国の不況を2度も救えるほどの財力があるといわれている「長門ホールディングス」。本作は、この企業を経営している一族の屋敷に営業にやって来た大和が、長門家と屋敷の謎に迫っていく物語です。スマホで無料で読むことができるので、ぜひチェックしてみてください。
大企業、長門ホールディングスの経営を一手に担っている長門家。その一族が住む屋敷は地上3階、地下1階建てで、部屋数は100室もあります。しかしいまだ監視カメラが設置されていません。
セキュリティ会社の営業・大和は、システム導入の契約を勝ち取るため、長門家のおかしなしきたりに従って試練を受けることになりました。
読者も実際に推理できる謎が散りばめられ、登場人物と一緒に真実に迫っていくことができるのが魅力です。原作は小説投稿サイトの「エブリスタ」に掲載されていたもので、本作はそのコミカライズになります。
しかし、漫画『奇少物件100LDK』は、原作とは違う結末が用意されているのです。ここでは、漫画版の見どころを結末まで紹介していきます。ネタバレを含むのでご注意ください。
- 著者
- ["岡田 伸一", "九里 もなか"]
- 出版日
- 2014-09-11
大企業の長門ホールディングス。セキュリティシステムの契約を取るために営業にやって来た大和は、長門家の屋敷で「長門一族 八名八問」というしきたりに沿った試練に挑戦することになりました。
試練には謎が散りばめられていますが、ほとんどは考えればわかるもの。しかしその試練をこなし、長門家の人間と関わっていくにつれ、大和はこの一家には何かがあると気づいていきます。
しかし彼自身、実は営業の仕事とは別の仕事をしに来ていて……。
長門家の秘密と大和の思惑が広い屋敷の中で交錯し、やがて真実が暴かれていきます。
高いヒールの靴で車のドアを踏む姿と、どこか上からな目線がサディスティックな雰囲気を漂わせているメイドの光。しかしその実、イジられることが大好きなMっ子です。
褐色の肌と肉付きのいい体、メイド服の裾から覗くガーターなど、非常に官能的で美しい女性なのに、たびたび下品な発言し、見た目と性格にギャップがある人物でもあります。
二の腕の半ばまである黒い手袋がセクシーで、丈の短いスカートや誘惑するような発言とは裏腹に、ガードが固いところも魅力的。日々メイド服も変わっていくので、そこにも注目したいところですね。
「発情」「濡れます」などの発言をくり返し、大和に冷たくあしらわれて頬を赤めるという生粋のビッチMさを醸し出す光ですが、大和以外とは普通に会話したり、周りの使用人からは一目置かれているなど謎な一面も持ち合わせています。
長門家の人々との会話の節々から、彼女が一家と深い関係を築いているのが伺えますが、物語が進むにつれてその正体が明らかになっていくのです。
メイドが本当の姿なのか、それとも別の顔があるのか、どちらも偽りなのか……ぜひ推察しながら読み進めてみてください。
切れ長の目と、決して緩むことのない頬が冷酷な印象を与える大和。セキュリティ会社の営業として長門家の屋敷にやってきます。
彼は社内でトップの成績をあげていましたが、強引な営業のためクレームも多く、「クソ大和」と呼ばれていました。長門家にそんな自分の素性が知られていることを知ると、早々にドSな本性を表します。
光の誘うような発言を一蹴し、冷たくあしらうやりとりは作中の定番。しかし彼女を罵る言葉は、彼女の発言に基づいたものが多く、同じ展開でも飽きさせない面白さがあります。
また、物語が進んでいくにつれて徐々に光への態度がマイルドになっていきます。その様子から、冗談を言いながらも手を貸してくれる彼女にどんどん惹かれているのが見てとれますね。
光に別の顔があったように、大和にももう一つの顔が存在します。それを匂わせる素振りは当初から見せていて、夜になってから屋敷をうろつく姿がありました。
屋敷を探索し情報を集めようとする彼は、本当は何者なのでしょうか。細かく彼の動向をチェックし、なぜ長門家にやってきたのか、その目的を推理しながら読むのも面白いかもしれません。
長門家から出題される謎を解きながら物語を進んでいくキャラクターなので、読者も彼と一緒に答えを探しながら読むのがよいでしょう。
- 著者
- ["岡田 伸一", "九里 もなか"]
- 出版日
- 2014-12-11
長門家の三女は2歳ですが、なぜか赤ん坊の姿から成長しておらず、しかし大和に家族写真を見せて長門家に問題があると訴えるような素振りをするなど、端々からこの一家には重大な何かが隠されているような雰囲気が漂っています。
さらに長男は、顔や体に余計な脂肪がついている割には手がほっそりしていたり、婿養子にきた男性は社長である妻に怯えるような素振りを見せたり、次女は屋敷に数多くの秘密があることを打ち明けたり……。
他にも、長門ホールディングスの社長と大和のライバル会社の営業・赤城との因縁など、試練が進んでいくごとに一家に何かが隠されていることが確実になっていくのです。
長門家には、大和が家に来るずっと前、そして大和が来る直前にも、ある問題が起きていました。しかしその名の大きさから真実を明かすことができず、広い屋敷内で抱え込んでいたのです。
隠されたものの正体がわかった時、複雑に絡みあう登場人物たちの関係とそれぞれの思いも明らかになり、物語が一気に盛り上がります。この試練はお金持ちの道楽ではなく、長門家の愛憎が入り混じったもので、読者もハラハラしてしまうでしょう。すべての点が繋がって解決したときの満足感はたまりません。
- 著者
- ["岡田 伸一", "九里 もなか"]
- 出版日
- 2015-08-11
原作はまだ続きがあるものの、漫画版は4巻で完結。その結末は、両者でまったく違うといっても過言ではありません。
救いがないようにも思えた原作のラストとは違い、漫画版では大小さまざまではありますが、それぞれの登場人物に希望が存在します。大和や光をはじめ、長門家に深く関わった全員が進むべき道を見つけていくのです。
作品全体をとおして、漫画版はイラストがある分原作よりもコミカルな印象がありましたが、その雰囲気にあった終わり方になっているのではないでしょうか。原作を読んだ方も、大和と一緒に謎を解いて、ぜひこちらの結末も楽しんでみてください。
原作は番外編や続編なども発表されているので、漫画との違いを読み比べるのも楽しいかもしれません。