韓国発の大人気恋愛漫画『恋するアプリ』。相手の恋心に反応して鳴るアプリ「ラブアラーム」が、少年少女たちに甘くて切ない恋模様を描かせます。スマホの普及が進んだ現代を舞台とした、誰にでもおすすめできるラブストーリーです。
相手の恋心がアプリを通して確認できるようになった時代で、少年少女の心が交差する物語『恋するアプリ』は韓国発の恋愛漫画です。2018年にはNetflixでドラマ化されることも決まっています。
そんな本作の作者・KYEY OUNG CHONは本作の他にもドラマやアニメ映画の原作を多数手がけている人気漫画家です。
作中で描かれるスマートフォンに夢中な人々の様子は、まるで現代社会そのものを眺めているかのようにリアル。身近な世界観が自然と読者を物語へと引き込みます。主人公たちは、アプリに導かれながらどんな恋をするのでしょうか?
この記事では、胸キュン必至の本作の魅力と見どころをご紹介します。
- 著者
- KYE YOUNG CHON
- 出版日
- 2017-09-25
自分に恋をする人の気持ちをキャッチして教えてくれるスマホアプリ「ラブアラーム」がリリースされた頃、主人公の少女ジョジョは高校2年生でした。リリース初日から1000万インストールを記録したラブアラームは社会現象となり、どこもかしこもその話題で持ちきりです。
ジョジョが通う学校では1人の男子生徒の恋愛事情に注目が集まっていました。学業と並行してモデル活動も行なっている人気者の神崎ヒカルが廊下を歩くと、彼に憧れる数多の女子が彼のラブアラームを鳴らします。
そんなヒカルには「痛い目に遭わせたいヤツ」がいました。その相手が、どうやらジョジョのようで……⁉︎
まず、ラブアラームのシステムについて簡単にご説明します。
なお、アプリの機能が有効なのは相手もアプリを立ち上げている場合のみで、家族や友達同士の「好き」はラブアラームに察知されません。また、相手の名前などは表示されないため、人混みの中にいる時にアラームが鳴ると人物を特定できない場合があります。
なんにせよ、ものすごいアプリです。ラブアラームさえあれば意中の相手が自分に気があるかどうかを片手で確認できてしまいます。カップルが成立するまでの期間は格段に縮まることでしょう。
しかしよいことばかりではありません。すでに恋人同士の2人がこのアプリを試して片方の気持ちが薄れていたことを知ったり、好きだのなんだの言って自分を頼ってきた人物が、ただ金が欲しいだけの詐欺師だったことを知ったりなど、辛い現実を突きつけて来る場合もあるのです。
もし現代社会で実際にラブアラームが普及したらどうなるでしょうか?今や日本のスマホユーザーは全体の8割近くにも昇るそうです(2017年現在)。恋をする心に年齢は関係ありませんので、きっと老若男女問わず多くの人がラブアラームのユーザーとなります。
憧れの人が自分に近づいた瞬間に手元のハートがピンクに染まったところを想像すると、思わずドキドキしてしまいませんか?物語の中でも、期待に胸を膨らます高校生たちの姿がリアリティ満載に描かれています。幸も不幸も運んで来るラブアラームがジョジョたちの物語にどんな展開を巻き起こすのか、ページをめくる手が止まりません。
ジョジョは家庭の事情で両親と別れ、叔母が自営するコンビニを手伝いながら暮らしている女子高生。恵まれた境遇ではないものの、友達がいて彼氏がいて「たくさん勉強していい大学にいく」という目標も持っている彼女は前向きに過ごしています。ちなみに当初の彼女はスマホを持っていなかったため、ラブアラーム利用者ではありませんでした。
そんな彼女の悩みは彼氏のモト君のことです。彼はジョジョをとても愛していますが、やや自分勝手な行動が目立ちます。ジョジョ自身「もしラブアラームを持っていたとしても、モト君のアラームを鳴らす自身がない」というほど、彼への気持ちがあやふやになっていました。
そこへ現れたのが学校一の人気者のヒカル。彼はなぜか敵意を露わにしながらジョジョに近づきます。
ヒカルには玲(レイ)という親友がいますが、どうやら玲はジョジョに片思いしているようだったのです。親友に対する独占欲が強い彼はそのことが不服でなりません。ジョジョと玲が両思いになってしまう可能性が少しでもあるなら、その前に自分を好きにならせて玲から遠ざけようと考えたのでしょう。ヒカルは帰路につくジョジョを尾行すると、彼女に気のある素振りを見せます。
しかし、ジョジョの対応はヒカルにとって予想外でした。自分がイケメンなのを承知な彼は自分から話しかけるだけで女は嬉しがると思っていましたが、ジョジョは「なんか用?」程度のさっぱりしたリアクションしかしません。出鼻を挫かれたヒカルは自分のリズムを掴めないだけでなく、ジョジョの真っ直ぐな性格や信念を知って、本気で惹かれはじめてしまうのでした。
後日ヒカルと玲は、スマホを手にしたジョジョのラブアラームを2人で鳴らすこととなります。親友でありライバルとなってしまった2人の関係はどうなってしまうのか、ジョジョはモト君との関係にどう区切りをつけるのか、絡まる恋模様から目が離せません!
作中ではラブアラームに夢中な高校生たちがスマホから手を離せなくなっている姿が印象的です。多感な若者たちにとって恋愛事情というのは最も重要なトピックといっても過言ではありませんので、そんな状況も頷けます。
しかしラブアラーム利用者の中には「自分への好意を知りたい」という単純な理由以外の目的で利用している人や、逆にラブアラームがもたらすデメリットに悩む人、あえてインストールしない人々もいます。
たとえばジョジョは、モト君に自分の曖昧な気持ちが知られなくて済むという理由でラブアラーム利用者でないことに安堵していますし、ヒカルに至ってはモテすぎて「通知がうるさい」という理由からあまりアプリを起動しません。玲にいたっては「ヒカルに自分の気持ちを知られるわけにいかない」ため、アプリのインストールすらしていないのでした。
そんな中、ジョジョの従妹のクルミはラブアラームに深く悩まされてしまいます。容姿端麗で自信家なクルミは、美人な自分と周囲を比較しては優越感に浸り、見下す癖がある意地悪な女の子でした。
「人は自分と似た人に惹かれる」、「美人な自分と釣り合うのは神崎ヒカルだけ」と期待していた彼女はヒカルの気持ちを確かめるために行動を起こしましたが、彼女のアラームを鳴らしたのは学校で最もダサいと噂の男子城島(じょうじま)ただ1人だったのです。
さらに城島は、ラブアラームを通して自分の気持ちがクルミに届いたと勘違いしてしまいます。トイレの外や帰り道に待ち伏せるなど、まるでストーカーのようになってしまうのです。クルミのアラームが鳴るのは、城島が近くに潜んでいる証。こうして、クルミは他の生徒たちとは違う意味でラブアラームを手放せなくなってしまったのでした。
ゾッとするような事態に陥ってしまった彼女は「内面の美しさ」の大切さを教えてくれます。公式マニュアルの無いラブアラームは、他にはどんな使い方をされているのでしょうか。人それぞれの価値観が浮き彫りになる様子から学べるものはたくさんあります。
もし自分がラブアラームを持ったらどう使うだろう、そんなふうに考えながら読むのも楽しいかもしれません。
- 著者
- KYE YOUNG CHON
- 出版日
- 2017-10-25
2巻ではついにジョジョがスマートフォンに変更し、アプリをインストールします。しかし彼女はこのアプリにどこか恐怖感を抱いていました。
そしてジョジョは彼氏であるモトのラブアラームを鳴らす自信がなく、そもそもなぜ付き合ったのかも分からない状況に。そしてヒカルとある出来事があり、彼に惹かれてしまいます。そしてモトに別れを告げることを決意するのです。
その展開での見所は、ジョジョがモトをフった後に木の上にいる少年の存在。自殺したようにも見える彼の真相が、このあとストーリー上大きな意味を持ってきます。
そしてもちろん恋愛展開も見所。ジョジョはモトと付き合った理由も思い出せないほど気持ちが薄かったのですが、ヒカルには何か違うものを感じ始めるのです……。
ふたりの徐々に惹かれ合う様子にはきゅんきゅんしてしまいます。周囲がラブアラームに振り回されている中、距離をとって冷静にそのアプリを見ているふたり。
彼らのかっこよさは結ばれるべくして結ばれるのだろうな、と思わされるものがありますが、周りの人々がそうはいかないのです。
応援したくなるカップル、彼らのように強くはなれない人々、ラブアラームにまつわる事件……。新感覚でありながらどこか現実味を感じさせるストーリーです。
- 著者
- KYE YOUNG CHON
- 出版日
- 2017-11-25
3巻ではついに付き合うことになったふたりのラブラブな様子をご紹介します。お互いの思いを確かめ合ったふたりは手を繋いで下校。その途中でジョジョがアイドルのPRバスを見つけ、その人気を話します。
彼女がそのアイドルが好きなのかと思ったヒカルはあのバスにいるであろうメンバーをぶっ飛ばすと言って彼女を慌てさせます。
そのあともいつもヒカルと一緒にいる玲の話題が出た時に、ジョジョが今度挨拶させてね、と言うと急に手を放す彼。玲がジョジョを気になっていたことなどもあり、それに嫉妬しているようなのです。結構闇が根深そうなヒカルが可愛いです。
しかしジョジョはそんな彼を愛しく思います。モトとの時には感じられなかった好きという気持ちの大きさ、相手を失う怖さを実感しました。
しかしこのラブラブなシーンから、最後は一気に不安の残るモノローグへとなるのです。このあとますますスピード感をますストーリー展開がやはり最高です。
それにしてもドラマチックな展開が見どころの本作ですが、短すぎるラブラブ期間に少し寂しさも感じます。ふたりのいちゃいちゃがもっと見たいという気持ちもありますね。
作者いわく、作品の結末は最初から決めているそう。作者の頭の中にあるジョジョの決断のゆくえが気になりますね!
読み始めは3Dの画風に慣れない方も多いかもしれませんが、そんなことが気にならないほど見応えのある内容の本作。しかしその画風も、作者がその画面が複雑になりすぎないように平面的に見える構図を試行錯誤して探しているなどの工夫からか、慣れると逆に読みやすくもなってくるかもしれません。ぜひその魅力を作品本編でご覧ください!
- 著者
- KYE YOUNG CHON
- 出版日
- 2017-09-25
本作はただの甘酸っぱい恋愛漫画ではありません。読み進め、キャラクターそれぞれの真意や驚きの真実を知るうち、作り込まれた物語に感動させられることでしょう。ぜひ手にとって読んでみてください。