イケメンで頭脳明晰な魔界の王子様が、人間界である少女と出会いました。それは偶然ではなく、前世から約束されたもの……。スマホの漫画アプリで無料で読むことができるので、キュンとする物語をぜひチェックしてみてくださいね。
2007年から「月刊少年ガンガン」で連載を開始した桑原草太の作品。主人公の紅次郎とヒロインの花の、まるで少女漫画のような恋愛模様が描かれています。
恋愛初心者の2人は、お互いを想う自身の気持ちが「恋」だと気づいておらず、まさに「友達以上恋人未満」の関係。ナチュラルにイチャつく展開に、読者はニヤニヤが止まらないはずです。
2014年に16巻を発売して以降、現在は長期休載中。再開が待ち望まれています。
- 著者
- 桑原 草太
- 出版日
- 2007-11-22
主人公のさくら紅次郎(こうじろう)は、魔界の王子様。魔界学校に通っており、その卒業試験として「魔界の未来を脅かす人間の魂を奪う」という課題を与えられ、人間界にやってきました。
彼の一族には、代々「魔の紅眼(くれない)」という特殊能力が伝わっています。紅い髪と瞳を持って生まれるということ以外くわしいことはわかっていないのですが、この力のおかげで、人間界で出会った小梅田花(こうめだはな)が課題のターゲットだと判明しました。
実は彼女には秘密があって……。
- 著者
- 桑原 草太
- 出版日
- 2008-03-25
本作では、キャラクターたちの会話の節々から優しさを感じることができます。
たとえば「ありがとう」や「ごめん」などの言葉。これらは大人になるとともに素直に口にするのが難しくなってしまいがちですが、花は心の底から自然とこの言葉を言うことができるのです。
「誕生日ってさ自分が祝って貰う日っていうより 自分が周りに感謝する日だと思うの
今日また1つ歳を重ねられたのも今ここで私が笑っていられるのも
全部みんなのおかげだから
ね だからもういっかい言わせてよありがとうジロー」(『紅心王子』2巻より引用)
『紅心王子』の物語全体に優しい空気をまとっているのは、ほんわかとした絵のタッチももちろんですが、このようなセリフのひとつひとつに理由があるのではないでしょうか。
- 著者
- 桑原 草太
- 出版日
- 2009-12-22
「魔界」とは、悪魔や死神、魔獣と呼ばれる狼族などが住む世界。人間界とは時間の流れも異なっています。「天使界」はその名のとおり天使のみが住むことを許されている場所で、異界の者が入ると気を失ってしまうほど聖気に満ちている世界です。かつて「魔界」と「天使界」は対立関係にありました。
現在、「魔界」の住人たちは天使たちを傷つけることはできないよう力を制御されていますが、昔はその力を無尽蔵に使い、攻撃をしていたそう。やがてその暴走は「魔界」自体にも影響を及ぼすようになり、ある時狼族の頭領がこんな提案をしました。
「天使界の頭 そいつを仕留めた者に この魔界を治める権利を与えるのはどうだろうか」(『紅心王子』6巻より引用)
この言葉によって戦争が開始。初代のさくら紅次郎は、家族を失ったことと引き換えに「紅」を倒し、その能力を手に入れました。本作の主人公のさくら紅次郎は、初代の生まれ変わりです。
一方の紅は、人間界で小梅田花として生まれ変わっていました。「魔界」の住人たちは彼女を消そうと企てているのですが……。
本作は、紅次郎と花以外の登場人物たちも個性豊かで、彼らにまつわるストーリーもしっかりと描かれています。クラスのムードメーカーで、花とは幼馴染の吉野笑太(よしのしょうた)もそのひとり。
2人は、昔はお互いに下の名前で呼び合うほど仲が良かったのですが、思春期になり、いつの間にか苗字で呼びあうという甘酸っぱい関係が描かれています。
小さい時から嬉しい時も悲しい時もずっとずっと側にいた笑太は、彼なりに花のことを守っていましたが、その不器用な気持ちは彼女に届くことはありません。
花の幸せを願いながら、自分の気持ちを伝えた彼の勇姿はぜひ見ていただきたいところ。切なすぎる幼馴染との恋模様です。
15巻で紅次郎は悪魔と人間のハーフだと分かり、そこから紅次郎の両親の過去が描かれています。
父親のさくら茜太郎(せんたろう)は、最初の妻・アンネの病気を治すために、人間界に薬を探しに行きました。街で1番の薬剤師だというマーガレットと出会い、薬を貰ってアンネの元へ戻るのですが、間に合わなかったのです……。
妻を亡くし、双子の子育てに四苦八苦していた茜太郎を支えてくれたのが、マーガレットでした。息子の恋太郎が高熱を出した時も診察をしてくれたのですが、この時茜太郎は、許可なく人間を魔界に連れ込むというタブーを犯してしまったのです。
その償いとして、マーガレットに「悪魔を装ってしばらく魔界で暮らせ」という罰がくだされました。
やがて月日が流れ、茜太郎とマーガレットの間には恋心が芽生えます。そして2人の間に、「紅」の能力の後継者である紅次郎が誕生したのです。
しかし本来は人間であるマーガレットが魔界で生き続けることは困難で、彼女は人間界に戻ることになりました。
- 著者
- 桑原 草太
- 出版日
- 2014-08-22
「もしもの話はやめよう茜太郎
誰のせいでもないよ 選んだのは私
あの時茜太郎と出会ったのも全部必然だったの
私はねみんなに会えてこの人生で大満足!」
「ありがとう茜太郎
また会おうね。」(『紅心王子』16巻引用)
もしも自分と出会わなければ、もしも魔界に連れてこなければ……と後悔ばかりする茜太郎に 、マーガレットがかけた言葉です。
両親が突然いなくなった理由と、自分だけ兄姉たちに嫌われてい理由がわかった紅次郎でした。
心が強くて優しい両親がいたことがわかった彼が、これからどんな行動をとっていくのか、楽しみです。
優しい物語に心がきゅっとなる『紅心王子』。連載が再開されるのが待ち遠しいです。