大人気作『たいようのいえ』を始め、温かな作品を多く描いているタアモ。数多く発表されていますが、今回は中でも特にオススメの5作品をご紹介します。
少女漫画家のタアモは、2001年に「てのひらをかさねて」という作品でデビュー。その後もいくつもの作品を発表し、2014年には『たいようのいえ』で講談社漫画賞を受賞しました。
可愛らしい絵柄と温かな作風の漫画は、多くの人に愛されています。漫画の他にもイラストや挿絵を担当された作品もあるので、そちらもぜひチェックしてみてください。
ちなみに、タアモという特徴的なペンネームは、作者の子供時代のあだ名だそうですよ。
自分は月の世界にいって王様になる……そんな空想をするのが好きな女の子・桜。夢に恋する彼女は、それゆえに現実での恋なんかどうでもいいと思っていました。
しかし、そんな桜もある日、隣の席になった荒井くんが気になり始めて……!?
- 著者
- タアモ
- 出版日
- 2005-05-26
ピュアでちょっとファンタジーな読み切りラブストーリーが6編収録された本巻。表題作である「初恋ロケット」を始め、東京から転勤でやってきた駅員さんに恋をしてしまう女の子の話「夜汽車紀行」や、教え子に恋をしてしまった先生を描く「僕の秘密とその理由」など、ストーリーの内容は違っても、どれもキュンと来る話になっています。
王道なストーリー展開を始め、2人だけの秘密や、純粋な恋心など、ついニヤけてしまうシチュエーションで動き回る表情豊かなキャラクター達は、みんなとても可愛らしいです。そんなキャラクター達の発する台詞には、時折、甘くてピュアなだけではない人の心を揺さぶる用なものもあるので、自分だけのお気に入りの台詞を探してみるのもおもしろいかもしれません。
全体的に読みやすいので、男女問わず楽しめる作品ですが、可愛らしい絵柄も相まって雰囲気はやはり乙女寄り。可愛らしいラブストーリーを読みたい女性にオススメです。
高校3年生の辻川英子は、あまり人付き合いが得意なほうではない女の子です。3年生の新しいクラスでも、もめごとを起こさないように過ごしていました。
そんなある日、暮らすに転校生がやってきます。彼女の名前は北原泉。英子とは正反対らしい彼女の性格に、英子は次第に興味を持っていきますが……。
- 著者
- タアモ
- 出版日
- 2006-03-24
10代の少年少女を主人公にしたキラキラの物語が全部で4編収録された1冊です。表題作にもなっている「少女のメランコリー」は、主人公の英子と転校生の泉を中心に、少女達の友情を描いたお話です。
他の作品が恋愛を描いているのに対して、この話には男の子が登場しません。かといって、百合ものでもありません。高校生ならではの少女の気持ちを切り取ったキラキラ光る友情物語です。
他の作品でもピュアな雰囲気は同じで、引っ越してきたばかりで土地勘がなく、犬の散歩の途中で林に迷いこんでしまった女の子が不思議な男の子と出会う「蛍火の雨が降る」、クールでちょっと冷めた女の子が文化祭で劇をやることになり少しずつ成長していく「ピーターパン・モノクローム」など、雰囲気は共通していても色合いの違うストーリーを楽しむことができるでしょう。
甘くてピュアな話を楽しめる一方で、時折入れられているシリアスな部分も物語のアクセントになっています。メリハリの効いた話も本作の見どころの1つなので、ぜひ手に取って確認してみてください。
23歳の浪川睦(なみかわむつみ)は、漫画家志望の女性。漫画家になるために色々な先生のところへアシスタントへ行ったり、BLに挑戦してみたり、彼氏と危機に陥ったり……何かと大変な毎日ですが、漫画家になるために奮闘します!
- 著者
- タアモ
- 出版日
- 2013-03-08
タイトル通り、漫画家を目指してアシスタントに励む睦の奮闘を描いた15編からなる短編集です。睦の奮闘っぷりは時に笑えて時に感動もできる楽しいストーリーばかりです。
睦の彼氏は、睦と同じく漫画家志望。しかし、睦と同様にデビューにはなかなか手が届かず、やっと繋がった担当とも音信不通になってしまい気分は最悪な状態です。そんなこともあり、睦との仲にも亀裂が入り始めてしまいました。
他にも、睦には後輩にさきを越されるなど様々な試練が降り掛かりますが、漫画が大好きな睦はそれらを頑張って乗り越えていきます。そんな睦をつい応援したくなってしまう方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、そんなに試練ばかりではストーリーが暗いのでは? と思う方もいるかもしれません。もちろん試練はあるのですが、それに応える救いもちゃんとあるので安心して読むことができるでしょう。夢を追いかける睦にリアリティがあるので共感度も高く、読み応えもあります。少女漫画ではありますが、男女問わずに楽しめる1冊です。
幼い頃、まるで我が家のように年上の幼馴染の基(ひろ)の家へ入り浸っていた真魚(まお)。それから数年が経ち、家庭の事情で家へ住むことができなくなった真魚は、基の家へ住むことになりました。
しかも、基と真魚の2人きりで……!
- 著者
- タアモ
- 出版日
- 2010-09-13
歳の差の幼馴染があることをきっかけに一緒に住むようになる同居ラブストーリーです。歳の差も同居も少女漫画では定番の設定ではありますが、だからこその魅力も、本作ならではのキャラクターやオリジナリティも両方を楽しめるようになっています。
主人公の真魚は、家庭の事情で本当の家族とは離れて暮らすことになり、基の家へ行くことになりました。一方、その基は家族を事故で失い孤独な身の上。それぞれ家族を失ってしまった2人が身を寄せ合っているので、2人の間にあるのは家族の愛情です。
真魚のほうは家族愛ではない恋愛感情もありますが、基のほうは年上であることもあり、まるでお母さんかお父さんのように何かと真魚の世話を焼きます。そんな家族愛と恋愛感情の狭間で悩む真魚は健気ですし、全体を包み込む家族らしい温かな雰囲気もとても魅力的です。
主人公達に降りかかる不幸の連続には少しかわいそうになりますが、だからこそ応援したくなります。温かくて切なくて胸キュンもできるストーリーをぜひ楽しんでみてください。
柳瀬真昼(やなせまひる)は双子姉妹の姉。しかし、周りから可愛いと褒められることの多い妹の真夜(まよ)に比べ、何かと不遇な状況に置かれてしまう真昼は、常に妹「じゃない方」扱いをされてきました。
そんなことが積み重なりすっかりネガティブ思考の少女になってしまった真昼でしたが、高校入学直後、学校一のイケメン・里見蒼と急接近して……!?
- 著者
- タアモ
- 出版日
主人公の真昼は、可愛い双子の妹と常に比較され、結果、良いことがあったら悪いことが起こるという考えが染み付いてしまうほどのネガティブ思考の少女になってしまいました。自分の人生には良いことなんてないと期待も持てないまま高校に入学します。しかし、そこで出会ったのは学校一人気のイケメン・里見蒼でした。
その蒼が、なぜか真昼にかまってくるところからものがたりは進んでいきます。イケメンとパッとしない少女という組み合わせは少女漫画では定番ですね。最初のうちは、真昼のネガティブさに思わずツッコんでしまいたくもなりますが、そのネガティブ思考に至るのも納得できるくらい過去にさんざんな目にあっている真昼なので、それも納得してしまいます。
とはいえ、そんなネガティブで自分に自信のない真昼と、自信に満ち溢れているイケイケタイプの蒼なので、そうそう簡単に恋愛は進んでいきません。序盤からお弁当を一緒に食べたりさりげなく隣の席に座ったり、もちろんデートに誘われたり……と定番の胸キュンシチュエーションがあるのですが、その度にネガティブな思考にとらわれてしまう真昼に思わず笑ってしまう方も多いのではないでしょうか。
ですが、そんな蒼にも何やら謎があるような雰囲気。蒼の友達で秘密のありそうな銀河というキャラクターが登場したり、先の展開が気になることがたくさんあります。どんなふうに話が広がっていくのか、ぜひ手に取って確認してみてください。
いかがでしたか? どれも絵柄がかわいらしく、恋愛に胸キュンすることはもちろん、その世界観に胸躍ることは間違いありません。タアモ作品を読んだことがない方は、ぜひこの機会に読んでみてください。