テレビアニメが原作の大人気青春作品『花咲くいろは』。劇場版まで製作され、今なお根強い人気を誇る本作の漫画版についてご紹介します。スマホアプリの「マンガUP!」で無料で読むことができるので、アニメファンの方もぜひチェックしてみてください。
株式会社ピーエーワークスにより制作され、2011年に放送されたオリジナルテレビアニメーション『花咲くいろは』。
東京都から石川県にやってきた女子高生の松前緒花(まつまえおはな)が、祖母が経営する旅館に身を寄せ、そこで仲居として働く様子を描いた作品で、その完成度の高さから人気を博しました。放送終了後、反響を受けて劇場版まで製作されています。
今回はその漫画版について、原作アニメーションとの比較を交えて紹介していきます。
- 著者
- P.A.WORKS
- 出版日
- 2011-03-22
女子高生の松前緒花は、母からある日突然、借金を作った恋人と夜逃げをすると一方的に告げられました。緒花の身元の引受先として、祖母の経営する旅館「喜翠荘(きっすいそう)」の住所を渡されます。
流されるままに旅館を訪れた緒花は、そこで祖母の四十万スイ(しじますい)と出会いました。これまで交流がなかったので、祖母とはこれが初対面です。
緒花はやさしいおばあちゃんを想像していましたが、スイは何もしない者をただ置いておくつもりはなく、旅館で住み込みの仲居として働くよう厳しく言いつけてきました。
あまりにも唐突な展開に戸惑う緒花でしたが、他に行く当てはありません。仕方なく仲居見習いとして働くことを決めた彼女は、仕事をとおして徐々に成長していきます。
緒花が喜翠荘に引き取られ、旅館の仲居として慌ただしい生活を始める1巻です。
喜翠荘で板前として修業中の鶴来民子(つるぎみんこ)、先輩仲居の押水菜子(おしみずなこ)との出会いや、祖母の四十万スイを中心とした喜翠荘の面々と宿泊客たちとのトラブルをとおして成長していく緒花の様子が描かれています。
そんな1巻の見どころは、緒花が旅館で働くひとりの従業員としての自覚を持つために、スイに叱責を求める場面でしょう。
先輩として緒花への指導ができていなかったために、頬に平手打ちをされた民子を見て、緒花にプロの仲居としての意識が芽生える印象深いシーンです。
お客様のためとはいえ、厳しい姿勢で従業員を叱るスイに対し、たじろぐこと無く正面から向かい合う彼女の主人公らしさを表した場面だといえるでしょう。
全巻とおしていえることですが、エピソードごとの描写がアニメ版と比較しても要点をしっかり押さえて表現されており、物語の内容をきちんと理解したい方に漫画版は特におすすめです。
- 著者
- P.A.WORKS
- 出版日
- 2011-07-22
2巻では、民子を中心に他の従業員たちを掘り下げるエピソードが描かれます。民子は緒花に独特のあだなを付けて呼ぶのですが、その呼び名がアニメ版と漫画版では異なっているので、ぜひ確認してみてください。
緒花に初めて会った時、いきなり「死ね!」と言い放った民子は、普段の態度も冷たく見えますが、実は裏では不器用な思いやりを見せていることが分かるのです。また彼女が想いを寄せている、板前の徹(とおる)にまつわるひと悶着もありますよ。
さらに、読者サービス的に少女たちがプールで水着姿になる話も掲載されているので、緒花たちと一緒に旅館の慌ただしさから離れてひと息つける一冊となっています。
そんな2巻の見どころは、徹が喜翠荘から居なくなってしまうことを食い止めようとする場面です。緒花は民子とともに彼を喜翠荘に呼び戻そうと奮闘するのですが、2人の信頼関係を見て、東京に残してきた自身の想い人である孝一(こういち)に対する気持ちを強くしていきます。
これまでどこか恋に臆病になっていた緒花の成長を見ることができる、感慨深い場面といえるでしょう。
- 著者
- 千田 衛人
- 出版日
- 2011-12-22
これまでミスばかりで頼りなかった緒花ですが、徐々に喜翠荘の戦力として活躍することが増えてきました。旅館の窮地を救うために必死で人手をかき集めようと駆け回る彼女の姿は、ようやくプロの仲居らしくなってきたと感じさせられます。
また、先輩仲居の菜子の悩みにフォーカスしたエピソードなど、他の主要人物の掘り下げもしっかりとされた内容になっています。
菜子はかなりの引っ込み思案で、仲居としての仕事はきちんとこなしていましたが、自分らしく振る舞うことができていない現状に対し不安な想いを抱えていました。
さらに家では、両親に代わって家事や弟妹たちの面倒を見ていて、しっかり者としての立ち振る舞いを意識していますが、そのどれもが空回りしてしまいます。挙句の果てにはお客様に迷惑をかけることになってしまいました。
そんな菜子に対して女将のスイが言葉をかけるシーンは、厳しいながらもしっかりと彼女のことを見ている思いやりが感じられます。
- 著者
- 千田 衛人
- 出版日
- 2012-05-22
修学旅行にやってきた緒花たちのドタバタ劇からはじまる4巻です。
旅行先で起こったトラブルに、緒花の母である皐月(さつき)が喜翆荘に持ち込んだトラブル、そして緒花と民子の恋のトラブルなど、怒涛のトラブル対応が続きます。
そんな4巻の見どころは、ライターである皐月が書いた記事によって喜翆荘が危機に陥ってしまい、その問題を緒花が解決しようと奮闘する場面でしょう。1巻の冒頭から母に振り回されていた緒花ですが、彼女にとって大事な場所になった喜翆荘を守るため、母と対峙することを決意するという成長ぶりを感じられる一幕です。
その過程で民子の恋にまつわる問題も絡んできて、ここにきて不穏な動きにハラハラするストーリー展開に目が離せない内容となっています。
- 著者
- ["P.A.WORKS", "千田 衛人"]
- 出版日
- 2012-12-22
4巻から引き続き、5巻でも民子の恋の行方について語られます。漫画版は本巻が最終巻です。
民子は、明らかに自分ではなく緒花に好意を寄せているように見える徹の様子に、モヤモヤした感情を捨てられません。その憤りをつい緒花に向けてしまい、2人が真正面からぶつかりあう様子は読者も思わず心配になってしまいます。
また5巻では、なんとスイが喜翠荘を閉めると宣言。あまりにも唐突な言葉に動揺を隠せない緒花と従業員たちは、どうにか喜翠荘の経営を続けるようにスイを説得しますが、聞き入れてもらえません。しだいにスイと従業員の間に亀裂が入ってしまい……。
これまでにないピンチを前に、緒花は悪戦苦闘します。その果てに、彼女はどのような結論を出すのでしょうか。
終始暗雲が立ち込めている5巻ではありますが、その結末はとても清々しく、爽やかな読後感となっています。安心して最後まで読んでみてください。
少女たちの青春っぷりに、思わず穏やかな気持ちになれる作品『花咲くいろは』。スマホアプリの「マンガUP!」で無料で読めます。前向きな気持ちになりたい方は、ぜひご一読くださいね。