身寄りを亡くした少女が引き取られた家庭は、超健康志向の健康家族だった!私たちの常識を凌駕する健康術の数々に驚きつつも、感心してしまうこと間違いなし!そんな『ケッコーケンコウ家族』の魅力を、全6巻のネタバレを含めてご紹介していきます。
幼いころに母を亡くし、高校生になってからは父を亡くした主人公の酒々井蜜子(しすいみつこ)。従兄弟で同じ高校に通う長介(ちょうすけ)の家に引き取られ、一緒に暮らすことになりました。
しかし実はこの家族、健康に対して非常に意識が高く、蜜子の常識を遙かに凌駕した暮らしをしていたのです。
家族全員の日課は、下からコーヒーを摂取する「コーヒー浣腸」。さらに長介は飲尿習慣があり、彼の母親の宴(うたげ)は野草を使った酵素ドリンクを飲んでいるという健康ヲタクです。未知の環境で、蜜子の日常は徐々に変化していくことになります。
この記事では、彼女が健康家族の影響を受けて健康体になっていく過程や、作品の魅力、健康料理のちょっとしたレシピなどを含め、全6巻の魅力をご紹介していきます。ネタバレを含むのでご注意ください。
- 著者
- 栗原 まもる
- 出版日
- 2009-04-13
1巻の冒頭で父を亡くした蜜子。引き取られた従兄弟の長介の家である「健康家族」を舞台に、常識とはかけ離れた健康術の数々が登場します。
学校での長介は、物静かなイケメン高校生。女子からはキラキラした目線を送られていますが、彼の1日はなんと一杯の尿からはじまるのです。かわいいマグカップで飲尿する姿に、蜜子はドン引き。
さらにおいしそうなコーヒーの香りがしたので、蜜子はおばさんに頼んで自分も一杯もらおうとしますが、そんな彼女の姿を家族の面々は不思議そうに見るのです。よく見ると、先ほどコーヒーの香りがしたにも関わらず、誰も飲んでいません。
「おばさん コーヒーもらってもいい?」
「……あっ…………コーヒー!飲むのね!」(『ケッコー ケンコウ家族』1巻より引用)
この家では誰もコーヒーを上から摂らず、浣腸で摂取するコーヒーエネマを日課にしていたのです。
出てくる食事も健康を意識したものばかり。そんな彼らにもっとおいしいものがあることを知ってもらうために、料理の腕をふるう蜜子ですが、突然目の前が真っ暗になり、倒れてしまいました。
病院で目覚めた蜜子。父親がすい臓がんで亡くなったこともあり、自分もこのまま死ぬのではないかと不安を募らせます。そんな事情を知ってか知らずか、そこに謎の少年が表れ、彼女のことを励まし、なんとそのままファーストキスを奪ったのです……。
常識を凌駕する超健康家族である酒々井家の日常に加えて、突然キスをしてきた謎の少年の登場に、あっという間に読み進めてしまう1巻です。蜜子の容体も心配で、目が離せません。
倒れたことをきっかけに、健康的な体を目指すことにした蜜子。宴からさまざまな知識を教わるようになりました。
そんななかいつものように学校に行くと、そこには病院でファーストキスを奪ってきた謎の少年が、制服を着て座っていたのです。
彼の名は束木成人(たばきなると)といい、新学期からずっと学校に来ていないエアクラスメイトでした。容姿も良く、成績は優秀で学年トップと非の打ちどころがない彼から、蜜子は気に入られてしまいます。
そしてなんと告白までされてしまい、当初は困惑するのですが、同居している長介と付き合っているのではという噂を消すために、彼と付き合うことを決めました。
- 著者
- 栗原 まもる
- 出版日
- 2009-08-10
「生フルーツはとにかく消化がいいので身体(胃腸)にあまり負担をかけません」(『ケッコーケンコウ家族』第2巻より引用)
2巻では、朝食にフルーツを摂ることのメリットについて、詳しく描かれています。そもそもフルーツには、食べ物の消化に必要な酵素がもともと備わっているため、非常にスムーズに消化がおこなわれるそう。
胃腸に負担をかけることがなく、疲れにくいとされており、フルーツを食べる際は前後30分ほど他の食べ物を摂らない方が、その効果を最大限に発揮できるそうです。
偽カップルとして束木と付き合いだした蜜子でしたが、心のどこかで長介に対してもモヤモヤとした気持ちを抱えていました。そんな複雑な気持ちのまま束木と遊園地にデートに来たところ、突然知らない女性が彼のことを呼び止めます。
実は束木はホストとして働いており、その女性もお客さんのひとりでした。ただ彼女は、束木に本気で恋心を抱いており、逆恨みをかった蜜子は拉致されてしまうのです。
束木は蜜子を助けに行くのですが……。
- 著者
- 栗原 まもる
- 出版日
- 2010-01-13
3巻では、宴特性の酵素ドリンクが紹介されています。ヨモギ、ドクダミ、フキやカンゾウなど、まるで昔の人のように野草を用いて作ったもの。
しかも飲むだけではなく、顔のパックとして利用することもでき、モチモチツヤツヤのお肌を手に入れられるそうです。
実際にこのような酵素ドリンクは販売もされているので、興味をもった方は試してみてはいかがでしょうか。
デートの途中、今度は束木が突然倒れてしまい、苦しそうな顔で帰っていきました。蜜子は以前彼の家に行った際、薬がたくさん入っている箱があったことを思い出し、束木が何かの病気なのではないかと悟ります。しかしそれを知られたくなかった彼は、蜜子と距離をとるようになってしまいました。
喧嘩のような状態が続いていた2人ですが、長介の計らいで再会します。そして束木は、心臓の病気を患っていることを打ち明けたのです。
ここから蜜子は、密かに「束木健康計画」を企みはじめたのでした。
- 著者
- 栗原 まもる
- 出版日
- 2010-06-11
束木が倒れた直接の原因は、突然走るなど急激な運動で心臓に負担がかかりすぎたことでした。しかしそもそも彼は、食事はインスタントか肉ばかり、お通じは週1という非常に不健康な生活をしていたのです。
蜜子は一体どんな手段で彼を健康な体に変えていくのでしょうか。1巻では長介たち家族にドン引きしていた彼女がどんな活躍をしてくれるのか、期待が高まります。
束木と蜜子の関係も完全に修復し、お互いに多少の妥協をしながらも健康的な体づくりを目指します。束木はホストも辞めて、蜜子と旅行に行ったり、健康家族とブルーベリー狩りに行ったりと、充実した毎日を送っていました。
しかしそんな幸せも束の間、束木に突然の発作が起こり、意識を失ってしまうのです。
- 著者
- 栗原 まもる
- 出版日
- 2010-12-13
5巻では、蜜子と真面目に付き合うために、束木がホストを卒業するシーンが描かれています。サプライズの引退式はとても華やかに描かれているので、要チェックです。
しかし気になるのは、束木の容体。救急車で搬送された彼は、無事なのでしょうか。
束木を亡くした蜜子は、長い間部屋に引きこもるようになってしまいました。彼と過ごした時間はもう取り戻すことができないと思うと、涙の止まらない日々が続きます。
そんな彼女を元気づけようと動きだしたのが、クラスの友人や、束木の母親。そして再び前を向いて歩きだした彼女を待ち受けている結末とは……。
- 著者
- 栗原 まもる
- 出版日
- 2011-03-11
束木が亡くなるという衝撃の展開は、何かの間違いなのではないか思いたくなってしまいます。「健康」になるには、努力だけではどうすることもできないことがあること、「健康」な体で生まれてくることがどれだけ有難いことなのかを教えてくれる内容です。
巻末では、高校卒業後のアフターストーリーも描かれているので、蜜子や長介、そして健康家族がどのように過ごしているのか気になる方は、ぜひ実際に読んでみてください。
どこまでが健康でどこからが変人なのか?そんな疑問がふと頭をよぎってしまうような内容ですが、実用的な健康術も多数盛り込まれています。ギャグ要素もあって面白く読めるかと思いきや、切ない展開もあり、一喜一憂しながら読める作品です。