ゲームのような世界観と、思わず応援したくなる主人公が人気のライトノベルシリーズ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』、通称「ダンまち」。若干14歳のベルは、この世界でどんな冒険者になっていくのでしょうか。ロリ巨乳のヘスティアとともに、旅が続きます。「RPGのような作品が好き」という方には、ぜひ一度は読んでいただきたい作品です。 今回は、全巻の魅力を、一挙ご紹介します。漫画シリーズであれば、アプリで無料で読むこともできるので、お好きな方はそちらもおすすめです。下のボタンから簡単にダウンロードできます。
GA文庫大賞を受賞した作品で、正式なタイトルは『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』。「ダンまち」の略称で親しまれており、漫画化、テレビアニメ化もされている人気ライトノベルシリーズです。
RPGのような世界観で、地下深くに続くダンジョンを攻略しようとする冒険者たちの物語。人間のほかに、冒険者の敵であるモンスター、人間と共存する神やエルフなど、さまざまな種族が存在しています。
この記事では、ゲームをプレイしているような感覚で読めるハイファンタジーの魅力を、13巻までお伝えしていきます。
- 著者
- ["大森 藤ノ", "九二枝", "ヤスダ スズヒト"]
- 出版日
2015年にはじめてアニメ化され、その後2期と続き、映画化もされるほどの人気作。勢いを落とすことなく、このたびアニメ第4期の制作が決定しました!!
アニメ「ダンまち」公式サイトによると、放送は2022年の予定です。待ち遠しいですね。
著者である大森藤ノは、「ここまでたどり着けるとは思わなかった、新章はこれまで以上にバトル&バイオレンス+ダンジョンとなり、まだまだヒロインも増えていく」とコメントしました。さらにファンを楽しませてくれるような内容になっていることは間違いないでしょう。
そんな本作ですが、スマホアプリなら漫画作品を無料で読むことができます。「ダンまち」の世界観や、かわいいヘスティアやアイズなどを楽しむことができるので、そちらもおすすめです。下のボタンから、簡単にアプリをダウンロードすることができます。
巨大なダンジョンがある迷宮都市オラリオへやってきた少年、ベル・クラネル。冒険者になるためにいくつもの「ファミリア」を訪れますが、どこからも門前払いされてしまいました。
そんな時、まだ下界へ来たばかりで眷属がひとりもいない神様、ヘスティアと出会い……。
- 著者
- ["大森 藤ノ", "ヤスダ スズヒト"]
- 出版日
「ダンまち」1巻は、ベルが冒険者を志すところから始まります。彼が片っ端から門前払いをくらっている「ファミリア」というのは、冒険者が所属している組織のことです。
この世界には、天界から暇つぶしに下界へ降りてきている神様が存在し、ヘスティアもそのひとりでした。神様は人に、モンスターと戦う力「神の恩恵(ファルナ)」を与えることができ、冒険者になるためには、この力を得て神の眷属「ファミリア」になる必要があるのです。
「ファミリア」は組織の呼称でもあり、神様の名前を前に置いて「○○・ファミリア」と言うのが基本。ベルはヘスティアの眷属となったので、「ヘスティア・ファミリア」所属の冒険者となったわけですね。
14歳のベルがなぜ冒険者を志望したのかというと、英雄になって女の子からモテたい、いわゆるハーレムを作りたいという不純な動機からでした。
そんな彼ですが物語の序盤で、まだ冒険者になったばかりなのに、強力なモンスター・ミノタウロスに遭遇してしまいます。初心者のベルにどうにかできる相手ではありません。絶体絶命のピンチに陥ってしまった彼を救ったのは、金髪と金色の瞳を持つ冒険者の少女、アイズでした。
これをきっかけにベルはアイズに憧れるようになります。さらに、町で自分の弱さを馬鹿にされた悔しさから、アイズと肩を並べられるような冒険者になることを決意しました。動機は不純でも、性格は純粋で真っ直ぐな少年なのですね。
そんなベルの性格が、今後のストーリーにおいても周りを動かす重要なキーとなってきます。少年漫画の主人公を彷彿とさせるような彼の成長に、ぜひ注目してみてください。
また、ベルに力を与えた神様であり、ヒロインのひとりでもあるヘスティアは、黒髪ツインテールのボクっこ女神。「ロリ巨乳」などと呼ばれることもある彼女は、ベルと交流を深めるうちに彼のことを好きになっていきます。
いつか相思相愛になりたい……そんな思いを抱えながら彼のために奔走するヘスティアの姿に、心打たれる方も多いのではないでしょうか。1巻はこの2人の信頼関係にぜひ注目してみてくださいね。
舞台はRPGのようなファンタジーではありますが、思わず応援したくなる主人公やヘスティアに共感してしまうこと間違いなし。気になった方は、まずはこの1巻を手に取ってみましょう!
冒険者として順調に力を付けていくベル。ある日そんな彼に、小人族(パルゥム)の少女リリルカ・アーデが声をかけてきました。
冒険サポーターの彼女は、半ば強引にベルとペアを組み、ダンジョン攻略を目指すのですが……!?
- 著者
- 大森 藤ノ
- 出版日
- 2013-02-14
ベルはスキルを身に付けたり、「神のナイフ(ヘスティア・ナイフ)」という武器を手に入れたりと、順調に力を付けていました。そんな彼に声をかけてきたのが、「冒険サポーター」という、文字どおり冒険者のサポートを主な仕事とするリリルカでした。
たとえば倒したモンスターのドロップアイテムを回収したり、荷物持ちをしたりなど、冒険者にとっても非常に重要な存在です。しかし一方でサポーターたちは、冒険者になれなかった落ちこぼれという考え方をする者も多く、差別をされることもありました。
リリも例に漏れずこれまで蔑まれてきたため、冒険者のことを恨むようになり、アイテムを盗むなど冒険者を出し抜いて生活するようになっています。ベルに近付いたのも、目的は彼の武器「ヘスティア・ナイフ」を手に入れることでした。
2巻ではリリとベルの交流が、ストーリーのメインです。必然的に「冒険サポーター」いう職業にもスポットが当てられるのですが、他の作品には見られない視点に個性と面白さがあります。
これまで冒険者からひどい扱いを受け続けてきたリリは、他人に心を閉ざしていましたが、彼女に対し対等に接してくれるベルと出会い、心を許していく様子に、読者の気持ちも温まります。ベルと交流を重ねた彼女がどのような道を選ぶのか、ぜひ注目してみてください。
もちろんベルとヘスティアの微笑ましい掛け合いも健在。1巻に引き続きそちらも楽しむことができます。また、少しでもRPGをやったことがある方ならピンとくるような用語が多く使われているのもポイントです。
飽きさせない構成と読みやすい文章は読者に優しいので、ハイファンタジーに馴染みのない方もぜひ読んでみてください。
地道にダンジョンを攻略していたベルでしたが、もう一段階レベルアップするためには、自分よりも強い相手を倒す必要がありました。
さらなるステップアップのため、彼に特訓をつけてきたのは……!?
- 著者
- 大森 藤ノ
- 出版日
- 2013-05-16
第一部が完結する本巻。ベルのレベルアップのために特訓をつけてくれてくれたのは、何と彼の憧れの相手、アイズでした。この特訓でベルは格段にレベルアップするのですが、そのなかで彼女からある指摘を受けてしまいます。
それは、ベルが何かに怯えているということ。彼はかつて冒険者になりたての頃、ミノタウロスに襲われ命を落としかけたことが、トラウマになっていたのでした。
このトラウマを克服しない限り、彼は次のステップへ進むことはできません。そんなベルの前に、何とまたミノタウロスが現れるのです。
実はこれ、ベルのことを気に入って執着心を見せている神様、フレイヤの仕業でした。美の神様であるフレイヤは、ベルをレベルアップさせるために何かと裏から手を回してくるのです。そのせいで彼は死にかけてもいるのですが、フレイヤとしては死んでもいいようで……愛とはよくわかりませんね。
とにかく、今回もフレイヤの仕業で再びミノタウロスと戦うことになったベル。最初こそ逃げ腰になってしまいましたが、駆けつけてくれたアイズの姿に奮起し、立ち向かっていきます。
3巻ではこの戦いにかなりのページ数が割かれているのですが、それでも飽きさせることなく最後まで読ませてくれます。レベルアップをするためなのはもちろん、憧れの人に近付きたいという思いや、サポーターのリリを守りたいという思いなど、さまざまな気持ちを抱えながら戦うベルに、読者もつい胸が熱くなってしまうでしょう。
そして胸が熱くなったのは、この戦いを見ていたオラリオの町の人も同じだったようで、この巻はベルがその存在をオラリオで認めてもらうための重要なステップとなりました。後の展開でも重要な役割を果たすエピソードでもあるので、要チェックの巻です。
もちろん第一部の完結編としても最大の盛り上がりを見せてくれます。ベルとミノタウルスの戦いの結末は、ぜひ手に取って確認してみてください。
歴代最速記録という1ヶ月半で、レベル1からレベル2になったベル。ミノタウロスとの戦いもあって、オラリオの町の人から注目される存在になっていました。
そんななか、彼は戦いで傷ついた防具を買い替えるために訪れた店で、ある鍛冶師と出会います……。
- 著者
- 大森 藤ノ
- 出版日
- 2013-12-13
レベル2になり、「リトルルーキー」という二つ名も手に入れ、冒険者として順調にスキルアップしているベル。4巻では新たな仲間が登場します。それが、鍛冶師のヴェルフ・クロッゾです。
これまでも名前だけは登場していたのですが、実際に登場したのは本巻が初めて。「ヘファイストス・ファミリア」に所属している冒険者でもあるヴェルフは、名をあげているベルに、自分と契約しないかと持ちかけてきました。それを受け入れたベルは、ヴェルフとリリとパーティーを組み、ダンジョンへ向かうことになるのです。
ヴェルフはもともと「魔剣」と呼ばれる特殊な剣を作ることができる家系で、彼自身もその能力を持っていました。しかし魔剣を嫌っているヴェルフはその力を使うことを拒否し、あくまでも鍛冶師として上を目指すという信念を持っています。
一方のベルも、ヴェルフが魔剣を作れるということは案外どうでもいいらしく、単純に鍛冶師として彼を気に入った様子です。このベルらしい考え方に触れて、ヴェルフがどう変わっていくのかも注目ポイントですね。
本巻には本編のほかに短編が2篇収録されています。そのうちのひとつは、ヘスティアとベルが出会って間もない頃のエピソードで、ほのぼのとしたお話。仲間が増えてきたぶん、序盤よりもヘスティアとベルの絡みが減ってきてしまっているので、2人の話を読みたい!という方には必見のストーリーです。
ヴェルフ、リリとともにダンジョンに潜っていたベルでしたが、途中で遭遇した他の冒険者たちからモンスターの囮にされてしまい、絶体絶命のピンチに!
命からがら逃げだした彼らが辿り着いたのは、ダンジョンのなかでも安全地帯と呼ばれる「18階層」で……。
- 著者
- 大森 藤ノ
- 出版日
- 2014-05-14
5巻では、序盤からベルたちが窮地に陥り、後半のバトルへと繋がっていく熱い展開がくり広げられます。一方で、戦いの合間にベルやヘスティアたちの日常も描かれる盛りだくさんな一冊です。
いきなり「タケミカズチ・ファミリア」に所属する冒険者たちから囮にされてしまった彼ら。ヴェルフは怪我を負い、リリは荷物をほとんど失ってしまうという窮地に立たされてしまいます。そこで、ダンジョンのなかでもモンスターと遭遇する確率の低い安全地帯「18階層」を目指すことになりました。
「18階層」は、通称「迷宮の楽園(アンダーリゾート)」と呼ばれ、町のようなものまで存在している場所です。なんとか辿り着いたベルたちは、とりあえず窮地は脱したものの、ダンジョンからは抜け出せていないことに変わりありません。
一方、「タケミカズチ・ファミリア」の冒険者からベルたちのピンチを聞いたヘスティアは、彼ら救うためにダンジョンへと向かいます。本来、神はダンジョンへ入ることはできないのですが、無理をしてでも彼らを救おうとするヘスティアに、思わず心打たれる方も多いでしょう。
この時に彼女に同行する仲間に、リュー・リオンという女性と命(みこと)という冒険者がいます。リューは酒場で働くエルフの女性なのですが、凄腕の元冒険者。過去のある事件をきっかけに冒険者はやめていますが、その腕は今も健在で、ベルたちを救うために協力してくれることになりました。
命は、彼らのピンチの原因でもある「タケミカズチ・ファミリア」に所属する冒険者です。負傷した仲間を助けるために結果としてベルたちを囮にしてしまいましたが、もともと義理堅い性格で、1度は地上に帰還したものの彼らを救うためにヘスティアに同行することにしました。
この2人は今後のストーリーにも登場するキャラクターなので、ぜひチェックしておいてください。
ピンチを脱した後に「迷宮の楽園(アンダーリゾート)」でほのぼのしたシーンが描かれますが、またすぐに危機が襲ってきて、最後まで飽きることがありません。少年漫画のような熱い展開が好きな方は、特に期待をして読み進めてみてください。
たび重なるピンチを脱して地上へと帰還したベル。しかしそんな彼は、今度は恋多き神アポロンに目を付けられてしまいました。
ベルを手に入れるため、「アポロン・ファミリア」の冒険者たちとともにさまざまな策を巡らせてくるアポロン。その争いはとうとうファミリア同士の総力戦にまで発展して……!?
- 著者
- 大森 藤ノ
- 出版日
- 2014-11-14
前巻での窮地を脱して地上へ戻ってきたベルでしたが、今度は神様のひとりであるアポロンに目を付けられてしまいます。アポロンはオラリオにファミリアを持つ神で、男です。男女問わずに恋をし、かつてはヘスティアにも求愛したことがありました。
金髪の美男子ですが執念深い性格で、自分が恋をした相手はどんな手段を使ってでも手に入れようとするため、ベルに対しても数々の罠を仕掛けてきます。とうとうファミリア同士の総力戦「戦争遊戯(ウォーゲーム)」を開催するという事態にまで発展してしまいました。
「戦争遊戯」とは、対立する神々が自分の派閥の総力を持って戦う代理戦争のことで、勝者は敗者のすべてを奪うことができるという条件で開催されます。
しかしファミリアの総力戦といっても、この時の「ヘスティア・ファミリア」には、実質ベルしか冒険者がいません。戦ったとしても勝ち目はなく、ベルは追い詰められてしまいました。その時、彼のもとへ集まってくれたのが、ヴェルフ、リリ、命、リューの4人なのです。
「戦争遊戯」への参加資格は当事者のファミリアに在籍していることなので、他のファミリアに属しているヴェルフ、リリ、命は移籍までしてくれます。リューに関しては1枠だけある助っ人枠としての参加ですが、ベルととも戦うために命をかけてくれる友情に胸が躍ります。
また、「戦争遊戯」のバトルももちろんですが、ファミリアに新たな仲間が加わったことで、今後の展開にどう変化がもたらされるのかもワクワクするところです。
「戦争遊戯」に勝利し、アポロンの豪邸も手に入れた「ヘスティア・ファミリア」。仲間も得て、新たなステージへと足を踏み入れたベルでしたが、ある日ひょんなことから迷い込んだ歓楽街でひとりの娼婦と出会います。
少女の名前は春姫。彼女がある陰謀に巻き込まれていることを知ったベルは、春姫を救いたいと考えますが……。
- 著者
- 大森 藤ノ
- 出版日
- 2015-04-14
新たな「ヘスティア・ファミリア」が始動する7巻。ベルはレベル3になり、さらに「戦争遊戯」に勝利したことでアポロンの豪邸を手に入れ、新しいファミリアの本拠地も手に入れました。
しかし今回の舞台は、ダンジョンではなく歓楽街です。
春姫は、狐人(ルナール)という希少種の少女で、娼婦の女神イシュタルがある目的のために買ってきた存在でした。浮世離れしたお嬢様のような性格をしていますが、健気で薄幸な雰囲気が魅力のヒロインです。
この春姫を買ったイシュタルという神こそ、今回の騒動の発端。イシュタルが人気の高いフレイヤに嫉妬をしてファミリアを滅ぼそうとするという戦いに、ベルは巻き込まれてしまうのです。
前巻の総力戦バトルも読みごたえはばっちりでしたが、本巻はそれを超えるほどのバトルに継ぐバトル。新キャラクターが登場した分、アイズやリリ、ヴェルフなどのお馴染みのメンバーはやや活躍が少なめではありますが、春姫と昔馴染みでもあった命がベルと一緒に活躍します。命が好きな方もぜひチェックしてみてください。
迷宮都市オラリオは、主神アレスが率いるラキア王国による侵攻の危機にさらされていました。
しかし、外では戦争の危機が迫っていても、内はいつもどおりの平和な日常。ベルをはじめ、命、リリ、ヴェルフ、そしてヘスティアの面々は、それぞれの平穏な日々を送っていました。
- 著者
- 大森 藤ノ
- 出版日
- 2015-06-12
第2部の完結編となる8巻は、ラキア王国との事件を絡めながら、ヘスティアたちの日常を描いた連作短編集です。それぞれ独立しているようで繋がりがある話になっており、その構成の上手さに思わず引き込まれてしまいます。
ラキア王国は大陸の西部にある国で、緑豊かな美しい国である一方、しょっちゅう他国に戦争を仕掛ける軍事国家でもあります。
また、各キャラクターたちの日常では、恋愛話がてんこ盛り。神と人など種族を超えた恋やのろけ話など、読んでいて思わずニヤニヤしてしまう話がたくさんあります。
たとえばヴェルフと、ヴェルフの元所属先ファミリアの神、ヘファイストスとのエピソードでは、ヘファイストスの乙女っぷりに注目です。鍛冶の神である彼女は、赤髪が特徴の男装の麗人。クールビューティーなはずなのに、ヴェルフに告白されて仲間にのろけ話をするなど、そのギャップについときめいてしまう読者も多いのではないでしょうか。
この他にも、リリが求婚されたり、フレイヤの意外な人間関係が明かされたりと、それぞれのキャラクターの新しい一面を見ることができます。
またラキア王国との事件と絡め、物語上で重要な事実が明かされてもいるので、細かいところまで読みこむと、後になってハッとすることも多いかもしれません。
連作短編という構成もあって読みすい一冊になっているので、第3部に入る前の助走としてぜひ手に取ってみてください。
リリ、ヴェルフ、命、それに春姫も入団して戦力も充実してきた「ヘスティア・ファミリア」。ベル自身も実力もつき、町の人たちからの名声も得て、冒険者として順調に成長していました。
そんなある日、ダンジョンでベルが遭遇したモンスターが、人の言葉を話していて……!?
- 著者
- 大森 藤ノ
- 出版日
- 2015-09-12
第三部が始まる9巻は、またもや新たなキャラクターが登場します。「異端児(ゼノス)」と呼ばれる彼らは、モンスターでありながら人間のような知恵を持ち、人間の言葉を話す存在です。
しかしこの世界では、モンスターというのはあくまでも敵であり討伐の対象。なかには人型をしたモンスターを愛好する変態じみた人間もいますが、そのような特例を除いてモンスターと仲良くするのはあり得ない行為です。
そんななか、「異端児」の少女と出会ったベルは、彼女にウィーネと名付けてファミリアで保護することにしました。
彼のこの行動は危ういもので、「ヘスティア・ファミリア」の仲間も最初は警戒心をあらわにしますが、ウィーネと交流を重ねるうちにしだいに心を許し合うようになっていきます。ファミリアの面々の、警戒しつつもベルのことを信じている絆の深さを垣間見ることができ、読んでいて気持ちの良さを感じるでしょう。
ウィーネ自身も魅力的なキャラクター。可愛らしい彼女は、自分がモンスターであるということに悩みを抱えているのですが、今後どのような運命を辿っていくのか必見です。
ファミリアに加わり、これでウィーネも平穏に過ごせるかと思いきや、「異端児」を取り巻く状況は彼らの想像以上でした。
「異端児」は彼女の他にも存在し、そんな「異端児」を狩る者と、保護する者がいます。そこにどうやら、ファミリアを統括するための組織であるギルドが関わっているようなのです。
ベルたちを取り巻く謎がどんどん広がり、ハラハラする展開の9巻。彼らが迎えるラストは切ないものがあります。
また本巻は、次巻以降の10巻11巻を合わせた上中下巻の上巻に当たります。残りの2巻も手元に置いてから読むのがおすすめです。
自分たちだけでウィーネを保護することは難しいと判断したベルは、ダンジョンで「異端児」が集まっている集団に彼女を預け、別れることを決めました。
しかしその集団が、「異端児」を狩る組織によって襲撃されてしまうのです。多くの「異端児」が殺され、ウィーネは生き残りはしたもののさらわれてしまいました。
その惨劇を目の当たりにした他の「異端児」たちは、怒りのあまり報復を決意します……。
- 著者
- 大森 藤ノ
- 出版日
- 2016-05-13
前巻から引き続き、「異端児」を巡る物語。ウィーネを守るためにウィーネと別れたベルでしたが、その判断が災いとなってしまったのか、過酷な現実が降りかかります。
密猟者は捕まえた「異端児」を磔にし、死なない程度に痛めつけて悲鳴をあげさせることで、他の「異端児」を呼び寄せようとしました。
その悲鳴を聞きつけたのがウィーネです。仲間を助けようとした彼女も密猟者に捕まってしまいました。この非情な行為に怒り、我を忘れた残りの異端児が暴走。報復のために「18階層」を襲撃し、町を壊滅してしまいます。
この状況を何とかするべく、要請を受けたベルたちはダンジョンへ向かうのですが、そこで待ち受けていたのは予想外の出来事。さらにあることをきっかけにウィーネまでもが暴走し、地上へ出てしまった彼女は討伐対象に……とにかく息を吐かせぬ展開に、読者はどんどんページをめくってしまいます。
追い詰められたベルが、それでもウィーネを救おうとし、その行動に対する大きすぎる代償に胸が苦しくなる方も多いかもしれません。
全体的にシリアスな展開で、読後感も苦々しいものもありますが、同時に続きがとても気になる終わり方でもあります。
ウィーネを救うため、これまで積み上げてきたすべての名声を失ったベル。
彼のことを羨望の眼差しで見ていたオラリオの人達からも敵意を向けられ、すっかり孤立してしまいました。そんなベルのもとへやってきたのは……。
- 著者
- 大森 藤ノ
- 出版日
- 2016-10-14
前々巻から続く上中下巻のラストを飾る11巻です。ちなみに作品全体としても第3部の完結編で、いろいろな意味で集大成の巻といってもいいでしょう。ここまでのストーリーが結集し、最後は熱い気持ちになること請け合いです。
ウィーネを助けたことですっかり孤立してしまったベルですが、そんななかで彼に寄り添ってくれたのは、やはり「ヘスティア・ファミリア」のメンバーでした。ファミリアの信頼関係や絆にあらためて感動を覚える方も多いでしょう。
また、これまでベルのライバルとして登場してきたキャラクターたちも、彼を助けるために集まってくるというまさに少年漫画のような展開に熱さを感じます。前巻から続くドンヨリしていた空気感も、このあたりからだんだんと上向きになってくるので、読んでいて楽しい気分になれます。
一方で、ウィーネを守りたいベルが、アイズと戦わざるを得なくなってしまったシーンでは、その切ない葛藤に胸を締め付けられるかもしれません。いずれもここまで続いてきた物語があるからこその感動であり、クライマックスに相応しいストーリーになっているといえます。
そして、その集大成のひとつで、最大の見せ場と言ってもいいのが、ミノタウロスの復活です。1巻でベルが殺されかけ、3巻では倒したあのミノタウロス。過去の記憶を有しており、ベルと再戦したいという願いを持ったまま「異端児」として転生し、再び戦うことになりました。
このバトルが地に落ちてしまっていたベルの名声を取り戻すことに繋がっていきます。その戦いぶりはぜひ実際に読んで確認してください。
また3巻を読了している方であれば、戦いの他にも楽しめる部分があるので要チェックです。
ミノタウロスとの再戦に敗北したものの、かつての名声を取り戻し、レベルも4に上がったベル。「ヘスティア・ファミリア」のランクも上がり、ベルたちは気持ちも新たに冒険者として再始動していました。
そんな彼らにギルドから与えられた任務、それは、ダンジョンの下層階まで赴くというもので……!?
- 著者
- 大森 藤ノ
- 出版日
- 2017-05-24
本巻より第四部が始まります。レベル4になったベルは、「白兎の脚(ラビット・フット)」という新たな二つ名が与えられ、冒険者として新しいフィールドへ足を踏み入れました。
それは「ヘスティア・ファミリア」も同様で、ランクの上がった彼らはギルドから強制ミッション「遠征」を言い渡されたのです。
「遠征」は一定のレベルに達したファミリアに課せられるもの。「ヘスティア・ファミリア」は、ベル以外のレベルがまだ低かったため、他のファミリアと合同でダンジョンの下層へ向かうことになります。
ダンジョンは、下に行けば行くほど危険度が高くなり、出現するモンスターのレベルも上がります。彼らが訪れたのは、何階層にもわたって水が落ちる巨大な滝のあるダンジョンでした。モンスターの脅威はもちろん、滝に落ちたら一巻の終わりというドキドキ感に、読者は一気に引き込まれてしまうでしょう。
しかもなんと、その滝にベルが落ちてしまうという相変わらずピンチでいっぱいの展開。ページをめくる手が止まりません。
降りかかる危機を乗り越えるベルの活躍ももちろんですが、もうひとり、リリの活躍にも注目です。彼女はサポーターという職業柄、ファミリアのなかで他のキャラクターより戦力が劣っていました。しかしそのぶんファミリアの頭脳として働き、ベルとはぐれてしまった後も指揮官として冷静な判断をしていくのです。
それぞれが個性を生かして役割分担をし、どんどん強くなる主人公を傍で支える姿に、読者も嬉しくなるでしょう。
本巻の物語は一冊で完結。とはいえシリーズはまだ続くので、次巻以降も楽しみに待ちましょう。
ダンジョンの下層階から帰還したベルたちでしたが、街で待ち受けていたのはリューが闇派閥との抗争に身を投じ、殺人の罪をかけられているという報告でした。
リューの無実を確信しているベル達は、リューへの疑いを晴らすため、賞金目当てに組まれた討伐隊にあえて参加することにしますが……!?
- 著者
- 大森 藤ノ
- 出版日
- 2018-02-14
前巻で第4部がスタートした本シリーズ。ダンジョンの下層階から街へと帰還しホッとしたのも束の間、今度は仲間であるエルフのリューが、過去に因縁を持つ闇派閥への抗争に再び身を投じます。さらに復讐心のままに殺人を犯したのではないかという疑惑がベル達の前に立ちはだかるのでした。本巻も終始ピンチの連続で、最後までハラハラしながら読むことができます。
また、リューに対する疑惑や罠の他に、カサンドラという予知の能力を持つ少女が、ベル達の仲間の死を予言したり、冒険者達の命を脅かすジャガーノートが登場したり、さらにベルが瀕死の重傷を負ったりと、これでもかと読者の不安を煽りたてるような展開が続きます。
とはいえ、文体はコミカルなものも多く、そこまでシリアスに落ち込むことはないはず。ただ、最後までハラハラすることは間違いなしの一冊です。
ベル不在のなかで、アンフィス・バエナと戦わざるを得ない状況に追い込まれたヘスティアファミリア率いる派閥連合。この絶体絶命の事態を前に、一行は戦いに挑むことになるのです。
果たして、彼らの運命とは……。
- 著者
- 大森 藤ノ
- 出版日
- 2018-12-14
ベル不在という、未だかつてなかった状況での戦闘を強いられ、絶体絶命のピンチからスタートする本巻。それでも彼女達は、これまで培ってきた経験を元に、果敢に立ち向かいます。
この場面では一行の成長を感じることができ、ここまで読んできた読者にとっては非常に感慨深いものがあるでしょう。特に命の活躍には要注目です。
9章からは、ベルの話に移ります。前巻でジャガーノートを倒したかに思われましたが、実はまだ生存しており、彼らを追っていました。そんななかリューは未だ目を覚まさず、ベルの体力ももう限界と、こちらも絶体絶命です。この状況を、どのように回避するのでしょうか。
そんな本巻では、ダンジョンの現実に嫌でも目を向けることになります。生き延びるためには、綺麗事ばかり言ってられません。死体からものを盗み、体力の限界を感じれば腐ったものでも口に入れなければならないのです。そういった読んでいて苦しいとの思える場面も、本巻の見所となるでしょう。
そして、そんななかでも1番の見所は、リューの戦いです。仲間を思って戦うリュー。その姿は、5年前とはまったく違うものでした。彼女の成長が感じられるジャガーノートとの死闘は、まさに必見です。ぜひ本編でお楽しみください。
前巻まで休むことなくハラハラの連続が続いていましたが、ここでやっと小休止。
第15巻では、それぞれが過去を振り返る日常回が描かれました。
- 著者
- ["大森 藤ノ", "ヤスダ スズヒト"]
- 出版日
ジャガーノートとの死闘を終え、やっと一息つくことのできたベル一行。
前へ前へと進み続けていたこの物語でしたが、ここで一旦、過去に目を向ける時が来たようです。
今巻では、ベルとヘスティアとの出会いのエピソードや、恋愛となると途端にダメになるリューのエピソードなど、「ダンまち」ファンにはたまらない彼らの日常エピソードが多く描かれます。
ここまで立派に成長を遂げた彼らは、これまでの自分を振り返って何を想うのでしょうか。過去を振り返ることで、さらに現在までの成長が感じられた、そんな一冊でした。
束の間の日常回を経て、彼らの物語はどのように展開していくのでしょうか?次巻にも期待です!
- 著者
- ["大森 藤ノ", "九二枝", "ヤスダ スズヒト"]
- 出版日
いかがでしたか?本格RPGのような感覚で読める本作ですが、難しい用語が出てくることなくわかりやすく読めるのも特徴です。また、本編の他に外伝も刊行されているので、気になる方はそちらもチェックしてみてくださいね。