高校生・鳴沢くんの趣味……それは、おいしそうにご飯を食べる女の子を眺めること!将来は主夫になりたい彼と、個性豊かなヒロイン達と、おいしそうなご飯を描いた本作が、『鳴沢くんはおいしい顔に恋してる』なのです。 この記事では、ヒロインたちを中心に本作の魅力を最終回まで、全巻ご紹介いたします!スマホアプリからは、無料で読むこともできますよ!
鳴沢の将来の夢は、主夫。好きな女性のタイプは、うまそうに飯を食う人。
そんな彼のお料理ライフをコミカルに描いたのが本作『鳴沢くんはおいしい顔に恋してる』です。
- 著者
- 山田怜
- 出版日
- 2015-09-19
「月刊コミックゼノン」「WEBコミックぜにょん」で連載していた本作の最大の魅力は、何と言っても、おいしそうにご飯を食べる女の子たち。
読み終えた時にはきっと、ちょっと変態チックな鳴沢の気持ちがわかるようになっているでしょう。
額に大きな傷があることで、周りの生徒たちから距離を置かれている高校生・鳴沢。父親は自殺、母親はどうやら失踪しているらしく、兄も出て行った今、祖母と2人暮らしの生活を送っています。
そんな彼の趣味は、ご飯を食べている女の子を観察すること。
女の子を見てノートに何やら書いている彼は、めぼしい人物をリストアップして売春を強要しているなどと噂されていましたが、ただ単にご飯をおいしそうに食べる女の子を探しているだけでした。
そんな彼の元に、イタリアから留学生・ジュリエッタがやってきます。おなかをすかせた彼女は、鳴沢の作ったおにぎりを食べて……。
グルメ漫画には良作が多く存在しますが、その可否を分けるのは、やはり食事シーンでしょう。おいしい料理をどのような絵で、どのようなセリフで表現するのかが、もっとも重要と言っても過言ではありません。
グルメ漫画は大きく2つのパターン、「おいしいものを食べたい」か「おいしいものを食べさせたい」かに分かれます。本作は、そのどちらでもありません。強いて言えば、「おいしいものを食べさせたい」に近いのですが、そこがこの漫画の本質ではないのです。
本作の本質はあくまで、ご飯をおいしそうに食べている女の子を見たい、です。その点が、本作と他のグルメ漫画との、最大の違いなのです。
料理バトルが描かれるようなグルメ漫画とは違い、おそらく本作で鳴沢が作る料理は、普通においしいレベルでしょう。特別な素材を使っている描写も、特別な調理法を試みている描写もありません。
鳴沢が普通に作った普通においしい料理を、ヒロインたちが超おいしそうに食べる。それを見て鳴沢が妄想する。それが『鳴沢くんはおいしい顔に恋してる』の魅力なのです。
ここまでくり返し書かせていただいておりますが、本作最大の魅力は何と言っても、ご飯をおいしそうに食べる女子たち。それは、イタリア人留学生のジュリエッタ、隣に住む幼馴染の陣馬冬子、鳴沢を先輩と慕う中学生・天城春の3人です。
鳴沢曰く、
世界三大珍獣に乗った……世界三大美女が……世界三大珍味を食べている!!!
(『鳴沢くんはおいしい顔に恋してる』1巻より引用)
……意味がわかりません。意味はよくわかりませんが、ここでは3人の魅力的なヒロイン(嫁候補)をご紹介したいと思います。
イタリア人留学生である彼女は、鳴沢のおばあちゃんの友人の孫です。外国人という理由で家が借りられず、鳴沢の家に住むことになります。
3人のヒロインのなかでは、もっともストレートにおいしそうな顔を見せてくれます。鳴沢曰く、「太陽に向かって咲くひまわり」。何気にイタリア語、スペイン語、英語、日本語と4カ国語を話すことができる才女でもあります。
大学に通いながら日本料理屋でアルバイトをし、日本文化を学んでいきます。
鳴沢の隣の家に住む幼馴染。学校でも人気の高い、クール系美少女です。小さい頃は「秋くん」「冬ちゃん」と呼びあうような仲でしたが、鳴沢の家庭環境の悪化から、父親に鳴沢と距離をとるように言われ、以来、隣に住んでいながらほとんど話さないような間柄になっていました。
ご飯も基本的にはクールに無表情で食べる彼女ですが、それは恥じらいから。鳴沢が席を外すと、心からおいしそうな表情になるのです。
それを見た鳴沢は思わず、「大和撫子(恥じらいという名のスパイス)」と心の中で叫びます。曰く「木陰にひっそりと咲く一輪の百合」。鳴沢くんは詩人です。
駅の階段で助けられたことをきっかけに、鳴沢のことを王子様視して、先輩と慕うようになった中学生。鳴沢を尾行したことがきっかけで、彼の家でご飯を一緒に食べることになります。
愛読紙は「エイティーン」という彼女はいろいろと勘違いをしており、不自然に色っぽくご飯を食べるなどして鳴沢はじめ周囲をドン引きさせます。
しかし、自然体でおいしそうに食べる表情は魅力的。鳴沢はそんな彼女の無邪気な面を気に入り、また飯食いに来なよ、と誘うのでした。
イタリアからの留学生・ジュリエッタ。彼女がご飯を食べる、そのおいしそうな表情を見ることに快感を覚えた鳴沢は、日々料理を作ることが楽しくなっていきます。
鳴沢宅にホームステイすることになったジュリエッタ、隣に住む幼馴染の陣馬冬子、偶然出会った中学生天城春と、鳴沢の周囲は騒がしくなってきて……。
- 著者
- 山田怜
- 出版日
- 2015-09-19
3人のヒロインが一挙に登場する本巻。計7話が収録されていますが、なかでもおいしそうなのが、2話の「こだわらないオムライス」。
通常、オムライスはフライパンの上で、ライスをタマゴで包みますが、「こだわらないオムライス」はお皿の上で包むのです。
その名のとおり特にこだわりのないオムライスなのですが、何もかけずに食べようとするジュリエッタに、「まあー待て これをやらないと」とケチャップを渡す鳴沢。それを受け取って楽しそうにケチャップをかける彼女を見ていると、こっちまで楽しい気分になってきます。
今日はオムライスを作ってケチャップをかけようかな、なんて思える1巻第2話でした。
お泊り会を開催することになり、ジュリエッタ、冬子、春の3人が一同に集結することになりました。
3人が1度に来る!誰を見ればいいんだ!と混乱の極みを経て、悟りの境地に達した鳴沢が選んだ料理は、ピッツァ!
- 著者
- 山田怜
- 出版日
- 2016-05-20
お泊り会も見所の本巻ですが、なかでもイチオシのエピソードは、鳴沢がカルボナーラを作る11話。
慣れないそば屋のバイトで苦戦するジュリエッタのために、彼女の故郷・イタリアの料理を作ろうと鳴沢は思い立ちます。
そんな彼が作ったカルボナーラは、よく見る麺タイプのものではなく、本場のペンネタイプ。慣れない調理法に少し苦戦しながらも、カルボナーラを作り上げた鳴沢。それを食べたジュリエッタの表情に注目です。
季節は夏。鳴沢も、ジュリエッタも、冬子も、春も、揃って夏休みに突入です。
そんな4人は、冬子の友人・凪とともに海に出かけることになり……。
- 著者
- 山田怜
- 出版日
- 2016-12-20
本巻の見所は、海の家のエピソード。海に行った鳴沢たちは、ひょんなことから海の家を手伝うことになります。鳴沢が料理、ジュリエッタと冬子と凪は接客、春は裏方と、完璧なチームワークで海の家を繁盛させるのです。
働き終えた鳴沢が一言。「もう一回 鉄板お借りして いいですか?」。
営業を終えた海の家で、彼が作ったものとは?
ジュリエッタが鳴沢宅に来て、早いもので1年。イタリアへ帰る季節がやってきました。
変わらないものなんて何もない。そう思ってはいても、別れはつらいものです。鳴沢たちは、彼女の送別会を開くことにします。
ほのぼのグルメ漫画、ついに完結です。
- 著者
- 山田怜
- 出版日
- 2017-08-19
正直、最終巻である本巻は、グルメ漫画ではありません。ヒューマンドラマです。
グルメ漫画であれば、鳴沢が最後に作った料理とは!?となりますが、送別会では、おいしそうな料理が食卓に並ぶところだけが描かれ、鳴沢の料理シーンは描かれません。一応、これまでに作った料理が並んではいますが、特に言及なく終わります。
わざとらしく盛り上げるのではなく、あたたかく、しっとりと、切なく、そんなラストを見せてくれる最終回です。鳴沢の料理と同様、過度な演出をしない本作の美学を感じます。
ぜひ、その結末は本編でお楽しみください。