ページをめくるほど現れる猫。猫好きにたまらないコミックエッセイ『猫はまたたび』をご紹介したいと思います。特に猫好きの方、猫と一緒に住んでいる方に読んでいただきたい作品となっています。
とつぜんですが、猫って可愛いですよね。もふもふの体に可愛い仕草、ペットとしても人気で世界中で愛されている動物です。道端で猫を見かけてついつい撫でたくなってしまったことがある方は多いでしょう。
今回ご紹介する『猫はまたたび』は、猫に目がないサラリーマンのタモツが、たくさんの猫に魅了される姿を描いた4コマ漫画です。猫好きならば誰もが頷ける猫あるある満載の作品となっています。
この記事では全2巻の見どころと魅力についてご紹介いたします。可愛さ溢れる猫の世界を楽しんでください。
- 著者
- 一色 美穂
- 出版日
- 2015-04-30
猫大好き一家な星垣家には、キューちゃん、るんちゃん、へるちゃん、まんまるちゃんという4匹の猫がいます。特に猫好きな長男のタモツは猫中心の生活を送っており、仕事よりも、友人よりも、家族よりも猫が大切です。
タモツから溢れる猫愛が伝わったのか、周囲にも徐々に猫好きが増え、素敵な猫たちとの出会いも増えていきます。猫好き必見の4コマコメディの始まりです。
猫を飼う家庭の悩みに一つに「抜け毛」があります。特に初夏は最も多く毛が抜ける時期で、フローリングや家具、服が毛だらけ。飼い主はコロコロローラーで部屋中を掃除したことが何度もあるでしょう。
タモツは出勤時、愛する猫たちをひとしきり可愛がるのが日課です。その日も心置きなく猫を撫で、玄関でスーツについた毛をブラシで取って、さあ出発!と思った時、猫のへるちゃんが玄関に座ってお見送りをしてくれています。
あまりの可愛さにタモツはへるちゃんを抱き上げ、「いってくるにゃー」と言いながら頬ずりします。せっかく綺麗にしたスーツも、これでまた毛だらけです。再びブラシを掛け直して出発しようとしますが、後ろにはまだへるちゃんが。いつまでたっても会社に行けないタモツの姿に共感する方は多いでしょう。
ある冷え込んだ夜、寒さで眠れないタモツの姉ミズキは湯たんぽを作るために起き上がりました。隣で眠っているタモツにも一応声をかけてみますが、彼は「猫たんぽがあるからいらない」といいます。タモツの布団の中には4匹の猫がぴたりとくっついて眠っていました。
猫好きの冬の楽しみ、猫たんぽ。狭くて暗い場所が好きな猫はよく眠っている人の布団に潜り込み、脇の下や股の間などにすっぽりと納まって寝てしまいます。猫の体温と可愛さで、飼い主もポカポカです。ただ、油断すると猫に布団を占領されてしまうこともありますので、注意しましょう。
タモツにとって最も大切なものは猫。会社から帰ってきたらまずは玄関に集まった猫を可愛がります。側を通ったミズキの「おかえり」という言葉に気づくのは、心置きなく猫を撫で回した後です。
ある日タモツが突然同僚を家に呼んだ時、出迎えたミズキは自己紹介をしようとしました。しかしタモツがミズキの言葉を遮りながら言ったのは「そんなことより、うちの猫たちを紹介するよ!」。「そんなこと」扱いされてしまったミズキの立場はありません。
寝ても覚めても猫のことを考え、何を差し置いても優先させるタモツ。変態的なまでの彼の猫愛にはじめは驚いていた周囲も、だんだんと猫のよさを知って猫好きへと変わっていきます。タモツと猫について熱く語り合いたい……、そんな風に思うかもしれません。
ミズキは漫画家です。在宅での仕事のため、タモツがいない間の猫の世話は彼女が見ています。そんな彼女も、当然猫が大好き。家事や掃除を邪魔されてもちっとも怒りません。猫の写真を撮るのが趣味でもあるミズキはいつの間にか一眼レフを購入し、事あるごとに猫を写真に納めていました。
ある日、原稿の締め切りを間近に控えていたミズキは部屋を締め切って追い上げにかかっていました。母親からのちょっとしたお遣いを引き受ける余裕もないはずでしたが……、猫となれば話は別です。
猫カフェ「ラスベガス」に行くつもりが、ある手違いから飛行機に乗ってアメリカに渡ってしまい、しばらく猫の顔をみられなくなってしまったタモツのためにミズキは猫の写真を撮ることにしました。「仕事中だから少しだけ」と思っていましたが、猫の可愛さに負けて仕事そっちのけで撮影に夢中になってしまいます。
猫はどこから撮っても可愛い生き物。一度撮り出すと止めるのはなかなか難しくなってしまいます。いつのまにか携帯の写真フォルダが猫だらけだった、なんて心当たりがある人は、きっとたくさんいるでしょう。
タモツの同僚の天繰(あまぐり)は、縁あって1匹の黒猫を飼う事になりました。天繰の家にはすでに「さゆり」という雄猫が住んでいて、喧嘩でもしたらどうしようと心配しましたが、すんなりと受け入れ合ってくれた猫たちの様子に天繰も安心します。
たださゆりからすれば、今まで自分だけを可愛がっていた天繰が突然別の猫のことも可愛がりだしたので、あまり面白い状況ではなかったのかもしれません。黒猫に優しく話しかけながら餌を準備する天繰の膝に飛び乗ると、そっぽを向きながら「ゴロゴロ」と喉を鳴らし、甘え始めたのでした。
普段はクールなさゆりのツンデレな行動に、天繰の心もキュンキュンさせられます。猫にゴロゴロと甘えられている時間は、飼い主にとって至福の時です。天繰が感じているトキメキは、きっと読み手にも伝わってくることでしょう。
タモツは保険会社の営業マンをしています。周囲からはへらへらしているように見える彼は猫好きな性格に助けられ、部署内では意外にも稼ぎ頭となっています。そんな彼に持ちかけられたのは海外赴任の相談。優秀な社員を派遣してほしいというアメリカの支店からの要請をうけ、タモツを含む優秀な社員に声がかかったのです。
キャリアアップの絶好の機会。ライバルの社員が海外への赴任を強く望むのに対し、タモツが出した答えは「猫に会えなくなるから行きません」というもの。猫たちとの幸せな生活の妨げになるのなら、たとえキャリアアップに繋がる仕事であろうと望みません。タモツの揺るぎない猫愛が示されたエピソードとなっています。
- 著者
- 一色美穂
- 出版日
- 2015-11-18
猫愛溢れる本作を読んで、そばにいる猫をさらに可愛がってあげたくなる方がいるかもしれません。ぜひこの機会に手に取り、あらためて猫の魅力を感じてみてはいかがでしょうか?