『鬼娘恋愛禁止令』の見所全2巻ネタバレ紹介!鬼と人間の悲恋!

更新:2021.11.11

恋愛感情を抱くことで鬼化してしまう少女と、彼女が鬼であると知りつつ一途に思い続ける少年。近づきたくても近づけない、そんな2人の切ない恋を描いた『鬼娘恋愛禁止令』の魅力をコミックス全2巻からご紹介します。

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『鬼娘恋愛禁止令』の見所全2巻ネタバレ紹介!人を好きになってはいけない少女とは?

著者
松虫あられ
出版日
2016-04-13

不良少年の佐藤八郎は、幼いころから一緒に暮らしている少女・鹿恋に秘かに想いを寄せていますが、それを伝えることはできません。実は彼女には恋愛感情を抱くことで鬼になり、人間の男を喰べてしまうという秘密があったからです。

鹿恋が鬼であることを知るのは、八郎ただひとり。鬼化してしまった彼女に、八郎はいつもひとりで立ち向かっていました。

好きなのに近づけない……鬼と人間の切なくてもどかしい恋物語を、単行本全2巻からご紹介します。

『鬼娘恋愛禁止令』の切ない恋物語【あらすじ】

『鬼娘恋愛禁止令』の切ない恋物語【あらすじ】
出典:『鬼娘恋愛禁止令』1巻

不良少年の八郎は幼馴染の少女・鹿恋に想いを寄せていますが、ブスと罵ったりメス犬呼ばわりをしたりと、いつも意地悪をしています。もちろん鹿恋は、そんな彼のことがあまり好きではありません。

しかし八郎の横暴な態度には、理由があります。鹿恋は八郎に好意を抱いていた時期があったのですが、ある時その思いが溢れ、鬼になってしまいました。彼女は鬼になると人間の男を襲ってしまうため、八郎はあえて嫌われることで鬼化を防いでいます。

そのため、本当は鹿恋のことが好きなのに、距離をとるしか方法がなく、八郎は辛い思いをくり返すことになるのです。

『鬼娘恋愛禁止令』の見所をネタバレ!八郎の切ない想いと鹿恋の孤独

『鬼娘恋愛禁止令』の見所をネタバレ!八郎の切ない想いと鹿恋の孤独
出典:『鬼娘恋愛禁止令』1巻

佐藤八郎は血の気が多く、未成年でありながら煙草を吸い酒を飲む問題児。そんな彼は周囲から、まるで鬼のような子だと噂されています。

しかし本当の鬼の子は八郎ではなく、幼馴染の少女・鹿恋でした。

佐藤家で居候として生活をしている彼女は、自分が恋愛感情を抱くことで鬼化してしまうことを知らず、鬼化している間の記憶もありません。その事実を知っているのは、八郎だけです。

八郎は、もし彼女が鬼になってしまうことを家族に知られたら、鹿恋が追い出されてしまうのではないかと心配でたまりません。ただでさえ彼女は、八郎の母や姉に厳しい態度をとられ、肩身の狭い思いをしているからです。

そこで彼は鹿恋が鬼になってしまうことを防ぐために、あえて冷たい態度をとるようになりますが、それは同時に鹿恋から嫌われてしまうことを意味していました。

以前は八郎のことを「はっちゃん」と呼び慕っていた鹿恋でしたが、冷たくされるため、彼を避けるように生活していました。鬼化することを防げてはいるものの、八郎は好きな女の子から嫌われてしまったのです。

しかし鹿恋のためなら仕方がないと、自身の思いとは裏腹に、冷たい態度をとり続けていました。

本当は鹿恋のそばにいたい。素直に想いを伝えたい……けれどそれをしたら彼女は鬼となり自分に襲い掛かってしまいます。ジレンマを抱えつつも一途に鹿恋を想う八郎を見ていると、胸が締め付けられるでしょう。その真意に、誰か気づいてほしいものです。

そんなある時、八郎が銭湯で出会った土橋という青年が、鹿恋の前に現れました。八郎とは対照的に容姿端麗で優しい土橋に、鹿恋は恋愛感情を抱きはじめます。突如現れたこの男の正体は、一体なんなのでしょうか。

報われそうにない想いを抱く八郎にライバルが出現するという事態。彼らの恋の行方が気になります。
 

『鬼娘恋愛禁止令』の見所をネタバレ!土橋とねねの狙いとは?

『鬼娘恋愛禁止令』の見所をネタバレ!土橋とねねの狙いとは?
出典:『鬼娘恋愛禁止令』1巻

土橋の正体は、鹿恋と同じ鬼でした。彼によると、鹿恋は厳密には純粋な鬼ではなく、鬼と人との間に生まれた半童子であるこのことです。半童子は鬼と違って自分の能力を制御できず、無意識に人を襲ってしまいます。土橋は半童子の鹿恋を排除するため、彼女に近づいてきたのです。

八郎はその危険性を、身をもって知っていました。かつて暴走した鹿恋に襲われ深手を負い、顔に大きな縫い傷のある八郎ですが、それでも彼女に対する想いは変わりません。

普段はやさぐれた態度をとっていますが、一途に彼女を大切に思い続ける姿はかっこよく見えます。

鬼化した鹿恋と彼女を守ろうとする八郎に、1度は敗れた土橋でしたが、あきらめてはいません。邪魔をしてくる八郎を引き付けるために、妹のねねを連れて再度やって来ました。

美人で巨乳のねねは何かと八郎に絡み、彼も満更ではないのか、いつもは鹿恋の料理を「あじない(不味い)飯だ」と言って食べないのに、ねねの振る舞う料理は美味しそうに食べています。

しかもねねはいい人のふりして鹿恋には意地悪をしてくるため、鹿恋はなんだかおもしろくありません。八郎のねねに対する態度が気に入らず、嫉妬の感情が高ぶったことで鬼化し、そのまま家を飛び出してしまいました。

鹿恋を追う八郎は、彼女が土橋の元へ行ったのではと下宿先を訪ねますが、そこでねねに捕まり関係を迫られてしまうのです。

土橋とねねの登場により、八郎の想いが少しずつ明らかになってきました。彼は鹿恋を守ることができるのでしょうか。そしてお互いの想いが伝わる時はくるのか、目が離せない展開です。
 

『鬼娘恋愛禁止令』の見所をネタバレ!変わらない想いをもつのは鹿恋も同じで……?

『鬼娘恋愛禁止令』の見所をネタバレ!変わらない想いをもつのは鹿恋も同じで……?
出典:『鬼娘恋愛禁止令』1巻

鹿恋は再び土橋に襲われますが、圧倒的な力で振り切ると、ねねと八郎の元へ。密着している2人を目撃して怒る鹿恋と、鬼化したねねの戦いが始まりました。鬼同士の壮絶な戦いに怯む八郎ですが、身を挺して鹿恋を守ります。

鬼の子とともにいれば身に危険が及ぶことを知っているはずなのに、それでも鹿恋をかばう八郎をねねは理解できません。

「頼む オレから鹿恋を取り上げんでくれ…!!」(『鬼娘恋愛禁止令』第2巻から引用)

しかし八郎の想いは強く、このように懇願するのです。その一途な気持ちは、鹿恋の心を揺さぶりました。普段の彼女は鬼化してしまうと言葉を発することはないのですが、八郎の想いが届いたのか、「はっちゃん」と懐かしい呼び名を口にしました。

一時は土橋に気持ちが傾いたこともありましたが、心の内ではずっと八郎のことを想っていたのです。思えば彼女が鬼になるのは、ほとんどが八郎に対する想いがあふれた時でした。

鬼の姿になった鹿恋が、八郎にまっすぐ恋をしていた幼い頃と変わらない想いを持っていたことがわかり、彼自身も少し報われたように感じます。近づきたいのに近づけない……そんなもどかしい思いを抱えていたのは、八郎だけでなく、 鹿恋も同じだったのかもしれません。

鬼化していない彼女の口からも同じ言葉が聞ける日がくるのか、気になります。

『鬼娘恋愛禁止令』の見所をネタバレ!これからも続いていくふたりの道。余韻を残す最終回!

著者
松虫あられ
出版日
2017-02-13

最終話で八郎にだけ、土橋とねねが鹿恋の親族であることが明かされます。鹿恋という半童子が一族に生まれるのは、危険なだけでなく恥でもあるため、鹿恋の始末を任されたのだと伝えられました。

しかし彼女の並外れた強さや八郎の存在により、土橋とねねは1度引き上げることに。しかし鹿恋の始末をあきらめたわけではありません。いつかまたやって来ると言い残して去っていきました。

八郎と鹿恋にが、再びいつもの日常が戻ってきます。とはいえ2人の関係には少しずつ変化が訪れたよう。幼いころのように、2人の想いが通じ合う時も近いのかもしれません。

物語は今後の展開が気になる形で終わりを迎えます。鹿恋が自分を本当に愛してくれる人がそばにいることに気付けるのか、2人がどのように距離を縮めていくのか、想像すると期待が高まりますね。完結しているものの、もっと彼らの恋の行方を知りたいと思わせる最終話です。

『鬼娘恋愛禁止令』はわずか8話の物語ですが、非常に内容の濃い作品になっています。お互い想いあっていたのに、鹿恋が鬼化してしまうことにより2人の距離が開いてしまったことの悲しさ。鹿恋に嫌われることになっても彼女の鬼化を防ごうと奮闘する八郎の切ない感情。自分をいじめる八郎が嫌いなはずなのに、心の内では彼を慕う鹿恋……。

短い物語のなかで、切なくもどかしい恋物語が見事に描かれています。その後の物語を知りたくなるような余韻を残す終わり方も、読者の想像を掻きたてるでしょう。

切なくて美しい本作をぜひご覧ください。

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