ダイビング部に所属する生徒たちを描いた作品『あまんちゅ!』をネタバレしながら紹介します。 『ARIA』の作者である天野こずえが描く、「日常ときどきダイビング。」がキャッチコピーの物語。青春、友情、ちょっぴり恋愛と高校生活のすべてが詰まった作品と言えるでしょう。
『あまんちゅ!』は伊豆を舞台に、部活動としては珍しい「ダイビング部」を題材にした作品です。各所でダイビングを行い、そこでしか見られない美しい景色を見ることができます。また、ダイビング自体も実に楽しそうで、未経験者も興味を抱くことでしょう。
さらに部活動なので、眩しい友情や少しばかり難しい人間関係など、高校生の年代の心の機微がよく描かれているのです。その様子をみると登場人物たちを応援したくなります。
- 著者
- 天野 こずえ
- 出版日
- 2009-08-10
そして、こんな本作の魅力はなんといっても可愛いキャラたちです。男の子も登場しますが、その男の子たちですら可愛いのがすごいところでしょう。今回は主要人物6人と、各巻のあらすじの紹介をしていきます。
さらに、『あまんちゅ!』は2016年にアニメ化をされており、2018年4月から第2期の放送も始まります。アニメからみるのもよいかもしれませんね。
- 著者
- 天野 こずえ
- 出版日
- 2010-02-10
東京の中学校から伊豆の高校に通うことになった大木双葉は、慣れない地での生活のうえに、引っ込み思案な性格で高校生活に不安を感じていました。しかし、入学初日に小日向光と席が前後になったことでその不安は吹き飛ばされたのです。
強引な光のペースに乗せられ、双葉は「ダイビング部」へと入部することになりました。ダイビングなどしたことのない双葉でしたが、光と共に水に潜ったことでダイビングの楽しさを知ったのです。
さらに、ダイビング部の先輩である二宮愛と二宮誠、顧問である火鳥真斗など、さまざまな人たちとダイビングをしながら思い出を作っていきます。
- 著者
- 天野 こずえ
- 出版日
- 2009-08-10
本作の主人公で通称「ぴかり」。CV.鈴木絵里
非常に明るくマイペースな性格。趣味はダイビングで、部活は迷わずにダイビング部へと入部。そのマイペースさに周囲を巻き込みますが、最終的にはいつも皆を笑顔にします。口よりも先に行動するタイプで、特に双葉を強引に引っ張っていきます。しかし、双葉はいつも光の行動と笑顔に救われているのです。
それが如実に表れているのが1巻でしょう。東京から伊豆へと引っ越してきた双葉は、これからの高校生活が不安でいっぱいでした。そんな双葉と光はすぐに友達となり、彼女の不安をすぐに振り払うのです。
- 著者
- 天野 こずえ
- 出版日
- 2010-02-10
本作のもう一人の主人公で通称「てこ」。CV.茅野愛衣
引っ込み思案のあがり症で、すぐに緊張してしまうタイプ。自ら一歩目を踏み出すことができず、困難なことからはすぐに逃げ出してしまいます。しかし、光と出会ったことで徐々に改善されていき、自分の短所とうまく向き合うことができるようになりました。
光に誘われて始めたダイビングも、最初はすぐに諦めようとしたのですが、光が隣にいることで諦めずにやり遂げることを覚えたのです。そして、ダイビングの魅力にどんどんはまっていきます。
- 著者
- 天野 こずえ
- 出版日
- 2013-11-09
通称「姉ちゃん」。CV.大西沙織
ダイビング部の部長で光と双葉の1つ上の先輩。二宮誠の双子の姉です。光に劣らず強引でマイペースなタイプではありますが、そこにはいつも彼女の優しさが見え隠れしています。その一方、買い物のときは悩むなど意外と優柔不断な一面もあります。
ただ、光と双葉には基本的に甘く気遣いのできる彼女ですが、弟の扱いだけは雑です。それは絶対的な信頼をおいているゆえの甘えなのだと捉えられるでしょう。
- 著者
- 天野 こずえ
- 出版日
- 2015-02-10
通称「弟くん」。CV.梅原裕一郎
二宮愛の双子の弟でダイビング部唯一の男子部員。愛とは正反対の落ち着いた性格で、ダイビング部のブレーキ的な役割をしています。しかし、光と愛を止めることはできず、いつも最終的には流されてしまうのです。
そんな冷静な誠は物に対する思い入れが強く、部の道具を大切に扱います。ボロボロになった道具も捨てるのは忍びないとどうにか保管しておいたり、修繕しようとしたりします。
- 著者
- 天野こずえ
- 出版日
- 2010-08-10
光と双葉の担任でダイビング部の顧問。CV.伊藤静
大人ながらも中身は子供のようで、ノリよく部員と一緒に活動を楽しんでいます。しかし、時には先生らしく一歩引いて見守ったり、導くような助言をしたりと先生らしい振る舞いもする女性です。
光と双葉を特に気にかけており、立ち止まってしまう双葉とその手を引く光を温かなまなざしで応援し、よくクサい言葉を吐きます。本人は堂々としていますが、その言葉を言われた面々は赤面することが多いです。
- 著者
- 天野 こずえ
- 出版日
- 2009-08-10
光の祖母。CV.井上喜久子
若いころに海女からダイバーへと転向し、伊豆のダイビングの様々な名所を見つけました。現在は海の家を経営しながらダイビングサービスも行っています。きのの作る料理の中でもトン汁は絶品。
双葉と最初に出会った人物で、彼女の不安な心を優しく受け止めて、これからの生活への希望の光を灯しました。真斗と同様に、光と双葉を温かく見守ります。
- 著者
- 天野 こずえ
- 出版日
- 2009-08-10
高校の入学時から伊豆へと引っ越してきた双葉は、入学初日に光と出会います。臆病で引っ込み思案の双葉でしたが、「てこ」という変てこなあだ名をつけられたあげく、光のペースに巻き込まれてダイビング部の部室に無断で侵入してしまうのです。
さらには光に乗せられて、ダイビングスーツを着てプールに飛び込んでしまいます。双葉は初めての経験と景色に引き込まれ、光とともにダイビング部へと入部することを決めたのでした。
1巻では主に光と双葉の出会いが描かれます。双葉の知らない土地での生活に対する漠然とした不安には共感を抱くことでしょう。しかし、どんな場所でも希望はあるのです。初対面にも関わらず、強引に双葉を引っ張る光ですが、双葉の顔は戸惑いから笑顔へとすぐに変えられるのでした。
- 著者
- 天野 こずえ
- 出版日
- 2010-02-10
ダイビング部へと限りなく入部に近い仮入部をした光と仮入部だと言い張る双葉は、顧問の真斗とダイビングに必要な勉強をした後に、プール実習へと挑みます。しかし、双葉は恐怖で身がすくみ、すぐにダイビングを諦めようとするのです。
さらに、ダイビング部の先輩は無断で部室に侵入したことに怒っており、入部の前にも問題が山積みになっていたのでした。
2巻にて、ダイビング部の部員が集合します。光と双葉は先輩に許しをもらってダイビング部へと無事に入部できるのでしょうか。そして、すぐに諦めようとする双葉は「やればできる!」という光の言葉を受けてどうするのか。
まさに青春の1ページと言える部活動。彼女らがこの先どのような関係を築いていくのか楽しみです。
- 著者
- 天野こずえ
- 出版日
- 2010-08-10
完全にダイビング初心者であった双葉は、海へと潜る前に真斗とプール講習を行います。双葉は今までしっかり勉強したことを生かして、何とか課題をクリアしました。その様子を陰から見守っていた光と愛と誠に祝福され、いざ海洋実習へと挑みます。
しかし、海では克服したと思われた恐怖が再燃したのです。それでも、以前までの双葉とは違い、光とともに海へのダイビングに挑むのでした。
3巻にてついに海へとダイビング。ダイバーへの第一歩である「オープン・ウォーター・ダイバー」の資格を取るために双葉は海洋実習を行います。海の幻想的な世界に引き込まれるように、双葉は光と蒼の世界へと身を沈めていくのです。
その蒼の世界には読者も思わず引き込まれることでしょう。
そして、アニメの1期はこの3巻までの内容が放送されました。アニメだけ見た方もこの先から読んでもいいかもしれません。
- 著者
- 天野 こずえ
- 出版日
- 2012-03-10
高校生の避けられない行事であるテストを乗り越えた光たちは夏休みへと突入します。学校とは違い毎日は会えないけれども、光は双葉や時には愛や誠を誘って夏休みを満喫します。
そして、双葉の東京の友達2人が伊豆を訪れました。光は双葉に頼まれて観光役を任されます。名所を案内し、ダイビングをする一行でしたが、光と双葉の友達の間にはなんとも言えない雰囲気が漂っていたのでした。
4巻では学生の大好きな夏休みに入ります。夏休みを利用して伊豆へと来た双葉の友達ですが、双葉が意外にも平気そうな顔をしていたので肩透かしをくらったのです。双葉を笑顔にする存在である光を認めたいけど少し悔しい、そんな微妙な心境があったのでした。
それでも、光は持ち前の明るさで双葉の友達の心の中にも入っていきます。
- 著者
- 天野 こずえ
- 出版日
- 2012-10-10
ダイビング部一同は夏合宿で、とある海水浴場を訪れていました。部員はいつもとは違う海水浴場を大いに楽しみます。
そんななか、双葉は愛に「ぴかりがいないとダメなのねー」と何気なく言われました。しかし、双葉は光に寄りかかるのではなく隣で歩きたいのです。そのことは光も理解しており、双葉のために光は一肌脱ぐのでした。
5巻は部活の醍醐味である合宿です。といっても、試合をすることでもないので、ダイビングで海を満喫します。そのダイビング中に、双葉は光を見失ってしまいます。いつも傍にいてくれた光がおらずに気が動転する双葉でしたが、光の隣を歩くことができるようになるために勇気ある一歩を踏み出しました。
そんな双葉の頑張りに、読者も応援したくなることでしょう。
- 著者
- 天野こずえ
- 出版日
- 2013-05-10
光たちは夏休みも終わり新学期を迎えます。部室でドライスーツのチェックをしていた一同でしたが、どれも修繕が必要で、このままではこれから寒くなる季節にダイビングができません。そこで、親に頼み込んでマイスーツを買うことになったのです。
マイスーツを待ちわびる光でしたが、海に入ることをやめることもなく今日も潜っていました。そこで光はこころという小学生と出会います。さらに、高校は学園祭のシーズンへと突入。学園祭の準備の様子を遠くから眺めていた愛はピーターと名乗る不思議な少年と出会い……。
夏休みが終わってしまった6巻ですが、イベントは盛りだくさんです。特に学園祭も夏休みに並ぶイベントととらえる人もいるでしょう。そんな学園祭の準備のさなかに愛の前に現れたピーターとは何者なのでしょうか。
- 著者
- 天野 こずえ
- 出版日
- 2013-11-09
注文したマイドライスーツがダイビング部に到着します。皆お揃いの色和えで買い揃え、一同はさっそく海へと向かいました。しかし、ウェットスーツとはまた違い、双葉は思うように動くことができません。さらには急浮上してしまうという危険まで冒してしまいます。
また、町ではハロウィンイベントが開催され、そのバイトの愛と誠の手違いで商品が光からのキスになってしまったのです。そのイベントに双葉とこころが参加し、熱い勝負が繰り広げられるのでした。
7巻では待望のマイドライスーツが届きます。皆とはしゃぐ双葉でしたが、初めてのドライスーツでのダイビングにてんやわんやです。上手くダイビングをすることができずに、なりを潜めていたネガティブ思考が再発します。
しかし、やはりここは光の出番です。光の言葉はいつでも双葉の心へと響きます。
- 著者
- 天野こずえ
- 出版日
- 2014-05-10
伊豆の海には伝説の人魚がいるという噂があり、双葉と真斗はその話で盛り上がります。しかし、意外にも光はその話に食いつきません。そして、そんな話をしていると、なんと本当に漆黒の人魚が現れたのです。真斗は人魚に竜宮城へと連れていってと頼み込みます。
また、季節はクリスマスの季節で、光は双葉や愛や誠に声をかけますが、親戚の結婚式やバイトの予定で誰もつかまりません。妹のこだまも似たようなもので、家のこたつに潜っていると突然光が出かける準備を始めます。こだまもそれについていきますが、光が向かったのはいつもの海。しかし、そこには美しい光景があって……。
8巻では漆黒の人魚の謎に迫ります。人魚といってもダイバーなのですが、人魚と呼ばれるほどの泳ぎとその人物しか知らないポイントがあるのです。実は人魚は光の知っている人物なので、光はあまり食いつかないのでした。
- 著者
- 天野 こずえ
- 出版日
- 2015-02-10
冬でもダイビング部は活動を休止しません。新年の初潜りはボートダイビングに挑戦です。冬の海は魚が少ない代わりに水が澄んでいて遠くまで見渡すことができます。初めての冬の海を双葉は楽しみますが、オープンダイバーは水深18mまでしか潜ることができません。そこで、双葉は皆ともっと深くまで潜るために、新年の抱負として「アドバンス」の資格を取る決意をしたのでした。
そして季節は流れて3月、卒業式の季節となりました。ダイビング部に3年生はいませんが、愛は何やらセンチメンタルな感傷に浸っているのです。そんな愛の前にピーターが再び現れ、さらには学生のころの真斗まで現れて……。
9巻では謎多きピーターが再登場。しかし、現れたのはどうやら愛の夢の中のようです。ピーターの目的や招待などが明かされ、これまでの『あまんちゅ!』とは違った少し甘酸っぱい物語が展開されます。
- 著者
- 天野こずえ
- 出版日
光の妹・こだまとその友達の岬ことりは、光と同じく夢ヶ丘高校へと進学。そして、たまたま見かけた双葉に強烈な憧れを抱いたことりはダイビング部に入部します。こだまも光に押し切られてダイビング部に入部することになったのです。
この1年で成長を遂げた双葉は後輩ができたということもあり一層努力し、アドバンスの資格取得へと挑みます。
また、全山焼きのイベントに参加したダイビング部はこころと遭遇しました。女の子だと思っていたこころは学ランを着ており、男の子だと発覚したのでした。
10巻ではこころの性別が判明。伏せられてはいましたが、そのことについては一人称が俺であったり、男っぽい態度をとったりとわかっていた人も多いでしょう。また、双葉はアドバンスのライセンスを見事に取得し、光の隣に張り付いていたころとは違う、成長した姿を見せてくれます。
部員がさらに増えたダイビング部は今までよりさらに盛り上がりそうな予感です。彼女らの思い出はまだまだいっぱい増えることでしょう。
- 著者
- 天野こずえ
- 出版日
ダイビング部一同は夏合宿で沖縄へと訪れます。さっそく観光を楽しみますが、目的はもちろんダイビングです。エメラルドグリーンの海に一同は感動し、2日目からはダイビングを楽しみます。
さらに、沖縄の海に伝説の人魚が現れるなどイベントは盛りだくさん。しかし、入部当初から光に苦手意識を持っていたことりが、光と2人きりの状況になります。2人は仲を縮めることができるのでしょうか。
11巻では再び夏合宿の季節が訪れます。沖縄の海に一同は感動。読者もその光景に目を奪われることでしょう。そして、部員同士の関係もまさに青春です。光は避けられていることに気付きながらもしっかりとことりを見ており、彼女に優しい言葉を投げかけるのです。