アダルトゲーム制作会社で働く、新卒の女子グラフィックデザイナーの奮闘を描いた『EGメーカー』。スマホの漫画アプリで無料で読むことができます。ちょっぴりエッチで熱い本作の見どころを、登場キャラの魅力も含めてたっぷりご紹介しましょう。
『EGメーカー』はエロゲ制作会社に入社した新卒女子社員・吉見優香が先輩に怒られながらも、一流のエロゲ製作者になるために奮闘する姿を描いた作品です。エロゲと聞いてもピンとこない人もいると思うので説明すると、「エロゲ」=「アダルトゲーム(成人向けゲーム)」のことを指しています。
なんでまた女の子の吉見がエロゲ制作会社に入社してしまったのかというと、「ディズニーみたいに人に夢を与える素晴らしい仕事をしたい」と思ったからなのです。この時点で、「方向性間違ってないか?」と思う人もいるでしょうが、彼女なりに考えた末の決断であり、この仕事をする最大の理由でもあります。
- 著者
- 酉川宇宙
- 出版日
- 2014-09-29
吉見が配属されたのは着色班という原画に色を付ける部署でした。そして、着色班で一緒に働く先輩の大類芳樹は、女だろうが関係なく吉見に厳しく指導する仕事の鬼だったのです。
そして、着色班で吉見が最初に割り当てられた仕事というのが、なんとケツの穴の着色でした。ケツの穴の着色など初めてのことで自分なりにリアルに着色してみるのです。しかし、先輩の大類から浴びせられるのは「啜りたくなんねーんだよ!臭せーんだよこのケツの穴は!!」というダメ出し。チンコの着色では「やる気あんの?リアリティがない」と言われる始末。
それも当然、吉見は今までエッチに関する知識もほとんどなく、男性と付き合ったことすらない、正真正銘清純な処女なのです。
そんな生娘の吉見が卑猥な単語を使って叱責してくる大類や、セクハラをしてくる社長、他にも怪しい同僚といった面々に囲まれて、困惑しながらも健気に努力する吉見の姿は、80年代のスポ根モノのドラマや漫画を彷彿とさせます。
本作では未知のエロゲ制作現場のリアルを垣間見ることができるのです。
エロゲに興味がない方や下ネタが苦手という方でも、一人の女の子のお仕事奮闘記だと思えば、充分楽しめる内容になっているので注目してください。
今回はそんな『EGメーカー』の見どころを、注目の登場人物の魅力をお伝えしつつ、全4巻まで紹介します。ネタバレを含みますのでご注意ください。
エッチなこととは無縁で現役バリバリの処女の吉見優香が、「ディズニーみたいに人に夢を与える仕事をしたい」という思いから、エロゲ制作会社モミーデザインに入社します。
配属された先は原画に色を着ける着色班で、そこには仕事には妥協を許さない仕事の鬼ともいえる、大類芳樹がいて、吉見は毎日のように大類に叱られながらもチンコやケツの穴に色を着けなければいけません。
日常会話の一部として飛び交う卑猥な言葉や、仕事で目にする過激な画像に困惑してしまうのです。しかも、処女で性体験もなく、エロゲもプレイしたことがなかった吉見は、チンコやケツの穴に上手に色を着けられずに落ち込む日々を繰り返します。
しかし、彼女は大類に毎日激しく罵られようとも、社長からセクハラを受けようとも、一流のエロゲ制作者になるために素直に大類たちの助言を素直に受けとめるのです。
そして、健気にも少しずつエッチな経験を疑似体験しながら、自分の糧にして課題を次々とクリアしていきます。順調にスキルアップしているかと思われた矢先に、なんと完成したゲームのディスクの印刷ミスでモミーデザインは多大なる赤字を背負うことになってしまいます。
さらに、吉見がエロゲ制作会社に入社するきっかけを作ったのが、精神に傷を負って引きこもりになってしまった兄だったことが発覚するのです。
果たして、モミーデザインはこのピンチを乗り切ることができるのでしょうか?吉見は兄を元気だった頃の兄に戻すことができるのでしょうか?
この作品の魅力の最大の魅力ともいえるのが、ヒロインの吉見優香の存在でしょう。
エロゲ制作会社で働いているにも関わらず、エッチなこととは縁遠い環境で清楚で可憐なお姫様のように育ったため、男性と付き合ったこともない処女で、初心な反応が可愛らしいのです。
そんな彼女が、同じ会社の着色班で働く先輩の大類や、セクハラをしてくる社長、常時ヘッドフォンからいやらしい音を漏らしている音響担当の白井といった面々による、セクハラまがいの助言を素直に聞き入れるのが、非常に健気で読者も応援せずにはいられません。
そんな吉見の健気さが伝わるエピソードをいくつか紹介します。
1つ目は、ザーメンの滴り落ちる感を着色で上手く表現できずにいた吉見が、社長に社長室に連れていかれて疑似精液のつくり方を教えてもらうというもの。しかも、滴り落ちる感を確認するために、自宅で教わった疑似精液を作成して、自分の体に大量にぶっかけた状態で着色の練習を行うのです。
2つ目は、ゲームのキャラクターの声を録音するアフレコ現場に初めて参加した時のもの。ベテラン声優の大島のぶ子に初体験の時の初心な心境を思い出させるべく、音響担当の白井は吉見にチュパ音と呼ばれるフェラチオ等の効果音に挑戦するように無茶ブリします。そして、吉見は恥ずかしがりながらも想像でチュパ音を表現しようと頑張ります。
3つ目は、大物原画家の畜瓶次郎が手掛けた作品の中で、Fカップのキャラクターのブラジャーのホックが1つしか描かれていないのに吉見は気づいてしまいます。Fカップのブラジャーのホックは実際はバストを支えるために2つか3つ無ければおかしいことに違和感を覚えのです。奇しくもこのキャラクターと同じFカップの吉見は、自分のプラジャーを外して大類や白井に自分のブラジャーのホックを見せつけて、自分の抱いた違和感の正当性を身体をはって証明します。
どのエピソードも、そこまでしなくてもと思えますが、情熱をもって真剣に仕事に打ち込む頑張り屋な彼女を見ていると、不思議と「明日も仕事頑張ろう!」と思えてくることでしょう。
この作品のもう一つの大きな魅力は、仕事の鬼として恐れられる吉見の先輩の大類芳樹の存在です。
第1話の開始4ページ目「駄目だこんなケツの穴じゃ!!」というインパクト抜群の初登場シーンからの、卑猥な表現を多用したわかりやすくもオリジナリティあふれるダメ出しの数々は、開始早々クライマックスといえるほどの破壊力があります。
他にも印象的な大類の叱責をいくつか紹介します。
ケツの穴のダメ出しに「啜りたくなんねーんだよ」、ザーメンのダメ出しに「ザーメンなめとんのか!!」、おっぱいのダメ出しに「てめえの乳首の色はなに色だー!!」とどれも胸に刺さる表現です。一歩間違えば訴えられてもおかしくない、このダメ出しには作者の酉川宇宙のセンスがあふれています。
そして、大類の魅力として後輩である吉見を厳しく指導しながらも、こっそりと吉見の遅れている分の仕事をカバ―してあげるやさしさを持っているのです。しかも、まだまだ半人前と悪態をつきながらも、吉見の成長を認めてくれているあたりは、理想の上司ともいえるでしょう。
さらに、物語が進むにしたがって次第に吉見との距離が近づき、少しずつ吉見に惹かれていくところも注目です。
- 著者
- 酉川 宇宙
- 出版日
- 2014-11-28
そして、他の魅力として挙げられるのが、なんといってもこの作品を盛り上げてくれる、ひと癖もふた癖もあるアクの強い同僚やエロゲ業界で働く人々の存在でしょう。
そんな中でも、印象に残るぶっとんだキャラクターを3人紹介します。
まず1人目は、吉見と同じモミーデザインで音響担当を務める白井進です。日常会話の中にフランス語を無理やり入れ込む、キザな言い回しが特徴的なキャラクターです。彼はいつもヘッドフォンを首にぶら下げています。そのヘッドフォンからは常時エロゲで使用されるチュパ音と言われる効果音が漏れているのです。作中では、すました顔でしれっと変態行為を行う最も注意すべき人物です。
彼が行ってきた変態行為を挙げると、吉見や新人声優のチュパ音とキャンディの収集、吉見の脱ぎたてのブラジャーを服の上から試着、吉見が使用したウェットティッシュの匂いを嗅ぐといった行為を行っています。
続いて2人目は、モミーデザインでシナリオライターをしている今関司です。彼はとんでもない秘密を隠しているのですが、その秘密については3巻で明かされるので、読んでからのお楽しみということでここでは明かさないでおきます。ただ、彼も相当危険な人物でシナリオの為なら何でもやる鬼です。
3人目は、ベテラン声優の大島のぶ子です。プロ意識の強さは人一倍で、まさに職人のような人物です。彼女は危険ではないですが、驚愕の初体験エピソードと性癖は本作で語られるエピソードの中でも群を抜いてぶっ飛んでいます。特に彼女の初体験を追体験することができる2巻は必読です!
最終巻の4巻では、3巻の最後のページで明らかになった、吉見の兄が引きこもりになるまでの悲劇の真相が明らかになります。そして、吉見がモミーデザインに入社した真の目的とは……一体。
エロゲグラフィッカーとして様々な技術を身につけてきた吉見ですが、順調に思えたモミーデザインの新作ゲームが、ディスクの印刷ミスによる回収騒ぎで多大な赤字を背負うことになります。
モミーデザインは赤字を回復させるためにも、低予算で一発逆転を狙った新作に取り掛かることになるのです。
しかし、そんな時に大類がひた隠しにしてきた痔が再発してしまい、入院することになります。そして、吉見と共に二人で着色作業を行ってきた大類にとって、吉見の存在が大きくなっていることを自覚するのです。
大類がいない今、着色班は吉見ひとりだけ。大類がいない穴を埋めるために1週間会社に泊まり込んで作業を行う吉見はついに熱を出して倒れてしまいます。吉見が倒れる直前まで精神を病んでしまった兄のことを気遣っていたを知った今関が、吉見の携帯電話を使って、ある人物に電話を掛けて吉見がピンチだと告げるのです。電話をかけた相手はいったい誰なのでしょうか?
- 著者
- 酉川宇宙
- 出版日
- 2015-10-29
熱が引いた吉見がラストスパートをかけて、締め切りの時間までだいぶ余裕を残して作業を終了させたかに見えましたが、なんとあと15枚後回しになっていた原画が残されていたのです。
もはや打つ手なしかと思われた矢先になんと、まさかの助っ人が登場します。その助っ人とは一体誰なのか?この展開はさすがに漫画ならではの熱い展開が繰り広げられます。果たして吉見達、モミーデザインの一同は時間内に完成させることができたのでしょうか?
なんだかんだでゲーム制作が終了して、大類は吉見にある告白をするのです。
「俺と……。」
果たして大類は吉見に何を告げたのか?そして、吉見は兄を救うことができたのか?気になる結末は自分の目で確かめてみてください!
ちょっと手を出しづらいと思う人も多いかもしれませんが、読んで損はない名作です。特にエロゲ―やアキバ系・オタク文化に偏見を持っている方に読んで欲しい作品です。この作品を通してエロゲ―がどういったもので、制作に携わる人々の苦労を感じ取ることができるでしょう。