフィの目的はサンジの奪還とポーネグリフの写しを取ってくることです。その目的が果たされ、かつジンベエという強力なキャラクターも仲間になろうとしている現段階で、相当な戦果をあげているとも言えます。唯一と言っていいマイナス点はペドロの自爆ですが、これに関しては、復活の可能性を後述します。
以上のことから考えるに、ホールケーキアイランド編のボスはカタクリで、ルフィはカタクリに勝利、あるいは引き分けて、サンジ、ジンベエとともにカイドウ戦に赴く展開が濃厚と言えるでしょう。
いやいや、ビッグ・マムがブチ切れてんじゃん、と思った方。ご安心ください。そこは、サンジとプリンがなんとかします。
まず、サンジが作るケーキでビッグ・マムの機嫌をとります。サンジ曰く、人を幸せの絶頂に導く「甘みの真骨頂」を見せてくれる、とのことなので、かなりの効果が期待できます。ただ、もしサンジのケーキで解決に至らなくても、まだプリンがいます。
まず、プリンが持つ、人の記憶を改ざんできるメモメモの実の能力があれば、ビッグ・マムの記憶を都合よく修正することができます。しかし、四皇ビッグ・マムの記憶の改ざんを簡単にできてしまうというのはチート能力過ぎて、パワーバランスを壊してしまうかもしれません。もちろん天才尾田栄一郎ですので、その点を伏線回収などで軽やかにクリアしてくることも大いに考えられますが、ここではもうひとつの説を考えてみようと思います。
プリンのもうひとつの特徴として、三つ目族であるという点が挙げられます。ビッグ・マムは三つ目が「真の開眼」を果たすことを期待していました。
ベタではありますが、開眼の条件が三つ目を肯定されることや真実の愛的な何かだったとすると、現段階でサンジに心がかなり傾いているプリンがホールケーキアイランド編終盤で開眼する可能性はあります。
それを前提に考えてみると、その時プリンのとる行動として、愛するサンジとサンジの仲間を守るために、自身の命を懸けるということも考えられるでしょう。
そこまでいって、ビッグ・マムとルフィの激アツ交渉展開に至るとすると、ルフィ側のカードは大きく3つ。
たとえば、サンジがビッグ・マムのために定期的にケーキを作ること、あるいはレシピの提供を提案したとすると、ビッグ・マムとしては、プリンとケーキが手に入り、これ以上自分の家族に被害を出したくないとないと考え、手打ちになるという展開もありえるでしょう。
ここで、ホールケーキアイランド編、唯一と言っていいマイナスポイント、ペドロが瀕死の状態で現れたとするなら、ビッグ・マムに交渉して、ペドロに寿命を戻してもらうという展開もありえます。
「ワンピース」を深く読み込んでいる方の中には、それはない、という方もいるでしょう。奪った魂を入れられるのは無機物や動植物だけだろうと。
ただ、ソルソルの実の能力を説明している835話を読み返してみると、「死体」や「他人」に魂は入らない、と言っているだけで、寿命を奪った本人に戻すことができないとは一言も言っていないんです。ここであえて「他人」という書き方をしていることから考えると、本人には戻すことができる→本人に戻す展開がある、と考えることもできます。
もし寿命を戻す展開があるとしたら、対象はペドロ以外に考えられないでしょう。
結論、ホールケーキアイランド編の結末はルフィとビッグ・マムの手打ち。ペドロ復活で大団円。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2017-11-02
ワンピース
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