未亡人の八雲柊子の趣味は、隣に住む男子高校生・大和翔平を「餌づけ」すること!?本作は、ご飯を通したふれあいを描いた、心温まる作品です。誰かのためを想って、美味しいご飯を作る幸せ……そんなものが感じられるでしょう。無料のスマホアプリでも読むことができますので、ぜひチェックしてみてください。
未亡人の八雲柊子(やくも しゅうこ)には、人に言えない秘密があります。
それは、男子高校生を毎晩家に呼び、夕飯を振舞っていること。これを彼女は「餌づけ」と呼んでいます。
少年の名は大和翔平(やまと しょうへい)。高校1年にして強豪校の野球部レギュラーを務めており、育ち盛りで食欲旺盛の男子。八雲さんが作る料理をかなり気に入っていて、毎回必ずおかわりをねだります。「食欲怪獣」と思われてしまうほど、彼の胃袋には限界が見えません。
八雲さんは、予想を大きく上回る大和の食欲に驚きつつも、自分の手料理を食べてもらえることに喜びを感じています。
2人にとって、毎晩の「餌づけ」の時間はかけがえのないもの。
スマホアプリ「マンガUP!」で無料で読むこともできるので、気になった方はご覧ください。
この記事では作品の魅力、全巻の見所をご紹介させていただきます。未読の方はネタバレにご注意ください。
- 著者
- 里見U
- 出版日
- 2016-09-24
未亡人の八雲柊子は、アパートで一人暮らしをしています。かつては料理を趣味にしていましたが、手料理を食べてくれる夫が亡くなってからは、料理を作る楽しさが感じられなくなっていました。
そんなある時、隣の部屋に野球部の男子高校生が一人で引っ越してきたことを知り、挨拶にとおにぎりを差し入れました。すると、彼はあっという間に完食。どうやら普段はコンビニ弁当ばかりだったようです。
見かねた彼女は「お腹が空いたらうちに食べにおいで」と夕飯に誘います。これをきっかけに、彼女の「餌づけ」が始まりました。
彼の食べっぷりは、どこか夫に似ていることを思い出します。少ししんみりとしますが、彼のおかげで料理を作る楽しさや、手料理を食べてもらうことの喜びを再び感じられるようになった八雲さん。
親元を離れて暮らしている育ち盛りの大和にとっても、彼女の手料理は非常にありがたいもの。野球部にしては細いと言われがちなことを気にしていましたが、手料理のおかげで理想の体型に近づいていきます。
- 著者
- 里見U
- 出版日
- 2016-11-25
本作最大の魅力はゆっくりと深まるふたりの関係です。大和がお年頃男子の割にはあまり女性にガツガツしていないことと、八雲さんも年が離れているので弟か息子のように彼を可愛がるがゆえの展開です。
家族のような、それでいてただのお隣さんでもあるふたりの不思議な関係がじっくりと深まっていくところに癒されます。起承転結でハラハラ!というような展開には見ることができない、優しい癒しを感じるのです。
しかし4巻あたりからは徐々にそれが変化していきます。やっと大和がお年頃の男子らしい気遣いを八雲さんに見せるあたりなどは最高にニヤニヤしてしまうでしょう。
本作はグルメ漫画ではあるものの、食べた後のリアクションに恍惚の表情や、細かい感想を言ううんちくなどがありません。大和の設定的にそれがないのがリアルな雰囲気を出しているのです。
彼はどちらかというと寡黙な性格のスポーツ男子なので、何か言う訳でもなく、表情を大きく帰る訳でもなく、ガツガツと八雲さんの料理を食べます。
飯はうまけりゃそれでいい!しのごの言わずにこの空腹を満たしたい!という純粋な食欲が伝わってきて、どこかリアル。これくらいの年頃の男子だったらこんな風に見ていて気持ちのいい食べっぷりをするだろうなーと目を細めてしまいます。
エロを匂わせる表情のリアクションや、うんちくだらけのグルメ漫画に疲れた、という人には特におすすめ。リアルに登場する飯が食べたくなる内容です。
本作の魅力は、ヒロイン・八雲さんの可愛さにもあります。大和にお腹いっぱい食べてほしい、という自分の欲望のままに行動する彼女。
時々ただの隣人で出すぎた真似をしているだろうかと不安になるところや、それでもついついあの顔が見たくていそいそと準備をしてしまう様子、彼が来ない時の寂しそうな表情が魅力的です。
そんな可愛らしい八雲さんですが、未亡人、妙齢女性ということもあり、時々大人の色気を醸し出すことも。特に4巻のそれは顕著で、いままで男を出すことがほとんどなかった大和もついクラリときてしまうのです。
八雲さんは毎晩大和に手料理を振舞うのが日課です。大和は必ずおかわりしてくれるので、この「餌づけ」の時間は嬉しいもの。
しかし、彼女には気になることがありました。大和は、いつも完食するものの「おいしい」とは口にしないのです。彼がモリモリ食べているところを見ると、気に入ってくれているのは何となく分かります。とはいえ、彼女は「おいしい」が聞きたいなぁ、と思っていました。
そこで、炊飯器を3合炊きのものから、一度にたくさん炊けて炊きあがりもよいものに変えたり、喜んで食べてくれそうなハンバーグやオムライスを作ったりと試行錯誤します。
- 著者
- 里見U
- 出版日
- 2016-09-24
どうやら大和は元々無口な性格であり、あまり思ったことを口に出さないだけで、「おいしい」と心の中では思っている様子。時々さらっと「うまい」と言うこともあります。貴重な発言が出るたび、八雲さんはご満悦です。
料理をがつがつ食べている大和を嬉しそうに見つめている彼女の様子が、たまらなく愛おしく感じられます。つい、読みながら「餌づけされたい!」と叫んでしまうほどです。
「餌づけ」はすっかり2人の日課となり、挨拶も「いらっしゃい」「おじゃまします」ではなく、「おかえり」「ただいま」と言い合うようになります。2人の関係が、ただの隣人同士というよりも家族に近いような存在に感じられるでしょう。
大和はご飯を作ってくれる彼女に日頃から感謝していますが、お礼に何か自分にできることはないかと考えはじめます。些細なことですが、部屋のゴキブリ退治をしてあげたり、風邪の看病をしたり。学生の身分でできることは限られているとはいえ、彼女が1人で対処しきれないことを手伝い、徐々に彼女の支えとなっていくのです。お互いに助け合える関係は、ほっこりさせられます。
- 著者
- 里見U
- 出版日
- 2016-11-25
一方の八雲さんも、高校球児の大和が頑張る姿を見て、野球に少しずつ関心を持ちはじめます。そして、徐々にルールを調べたり、試合を見に行ったりするのです。軽い気持ちで試合に誘った大和でしたが、自分の応援に来てくれたことが嬉しいと感じていました。
こうして毎晩の「餌づけ」の時間以外でも付き合いが増えていき、2人の距離はゆっくりと近づいていきます。
また、徐々に八雲の亡き夫についても明かされていきます。彼女は大和に、「夫は運動を全然しない本の虫だったけれど、大和のように食べることが大好きだった」と語りました。大和を放っておけないのは、彼が亡き夫に似ているからかもしれません。
メインキャラクターは八雲さんと大和の2人ですが、彼らを取り巻くキャラクターたちも魅力的です。3巻では、サブキャラクターに焦点を当てたエピソードが多数収録されているのです。
大和に思いを寄せる幼なじみの西原ルイが、大和好みの女性になりたいと努力したり、八雲さんの親友である由梨が大和と鉢合わせしてしまったり……さまざまな出来事が起こります。
- 著者
- 里見U
- 出版日
- 2017-04-25
15話では、大和の妹のさくらがアパートを訪ねてきます。さくらはしっかり者で、一人暮らしの兄がちゃんと生活しているか、共働きの両親に代わって様子を見にきたのです。しかし部活で大和はまだ帰ってきておらず、さくらはお隣の八雲さんの部屋で待つことに。
さくらは兄がお世話になっているとお礼を言い、家族もそのことを知っていると伝えると、八雲さんは驚いてしまいました。しかし、大和の親から迷惑に思われていなかったようで安堵します。
八雲さんは兄想いのさくらを気に入り、一緒に夕飯を作ることに。一緒に料理を作って食べることで、さくらからも慕われます。こうして、とうとう大和兄妹の「餌づけ」をしてしまうのでした。
季節は夏。高校球児たちにとっての夏といえば、甲子園出場をかけた戦いの季節です。大和も、甲子園出場を目指して奮闘します。
そんな頑張る球児のために、八雲はいつものように料理でサポート。妹のさくらも、大和が勝てるように四つ葉のクローバーを探してプレゼントしようとします。ルイも対戦相手についてのデータを収集し、大和を全力でサポートします。
大和擁する桐聖学院は順調に勝ち進み、いよいよ決勝戦。大和たちは甲子園出場することができるのでしょうか?
- 著者
- 里見U
- 出版日
- 2017-10-25
また、大和の男子高校生らしい一面が垣間見えるエピソードもあります。
雨に濡れて、下着が透けてしまっている八雲さんから視線を逸らしたり、停電で足元が見えずふらついた彼女を支えたと思ったら、柔らかい感触がして、もしかして胸を触ってしまったのでは……と悶々としたり。
巨乳美人で、ふとした仕草に色気を感じられる彼女は、高校生にはまだちょっと刺激が強いのかもしれません。さすがの大和もドギマギしてしまいます。
甲子園出場をかけた高校野球の試合は、敗北に終わってしまいました。3年生に混じって、1年生の大和が出場していたことが、負けた要因だと2年の先輩が陰口を叩いているのを大和はたまたま耳にしてしまいます。
そんな彼の様子を心配してくれたのが、3年生の元キャプテン、須藤先輩でした。大和自身は、愚痴られていることをそこまで気にしていない様子でしたが、ひとつだけ引っかかっていた言葉がありました。
それは、「3年生の先輩が、負けて泣いているのに、あいつだけ笑っていた」ということ。大和は負けた後、悔しさよりも「また戦いたい」という次に繋がる気持ちが湧いてきたのだと言います。
それを聞いた須藤先輩は、以前自分が1年だったときに見ていた先輩も同じだった、と話をするのです。その先輩はプロ入りを果たしています。須藤先輩は、大和の秘めている才能を肯定し、自信を持つよう声をかけてくれたのでした。
- 著者
- 里見U
- 出版日
- 2018-03-24
そんな先輩の励ましもあり、大和の食欲は普段の何倍も増しています。試合結果を気にして、何と声をかけたら良いかわからない八雲さんでしたが、彼女の心配をよそに大和はこう言うのです。
「もっと練習してメシ食って体デカくして
次は絶対に勝ちますから」(『八雲さんは餌づけがしたい』5巻より引用)
なんと男前の発言……!大和が帰った後、八雲さんは「息子の成長に戸惑う母親のような心境」とつぶやいています。
ご飯を作る、作られるという一見異様な関係の2人ですが、少しずつ絆が深まっていく様子が描かれているのがたまらないポイントです。今は「お隣のお姉さん」といった立ち位置ですが、いずれもっと大切な存在になっていくのでしょうか……?ほんわかと癒される物語ですが、今度の展開も見逃せません!
「…決戦前より緊張する…!」
(『八雲さんは餌づけがしたい』5巻より引用)
普段はのんびりしている大和に、緊迫感漂う表情をさせるドキドキの事件。まさかの八雲さんのお家で一泊しちゃうイベント発生です。
- 著者
- 里見U
- 出版日
- 2018-10-25
それは今から1時間前のこと。時刻はすでに夜中の12時を過ぎていました。いつもどおり美味しいご飯(ちなみに肉味噌素麺)を食べてお別れをするのですが、なにやら外でバタバタ物音が。気になった八雲さんが覗くと、部室に鍵を忘れてしまったようで途方にくれている大和がいました。
部室も鍵がしまっていて、大家さんも旅行中で留守。そうなるともう仕方ない!一緒にお泊まりです。最高の展開。
当初は狭いアパートということでシャワーを浴びる八雲さんにドキドキ、なるべく離れているとはいえ隣で眠る八雲さんにドキドキと、心臓の休まる暇のなかった大和でしたが、時間が解決。2時半くらいにもなるといびきをかいて眠っています。
そして実は目を覚ましてドキドキしてしまったのは意外にも八雲さんの方でした。それは彼女の過去に理由があるようで……。
その夜にした八雲さんの可愛い行動は、彼女と読者しか知らず。大和はいつもどおりの優しい笑顔の彼女と健全な朝を迎えます。八雲さんの徐々に明かされる過去が気になるエピソードです。
また、このほかにも大和母が登場したり、大和に思いを寄せる幼馴染とのデートがあったりと、9巻も賑やかな内容です。
未亡人と男子高校生という不思議な組み合わせですが、2人の関係は温かくほほえましいものです。彼らの距離は、どこまで縮まるのでしょうか?今後、さらに目が離せない展開となるでしょう。
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