今回は漫画『東京自転車少女。』を紹介します。東京の街を自転車でぶらぶらする「ポタリング」をとおして、街に隠された魅力を発見したり謎を解いたりする物語。ゆるくて楽しく、ときどきエロい本作の魅力をお伝えしていきます。
「コミックアース・スター」にて2011年から連載されていた本作。作者はわだぺんです。
高校進学とともに離島から上京した少女が、自転車部に入り、ポタリングを楽しみながら大都会の見過ごされがちな風景などを発見していきます。部にはスポンサーがついており、その人物からの指令でスポット巡りや謎解きに挑戦することも。
個性豊かな4人の部員たちによって展開される、ゆるりとした雰囲気が魅力です。ギャグが中心ですが、謎解きや適度なエロ、シリアスなどさまざまな要素を織り交ぜたマルチな作風が、読者を飽きさせません。
また、練馬の街など風景描写の再現率の高さも必見。わだぺんの画力が光ります。
この記事では、そんな本作の魅力を、4人の主要キャラとあわせて紹介していきます。
- 著者
- わだぺん。
- 出版日
- 2011-12-26
東京に強い憧れを抱いて上京した島野いるか。本作の主人公です。偶然出会ったおしゃれな少女、加藤さんが乗るロードバイクを見て、「自転車に詳しくなれば憧れの東京ガールになれる」と考えます。
高校に入学した2人は偶然にも寮でルームメイトとなり、「自転車天使部(チャリーズ・エンジェル)」に入ることに。活動内容は、「自転車で街をぶらぶらすること」です。
こうして、彼女たちの自転車ライフが始まりました。
本作の主人公で、「でしょ」という語尾が特徴的なハイテンションガールの島野いるか。ずっと離島に住んでいたため東京に憧れており、オシャレ女子である「東京ガール」になることを志しています。
とにかく東京が大好きで、愛車のママチャリで参加した初めてのポタリングでは、持ち前の好奇心と相まって隠れた魅力をどんどん発見していきました。
加藤さんのことを「理想の東京ガール」と慕っており、なんとか彼女と仲良くなろうと奮闘します。「富士塚」を33回登ると願いがかなうと聞いた際は、練馬区で最大級の「中里富士」を33回登り切ってしまいました。
マイペースな姿が目立ちますが、加藤さんが落ち込んでいる時は元気づけようと気づかう優しさも持ち合わせています。
東京と加藤さんへの想いを胸に、ポタリングをとことん楽しむ天真爛漫さが彼女の最大の魅力だといえるでしょう。
- 著者
- わだぺん。
- 出版日
- 2012-07-12
加藤さんは東京生まれ、東京育ちの少女。しかし東京の街が嫌いでした。
もともとロードバイクをたしなんでいた彼女は、ポタリングにも気乗りしていませんでしたが、いるかたちに付き合ううちに心を開いていくのです。
黒髪の美人で、いるかからは「理想の東京ガール」、ほかの人からも練馬区に伝わる伝説の女性「照姫」の生まれ変わりと呼ばれています。
しかしその美貌に嫉妬した人物から執拗な嫌がらせを受けることも。「自転車天使部」のなかでも孤立しそうになってしまいますが、いるかをはじめとする仲間たちに救われながら苦境を乗り越え、絆を深めていくのです。
スポンサーからの指示で地元のイベントのPRをすることになった際は、愛車のロードバイクを痛チャリに改造して街中を走るハメに。恥ずかしがる一方で、新たな扉が開きそうになる姿は必見です。
本作のなかでもっとも応援したくなるキャラクターですね。
- 著者
- わだぺん
- 出版日
- 2013-02-12
ショートヘアと江戸っ子風の口調が特徴の2年生。ポタリングではミニベロを使用しています。
いろいろなお店でツケを溜めこんでおり、豊島弁財天を参拝した際は、完済を祈願するのに10分もかかっていました。さらにツケの滞納をスポンサーに知られ、部費を止められる危機に陥ったり、あげくの果てには「クズ」と呼ばれたり……。
またボーイッシュな見た目からは想像もつかないほどの小心者で、不気味なスポットや絶妙なタイミングで届くスポンサーからの指令を誰よりも怖がる姿が見られます。後輩のいるかや加藤さんからも「小物」といじられる残念っぷり。
しかし、いるかに自転車のパーツをプレゼントして「自転車天使部」に入るきっかけを作ったり、嫌がらせを受けている加藤さんを励まそうと食事をごちそうしたりと、後輩思いな一面を見せることもありました。ただ、お代はすべてツケですが……。
人間味にあふれ、どこか憎めないところが彼女の魅力でしょう。
- 著者
- わだぺん
- 出版日
- 2013-07-12
クロスバイクを愛用する「自転車天使部」の部長です。老舗和菓子屋の娘で、地元には詳しいものの、極度の方向音痴。いるかたちと初めて行ったポタリングでも、いきなり道に迷ってしまいました。
おっとりとした雰囲気と並々ならぬ母性の持ち主で、みな彼女に触れた瞬間、その母性に一気に包みこまれてしまいます。
強制的に「自転車天使部」に入部させられたことに納得できずに、退部しようとしているいるかを引き止めるなど、すさまじい威力です。
また、加藤さんが嫌がらせを受けた際は、犯人の陰謀をいちはやく看破する洞察力の高さを発揮。部長としての資質をみせます。
優しさと強さをあわせもった頼れる部長の活躍から、目が離せません。
- 著者
- わだぺん。
- 出版日
- 2016-03-12
本作の序盤は街ブラがメインののんびりとした雰囲気ですが、中盤からはスポンサーからの指令で謎解きの要素が加わり、さらに終盤ではライバルチームが登場して対決の要素が加わります。
しかしポタリングのゆるりとした雰囲気は最後まで薄れることなく、楽しむことができるでしょう。