お茶目にからかわれたい人続出(!?)の『からかい上手の高木さん』。アニメ放送も目前に迫って、青春への渇望がさらに増していることでしょう。そこで今回は、今すぐ青春したくなるおすすめ漫画5作品をご紹介したいと思います。
ギャル系女子の堀京子は片桐高校に通う女子高生ですが、実は家では地味な格好で意外と家庭的。ある日、怪我をした弟の創太を送ってくれた縁で、京子は同じクラスの宮村伊澄と知り合いになります。伊澄は学校では眼鏡の根暗男子で通していましたが、校外ではピアスだらけの派手な趣味の持ち主でした。
正反対でありながら、本性を隠しているという共通点のある2人。創太が伊澄に懐いたことをきっかけにして、彼は堀家へと頻繁に訪れるようになり、徐々に親密な関係へと発展していきます。
- 著者
- ["HERO", "萩原 ダイスケ"]
- 出版日
本作は2011年から「月刊Gファンタジー」で連載されているHERO編作、萩原ダイスケ作画の作品。原作者の個人サイトで掲載されていたWebコミック『堀さんと宮村くん』が改題、商業化された漫画です。
恋愛と呼ぶには無自覚で、友達と言うには近すぎる、そんな関係を描いた学園ラブコメディ。
京子は一見すると派手めの今時女子で、グループの中心にいるようなみんなの人気者です。ところが実際には成績優秀で、不在がちな両親に代わって家事もこなし、弟の面倒見もいいお姉ちゃん。しかも家では学校とは打って変わって別人のような地味な装い。
一方の伊澄は眼鏡に長髪、典型的なボッチ系根暗の少年。と思いきや、何をどうはっちゃけたのか、学外では長髪の下に隠したピアスを全開にし、体には入れ墨まで入れている始末です。
この意外なギャップのある2人が、お互いの秘密を共有しつつ、ひっそりと関係を深めていくのが当初の物語となっています。趣味から性格から何もかも正反対なのに、なぜか馬が合うという微妙な関係性が歯痒くもあり微笑ましくもあり。
お互いが影響し合うことで、少しずつ彼ら自身変化していき、そして同時に周囲との関わり方や距離も変わっていきます。2人3脚のような関係がどういうゴールへ行き着くのか見守りたいですね。
ちなみに本家『堀さんと宮村くん』は完結済みで、後日談やスピンオフが発表されているので、気になった方はこちらも併せてご覧下さい。
高校1年生の根岸由美子(ねぎしゆみこ)はある日の昼休み、見知らぬ男子生徒の星野一(ほしのはじめ)から唐突な告白を受けます。面食らった由美子は当然拒絶しますが、星野もなかなか折れません。一緒に下校したり、Wデートをしたりするうちに、由美子の心は揺らいでいきます。
遂には、由美子は星野とまったく同じ台詞で逆告白。こうして不器用で素直な2人の交際が始まりました。
- 著者
- とよ田 みのる
- 出版日
- 2012-10-12
本作は2003年から「月刊アフタヌーン」で連載されていた、とよ田みのるの作品。2002年アフタヌーン四季賞にて春の大賞を受賞した作品を連載化したものです。
思考は常識的なのに、なぜか言動がエキセントリックな主人公の星野。対するヒロイン由美子は、開けっぴろげなボーイッシュ少女です。2人はボケとツッコミの関係にあって、付き合い始める前から息がぴったり。
星野の言動がおかしいのには早くから説明がされており、それは一目惚れした由美子の素直さを見習ってのことだとか。つまり天然ではなく意識してやっているのです。思ったことはなんでも口に出してしまって、それがギャグとして成立しているラブコメディです。
青少年の恋愛にありがちな諸々。それを星野が真正面から生真面目にそれでいて奇天烈な発言を行い、周囲がたしなめるのが基本スタイル。そのやり取りのテンポが心地良く、ちょっと性的なことにすら直球で斬り込むので、逆に健全という不思議な世界。
2人は恋愛や成長、欲求についてなど様々なことに真摯に向き合って、彼らなりの納得を得ていきます。星野の率直さ、ストレートに好意を示す態度は、忘れかけた純真さを思い出させてくれるようです。駆け足ではない、のんびり歩くような充足した恋愛があります。
水泳部のサクタさんと書道部のもじ君、高校2年生の2人の間には、なんの共通点もありませんでした。部活の最中、校舎屋上に見た人影が気になったサクタさんは、そこでマイナーアニメ少女の絵を描くもじ君と出会います。数少ない同好の士を得たサクタさんともじ君は意気投合しました。
ある時、学校を休んだもじ君の見舞いにいったサクタさんは、そこで「御札」を発見します。それは彼女の蒸発した父親が、誕生日に贈ってきたものと同じものでした。探偵をしているもじ君の兄弟を巻き込んで、2人の冒険が始まります。
- 著者
- 田島 列島
- 出版日
- 2014-09-22
本作は2014年から「モーニング」で連載されていた田島列島の作品。
主人公のフルネームは朔田美波(さくたみなみ)と門司昭平(もじしょうへい)ですが、作中では「サクタさん」「もじ君」と呼ばれます。画風こそ少しレトロというか、懐かしさを感じるタッチですが、物語で描かれる2人の瑞々しさが素晴らしいです。特別に輝ける青春というよりは、より「生」の感覚に近い初々しさがあります。
ストーリーは昭平の兄であり姉である明大(あきひろ)と一緒に美波の父親探しをするうちに、怪しい新興宗教の事件に巻き込まれ、しかもそれに父親が関わっていて……と、なかなかにハードボイルドを予感させます。兄で姉というのがややわかりにくいですが、元は兄で性転換した姉というキャラです。
ミステリー、サスペンス要素がちりばめられていますが、本作はあくまでもボーイミーツガールもの。コメディタッチの日常がしっかり描かれているので、どんどん登場キャラクターに感情移入してしまいます。日常と冒険と関係の発展、その丁寧な積み重ねが本作最大の魅力となっているのです。
過ぎ去った夏を惜しむように、何度も読み返したくなるような珠玉の1編です。
主人公の天野平(あまのたいら)は東第一中学3年生です。華奢で背が低く、小顔に大きな目をしていて、どこからどう見ても可愛らしい女の子――に見えるのが悩みの女の子っぽい男の子。その容姿のせいか、幼馴染みの親友、モテ男の日下万里(くさかばんり)と違って異性とは縁がありませんでした。
そんな彼が、クラスメイトの女子を気にかけ始めます。相手は一ノ瀬雛姫(いちのせひなき)。内気で赤面症の、平より女の子っぽい女の子です。
彼らは次第に内面から変わっていき、少しずつ大人への階段を上っていきます。
- 著者
- やまざき 貴子
- 出版日
本作は1991年から「LaLa」で連載されていたやまざき貴子の作品。1999年にはドラマ化もされました。
本作は何を置いても登場キャラが魅力的。平は今流行の「男の娘」で通用するような美少女顔ですが、正義感があって誰に対しても物怖じしない熱血漢の男前。容姿のコンプレックスから来るのでしょうか、その中身は非常に男っぽいです。ちなみに作中で女装姿を披露するので男の娘の先取りとも言えるでしょう。
相方役の万里はこれまた男っぽいキャラ。勉強も出来てスポーツ万能の完璧人間です。平とは家が隣同士の幼馴染みという気安い関係。疎遠な肉親よりもよっぽど平を大事に思っています。彼らのあつい友情も見所。
ヒロインは女の子っぽい雛姫と、もう1人います。ツンデレの概念がなかったころの強気美人、相模真(さがみまこと)。サバサバしていて気持ちのいいキャラです。
この4人の恋愛と友情が物語の軸。色恋だけでなく、受験勉強への焦りや、家族関係の悩みまで。軽すぎず、重すぎず、シリアスにはなってもドロドロには至らない、絶妙なバランスの青春模様が描かれます。
主人公のチッチこと小川チイコは悩み多き女子高生です。目下最大の悩みは伸びない身長と男子にモテないこと。かしましい女子の雑談に混ざろうにも、口から出るのは的外れなことばかりです。
ある日の雨のこと。傘を忘れた彼女が、一緒に帰ろうと約束した友人に裏切られて落ち込んでいると、そっと傘を差し出す好青年がいました。それがサリーこと村上聡と、チッチの出会いでした。
- 著者
- みつはしちかこ
- 出版日
- 2013-07-23
本作は1962年に始まり、2008年まで「まんがタイムファミリー」で連載されていたみつはしちかこの作品。「まんがタイムファミリー」以後、長期休載に入っていましたが、2014年に描き下ろしの最終巻が発売されたことで完結しました。なんと連載期間は52年にもわたり、ここまで来ると長期というよりご長寿作品。
ぶきっちょでも一途な主人公チッチと、成績優秀スポーツ万能おまけに高身長という完璧少年サリーのプラトニックな恋愛物語です。
4コマ漫画の体裁ですが、話は繋がったストーリー漫画となっています。主人公チッチの目線が中心で、コミカルかつシニカルな内容です。合間合間に、チッチの心情を反映したポエムが挟まれるのも特徴。その作風は画風と相まって、世界一有名なビーグル犬「スヌーピー」が登場するチャールズ・モンロー・シュルツの『ピーナッツ』を思わせます。
連載期間が50年ということで、私達の親世代か、ひょっとすると祖父母世代にまで遡る本作。この機会に一読しておくと、懐かしい話題として思わぬところで話に花が咲くかも知れません。
いかがでしたか? これらの作品で気持ちが逸ったら、次の青春はあなたの番です。レッツエンジョイ青春!