漫画『機工魔術士』は、機械いじりを得意とする主人公が悪魔の少女と契約し、「機工魔術士」となって戦うバトルファンタジー。随所にギャグとお色気をはさみつつ、主人公の心の成長が描かれていきます。スマホの漫画アプリで無料で読むことができるので、ぜひチェックしてみてください。
漫画『機工魔術士』は、河内和泉の作品。「月刊ガンガンWING」で2002年から2008年まで連載されました。
ひょんなことから「機工魔術士」になった主人公の成長を描く物語で、お色気をふんだんにちりばめたギャグと巧みな心理描写が特徴です。
ほぼ同時期に連載され、圧倒的な人気を博した同ジャンルの漫画『鋼の錬金術師』の陰に隠れる形になりましたが、単行本が全19巻発売されたことからも根強い人気を誇っていた名作であるといえるでしょう。
スマホの漫画アプリ「マンガUP!」でも配信されており、気軽に楽しめるのでおすすめです。
この記事ではそんな本作の魅力を、ネタバレを交えながらご紹介していきます。
- 著者
- 河内 和泉
- 出版日
- 2003-01-27
機械いじりが得意な高校生・叶晴彦(かのうはるひこ)は、幼馴染の教師・藤川優香(ふじかわゆうか)に頼まれてビデオデッキとMDプレイヤーの修理をしていました。
するとそこに突然、優香にそっくりな悪魔・ユウカナリアと、彼女を襲おうとしている悪魔が現れます。
ユウカナリアは、かつての恋人で高名な機工魔術士だったフルカネルリと似たニオイを持つ人物を探していて、どうやら晴彦にその適正がある様子。見初められてしまった晴彦は、悪魔と戦うために必要なさまざまな道具を作るため、フルカネルリの力を受け継ぎました。
それによって悪魔たちに狙われるようになってしまった晴彦は、優香を守り、ユウカナリアの願いをかなえるべく、機工魔術士としての修行を積むことになるのです。
- 著者
- 河内 和泉
- 出版日
- 2006-06-27
本作の最大の魅力としてあげられるのが、主人公である晴彦の成長する過程でしょう。
高校生ながら機械に詳しい彼ですが、もともとは想いを寄せている優香がメカが苦手なため、彼女の役に立ちたいと思って勉強を始めました。
ところが九重北都(ここのえほくと)という優秀な人物に出会い、その気持ちを否定されたことで、晴彦は自らの生き方を見つめなおすようになるのです。
先輩の機工魔術士に相談したり、優香本人の気持ちを聞いたりすることで、自分の行動は独りよがりで間違いだったと思い直しました。
その後、機工魔術士となった北都との戦いのなかで、実は北都自身も姉に認めてもらい必要とされたいために頑張ってきたことを知ります。彼の姿と自分の姿を重ねながら、生き方を模索していくのです。
このような経験をとおして晴彦が人として成長する過程が、本作の何よりの見どころでしょう。
- 著者
- 河内 和泉
- 出版日
- 2007-07-27
バトルファンタジーでありながら、ギャグシーンが豊富に挿入されているのも本作の魅力のひとつです。戦闘中にもかかわらず漫才のような掛け合いをくり広げるなど、シリアスなパートとギャグのパートが線引きされているわけではなく、混在しながら物語が進んでいきます。
特に晴彦とユウカナリアのやりとりのテンポの良さは抜群。序盤はユウカナリアがお色気まじりのボケをくり出し、晴彦が戸惑いながらツッコミを入れるというパターンが多いのですが、話が進んでいくにつれてユウカナリアがモノボケを披露したりカツラをかぶったりと、パターンが多様に。どんな時でも全力のドツキ漫才を展開します。
ストーリーの中盤以降はしだいにシリアスな要素が濃くなっていきます。戦い自体も激しいものになり、さらに先述した北都とのエピソードで問われた「生き方」のような、簡単には答えの出せない問題が絡んでくるようになるからです。
しかしギャグ要素が薄くなっているわけではありません。登場人物たちは要所で持ち前の明るさを発揮し、物語を盛り上げてくれます。
ギャグとシリアスの絶妙なバランスをぜひ味わってみてください。
- 著者
- 河内 和泉
- 出版日
- 2005-10-27
本作に登場する女性キャラクターは、優香やユウカナリアをはじめグラマラスな体型の持ち主が多いです。高校生の晴彦は思春期真っただ中の少年のため、その魅力的なボディに悩まされる姿が多く見られます。男性読者も彼同様に、さまざまな妄想を楽しめることでしょう。
さらに彼女たちは体だけでなく、表情も豊か!笑顔や泣き顔に加えて怒り顔などもキレイで、コロコロ変わる表情に萌えを感じてしまうはずです。
また、男性視点だけでなく、彼女たちの「女心」もしっかりと描かれているので、女性読者も共感できますよ。
たとえば、物語の序盤に登場する悪魔のラヴォワは、契約している機工魔術士アドルフに「悪魔の世界に帰りたい」と漏らします。しかし彼女の本心は、アドルフから「一緒にいてほしい」と言われたい、というものでした。
ただアドルフも気弱な性格をしているためしっかりと引き止めることができず、ラヴォワがやきもきしてしまうのです。実際の男女関係でもありそうなやりとりに、読者ももどかしくなってしまいます。
随所で描かれるリアリティのある心理描写も見どころですね。
- 著者
- 河内 和泉
- 出版日
- 2005-06-27
本作でもっとも人気のあるエピソードが、7巻からはじまる「メルクーリオ編」です。
晴彦は、原材料作成を専門にしているヤマトという機工魔術士に稽古をつけてもらっていました。そこで、彼のもとに身をよせていたメルクーリオという彫金師に出会います。
ドジを連発しながらも一所懸命頑張る彼女に、晴彦は好感を抱きました。しかし、メルクーリオには重大な秘密があったのです。
実は彼女、本来のメルクーリオではなく、ある事情で彼女の肉体に入り込んだ悪魔で、本物のメルクーリオの人格を閉じ込めていました。しかし晴彦の目の前でもともとの人格が表出し、彼にその事実を伝えます。
本当のことを聞いたうえで晴彦がどのような選択をするのか、それがこのエピソードの見どころです。物語全体のターニングポイントにもなっており、この先シリアス要素が増えていくことになるので、じっくり読むべき注目のエピソードだといえるでしょう。
- 著者
- 河内 和泉
- 出版日
- 2009-03-27
いかがでしたか。『機工魔術士』はスマホの漫画アプリ「マンガUP!」で、最終話まで配信しています。無料で読むことができるので、スマホやタブレットなどでお気軽に楽しんでみてくださいね。