『あっくんとカノジョ』でツンデレなのは、カレシの方。カノジョはにこにこ見守っている、そんなカップルのお話です。ブスだのキモイだの言いつつもカノジョの後をつける姿は、デレというよりはストーカー?アニメ化で話題の本作の魅力をお伝えしていきます。
荘敦大(かがりあつひろ)と片桐のんは恋人同士。同じ高校の2年生です。
のんに対して暴言や無視をくり返してしまう荘ですが、実は彼女にゾッコンラブなのでした。のんはそんな荘の態度は気にせずスルーで、いつもにこにこ笑っています。
とにかく面白いのは、荘の極度のツンデレっぷり。顔を合わせればのんに冷たくしてしまうツンのようすと、後をつけたり盗聴盗撮をくり返したりするストーカーのようなデレの落差がたまりません。
この記事では、そんな本作の見どころを全巻一気に紹介していきます。
- 著者
- 杜若 わか
- 出版日
- 2014-02-27
ツンデレ。それは普段はツンツン冷たい態度をとっているけれども、ふいにデレてしまう性格のこと。
『あっくんとカノジョ』の主人公・荘敦大は超を何個つけても足りないほどのツンデレなのです。彼女である片桐のんに対しては、話しかけられると冷たい態度で暴言を吐いてしまいますが、実はのんのことが可愛くて大切で仕方ありません。
ある日の帰り際、教室でのんが「また明日」と声をかけると、
「キモイ ウッゼ もう顔見たくねーから来んなよ」(『あっくんとカノジョ』1巻より引用)
……ひどすぎます。こんなこと言う彼氏、見たことないですよね。
ところがこれに対してのんは、
「うん ばいばーい」(『あっくんとカノジョ』1巻より引用)
とあっさり返すのです。何も気にしていない様子。そして注目はこの数秒後。荘はやおら立ち上がり、帰るのんの後をこっそりつけはじめました。
クラスメイトの松尾が「何してんの」と声をかけると荘は
「バッカヤロウ のんたんに何かあったらどうすんだよ!!!」(『あっくんとカノジョ』1巻より引用)
とひと言……。読者もおもわず松尾と一緒に「一緒に帰れよ」とツッコんでしまうはずです。
のんは、このように荘が後をつけているとは知りません。ましてや生活を録音されていることも、大量の盗撮されていることも知りません。
常識的に考えると相当ヤバめな荘ですが、突然のんを抱きしめてしまう時もあります。そんな時、のんはデレ期だと冷静。後日反動でまったく話さない日が3日も続くことがありますが、彼女はそんな反応も想定内なのです。
のんびり屋さんに見えて、彼氏である荘のことをよく理解しているのんなのでした。
また荘には、中学2年生の千穂という妹がいます。彼女ものんのことが大好き。彼らの両親もなかなかクセのある人物なので、今後はそこにも注目ですね。
まったく普通じゃないカップルの日常を、ほっこり気分でご覧ください。
- 著者
- 杜若 わか
- 出版日
- 2014-09-27
2巻では新キャラが2人登場します。ひとりは荘とのんのクラスの担任、窪村匠(くぼむらたくみ)先生。茶髪であごひげも生やしている、ちょいワル風のイケメンです。もうひとりはのんの友人、入江小凪(いりえこなぎ)。八重歯がチャームポイントで、窪村のことが大好き。
小凪は窪村にストレートにアタックしては、教師としての指導を返されます。それを彼女はツンデレと表現しているのですが、周囲のみんなも読者も、それは違うだろうと思わずにいられません。
さて本巻では、海とお祭りという夏のイベントの様子が描かれます。
のんが荘のことを海に誘うと、彼はにべもなく「却下」と断ります。伝え方を変えてみるものの、すべて却下。
しかししばしの沈黙の後、荘は「いつ?」と言い、のんも笑顔。こういう反応なのだとわかっているのですね。荘は心の中で、「夏 最高」と言いながら海水浴、夏祭り、花火……と数々のイベントを思い浮かべているのでした。
そして当日。2人だけでなく、荘の妹の千穂や松尾も一緒です。大方の予想に反して、のんの水着姿に意外と冷静な荘。松尾に指摘されると、水着姿のイメージトレーニングを毎晩欠かさずしていたそうで……ちょっと危険な彼の行動は、本作ではもう普通のことになってきましたね。
一方、千穂は異様に松尾を嫌っているのですが、この日はますますエスカレート。しかし当の松尾はまったく気にしていません。この2人のやりとりにからも目が離せなくなってきています。
- 著者
- 杜若 わか
- 出版日
- 2015-05-27
ハロウィンにクリスマスと、3巻は秋から冬の季節です。でも描かれるのはいつもの日常風景。たとえばクリスマスの朝、雪が積もっているので足跡をつけて歩きたかったと、のんが荘の家を訪ねてきました。
その足跡が「すげー小刻み」だったので、荘は彼女が嬉しかったんだろうなと察します。
このエピソードは伏線となっていて、後に彼はこの足跡を写真に撮るのです。すかさず松尾が「お前がどこまで欲しがるのかわかんねえわ」と冷静なツッコミを入れるのでした。
いつものメンバーが合流し、ここでも千穂が松尾に罵声を浴びせます。本当にひどい言葉なので、ぜひ読んでみてくださいね。
また千穂の友人の優衣は、千穂への預かりものを渡されたことから松尾と知り合うのですが、彼の見た目のかっこよさから2人の仲を誤解してしまうことに。この巻ではまだ出番が少ないですが、この後もたびたび登場しては誤解を深めるキャラクターとして描かれるのでチェックしておいてください。
さて、クリスマスは、カップルだけでなく家族でも盛り上がるもの。荘の家でものんの家でも、それぞれの両親がクリスマスに向けて準備をしています。どちらの両親もびっくりするくらい変人ですよ。巻末にはこの両親たちの若いころが描かれているオマケ漫画もついているので、ぜひお楽しみください。
- 著者
- 杜若 わか
- 出版日
- 2016-01-27
超ツンデレの荘と、何を言われても笑顔ののん、松尾を嫌う千穂、窪村先生を慕う小凪という安定の関係性に、もはや読者も安心している4巻です。
さて、その日は台風が直撃していました。電車が止まってしまったという松尾に、荘は泊まっていけばいいと言います。
もちろんここにはのんもいるのですが、今回は彼女だけでなく、のんの母親も。両家は子どもだけでなく、両親同士も仲がよかったんですね。ちなみにのんの父親は自宅にひとりぼっちです。
そんななか、荘とのんは2人で皿洗いをすることに。ここでのんが、大勢でのお泊まりは楽しいけどふたりっきりでお泊まりも楽しいよ、と爆弾発言……!ドキドキしちゃうね、と言う彼女の言葉の真意は、実際に読んでお確かめください。
荘もこの時ばかりはいつものツンデレを発揮できず、固まってしまいました。
ところで荘の父は、千穂と松尾が付き合っていると誤解しています。可愛い娘をよくも……という彼の焦る姿も見どころですよ。
- 著者
- 杜若 わか
- 出版日
- 2016-08-27
荘とのんは小学校5年生からの知り合いで、中学生の時から付き合っています。小学生時代の彼は周囲となじめない子どもで、担任の相良先生がよく気にかけてくれていました。
そんな相良は卒業生とも親しくしていて、のんは今でも手紙のやりとりをしているようです。
ある日、いつものようにのんが無事に帰宅するまで尾行をしていた荘は、そんな自分をつけてきている人に気づきます。姿を現したのは、相良その人でした。のんも加わり、3人での会話が始まります。
2人が付き合っていることを知っている相良がのんに、いつからそういう意味で好きになったんだと聞くと、彼女は「ふふ ひみつ」と頬を染めて答えました。
これを見ていた荘の反応がナナメ上。どうしてそうなる、とツッコミを入れたくなるシーンです。
相良は荘に、定期的に愛を囁くんだぞとお節介を焼きます。もちろん荘はツンの顔で拒否しますが、ボソボソと「ちゃんと 大事には思って」とつぶやくのでした。
「結婚式のスピーチは任せろ」と走り去っていく相良。荘は舌打ちをして嫌がりますが、つい「結婚式のスピーチなんて松尾あたりに」と言ってしまうのです。結婚を考えていることがバレてしまった彼は慌てて逃げようとしますが、のんはしっかりその背中をつかまえて「まあお茶でも」と離さないのでした。
一方千穂は、松尾と距離が近づいたのかと思いきや嫌っている様子も見せ、どうもちょっと心が揺れているようです。
この巻のオマケ漫画は、小学生時代の荘とのん。荘にとって彼女がが特別な存在になった瞬間がわかります。
- 著者
- 杜若 わか
- 出版日
- 2017-03-27
中学生のころはロングヘアだったのん。高校入学の直前に、現在のボブにしたのです。
また髪型を変えようか検討しているのんに、荘は「切る時は事前に教えろ」と伝えます。前に黙って切ってしまったことを気にしているのかなと彼女は想像しますが、その真意は「事前に知っておけば髪を入手する方法が見つかるのでは?」というストーカーっぷり。これでこそ荘ですね。
教室に入ると、昨日までロングヘアだった小凪が、ショートになっていました。窪村も彼女の変化に驚きます。そして周りの女子たちが、「窪村先生ついにハッキリ振ったのかな」と話しているのを聞くと、「振ってはないぞ……」と。
一方の千穂も、松尾を嫌いつつも彼の体調の変化にすぐに気づくなど、どちらの関係も少しずつ変化してきていて気になる展開です。
オマケ漫画は、荘とのんの赤ちゃん時代の話。2人とも両親からたっぷり愛されて育ったことがよくわかります。
- 著者
- 杜若 わか
- 出版日
- 2017-11-27
のんが畳の上でお昼寝をしていると、荘が遊びに来て側に座り、触れるか触れないかの位置に指を置きます。しかし実はこの時のんは目を覚ましていて、「じっとしてたらちょうちょがとまるみたいな……」とワクワクしているのでした。
この後は荘が寝てしまい、のんに寝顔を見られることになります。
別の日、学校で荘と小凪が雑談中。のんのどこが好き?と聞かれると、荘はまじめに考えこんでしまいました。「具体的に挙げていくと丸3日はかかる……」と思っているからです。全部、と答えれば1番的確かつ簡潔だとも考えています。
この会話のオチはなかなか笑える仕掛けがされているので、ご注目。
またこの巻では、大学2年生の芝という女性が新登場。早とちりな性格をしていて、相良先生のことが好きな彼女が今後ストーリーにどのように絡んでくるのか楽しみです。
さて、1巻から7巻まで読んでみると、荘とのんの関係は少し変化しているよう。荘の暴言が減り、のんも友人から「最近よく一緒にいるよね」と言われています。
もちろん、彼がこの会話を盗聴しているのは1巻から変わりませんが……。
のんが友人に「楽しいけどちょっとドキドキすることも増えたかな」なんて顔を赤くして話すと、こっそり聞いている荘はもうしゃがみこんでしまいました。
オマケ漫画は、中学生時代の荘とのん。どのようにして2人が付き合うことになったのかが描かれる、絶対に外せない物語です。
今後の展開がますます気になる『あっくんとカノジョ』、アニメ化される今こそ読んでみてくださいね。
基本的には1ページに1エピソードというテンポのいい作品。登場するキャラクターたちはかなりクセがあるものの、悪人は出てきません。荘の常軌を逸したストーカーっぷりと、のんのほんわかとした可愛さを楽しみましょう。