購入した美少女フィギュアが、もしも動き出したら…そんなオタクの夢を描いた「超可動ガール」は人間とフィギュアが織り成すドタバタラブコメディです。そんな本作の内容を全巻ネタバレ解説!
「超可動ガール」は、ÖYSTERによる漫画作品。双葉社「コミックハイ!」誌上で連載されました。同誌の休刊後は、同じく双葉社の「月刊アクション」へ移動。全4巻にて完結しましたが、読者からの人気に応えて、2017年9月から「ニコニコ静画」内で、続編となる「超可動ガールズ~OVER DRIVE GIRLS~」が絶賛連載中です。
主人公のオタク青年が買ったアニメのフィギュアがなぜか動き出し、奇妙な同棲生活が繰り広げられるドタバタのラブコメギャグ漫画である本作は、二次元の「嫁」が具現化して動き出すというオタクの夢を描いた作品でもあります。フィギュアだけでなく「おっぱいマウスパッド」や「抱き枕カバー」など、ディープなオタクが共感できるグッズも随所に登場します。
美少女キャラがたくさんいるということで、ちょっとエッチなシーンも。露出度が高くて「エロ可愛い」フィギュアといちゃいちゃの結婚生活を送ることになった主人公の運命は?そしてもちろん、フィギュアたちが動くことについてもある秘密が隠されています。
この記事では、「超可動ガール」の魅力をストーリーから全巻解説していきます!
主人公の房伊田春人(ぼういだはると)は、アニメやゲームが大好きな筋金入りの超オタク。オタク生活を満喫するべく、在宅プログラマーの仕事をしながら一人暮らしをしています。挙句の果てに「生身の女には興味がない」と豪語する春人。そんな彼は、ある日最も愛するアニメのヒロイン「ノーナ」のフィギュアを初めて買うことになりました。
いざ、箱を開けてみると、何とフィギュアのはずのノーナが動いてしゃべり始めました。そして、美少女フィギュアはあっという間に春人の押しかけ女房に……。フィギュアとオタクの同居生活は、これからどうなる?ちょっとエッチでおかしな日常ギャグ漫画です。
オタクの主人公・春人には好きなアニメがありました。それは「少女→惑星探査」というアニメで、大学時代に見て以来、彼は作中のヒロイン・ノーナに半ば本気で恋をしているのです。しかもあまりに好きすぎて、婚姻届まで書く始末。
- 著者
- OYSTER
- 出版日
- 2013-05-10
ある日、春人はついにノーナのフィギュアを購入します。家に帰って開けてみると、何とそれは意思を持ち、動いてしゃべるフィギュアだったのです。しかも春人が書いていた婚姻届によって、2人は結婚まですることに。せっかく夢のオタク生活が始まると期待していた春人でしたが、それは「フィギュア嫁」とのおかしな夫婦生活に変貌してしまったのでした。
しかし、ノーナは独占欲が強く、浮気は許さないと春人に宣言します。
「私だけを…見てくださいね」
「他の女性…アニメでも実在でも」
「浮気は…決して許しません!」(『超可動ガール1/6』1巻より引用)
自分の好きなキャラのフィギュアが動いたら……オタクの皆さんは、一度はそんな風に考えたことがあるのではないでしょうか。本作は、まさにその夢が漫画となった作品です。メカと美少女が融合したようなデザインのノーナの姿は、オタク心をくすぐります。
注目すべきは、ノーナの順応力。昼間からゴロゴロしてお菓子を食べる姿は、とてもフィギュアとは思えません。何だかんだ言いながらイチャイチャを繰り広げる春人とノーナの結婚生活やいかに?
春人とノーナの同棲生活は続きます。2巻では、何とそこに早々に邪魔者が。ノーナと同じく春人が買ったフィギュアがまたしても動き出すのです。2人目の彼女は「勇者ベルノア」。「ドラグリウス・サーガⅣ」というRPGゲームのキャラクターです。RPGの勇者らしく、剣と盾を装備しているベルノア。何となく春人に好意を抱いているらしい彼女は、ノーナと対立。春人をめぐって取り合いが始まります。
さらに、春人はベルノアと一緒にゲームの世界に入り込んでしまい、装備を整え、裏ボス「業魔王」を倒しに行くことになります。
ギャグシーンも増量され、ますますドタバタ要素が強まった2巻は、新登場の美少女たちにも注目です。
- 著者
- OYSTER(オイスター)
- 出版日
- 2014-04-10
ゲーム通り「せんとうマニア」として好戦的な振る舞いを見せるベルノアですが、実は恋愛経験も乏しく、性についての知識もほとんどありません。そのギャップに萌える人もいるのでは?また、ゲームの中の世界にはどこかで聞いたようなセリフも多く、特に宿屋の主人が発する
おはようございます
ゆうべは おたのしみでしたね(『超可動ガール1/6』2巻より引用)
というセリフは、かなり聞き覚えのあるものです。ゲーム好きの皆さんなら、すぐにわかりますよね?
また、春人を追ってゲームの中にきたノーナは、非常事態に遭遇したことで専用オペレーション「D・Pシステム」(裏ノーナ)に変化します。メカ系ヒロインによくあるモードチェンジも見どころのひとつです。
さらに、2巻では謎のフィギュアと持ち主の存在が急浮上してきます。春人のオタク仲間・冠成次郎は、後世に伝えるため、動くフィギュアの謎を解明しないといけないと言うのですが……。成次郎の握っている秘密とは一体何なのでしょうか。そして、3人目のフィギュア「クサビ」など、魅力的なキャラクターたちも増え、どんどん賑やかになっていきます。
春人のもとに、またしても新しいフィギュア「天乃原すばる」がやってきます。ますますハーレム状態に磨きがかかってくる春人の周囲ですが、成次郎は動くフィギュアたちを「超可動ガール」と命名します。しかし春人は「恥ずかしい」とバッサリ。
すばるは、対戦格闘ゲーム「ストライキングフィストⅢ」のヒロインで、和風の衣装に身を包んでいます。しかも、何と彼女は春人に負けないくらいのオタクだったのです。
- 著者
- OYSTER
- 出版日
- 2015-02-10
ゲーム内ではあまりに強キャラすぎて、ゲームセンターでは彼女を使うことを禁止する台も存在するというすばる。しかしオタクに刺さる触手ネタや体操着を披露する彼女は、ゲーム内とはあまりにもかけ離れたギャップを見せてくれます。しかも、浮気はいけないとノーナに言われていたにも関わらず、すばるにも恋していた春人は、なかなか手に負えません。
ある時、成次郎に捕らえられた春人の動画が送られてきます。彼を助けるため「ストライキングフィストⅢ」の世界に飛び込んだ超可動ガールたち。戦いの中で、ノーナの「チャンピオン・システム」が解放され、彼女は「ノーナ2」に変化を遂げます。
3巻では、少しずつ超可動ガールたちのことが明らかになってきます。彼女たちはみんな「TAKASAGOYA」というメーカー製で、その会社の社長はあの成次郎だったことが発覚。果たして、成次郎の狙いは?お風呂シーンなど、お色気も多めです。
成次郎の目的は、クサビを元の世界に帰すことでした。最終4巻では、それぞれのキャラクターが抱えるものに決着がつき、ラストへと向かっていきます。すばるはゲームのラスボスを撃破。そして春人に想いを告白します。
オタク同士のカップルってお互いに理解があっていろいろ捗ると思う!!
わ 私なんかどーかな!?(『超可動ガール1/6』4巻より引用)
そしてベルノアも自分の冒険に決着をつけていました。彼女は、フィギュアとして春人と暮らす道を選びます。
これからは ハルト
おまえだけの「勇者ベルノア」だ!!(『超可動ガール1/6』4巻より引用)
- 著者
- OYSTER
- 出版日
- 2016-01-12
その頃、不思議な空間に迷い込んだ春人と成次郎は、少女型惑星探査1号機「ウーナ」と竜田川潜という少年に出会います。潜が言うには「ガラテアの欠片」というものがフィギュアたちを動かしているというのですが……?そして、超可動ガールを創り出していた人物も発覚します。
一方、アニメ「少女→惑星探査」の最終回を見たノーナは、もうひとりの自分である「ノーナ・イコール」と対面していました。物語どおりに消滅しそうになるノーナでしたが、自分もアニメの中にやってきた春人に助けられます。
「むかえに来たよ ノーナ」
「もう君を一人ぼっちになんかさせない」(『超可動ガール1/6』4巻より引用)
最後には、動くフィギュアたちの秘密も明かされます。
「超可動ガール」は、ドタバタがクセになる漫画です。近年メジャーになったフィギュアという題材を扱っていますが、どこか古き良き漫画作品のノリで、スカッと楽しめます。
お色気シーンもありますが、あまり性的ではなく、明るいお色気を押し出していますので、気軽に読めるのではないでしょうか。